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TOPほのちゃんRoomこちら個別指導Qさんコラボ第2弾キリン

 

 

個別指導Qさんコラボ第2弾キリン

北海道の個別指導Q様のあおいちゃん
コラボ第2弾

広い北海道でキリンさんに遭遇です。

あおいちゃんの[キリンさん]の絵は
イルカさんの絵で受賞した前年度に受賞した作品です。
あおいちゃん!天才少女画家さんね。

天才少女あおい画伯と天才ほの執筆家コラボ

第6話「虹の下でくつろぐキリンさん」
お楽しみください。

第1話「赤い電車でレッツゴー!」
東京から東北をめざして
新しい冒険がスタートします。

青森行きの赤い電車!
どんな楽しいことが待っているのでしょうか?

ワクワクする未来へ向けて、いざ旅立ち!

第2話「いよいよ青森だあ〜!」
さあ〜 青森到着です。
どんなワクワクがあるのかしら?

第3話「輝く海面を飛び跳ねる魚たち」
北の海はどんななんでしょうね?

第4話「ポッポ!船と競争?」
ポッポ北海道まで飛べるのかしら?

第5話 「イルカをかこむ花火たち」
イルカのジャンプに花火の情景ですね。

16才のほのちゃんの創作物語
「新しい冒険のはじまり〜!」

対 象

実施日

新しい冒険のはじまり〜!

第1話 赤い電車でレッツゴー!

浜辺から階段をあがると、
街灯が道路を照らし始めていました。
道路の向こうを進む電車が、
ひときわ目をひきます。
車両の壁にある赤い線や、
その周りの模様が
わずかな光を反射していました。

荷台を空にした魚のトラックを
一台見送り、
二人は線路のそばへ近寄りました。

「あんな電車は見たことないなあ」
「なんか不思議な国から来たみたいに
見えるわ」
遠ざかる電車の輝くライトを
見つめ返し、
ピヨンは言いました。
「僕、あれに乗ってみたい!」
リリーが頷き、
二人はその場から駅へと
走り出しました。
いくつもの道を曲がり、
駅につくと、
そこにはあの電車がとまっていました。
腕時計の時刻は4時55分、
おそらく5時ぴったりに
電車は発車するのだ
と思ったピヨンは、
辺りを見まわしました。

「あっ、この電車、
北の方へ向かうらしいよ」
電車の上の方に
行き先を発見したピヨンに、
リリーが言いました。
「北の方って、
あんまり行ったことがないのよね。
何があるのかしら、
イルカは住んでる?」
「うーん、
大体のイルカは南の海にいるし、
日本の浅瀬で見るのは難しいよ。
北には、たぶんリンゴが沢山あって、
雪だるまがいるんだ」
「じゃあ、
見たこともない不思議な世界が
待ってるってことね!」

二人が電車に乗ると
ちょうどドアが閉まり、
発車の音楽が流れ始めました。
窓の外に見える景色からは、
太陽が消えていきました。

第2話 いよいよ青森だあ〜! 

電車の廊下は、
天井にある
いくつかのランプのみで照らされ、
木製の壁際には
茶色に近い赤色の椅子が
並んでいます。
中を歩くと、大きく見えた電車は
意外にも三両編成だったと
わかりました。

二人は一番後ろの車両に乗って、
カーテンから外を覗きました。
そこはもう真っ暗で、
高速道路や電波塔が後ろへ後ろへと
遠ざかっていきます。

しばらくすると、
辺りは電線と畑ばかりに
なっていました。
青い着物と麦わら帽子のかかしが
畑の真ん中で夜風に揺れています。
やがて民家も少なくなり、
丘を越えた電車が森に入りました。
そして、いつの間にか
ピヨンとリリーは
ぐっすりと眠っていました。

森を抜け、
草原を走っている電車の中で、
空を見たピヨンが言いました。
「だんだん星が消えていってる。
もうすぐ朝になるね」
「そうね。
きっとあと少しで着くわ」
そうリリーが言ったとき、
突然ピヨンが立ち上がりました。
「海だ!」
線路の先、草原の向こうに
光が射す海が見えました。
「駅も見えるぞ!」
その横にある森の近くの町と駅に、
電車は向かっていきます。
「やったあ、到着ね!」
リリーとピヨンは
一番前の車両にやって来ました。
明るくなった辺りには、
まだ雪が残る緑の畑が沢山あります。
何頭かの鹿が、
二人を乗せて走る電車を
見つめていました。
お乳を飲んでいる子鹿の姿も見えます。

第3話 輝く海面を飛び跳ねる魚たち

到着した電車のドアが開きました。
大きな駅のホームから
吹き込んできた風は、
春にしては冷たいけれど、
心地よさがあります。
二人が改札に向かうと、
そこは「ようこそ!」
という歓迎の看板や写真で
いっぱいでした。
「さあ、どこへ行く?」
そう言ったピヨンに
リリーが答えました。
「やっぱりまずは海に行きたいな」
「そうしよう。
僕たち森の妖精にとって、
海は特別だもんね!」
地図がついたパンフレットを
受け取った二人は、
さっそく海へと歩き出しました。

駅の近くには
野菜、果物、肉や魚などの
お店が並び、とても賑やかです。
道の横には
まだ掻いた雪が残されていました。
そして少し歩くと田や畑が広がり、
中にはリンゴ畑もありました。
その時、二人が歩いていた道の
ガードレールの下から
ふとリンゴをくわえた小さな動物が
顔をだしました。
「あっ!キツネだ!」
ですが、驚いたピヨンに
キツネも目を丸くして飛び上がり、
すぐに畑の奥へと
逃げて行ってしまいました。
カメラを構えたリリーが
残念そうに口をとがらせました。
そうしている間にも、
二人が目指す海はもうすぐそこです!

海岸は海面からは高さがあり、
道の脇に倉庫やトラックなどが
並んでいました。
見下ろした海は、
海底の暗さが
海面の青とまじりあっていて、
とても深いのがわかりました。
「あっ、魚がいるよ」
ピヨンが指さした先で、
小さな銀色の魚達が泳ぎ、
そしてまた海の底へと潜っていきます。
その時、少し離れたところで、
釣り竿にかかった大きな魚が
海から跳ね上がりました。
釣りをしていた人が、
満足げに釣れた魚を手に取ります。

リリーが言いました。
「私、おなかすいたわ」
ピヨンが答えます。
「本当にリリーは
食べるのが好きだなあ」
「だってまだ朝ごはんを
食べてないのよ!」
リリーの横で、
地図を広げたピヨンが言いました。
「少し近くにお店があるらしいよ」
リリーが目を輝かせ、
二人はお店の方向へと
歩き出しました。
振り返ると、
釣りをしていた人の周りには
何匹ものカモメが集まっていて、
ピヨンはふと
鳩のポッポを思い出しました。

第4話 ポッポ!船と競争?

少しして、
お店から出てきた二人は
再び海岸を歩いていました。
この、乾いた貝が
転がる砂利道の先には、
船の乗り場があります。

海を横にのんびりと歩きながら、
ピヨンとリリーは
上機嫌で話しています。
「海はいいなあ。
一日でいいから魚になって、
水中を探検してみたいものだよ!」
「私はイルカがいいわ。
ひれを使って
優雅に大ジャンプしてみせるの!」
「じゃあ僕はクジラだな!」 
波や風邪の音が流れるなか
新しい声が会話に加わります。
「それなら僕はペンギンがいいな」
「それもいいね!
鳥なのに泳ぎが上手いなんて、
本当に不思議な生き物だと。。。」 
あれっ、
とピヨンがリリーの方を見ました。
そして自分の後ろを見て、
大きな声をあげました。
「ああっ、君は!!」 
そこにいたのは、
つぶらな丸い目で二人を見上げる、
鳩のポッポだったのです。
電車の中で知り合い、
東京の町でも出会ったので、
偶然の出会いはこれで3回目です。

驚くピヨンに、
ポッポは羽をあげて
呑気に挨拶しました。
「やあ、また会っちゃったね!」
「ポッポ!
僕を追いかけてきたのかい?」
「僕はそんな寂しがりやじゃないよ!
海岸を大きくて速い、
なんだか凄い電車が通ったから、
ただどこに行くのかなーって
思って乗ったまでさ」
「そうだったのかあ。
僕達も同じことをしたんだ。。。
いや、
でも電車の中で
君は見かけなかったよ?」
「乗り遅れそうだったから、
車両の上に掴まって
乗っていたんだ。
こういう時に鳥って便利だよね」
「いや、
普通に次の電車を待とうよ。。。」 
ポッポに近寄ったリリーが言います。
「ねえ、これから私達は船に乗って、
遠くの向こうに見える島に渡るの。
ポッポも一緒に乗らない?
鳩ならチケットがいらないから
簡単に乗れるわ」
とリリーが言いました。
「船かあ」とポッポが言います。
「船なら、見ていても
すごくゆっくりだし、
僕の方が速く飛べる自信があるよ!
すぐそこの島までなら、
僕は飛んでいける」
「そんなわけないだろ、
船は海が大きいから
遅く見えるだけだよ!」
そうピヨンが答えると、
むきになったポッポが言いました。
「よし、それじゃあ競争しよう!
あの島の岸まで、
君たちを乗せたのんびりした船と、
ビューンとひとっ飛びする僕の
どっちが速いのか!
まっ、僕だと思うけどね〜」
「トンビにケンカを挑んで
3秒で引き返した時もだけど、
ポッポは向こうみずだなあ。
いや、無謀でも
勇気があるってことは
いいんだけどね。。。」
あきれるピヨンに頷きながら、
リリーが笑い、前を見て言いました。
「ほらっ、船乗り場に着いたよ!」 
そこでは乗り場に繋がった船が、
北海道へ出発する時を待っています。
ポッポ達はすぐに船の方へと
駆けだしていきました。

船が出航してしばらくした頃、
ピヨンとリリーは船のデッキに
上がっていました。
他の乗客達は、
船が作り出す
どこまでも続く飛沫(しぶき)を
眺めていますが、
二人は空を意気揚々と飛ぶ
一羽の鳩を見ていました。
汽笛が鳴ってすぐに、
鳩が飛べる最高の速度で
ポッポは空へと
飛び立ったのです。
それは確かに
観光客を乗せた船よりは
ずっと速く、
もう遠くを飛ぶポッポの勝ちにさえ
見えました。
ところが
「なんだかポッポ、
どんどん遅くなってないか?」
「そうね、 ヨロヨロしてるわ」 
ずっと全力で
飛び続けられるはずもなく、
もうそろそろポッポは
体力の限界のように見えました。
「調子に乗って、
ビュンビュン飛ぶからだよ。。。」
「どうする?
あのままだと、
海に落ちちゃうかもしれない!」
「大丈夫、
それより先に船が追いつくよ」 
幸い、ポッポは船の前を
一直線に飛んでいます。
そうして、
やがて疲れきったポッポは
バタバタと船のデッキに
降りてきました。
しゅんとするポッポが
なんだかおかしくて、
思わず二人は笑いだしていました。 
そうしている間にも、
船は北海道の陸地へと
近づいていきます。

第5話 イルカをかこむ花火たち

2022年受賞作品イラスト
イルカさん:
個別指導Q様のあおいちゃん

船のエンジンの音は
吹き抜ける風に流され、
辺りはずっと
波の音が響いています。
三人は船の中へと降りていき、
辺りを歩いたり、
操縦席を覗いたりしていましたが、
やがて客席の椅子に座って
のんびり外を眺めることにしました。 
ゆらゆら揺れる波が
水平線まで続いています。
進む船の周りには、
飛沫(しぶき)が絶えずあがります。

その時、
ポッポは波間に見えた黒い影に
気がつきました。
なんだろうと身を乗り出して
もう一度見ましたが、
そこには波があるばかりです。
重なる波たちがつくり出す景色が、
どこまでも続きます。
だんだん眠くなってきたポッポは
目を閉じかけました。
その時、
ピヨンがバンと立ち上がりました。

「イルカだ!」 
驚いてテーブルから
転がり落ちたポッポをよそに、
リリーが窓に駆け寄ります。
「どこ? どこにいたの?!」
「あそこだよ!
背びれが二つ、見えたんだ……」
ピヨンとリリー、
他の乗客達が
外を見つめましたが、
イルカなんて見つかりません。
どつくように
ピヨンの肩に飛び乗った
ポッポが言いました。
「何もいないじゃないか」 
すると、
人々の視線から少し離れたところで、
二つの大きな影が飛び上がりました。
どよめきがあがる前に、
それは軽やかに宙で一回転し、
再び波に飛び込みました。
それは間違いなく、
イルカの姿でした。
二頭は再び、
今度は船に近い所でジャンプします。
踊っているような二頭の周りに、
細かい水しぶきが舞い散ります。

「デッキに上がろうよ!」 
そう言って
駆けだしたピヨンのあとに、
ポッポとリリーが続きます。
三人が甲板に出ると、
目の前の空に
大きな花火が上がりました。
様々な色が一瞬の夢のように弾け、
かげる太陽を飾ります。
続いて、
たくさんの小さな花火が
空に咲きみだれました。
海では、2頭のイルカが
息の合った大ジャンプを
繰り広げます。
「すごい、あれがイルカか!」 
ポッポは目の前の光景に思わず、
飛び上がって拍手をしていました。 
やがて、
どこからともなく現れたイルカは
だんだんと遠くへ離れてゆき、
海の中へと帰っていきました。
 
花火で満ちた空の下、
水平線には
北海道の陸地が見えました。
「そうか、もうすぐ夏だもんね。
花火大会やるのかな」 
そう言ったピヨンの横で、
カメラを構えたリリーが言いました。
「そうしたら、三人で行こう。
でも、その前に北海道よ!
ねえ、着いたらまず何しよう?」

「僕はポップコーンを食べる〜!」 
ポッポが空に舞い上がりました。

第6話 虹の下でくつろぐキリンさん

2021年受賞作品イラスト
キリンさん:
個別指導Q様のあおいちゃん

すぐにどこかへと
飛んで行ってしまったポッポを
やっとのことで呼び戻し、
ポッポとリリーは地図を覗き込みます。
この海岸から歩いて行ける距離に、
展望台があるようでした。
帰りの船までにはまだ時間があります。
「ここ、行ってみないかい?」
ピヨンの一声に、
すぐに二人が頷きました。
ポッポはピヨンの肩に乗り、
ニ人は歩きだします。
展望台は木で囲まれた山の上に
立っていました。
ほかの乗客たちは町の方へと
歩いて行きました。

展望台は三人の他に誰もいません。
階段を上がって、最上階へ出ると、
そこでは海が一望できました。
前方のずっと遠くには
青森の陸地が見えますが、
あとはただただ青く、
広い海でした。
「やっと着いたね!
あの赤い電車があった駅からは、
かなりの距離だよ」
そう言ったピヨンの横で、
リリーが言います。
「ここ、北海道が
今回の旅のゴールになるわね。
ああ、楽しかった!」
「僕もさ!
住んでいた町に帰ったら、
仲間の鳩たちにこのことを話すよ。
みんなきっとびっくりするだろうな!」
その後、
ポッポが辺りを見てくると飛び立ち、
ポッポとリリーは近くのベンチに
腰かけました。

しばらくすると、
水色一色だった空に
赤や黄色、緑などの光が
浮かび上がってきました。
それはまるで
時間をかけて完成された
水彩画のように、
美しい七色の虹でした。
二人は疲れが吹き飛ぶ光景に
ただ見とれていました。

その時でした。
「ピヨン、リリー!」
ポッポがバタバタと慌てた様子で
戻ってきました。
「大変だ!
外に巨大な怪獣がいるんだよ!
こっちに向かってくる!」
それを聞いた二人の耳に
ガサガサと葉をかき分ける音が
聞こえてきました。
すっかり
虹に見入ってしまっていた二人は
血相を変えて飛んで来た
ポッポの方へ目をやると、
その先には
なんと黄色と黒の
首が長い巨大生物が
歩いていました。
「何やってるんだよ、
今すぐ逃げないと!」
ポッポが叫びますが、
二人はその動物を見つめながら、
すぐに笑いだしました。
「ポッポ、大丈夫だよ。
あれはキリンっていう動物なんだ。
怪獣のように怖くはないよ」
とピヨンが言うと、
キリンはちらりと三人を見ました。
そして、またくつろいだ様子で
葉を嚙み始めました。
「どこから来たのかしら。
まさか動物園から、
逃げ出したとか?」
リリーがそう言って、
ピヨンが地図を見ると
「この町の外れには。。。
うん、動物園がある」
キリンは
豊かなブロンドのたてがみを
なびかせ、
森の中を歩いてゆきます。
そして、だんだんとその足音が
小さくなっていきます。
「どうするのさ?」
喋らなくなった二人に、
しびれをきらしたポッポが
聞きました。
「あんなに大きいキリンが
町を歩いたら、
ちょっと危ないかもしれない。
それに、たぶんこの辺りで
キリンが食べられる葉っぱは
そんなに多くない」
そう答えたピヨンに、
リリーが続きました。
「決まってるでしょ!
あのキリンさんを
動物園に帰すのよ!」
「そうしよう!」
ピヨンとリリーは
すぐさま荷物をまとめ、
展望台の階段を
駆け下りていきました。
「キリンさーん!」
「ちょ、ちょっと待ってよー!」
追いかけるポッポは
小さく呟きました。

「こりゃあ、僕の町に帰るのは
もうちょっと先になるかもな。。。」
虹の下を歩くキリンの瞳が、
ゆっくりと三人の方を
振り返りました。

「キリンさーん、
どこから来たの?」
そう聞いたリリーに、
振り返ったキリンは
のんびりと言いました。
「あっちの方からだよ。
今日はとっても天気がいいから、
外を歩くにはちょうどいい日だしね。
でも、君、小さいねえ。」 

その方向の先にあるのは、
間違いなく動物園です。
「えっと、そこはもしかして、
君以外にも
色々な動物たちが住んでいる
動物園ってところじゃないかい?」 
ピヨンが聞くと、
キリンはまたしてもゆっくりと
答えました。
「そうか、
あそこは
ドウブツエンっていうのかあ。
それなら僕の家は
その中にあることになるな。
あの場所の草は
とてもおいしいんだよ。
でもね、
僕は昼寝するのも好きなんだ
今は歩きたい気分だけどね」

「どうして、ここにいるの?」
「風が吹くまま、
気の向くままに歩いてただけさ。
ほとんど開かない扉が、
久しぶりにちょんと押しただけで
動いたんだよね」
それだ!
とばかりにピヨンはうなずきました。
要するにこのキリンは動物園を
脱走してきたのでしょう。
ですがキリンがあまりに
散歩を楽しんでいるようなので、
今すぐ帰ったほうがいいと
はっきり言うのも気が引けます。
そこで、少し悩んだあげく
ピヨンは思いつきました。
「一緒に、街まで散歩しないかい?」
「そうよ、そうしましょう!
人間がつくった町には、
とても面白いものがたくさんあるの
案内してあげるから。。」
 リリーも口を揃えます。
ところが、
キリンはあっさりと言いました。
「いや、僕は遠慮しとくよ。
だって、日が沈むまでに、
僕の家に帰れないじゃないか」 
「えっ」
とピヨンとリリーが
目を丸くしたのを、
キリンがさらに不思議そうに
見つめています。
「帰るつもりでいるってことなの?」
「もちろんだよ。
僕はもう充分散歩したから、
もう帰るよ。
僕が散歩に出かけるのは
これでもう十何回目を超えてるから、
待ってるみんなも
そんなに心配はしてないさ」
「へ、へえ、そうなんだ〜」  

太陽はすでに半分が海に隠れていました。
キリンはその景色を見て
ゆっくり瞬きすると、
くるりと歩く方向を変えました。
「それじゃあ、
かわいい小人さん達、バイバイ」 
そう言って、
キリンは長い足で
木々を器用に避けながら、
展望台がある山を降りていきました。
「僕は小人じゃない、鳩だ〜!」 
ポッポが一人で叫んでいます。

リリーが言いました。
「今度来たとき、
あのキリンさんに会いに
動物園に行こうよ!」
「いいね、そうしよう!」 
とピヨンが答えました。
その時、
山の下から声が聞こえて来ました。
おそらく、
キリンを探していた人たちでしょう。
「あ〜っ、こんなところにいたのか!
帰るぞ〜!] 
続いて三人が山を降りると、
人々に囲まれて動物園に帰ってゆく
キリンの後ろ姿が見えました。
そして、ピヨンが腕を突き上げて
言いました。
「よし、僕たちも家に帰ろう!」
「帰ろーう!」
とリリーが続きます。
「君たち、
船の時間は大丈夫なのかい?」
ポッポが言うと、
腕時計を見た二人が声を揃えました。
「急がないと!港まで走るよ!」 
ピヨン、リリー、
そしてポッポの三人が
坂を駆け下りる足音、
そして三人の笑い声が、
穏やかに流れる夕焼けの下に
響いていました。
ポッポは翼を広げて、
空宙へと舞い上がります。
草や木々をなびかせた初夏の風が
山から海へと吹き抜けていきました。
港では船がゆらゆらと揺れながら、
楽しい旅を終えた人々を
待っていました。

 

 

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