TOP›WILLの卒業生たち›第3回前半 『やっぱり素直さが一番』 N・Eさん
2014年06月19日
木曜日
第3回前半 『やっぱり素直さが一番』 N・Eさん ( WILLの卒業生たち )
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「塾長……なんでウチだけこんなアホなん?」
夜もふけ11時をすぎていた。他の教師たちも帰途につき、私一人が塾に残っていた時突然の電話が鳴った。声の主はNさんだった。そして第一声が冒頭の言葉である。
Nさんが入塾したのは中一の春。時期を同じくしてNさんの友人も5、6名入塾していた。入塾当初からNさんと友人たちで学力の差は歴然としていた。中一の終わりにはNさんの成績は200点代の半ば。友人たちは優に400点を超えていた。ところが、二年生になってNさんが奮起した。初めて400点を超えたのである。そんな矢先の電話だった。
私「400点取っててなんでアホやねん」
Nさん「だって塾の友達みんな450点くらい取ってるもん」
私「じゃあ400点以下の子みんなアホか?」
Nさん「違うねん。ウチはみんなよりいっぱい努力してん。なのに友達は努力せえへんのにウチより良い点数やねん。だからウチはアホやねん」
私「友達みんな頑張ってへんと思うか?ほんまに頑張ってるもんは自分が頑張ってるって言わんもんなんやで」
Nさん「他の子たちも頑張ってたん?」
私「おう。頑張ってた。Nさんに負けんとこうと思ってな。お前が頑張ってるから」
Nさん「そうなんや。ちょっと安心した」
それからのNさんはそれまで以上に素直に努力した。三年になり、定期テストで450点くらいが取れるようになってきた頃のことだ。塾の中でも人一倍元気だったNさんの表情があまり冴えなくなってきていた。志望校が決まらなかったのだ。友達が次々と志望校を決めそこに向かって努力していたのに、自分にはその目標が無い事に悩んでいた。
ある日私のところへその悩みを打ち明けにきた。そして私が薦めたのがI高校。Nさんは「ウチ受けて通るの?」「今はまだ足りへんけどお前がほんとに行きたいと思ったらきっと通るよ」
当時I高校の偏差値は65。ほぼ泉陽高校と同レベル。
当時の彼女にはまだまだ学力が足りてはいなかったが私には勝算があった。彼女ならきっと学力の壁を乗り越えてくれるものだと感じていたからだ。
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