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TOP創作物語:かわいいムギよしき&ほの  森と海の生き物たち

 

 

よしき&ほの  森と海の生き物たち

2021年テーマ:森と海の生きものたちの物語

物語情景のイラストを描きました。
合わせてお楽しみ下さい。
イラスト絵:安藤

描写絵:小3生よしき君
創作物語:中3生ほのちゃん
(ムギ創作物語のペンネームHさん)
絵の構成:安藤
特別紹介:
小3生さよちゃんが海の様子を
描写しました。
どうぞお楽しみください。

対 象

実施日

南国の楽園にすむ生き物たちの海物語

1.岩穴をめぐるケンカ(1)

ここは眩しい太陽の光が射しこむ、
透き通った青い海。

さまざまな物語が繰り広げられる、
南国の青い海。

そこは海の生き物たちの楽園だ――
ところが。
「おい、そこはわしのテリトリーだぞ、
今すぐ出てけ!」
一見とても平和に見える海底で、
長いひげを生やしたエビの罵声(ばせい)が
響(ひび)いた。
彼が睨(にら)みつける岩穴の中には、
大きなタコの姿がある。
「あら?
この海で一番美しいタコのわたくしに、
何か文句があるとでも?」
長い腕を優雅(ゆうが)にうねらせながら、
タコは横目でエビを見下ろす。
その態度にエビは
鼻息(はないき)を荒らげた。
「だから、そこの岩に住むのはわしだ。
他の奴(やつ)が入るのは許さん!」
「いいじゃないの
岩ならその辺にたーくさんありましてよ」
タコとエビはあっという間に
言い争いを始めた。
「じゃあ、
なんでわしが出ていかねばならんのじゃ!」
「エビのくせに随分(ずいぶん)と
生意気ですわね」
「わしの方が
あんたよりもずっと年上なのじゃ!」

1.岩穴をめぐるケンカ(2)

またタコが何か言い返そうとしたとき、
二匹にのんきに声をかけたものがいた。
「ハロー それを言うなら、
俺の方があんたよりも年上さ。
そもそも ここの辺りは
俺のテリトリーだしね」
二匹が鋭(するど)く振り返ると、
そこには
前足を波にゆっくりと揺らしているカメが
こちらを見つめていた。
だが、それはよけいに二匹の怒りを
膨(ふく)らませたようだった。
「なんじゃとー!」
「いきなりなんですのっ?」
「わー、いきなり怒らないでくれよー」
面白がるようにカメがおどけた。
タコとエビがさらに声を荒らげて、
カメに言い返す。
こんな光景は、
この海では当たり前のことだった。
小さな魚達が三匹の横を、
知らん顔で通り過ぎてゆく。
そして、タコとエビがカメに向かって
飛びかかろうとしたその時、
少し離れた場所から声がした。

2.危機一髪、サメの大群!(1)

「なあ三匹とも、ケンカはやめようぜ
するなら別の場所でしてくれよ
この辺りにはサメだっているんだから」
そう困ったように言ったのは、
赤い甲羅(こうら)の大きなカニだった。
だが、三匹の目に止まったのは
彼の言葉ではなく、
彼が持つ大きなハサミだった。
「あっ、ちょうどいい
カニよ、良かったら
この二匹のしっぽでも、
ちょん切ってくれないか」
カメがエビとタコを指さして言った。
当然、二匹は声を荒らげる。
「冗談じゃない!
あのカメの舌でも……」
「待て待て、俺は誰とも戦わないよ」
三匹がもっと怖いことを言いだす前に、
カニは言った。
確かに、カニはこの三匹よりも強い。
だが、その力をやみくもに使うことは
したくないのだ。
「だから、いい加減ケンカは……」
その時、四匹に水が大きく押し寄せた。

2.危機一髪、サメの大群!(2)

悪い予感がして、四匹は振り返る。
遠くに、サメの大きな影が
群れとなって泳いでいた。
「逃げろー!」
カメが叫ぶ。
四匹はあっという間に
散り散りになって、
どこかへと逃げていった
(タコは岩の陰に隠れた)。
緊迫(きんぱく)が辺りに漂(ただよ)う。
だが幸いにも、
サメは誰にも気がつく気配はなく、
だんだんと遠ざかっていった。

2.危機一髪、サメの大群!(3)

別々の場所で、
けれども同時に、
四匹はため息をつくと呟(つぶや)いた。
「あーあ
海なんてもうこりごりだあ〜
森に行けたらなあ」
そのとき、
地平線の遥か遠くに見える
森の上から顔を出した高い山が、
太陽の光に
煌(きら)めいたように見えた。

3.サメだ〜 森めがけて逃げろ!(1)

それはまた別のある日、
再び三匹はケンカをしていた。
きっかけはとてもくだらない。
カメがエビとタコをからかって、
二人に砂をかけたのだ。
カニはその様子を
遠くから見つめていた。
このケンカは
どうにかならないのだろうか。
自分が注意したところで、
誰も聞いてはくれないだろう。
カニは頭を悩ませていた。
カニがふと上を見上げると、
そこにはエイの群れが
光に照らされて泳いでいた。
それはまるで
空を飛ぶ鳥達のように
とても自由で、とても楽しそうで、
それに比べて俺は……
カニは悲しそうに
眉(まゆ)を落とした。
自分ももしエイのように
速く泳げたら、
こんなところからは、
サッサと逃げ去ってしまえるのに。

3.サメだ〜 森めがけて逃げろ!(2)

「おーい、カニー!
ちょっとこっちに来てくれよー!」
カメの声がして、
カニは三匹へと目を向ける。
おそらく、
またケンカに加わってというのだろう。
カニは三匹に背を向けようと、
一歩退いた。
その時だった。
遠くに、黒い影がよぎる。
光が遮(さえぎ)られて辺りが暗くなる。
背びれで水を切り進み、
尖(とが)った歯をむき出しながら
迫ってくる影、
それは……
「サメだ!」
いち早く気がついたカニが叫んだ。
カメとエビが振り返った。
だが、タコだけは気が付く様子がなく、
海の中を漂っていた。
サメはタコに向かって泳いでいく。
助けに行くにも、
もう間に合わない。

3.サメだ〜 森めがけて逃げろ!(3)

思わず三匹が目をつぶったその時、
灰色の影がタコを連れ去った。
サメの牙は水を切る。
その影は、
物凄い速さでエビ、カメ、そしてカニも
背に乗せて泳ぎ去った。
カニが恐る恐る目を開けると、
それは先ほどのエイだった。
「しっかり捕まって!逃げるよ!」
どうやら、四匹を
サメから助けてくれたようだ。
「あ、ありがとう!」
エイの背中に乗って、
四匹は海の中を進む。
振り返れば、
鋭い眼差しのサメが
追いかけてきていた。
すると、楽しそうなエビ、タコ、
そしてカメの声が聞こえた。
「なんて速いのじゃ!」
「ワンダフルですわ!」
「これは凄いぜ!」
まるで
ジェットコースターに乗るように
両手を上げて、はしゃぐ三匹に、
カニは声をあげて笑った。
「こんなジェットコースターなら、
毎日乗りたいですわ〜」
とタコは喜んでいる。
いったい、
タコにサメは見えているのだろうか。
「なあ、エイよ!
俺たちを浅瀬まで
連れて行ってくれないか?」
浅瀬なら、サメは追ってこられない。
そして、ずっとひとめ見てみたかった
森を見ることができる。
「わかった。任せて!」
その返事に、
後ろの三匹から歓声が上がった。
「森へ行くのじゃー!」
エイはさらに水を切って、
泳ぐ速さを上げる。
頬に当たっては
後ろへと流れていく
水の冷たさが心地よい。
カニが振り返れば、
もうサメの姿はなかった。

3.サメだ〜 森めがけて逃げろ!(4)

やがてエイは水面近くまで
一気に泳いで上がった。
そして、空に向かって飛び上がった。
まるでイルカが
天高くジャンプをするように。
「わー!」
エイはクルクルと回転しながら、
海へと舞い戻る。
ケンカをしていたことなんてもう忘れ、
四匹が大きな歓声をあげた。
浅瀬は、もうすぐそこに迫っていた。

4.森もあぶない〜 海の底へにげろ〜!(1)

「わたくし、ここに住みたいですわ!」
エビ、タコ、カメ、そしてカニが
水をバシャバシャと叩く。
舞い散った水が淡い金色に輝いては、
消えていった。
緑色の森には、
凶暴(きょうぼう)なサメなんていない。
ケンカも一切起こらないように見えた。
ところが、
突然どこからか
低い唸り声が聞こえてきた。
慌てて辺りを見回したカニは、
こちらを向いて牙をむき出す、
大きな獣の姿を見つけた。
「あれは?!」
カニが言ったより早く、
三匹は顔色を変えて
一目散に逃げ出した。
カニもすぐさま後に続く。
だが、陸上では
獣の方が三匹の何倍も速い。
すぐ後ろに荒い鼻息がかかるのを感じた。
「海に逃げろー」
どこかのんびりとしたカメの声が、
余計に危機感を奮い立たせた。
四匹は必死で水の中へと入っていく。

4.森もあぶない〜 海の底へにげろ〜!(2)

少しして、
浅瀬からだいぶ離れた四匹は
水面から顔を出した。
住み慣れた海の香りが、
風に乗って漂ってくる。
「どこにだって
危ないものはいるんだなぁ。」
カメが陸を見ながら言った。
その言葉に、エビが頷いた。
「海も森も、
大して変わりはせんのだな」
「でもわたくしは、
水が沢山あるところでないと
嫌ですわ」
強い日差しに、
タコが顔に腕をかざしながら言った。
そうだな、とカメとエビが続く。
そんな三匹を見て、
カニはにこりと笑った。
「だからさ、
俺たちはこのでっかい海で
生きていこうぜ。
ケンカなんてもうやめて、
海をもっといいところにしよう」
エビ、タコ、そしてカメが、
カニを振り返った。
カニは片手を上に掲げて言った。
「みんなでな」
三匹が大きく頷いた。

ここは眩しい太陽の光が射しこむ、
透き通った青い海。

さまざまな物語が繰り広げられる、
南国の青い海の生き物たちの楽園だ。

1.岩穴をめぐるケンカ

最初の挿絵です

2.危機一髪 サメの大群!

挿絵のご紹介

3.サメだ〜 森めがけて逃げろ!

挿絵のご紹介

4.森もあぶない〜 海の底へにげろ〜!

挿絵のご紹介

特別篇:小3生さよちゃんの海

さよちゃんが海をテーマに描きました。

金魚と潜水艦は、5才の弟さんゆうせいくんの作品です。

海の生き物たちが仲良く泳いでいますね。
ウツボもいます。
潜水艦(せんすいかん)も2隻(せき)登場です。
空には、カモメも飛んでいますね。

嬉しいメッセージを頂戴しました。

安藤の恩師T先生から嬉しいメッセージを頂戴しました

安藤の高校時代の恩師へほのちゃんの
「森と海の生きものたち」
をお送りしたところ
嬉しいお手紙を頂戴いたしました。

T先生から

「森と海の生きものたち」
面白く読ませていただきました。
まだ14歳というのに、
ほのちゃんは表現力が豊かで、
創造力・発想力も鍛えられ、
素晴らしいと思います。

物語の始まりの場面が海の中なので、
立体的な深海に引き込まれていきました。
私も中学時代の部活動合宿で、
南伊豆町仲木の海岸で
素潜りをした体験があります。
海面から光が差し込み透きとおった海の中で
魚と一緒に泳げた素晴らしい感動が
蘇ってきました。
海の中で過ごす時間は五感がフルに使われて、
誰しもが生きる力を育むのではないかと
思っています。
最近の小学生や中学生は
海で泳いだり潜ることを
体験する機会は少ないと思いますが、
サメが突然現れた時4匹のうろたえる様子が
上手に書かれているのには感心させられます。

物語では4匹の仲間が陸へ冒険旅行に出かけ、
そこで過ごした衝撃的な体験から、
今まで住んでいた海の生活の素晴らしさを
知ることに至りました。
経験を通して幸福の解釈を
新たに発見する展開は、
メーテルリンクの「青い鳥」を
思わせるような、
味わいのある物語であると思います。

えほんの挿絵が面白かった。
エイが水面近くで
空に向かってジャンプした時の絵ですが、
エビ、タコ、カメ、カニの4匹の
手や足や頭がエイの体から
少しだけ見え隠れしている姿は
とても面白かったです。
エイが空に向かって飛び上がっている様子が
上手に表現されていると思います。

T先生!
嬉しいメッセージをありがとうございました。
安藤伸江

 

 

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