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2013年09月23日 月曜日 学習指導要領について知っていますか     ( 加藤だより アーカイブ )

2004年2月号の加藤だより(塾 NEWSLETTER)です。

学習指導要領について知っていますか

学習指導要領とは、文部科学省が定めた小学校・中学校・高等学校の教育課程の基準のことです。全国の「学校」はこの基準のもとにそれぞれの学校の実情にあわせて授業などの教育活動を行っていく、という、いわば教育上一番基本のもののことです。
 教科書もまたこの指導要領をもとに作られているのです。文部科学省の教科書検定も、学校の時間割までも、これがもとになって作られます。この指導要領が発行された1947(昭和22年)から現在まで、ほぼ十年ごとに見直しがなされ、改訂されてきています。十年もたてば世の中がいろいろと変わり、学校教育もそれに従って変化させていかなければならないからです。ところがこれが今たいへんなのです。ご存じでしたか。
 最近の指導要領改訂は小中学校では2002年(平成十四年)春から、高等学校では一年遅れの2003年春、つまり去年改訂されたばかりです。そして実は、もう変えなければならなくなってきているのです。まだたった一年、二年しかたっていないのに。変えることが問題なのではありません。2002年度実施の改訂がいかに学校や社会に合わないものであったかを表しているということです。
 平成十三年春といえば、学校完全五日制が実施された年です。毎週土曜日が休みになる。これによっていろいろな問題が起きてきました。すべての公立学校で実施されるのですから、これは県立高等学校でも同じでした。しかしこれに反対した私立学校(私立学校はこれに従わなくてもよい)では土曜日も授業をやっているところがたくさんあります。県立高校でも、先生たちは「土曜日を休みにしていたのでは学力がつかない」ということがよくわかっていましたので、「授業」はしないが、それに代わる「講座(補習のようなもの)」を行うことにしました。だから県立普通科高校では土曜日には学校に行っている生徒がたくさんいます。こうやって現場の高校の先生たちは文部科学省や教育委員会に対してささやかな抵抗をしているのですが、もっと深刻なのがそういった抵抗をすることのできない小中学校でした。
 この学校五日制もこの新しい指導要領からきていたものでした。つまり「学力重視」の詰め込み教育と言われたことに対して「ゆとり教育」をテーマにして、教える内容を減らしていったのです。教える内容を減らしたら授業がやさしくなるのは当然。それを歓迎する生徒もいるでしょうが、中には勉強がやさしすぎて却ってつまらない子供もいるのですから「もっと難しいことも教えてほしい」という声だってあるわけです。先生たちだって、そんな声を聞けば「もっと先のことまで教えてやりたい」と思います。しかしそれを禁じて「これ以上教えてはいけない」としているのが新しい指導要領なのです。つまり学校で先生たちが「これでは十分ではない」と考えてもっと難しい内容を取り入れた授業をしようと思っても、やってはいけないのです。
 しかしこの「ゆとり教育」、結局は予想通り学力低下をもたらしてしまったのです。もっと勉強したい子は塾に行く。学校の授業はますます中身の薄いものになっていってしまったのでした。そこでこのたび「学習指導要領の見直し(全面変更の「改訂」ではなく、少しだけ直そうということ)」になったのです。そこで今回の見直しでは、ようやく、示されていない内容も教えてもよいということになったのです。これまで厳格に「指導要領に示されていない内容は教えてはいけない」と歯止めをかけてきたのが、ようやくこの歯止めが解除され、多くの先生たちや生徒・親たちが願っていた「もっと深い内容を教えてほしい」の声に応えることができるようになったのです。
 しかしこれだけで問題が解決するのでしょうか。そもそも今回の異例の早期見直しは、改訂前から予測されていたことであって、本当に学力低下をもたらすかどうかはやってみないとわからないといって実施したものの、やはりそのような結果になったということですぐに手直しする姿勢自体、教育的だとはとうてい思えません。教育は国の一番根幹である以上、教育改革は慎重に慎重を重ねて行わなければならないことだし、今までの改革は、それが本当によかったかどうかは別として、それぞれの時代の社会情勢を反映するものとして、十年のあいだ教育の基本姿勢として君臨するものだったのです。
 ここ最近の改訂はつねに教育内容の削減とゆとり教育ということを掲げており、これによって加熱した進学競争を緩和し、塾通いも減らし、子供たちがのびのび豊かに成長できるようにするものでした。問題なのは、今回の改訂の基本方針である「教育内容削減」「ゆとり教育」は変えず、ただ歯止め規定だけをなくすことによって、再び「学力重視」の指導規定を作ろうとしているという矛盾なのです。
 世の中は「学力重視」に向かっています。前述のように私立中学校や私立高校では土曜日も授業を行い、授業時間数を減らさないよう(いや、むしろ増やすよう)努力しています。公立高校も進学校では土曜日の補充授業を行っています。大学入試は両極化しているのです。つまり、難しい大学はより難しくなっているということです。やさしい大学や人気のない大学、また多くの短大では学生数が減る一方なので、何とかして学生数を増やそうとして、学部や学科を組み直したり、入試制度を変えて試験を楽にしたり、おしゃれな学生食堂を新築したりして、何とか学生に来てもらおうと必死になっています。大学も「勉強しに行く大学」(難しい)と「遊びに行く大学」(やさしい)に分かれてきています。難しい大学への希望が多いのです。そうすれば希望が多いのはやはり「学力重視」ということになります。
 この流れの中で見直しが行われるのです。今後これがどう変わっていくかはわかりませんが、少なくとも学力重視という社会的状況は変わらないはずです。

 

 

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