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対談録・合格者座談会載録 |
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東大文一見事合格! 菅野悠未さんとの対談
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2011年3月25日実施 聞き手:伊藤 哲(尚志学園講師) |
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東大を目指す気持ちを生んだ「ONE WEX講座」
悠未:引越し荷物が散らかっている上に,どこのお店にも品物がなくて。お茶だけですみません。 伊藤:とんでもない,どうかお構いなく。震災で阿武隈急行がストップし,移動もままならない中,明日には東京へ旅立ってしまうということで,今日急きょお訪ねしました。明日はどうやって行くの? 悠未:福島に行くだけのガソリンを残してあるので,それを使って福島駅まで。そこからバスを乗り継いで,那須塩原まで行きます。そこから新幹線に乗ります。 伊藤:朝出ると,着くのは夕方くらい? 悠未:いや,12時くらいですね。でも,新幹線よりは断然遅いです。 伊藤:それにしても,悠未さんの今回の活躍は素晴らしかった。もうこれ以上の答えはない,という大成功でしたね。 悠未:ありがとうございます。 伊藤:悠未さんは尚志に2年間通ってくれました。ここで,2年前にこの「ONE WEX講座」を立ち上げようと思い立ったきっかけについてお話ししようと思います。福島県は全国的に見ると,下から2番目・3番目の学力だと言われていますよね? 私,実は島根県松江市の出身で,12年前に福島に来ました。そういう意味ではいろいろ比較もできるというか,ちょっとよそ者的な意識で見ているところもあるかもしれません。まあ,私が福島で接する生徒たちに対して,学力に関するそのような特段の印象はないのですが,数字で見るとそれは確かに事実で,中学はまだしも高校で伸びないという傾向があるらしい。別に東大が全てではないけど,「東大って特別なものじゃないよ,敷居がそんなに高いところでもないんだよ」と分かってもらい,東大を目指しやすい雰囲気を少しでも作ることが,ここ福島で受験指導に携っている自分の責務として考えられるのかな,と思いまして。ちょうど河合塾で「東大・京大・医学部へ一直線!」というコースが始まったので,それを福島でもやれるようにして,東大などにもっとすんなり入れる風土を創ろう,という思いがあったんです。それで開始に向けて説明会やら体験授業やらを用意したところ,悠未さんはすぐに来てくれたんですね。あれはどういうきっかけだったんですか? どこでどう見かけてくれたのかな? 悠未:尚志で何回か,希望者対象の模試があったじゃないですか? あのときチラシが入っていて,そのとき塾には行ってなかったんですけど,行った方がいいのかな,と思って。チラシを見た感じも良かったので行ってみました。 伊藤:なるほど。確か3月の始めにやったんだよね,福高生がたくさん来てくれて。「それまでは塾に行ってなかった」と言っていましたが,それは「塾というところを全く経験したことがなかった」ということですか? 悠未:そうです。 伊藤:きっと必要がなかったんだよね? 悠未:いや,というより忙しくて,塾まで手が回らないかな,と思っていました。 伊藤:じゃあ,東大を意識し始めたのはどんなきっかけがあったの? 悠未:通い始めたときは全然東大とか考えてなくて,「とりあえず一個強みをつくるなら英語かな」と思って行ったんですね。そして行き始めたら,急に英語が伸びた。高2の1月ぐらいに,伊藤先生や学校の先生に東大を勧められて,考え始めたんです。 伊藤:そうだったのね。最初は志望大学に,一橋大を書いていましたね。そして,あのときの会話が大きな転機になったんだね。さっき「強みをつくる」という言い方をしていましたけど,それは東大を意識したのではなくて,あくまでも自分の知的な向上心,純粋な気持ちからだったということでいいの? 悠未:そうですね。東大だから,ということではないです。 伊藤:なるほどね。「珍しい」って言ったら変だけど,どちらかというと「大学ありき」で,そこから始める人が多いかもしれないんだよね。そうではなくて,純粋な好奇心の方が先立ったというところは,新鮮だし,あるべき姿だと思う。 悠未:でもやっぱり確かに,大学受験を意識した部分もあったけど。 「得意の英語」,決め手はリスニング力,そしてまずは単語力 伊藤:悠未さんは福島民友新聞の記事にもなった通り,「福高女子初の東大文一合格者」として,みんなの憧れの存在です。これから悠未さんの真似をして東大に入ろうという人たちがたくさんいる,ということを意識して,この対談を進めようと思います。このあいだ滝本先生(注:「ONE WEX高2英語」「ONE WEX高3東大英語」を担当した講師)とその新聞記事を見て,「彼女はインタビューで『語学の勉強に励みたい』と答えている。これだけ頑張って,これだけの英語力があって,なお伸びようとしているとは,恐れ入りました!」と言って二人で感動していました。 悠未:記者の人に聞かれたときに,「これ言おう!」と思ったんです。 伊藤:私自身は授業で一緒にやることはなかったですけど,滝本先生は「悠未さんが一番すごいのはリスニング力だ」と言っていました。 悠未:リスニング? そうですかねえ。それほどでもないと思うけど。 伊藤:いやいや。悠未さんはここで生まれ育った人なの? 悠未:いや,違います。最初は保原に住んでいて,1歳くらいのときに霊山に移り住んで,中学のときにこの家を建てて,それから保原に住んでいます。 伊藤:でも,この一角だということね。 悠未:そう,そんなには変わらないんですけど。 伊藤:つまり,留学していたわけではなくて? 悠未:全然,そういうのはないです。 伊藤:英語って,帰国子女にはかなわない,と私はいつも思っています。 悠未:ああ,分かります。 伊藤:ただ,彼らは重要な日本語の知識やらが欠け落ちていたりするので,バランス的にはオレたちも何とかなっているかな,と思うときもありますけど,やっぱり大変は大変ですよね。そんな中で,学校教育,プラス我々「塾」もあるかもしれませんが,そこでそのリスニング力をつけてきたことには何か秘訣があるんですか? 悠未:とにかく聞くことに尽きるかな,と思います。 伊藤:具体的にはどういうことをしたんですか? 悠未:最初は全然聞けなかったんですけど,市販で何個か売っているんですよ。良さそうなのを選んで,3回ぐらい聞いたり,いやもっと,最終的には10回くらい聞いたかも。 伊藤:そのテキストをぜひ教えてもらいたいのですが,いいですか? 悠未:アルクっていう会社のやつです。「キクタン」とかを出しているその会社は,結構リスニングの本を出していて,それを買って聞いていました。 伊藤:タイトルは分かりますか? 悠未:シリーズがあって,「難関国立大用」とか……。すみません,名前まではちょっと。もう引越しの荷物に入ってしまったので。 伊藤:要するに受験用ですね。それをいっぱい聞いている間に,聞き取れるようになってきたと? 悠未:でも,最終的に「行けるかな」と思ったのは,最後の1月とか2月とか。夏や秋はあんまり手応えがなかったですね。 伊藤:そこで繰り返しやったと。あとたとえば,英語の勉強は分野がいろいろありますが,特に力を入れたところはありますか? 悠未:やっぱり一番力を入れたのは単語。 伊藤:ああ,そう。単語なんだ! へえ〜。何でやりました? 悠未:そこまで単語を知っているわけでもないですけど,単語が分からないと何も始まらないから、単語は発音とかまで正確に覚えるように気をつけていました。 伊藤:それはその都度ってこと? リーダーをやりながら,出てきた単語を覚えていくと? 悠未:そうですね。知らない単語に出会ったら覚える。 伊藤:「単語帳」ではなくて? 悠未:単語帳も使ったし,そういうやり方でも覚えました。 伊藤:どっちがウェイトとして大事なのかな? 悠未:私は単語帳派ですけど。 伊藤:ああ,そうなの? ベースとなる単語帳がある? それは何ですか? 悠未:普通に学校で渡された,「音単」です。 伊藤:それは福高生がみんな持っているんですか? 悠未:うちの学年は持っているけど,下の学年は違うかな。「デュオ」を持ってました。 伊藤:ああ,「デュオ」ね。みなさんは「音単」だったと。それはおすすめできる感じですか? 悠未:私は好きでした。 伊藤:どういうところがよかったですか? 悠未:見やすかったのと,勉強の動機付けなんですけど,見た目がかわいかったんですね。だから取り組みやすかった。 伊藤:具体的にはどういうところがかわいかったんですか? 悠未:表紙が白地に水色で,うまい感じに描いてあったんですよ。中を開くと結構ピンクっぽくて。あれは女子から結構好評だったんです。 伊藤:なるほど,デザインと色合いね。 悠未:あんまり関係ないですね。(笑) 伊藤:いやいや,もし「何でもおんなじだ」ってなるとしたら,実はそういうところが重要かもしれませんね。どういうふうに勉強を進めたんですか? 悠未:基本は学校の豆テストに合わせてやったり,あとは何回も見たり。 伊藤:豆テストはどういう頻度で? 悠未:豆テストは週1回。 伊藤:何個ずつ? 悠未:60個ずつとかやっていたかな。その学んだ単語で読めるような文章がちょうど入っていたから,そういうところもいいな,と思って使っていました。 伊藤:「長文でためしてみよう」みたいなコーナーがあるのですね。見てみたいですね。 悠未:ちょっと,もう片付けてしまって。 伊藤:ああ,いいですよ,そのうちどこかで。いつ頃やりました? 3年間通して? 悠未:それは大体1年生の終わりぐらいに渡されて,2年生の間は「2回目」とか言って,何回かやっていました。それでわからない単語が出てきたら,リーディングの中で覚える,みたいな。 伊藤:「音単」をやることで,大体のものはクリアした感じがする? 悠未:はい,基本的なものは。 伊藤:それでも出てこなかったものは,文章の中で覚えていくということね。 「ONE WEX高2英語」でメキメキ上達 伊藤:悠未さんは2年生で尚志に来て,「ONE WEX高2英語」を一年間やってくれましたけども,悠未さんにはあのテキストと進め方はどういうふうに映りましたか? 悠未:すごくいいな,と思って受けていました。毎週楽しみながら。 伊藤:いいというのは,具体的にどういうところですか? 一番惹かれたのは? 悠未:レベルですね。やっぱりある程度時間をかけて自習して行かないと,結構難しかったんですよ。「まだまだ頑張らないと!」と思わせてくれるような内容だったから,よかったのかなと思います。 伊藤:確か「高2英語」は,前半90分はテキストを進めて,後半90分はその場で渡された問題をやりますよね。たとえば,前半90分の授業準備のために,どれくらい時間がかかりましたか? 悠未:ちゃんとやると1時間近くかかりましたね。時間がないときは30分くらい。 伊藤:その辺のバランスが悠未さんは上手なんだね。やりすぎると時間がかかっちゃう中で,執着しすぎず,時間をかけすぎずに前を向いてこなしていくのが上手なんだと思いますね。文章の内容としてはどうでしたか? 悠未:難しかったですね。読めても意味がつかめなかったり,直訳はできるけど何を言っているのか分からなかったり。 伊藤:そういうときには,「多分こうだろう」というのをつかんでいく? 悠未:あとは授業を聞いて,「そうなんだ」と分かっていく。 伊藤:授業の場で解決できていくということね。 悠未:1回1回の授業で新しく知ることがすごく多かったから,楽しかったですね。 伊藤:後半のテストは? 30分で解いて,60分解説だっけ? 悠未:60分くらいは解いていたような気がします。毎回提出して,次の週に返ってくる。 伊藤:その場で解説も聞いて,自己採点をする? 悠未:そうですね。先生が,みんなが間違いそうなところを解説してくれました。 伊藤:その日悩んだところは,一通り解決して帰ると? 悠未:そうですね。「わからないところはありますか」とも聞かれるので,そのときに聞きました。 伊藤:たまに「テストの週」がありましたね? あの問題は,それまで積み上げてきたものがうまく活かされたかな? 悠未:難しかったけど,ちょっとずつやってきたから,力がついてきたな,と感じながらやっていました。 伊藤:河合のテキストって,そういうところがすごいでしょ? あれって,本当によくできていて,前の単元で出たところがうまく出てくるように作ってあるのね。あれはなかなか大したものです。 悠未:思います。分かります。 伊藤:逆に言うと,悠未さんはちゃんと勉強していたから,それに気づけたんだと思います。 リスニングは3年生からでも間に合う 伊藤:高3になって「東大英語」が始まりましたね。「高2英語」にもリスニングはあったんだっけ? 悠未:ディクテーションは少しありました。 伊藤:本格的には3年になってからかい? 悠未:そうですね。2年のときはあんまりありませんでした。 伊藤:それは遅いとは思わなかった? 悠未:いや,思わなかったです。 伊藤:リスニングは,3年になってからでも間に合うのかな? 悠未:間に合うと思います。私は全然トレーニングしてなかったから,3年になってからやりました。 伊藤:結局リスニングは,単語とかいろんなものが身についていればなんとかなる,という考えですか? 悠未:聞くときの精神状態も関わっているかもしれません。一回焦ると,その後全部聞けなくなる。 伊藤:一度「あー,わかんない」と思うと,諦めちゃうことがあるかもしれないね。 悠未:私は結構,模試を受けたときの気持ちで点数が変わってた。でも,聞ける人はいつも聞けるんだろうから,やっぱり「総合的な力」の問題ですかね。 伊藤:心の中で諦めちゃうのかな? 悠未:諦めはしなかったですけど,「あれっ?」みたいな。 伊藤:何か引っかかると,そこから先が聞こえなくなるってことですかね? 悠未:そうですね。一瞬思考が止まって,「あっ,あっ」みたいな。 伊藤:東大のリスニングは,大学で英語の講義を受けたり,討議したりすることを想定して作ってありますよね。まさに講義って,あんな感じです。 悠未:講義の問題が最初に来ますね。 伊藤:あれでも,ある程度ゆっくりしゃべってくれているの。留学でもすれば,もっと速い。まだ聞き取れるだけましかな,と思います。2回しゃべってくれるしね。そんなことは実際の世の中ではないわけで。 悠未:1回で聞けって言われたら,入試ではちょっと厳しいですね。じゃあ,「このくらいは聞けて入学してきてほしい」という思いが,大学側にあるということですか? 伊藤:間違いなくそうだと思います。実は私がちょうど在学していたときに,リスニングテストができるように駒場全体を工事していたんです。 悠未:そうなんですか。先生たちのころは(リスニングが)なかったんだ。 伊藤:そうなんです,当時はなくて。多分卒業する年から,文科だけ始まったんじゃないかな。試験会場が文科は駒場で理科は本郷というのは,今も変わってないよね。本郷の工事が後だったので,理科のリスニング試験開始は何年か遅れてるんです。そのころから,彼らはリスニングに対する問題意識を持っていたんですね。 「東大英語」のいただき方は「前から」 伊藤:さて,「ONE WEX東大英語」は,テキストとしてはすごく薄くて,ちょっと作文だけやっていく感じでしたよね。あの予習はどういうふうにやるんですか? 悠未:最初は何も見ないで日本語を英語に訳して,後から答えを見て「ああ,こういう書き方の方が自然なんだな」って。それを逐一やっていきました。 伊藤:20〜30分? そんなにかかってない? 悠未:30分くらいはかかったかな。 伊藤:それを踏まえてテストを受けるのがリスニングを含めて70分。その後110分解説を聞く,という形態でしたね。東大の英語はああいう独特の形式ですけど,悠未さんにとって得意・苦手はある? 悠未:ありますね。読み物だったら,なじみのある題材かどうかで結構変わってくるし,英作文でチャチャチャって書 くといっぱい減点されたりしますし。なんとも言えないですね。 伊藤:要は中身次第だということですね。得点に結びつくかどうかとは多少違うのかもしれませんが。東大の問題は,どういう順番で解いていましたか? 悠未:私はやっぱり前から順に解いていく方がしっくりきます。 伊藤:そうか,要約から始めて。 悠未:1回だけ模試で,要約・並べ替え・段落補充を最後に持ってきたことがあったんですけど,時間がなくなっちゃって,それからは順番に解いていました。要約ってチャチャチャと出来ないんですよね。結構時間がかかる。読むのはまあまあ,それなりのスピードで終わるんですけど,まとめるのは難しい。 伊藤:インスピレーションでパッとやると,意外と失敗しますよね。あれ,不思議だね。きちんと読まないと。 悠未:書いてある内容も難しいから。 伊藤:難しいところを「大したことないだろう」と読み飛ばすと,そこが大事なところだったりするんです。本当に,昔からくせ者ですね。英語に関してはリスニングも入ってきて,我々のころから比べれば,分量は明らかに多くなっていると思いますね。だから正直,みなさんよくやっているなぁと思います。120分で,あのリスニングが間に入るわけでしょ? リスニングが開始後45分からですよね? その後30分くらいは丸々(ほかに時間を)使えないわけだから。 悠未:その前に問題に目を通しておかなきゃいけないし。 伊藤:それは絶対にそう。あれは大事ですよね。 悠未:それで結構点数が変わるから,やっぱりリスニングに結構時間を取られますね。後半は1時間弱で全部仕上げなきゃならないし。 伊藤:本当にその通りだね。文字通り,チャチャチャとやらないと。でも,時間配分としては,前から順番に順調に解いていくと,ちょうどいいタイミングで3番のリスニングになるということね。 悠未:そうです。 伊藤:そうすると,1番から順番に解いていく悠未さんの作戦は,きっと出題者の意図どおりなのでしょうね。ちなみに,4番のAはどうでしたか? 悠未:文法上取り除くべき単語を指摘する問題ですよね。あれは難しい! 本番は(5問中)3つ正解だったかな。終わった後で1つ分かったんですけど。 伊藤:なるほど,大したものです。5番の長文がまた例年,スケールの大きい,いい問題を出しますよね。短編小説がまるごと出たりする。設問も美しい。まさに「東大らしさ」を感じます。解くたびに惚れますね。 悠未:今年の問題はどうでしたか? 伊藤:……ゴメン,まだ解いてません。(苦笑) 数学は「何とか突破」 伊藤:では数学の話に移りましょう。悠未さんは高3になって,長谷川先生の「ONE WEX東大文類数学」を受けてくれました。先生がね,二次試験直後にこれをファックスで送ってきたんですよ。読みますか? 合格の知らせをもらった後,悠未さんにいろいろ電話で聞いたじゃない? あの電話は,このファックスに基づいています。そして,悠未さんが答えた内容を知らせたら,今度はこのメールが来ました。 悠未:(熟読)……ええっ,私,去年よりもはるかに難しかった気がするんですけど。すごく期待を裏切ったんだ……。そうですね。たぶん数学はヤバかったと思う。(80点満点で)40点行かなかったと思う。 伊藤:まあね,きっといろんなところでバランスが取れるから,あんまり心配はないですけど。合格体験記に,「苦手」とか,「得意とまではいかなかった」とか書いていましたけど,基本的には好きなんでしょ? 悠未:数学ですか? 嫌いではないですね。「目にするのもいやだ」ってほどではない。 伊藤:国公立は毛嫌いしていられない世界だし,逆に「一通りバランスを取っていく」人たちのための大学なわけです。分野別に「苦手」はあるの? 「これが出るといやだな」というのは何? 悠未:「軌跡」と「整数問題」,あと「図形」とか…。全部になっちゃうんですけど。(笑) 伊藤:そんなことない。「軌跡」って意外性がありますよね。「ここをこうつないでいったら,こんなものが出来るんだ」という,イメージと違うものができてくる面白さがあるなあと。まあ印象の問題だけどね。「整数問題」はどの辺が? 悠未:ちょっとひらめきが必要じゃないですか。経験とか。そういう,経験ないのが出るともう万歳…。 伊藤:いやいや,そんな。「数列」は大丈夫なの? 悠未:いや,「数列」もあんまり。数学は1年生の時に基本があんまりできてなかったから,それでずっと苦労しました。英語もそうだと思うんですけど,最初を固めないとやっぱりつらいです。 伊藤:それは何が原因なのかな? もしかしたら,これはよく聞く話だけど,福高って一番大事なところを,速く進みすぎるのかもしれませんね。そういうことはないのかな? 悠未:そうですね,一回のテストの範囲が超膨大で,「あっさり」のまま終わっちゃう,ということがあるかもしれません。 伊藤:確かに「一通り進めていって,また戻る」という意味はあるとは思うんだけどね。「4ステップス」とかやったんですよね? あれは,学校ではどういうふうに進めるんですか? 悠未:学校ではもう「個人におまかせ」という感じです。「テストではここからここまで出るから,やっておいてね」みたいな。 伊藤:ああ,自分でただひたすら進める? 悠未:うん,だから数学がすごく得意な人は,1年のうちから�掘Γ辰亮遡笋鮴萓犬砲靴討い燭蝓い發Δ匹鵑匹鵑笋辰討泙靴燭諭� 伊藤:それはそれで一つのやり方なのかなあ。きっと,それこそ塾とかでやっている人がいるんですね。確かに,多少早期に学習する方が,習熟しやすいという側面はあるのかもしれませんね。ただ,きちんと身に付けなきゃならないところで空回りすると,本当に大変だよね。 悠未:習った時点で理解が曖昧だった分野は,受験期まで苦手が克服できなかったです。「微分・積分」は(基本を)わりときっちりやったから,そんなに複雑じゃないということもあるんですけど,最後までわりと大丈夫でした。 伊藤:数�供�Bの微積は、「絶対に変なことは聞いてこないはずだ」とある程度決め付けられますよね。 悠未:とりあえず微分積分してみようかな,みたいな。でも数学は,本番ちょっとパニックになっちゃいましたね。 伊藤:でも1番ができて,2番が半分できたわけだから。でも3番と4番が全くできないと,ちょっとつらいところはあるかもしれないね。どうしても,「一体どっちに宝の山があるんだろう?」みたいになっちゃうよね。2問完答すれば,気持ちは全然ちがうんですけどね。まあ,それはちゃんとカバーしたということで,何か後輩たちへ,「数学はこうしたらいいよ」みたいなことは? 悠未:いや,数学はアドバイスできることはないです。最後までだめだったから。 伊藤:そんなことないよ。センターはそれなりに取ったわけでしょ? 悠未:まあセンターは二次とは違うので,それなりには取りました。 伊藤:我々のころの共通一次と今のセンターとの一番の違いは,たぶん数学だと思うんですよね。我々のころって,200点が当たり前だったんだよね。ある程度易しくて,落とせなかったの。 悠未:じゃあ,満点がごろごろ…? 伊藤:そうそう,受験者の1割くらいは満点。数学は足して何点でしたか? 悠未:全然満点じゃないですよ。190点。 伊藤:それだけ取れるんだから立派なもんだよ。「数学大得意」なはずの,福島県立医科大医学部に行った人たちに聞いても,「200点取った」という人に,私は今のところ一人も出会っていません。198点っていう人は一人二人いるけど。そんなものらしい。 悠未:なんか,どっかで落としちゃうんですよね。 伊藤:そこはやっぱり,今はだいぶ難しくなってるんだなと思いますね。ある意味,他の教科とのバランスが取れてきたのかもしれませんね。数学はこのくらいにしますか。 地歴は「やっと得た手応え」で大成功 悠未:社会が一番大変だったかもしれないです。 伊藤:「二次対策」という意味で? 悠未:地歴が2科目だったし,センターでは現社もあるし。そこが一番きつかったです。 伊藤:来年から,センターで地歴が2つ取れるようになりますけどね。センターではどっちをやったんですか? 悠未:世界史と現社。日本史は二次だけ。 伊藤:どっちかというと世界史が得意だからそうしたんだね。東大の歴史攻略には何が必要だと思う? 悠未:やっぱり基本事項じゃないですか? 教科書の内容をちゃんと理解して覚えるという。 伊藤:どういうふうにそれを克服しました? 悠未:本当に当たり前なんですけど,定期テストとか校内模試に向けて何回かやり直して,その上で論述の練習もちょっとやるみたいな。 伊藤:「何回もやり直して」というのが,簡単なようですごく難しいんですが,教科書が一番大事? 悠未:教科書と,あと用語集とか。 伊藤:日本史も世界史も用語集? 悠未:日本史は用語集をあんまり使わなかったですけど,世界史は用語集でやりました。 伊藤:用語集だよね。用語集をマスターすれば,世界史はほぼなんとかなりますよね。 悠未:でも「頻度3」以下になると,ちょっと覚えきれなかったです。4か5くらいまででした。 伊藤:「教科書を頭に入れる」というのは,どういうふうにやりましたか? 悠未:あんまり「覚える」ことを意識しないで,普通に読んでいく感じ。でも世界史って,ある程度時代が進まないと全体像が見えないから,最初はちょっと意味が分かんなかったですけど,全部終わってみると「あ,こういう感じなんだな」っていうのが分かって,その後で教科書を読むと納得できました。 伊藤:授業が全部終わったのはいつごろ? 悠未:世界史は全部終わらなかったですけどね。現代史は,「全然手をつけない」というわけではないですけど,モサデグとか,頻出のやつだけ。細かいのはあんまりやらなかったです。 伊藤:今はどれぐらいまでやるの? 1990年くらいまで? 悠未:2000年のも入っていましたよ。そこは多分入試にもあんまり出ない感じですけど。 伊藤:そうすると授業はどの辺まで? 悠未:ちゃんとノートを作ったのは第二次世界大戦ぐらいまで。あとは,問題に出てきたら先生が解説してくれる。 伊藤:まあ,現社や政経で触れるからね。 悠未:そうなんですよね,結構かぶってるから大丈夫。でも,公立から東大を目指すと,地歴が一番大変ですよね。日本史は世界史の半分の単位でやったから。 伊藤:ああ,そうなんだ。 悠未:あと現社は自学で,みたいな感じだったんですよ。 伊藤:えっ,どういうカリキュラムだったの? 悠未:世界史が4単位だったんですよ。週4回。本当はみんな,別の2時間で現社とかをやるんですけど,東大を目指す人はその代わりに日本史か地理を入れて,現社は自分でやってください,って感じでした。 伊藤:現社は1年生のときにやったんだっけ? 悠未:そうです,途中までは。 伊藤:それなら,まあ何とかなるかな? 世界史は3年生から始めたの? 悠未:いや,世界史と日本史をどっちも2年生から始めて。みんなとりあえずどっちもやるんですけど。 伊藤:2年生のときは3時間ずつ? 悠未:そうです。私はそのとき,東大を全然考えてなかったから,普通に世界史・日本史だったんですけど,そのときから東大に決めていた人は,世界史と地理でやっていました。 伊藤:ハハハ,神田先生(注:福高進路指導主事)のおすすめですね? 悠未:そうです。(笑)福高では,文系には地理を勧めているんです。 伊藤:ねー,なんだかねぇ。神田先生にこのあいだお会いして,そのことを繰り返し仰っていたので,「ご自身が地理だからなのかなあ」とか思いながら聞いていました。でも,(歴史2つでも)全然大丈夫だよね? 悠未:どうなんだろう? 地理,見たことないから。 伊藤:つらい部分ももちろんあるだろうけど,でも私に言わせれば,歴史を知ってほしい。 悠未:やっぱり日本史をやっていた方が地理よりは,偏見になっちゃうけど,役立つと思います。 伊藤:歴史を知っておきたいですよね,絶対。歴史を2つやらないで高校を出たとは言ってほしくないと,私個人的には思います。 悠未:関係ないんですけど,うちのお母さんも世界史だけだったと言っていて,テレビとかを見ていても,やっぱり日本史には疎いんですよ。だから「やっぱり高校でやらないとだめだね」って。 伊藤:世界史はやっぱり詳しい? 悠未:詳しくはないです。「もう忘れた」と言っています。 伊藤:私もそうです。でも,歴史を知ると物を見る目が変わりますよね。旅行したら間違いなく感じると思うの。「これ,あそこで見たあれだ」と,頭の中で確実に結びつくからね。だから,歴史を忘れないうちに,世界をある程度めぐるのがおすすめですね。別に神田先生を批判するわけでは全然ないんですが。地理も面白い学問だと思います。全然フォローになってない?(笑)確かに覚える負担は少ないかもしれませんね。 悠未:それは友達の話を聞いてちょっと思いました。結構,小・中学校の内容とかぶっているみたいで。 伊藤:論述はどういうふうに進めたんだっけ? 悠未:私は基本事項を覚えるのが遅かったので,ちゃんと論述の練習をし始めたのはセンターが終わってからです。それまでは自己流でやっていたんですけど,全然点数が伸びなくて。でもそのあと先生に出すようになったら,本番でも手応え的にうまくいったから,数学の失敗も多分カバーできたんだと思います。 伊藤:すごいね。立派です。本番でなかなかそれはできないと思う。 悠未:本当に,本番が一番よく書けた。 伊藤:そこが歴史に救われたというか,運を引いてきたということでしょう。私は数学に救われたと,ずっと思っているんです。というのは,世界史がメタメタだったので。 悠未:そうなんですか。やっぱり,そういうことがありますよね。 伊藤:今でも思い出しますけど,当時は一日目の午前中が国語,午後が数学。二日目の午前中が地歴で,午後が英語。 悠未:変わってないです。 伊藤:そう。二日目のお昼12時に地歴が終わって,英語が始まるまでの2時間,ものすごく気が重くてね。全然できなかったなあ,と思って,駒場のいちょう並木をトボトボとね,つらい気持ちで歩いていましたね。でも英語は手応えがあったので,これでまあなんとかなったかな,とか思いましたけどね。世界史はその意味で,私はずっと悔やんでいるんです。 悠未:地歴はたぶん,昔の方が問題難しいですよね? 「20何年分の世界史」とか売っているじゃないですか。1980年代になると,それ以後より難しい気がします。 伊藤:問題文を見て,ストーリーがパーンと出てくるかどうかですよね。「あれ書いて,あれ書いて,あれ書けばいい」っていうのが、パーンと出てくれば,サッと書ける。そこに尽きますよね,実は。日本史はまたちょっと違うのかな? 1つ1つがもうちょっと短めですものね? 悠未:私的には,世界史より日本史の方が難しいと思います。 伊藤:「細かい知識が要求される」ということなんだろうね。世界史は,たぶん教科書と用語集でほぼ行ける。それを「浅い」と言ったら不遜だけど。 悠未:そうですね,覚えていれば書ける。日本史は独特な視点から来るから。 伊藤:そうだよね,きっとそこだよね。史料集も読み込まなきゃいけないし,用語集だけでは太刀打ちできない何かがありますよね。 悠未:何で同じ地歴なのにこんなに違うんだろうと,最初は思っていました。 伊藤:たとえば,同じ歴史でも政治史じゃなくて経済史だったり,文化史だったり,いろんなものが重層的にあるからなのか,不思議に習熟しづらいですよね。でも,日本史は結構極める人がいるので。 悠未:そうですよね,得意な人は得意ですよね。(60点満点で)50点台とか。 伊藤:教科書・用語集とか一般的なもの以外に,何か使ったものはありますか? 悠未:でもやっぱり東大は,教科書をちゃんと理解して,太字じゃない文を覚えるといいって聞いたから,それを信じてちゃんと教科書を読んだら,論述も書けるようになってきましたね。一回論述に取り組んでから教科書を読むと,前と違うところに目が行くっていうか。 伊藤:本当にその通りだよね。ストーリーが必要なんだよね。 悠未:前は部分部分で覚えていたのが,つながってくる。 伊藤:それをつかむのには,教科書が一番かもしれない。あと参考書とか,他に読んだものはありますか? 悠未:あとは,単元別にまとまっているようなものを読んだりしました。 伊藤:それは具体的には何ですか? 悠未:通信教育の…。 伊藤:Z会? 悠未:Z会ではなくて,ベネッセです。 伊藤:ベネッセのまとめた何かがあったの? 悠未:そう,まとまったのがあって。 伊藤:私はZ会でした。当時は塾などなかった分,Z会ばっかり一所懸命やっていました。 悠未:Z会は東大に特化してますものね。 伊藤:あの世界がなかったら、私はたぶん(東大に)届かなかっただろうな,と思いますね。きっとみんな,何かきっかけがあるんですよ。その意味で,「ONE WEX」が悠未さんにとって役立ったというのは何よりです。 悠未:それは本当に。 伊藤:当時のことを思い出しながら話しますけど,日本史ってね,Z会を解いていると,ほんとにどこにも載ってないようなことが出てくるんですよ。これを解決するにはもう歴史書を読むしかないと思って,たまたま私の家に『岩波講座・日本歴史』が揃っていたので,それを結構読みました。 悠未:そうですよね,知らないことを聞かれたりしますよね。 伊藤:そのときに気づいたのは,教科書の一文の記述には,実はその背景に一冊の本があるくらい,歴史の世界は奥深いものだということ。だから日本史は,そうした奥深い世界をある程度見ておくのが役に立つのかな,という気がします。 悠未:山川の教科書には「別冊」で詳しいのが出ているらしくて,本番前に1回それを読もうと思ったんですけど,ちょっと時間がなくて読めなかったです。 伊藤:あ,『日本史』の別冊があるの? 悠未:よく分からないですけど,「『世界史』ではもうちょっと詳しく書いてあるのがあるよ」と大河内先生が言っていて,日本史もあるはずだから,読もうと思ったんです。 伊藤:本屋さんで見たことがあるような気がします。そのようにして,「背景となる何か」に少しでも触れておくことが,日本史攻略には大事かもしれないですね。 大学で,そして大学を出て,何をしたいか 伊藤:さて,このあたりで教科を離れ,東大生を目の前にして,これからやりたいこと,自分はこういう風になりたいとか,その辺のところをお話ししてください。高校時代にあたためていた思いでも,なんでもいいです。 悠未:実現できるかどうかはわからないですけど,法学部ではありますが「語学をマスターしたい」というのはありますね。あとはやっぱり,なれれば弁護士とか。 伊藤:「理想の弁護士」じゃないけど,それがいいと思ったきっかけはある? 悠未:お父さんの話を聞いていたからかな。お父さんが「法律の道がいいんじゃないか」って。お父さんも法学部だったから。今はあんまり生かしてないんですけど。 伊藤:いやいや,お父さんは行政書士だよね。「法律を勉強したら?」という勧めが,わりと小さいころからあったということ? 悠未:中学ぐらいまでは外語大に行こうと思っていて、法学部にしようと思ったのは高校に入ってからです。 伊藤:どんなふうに勧められたんですか? 「法律はこういうところがすてきなんだよ」みたいな? 悠未:すごく主観的な話なんですけど,うちのお父さんは裁判を見ていて「たまにおかしい判決がある。なんでこんな結果になるのか,と異議を唱えられる人がいるといい」と言っています。 伊藤:そうなんだ。法律と国民感情とはいろいろ違うんでしょうね。私はド素人で,あんまり言ってもしょうがないんだけど,法律は本来,みんなの理想が総意となって表れたものであるべきなんですけど,きっとそうなっていない部分があるから,そういう議論が出てくるんでしょうね。そういう点では,法律自体を世の中に合うものに変えていくには政治家の力が要る,という話になってくるかもしれませんね。 悠未:あと,法律を知っておくと,普通に生活しているときや契約のときにも,知識があるのとないのとでは違うから,と言われました。 伊藤:きっかけとしてはよくわかりました。きっとね,もし大学に入って,授業と家の往復だけという生活をすると,もしかしたらいろんな人との出会いはあまりないかもしれませんけど,全学部の人たちが集うようなサークルに入れば,いろんな情報が入ってくるようになるのね。私の周りでは,「何でおまえ,18歳でそんな決断したんだよ?」という話が結構飛び交っていました。東大という学校はご承知のとおり,いったん全てをリセットしてやりたいことを考え直すことができるので,さっき言ってくれたように法学部に必ずしも行く必要はないわけで,本当におもしろいことができそうなら,違うことをやってもいいわけですね。現にそういう人も結構いる。まあ文一の人は法学部に行く人が圧倒的に多いんだけど,そうでない道も選べるわけだからね。そこが東大の魅力であることは間違いないです。それで,たとえば,ちっちゃいころは科学とか歴史とかに興味が湧くはずだっていうのね,多くの人は。だから,「なんで法律やりたいんだよ?」と突っ込まれることがあるかもしれない。そういうときに,本当にしっかりとした考えを持って答えられる人はいったいどれだけいるのかな,と思います。逆に言えば,法学は大学に入っていろいろ勉強する中で,俄然面白くなってくる学問なのかもしれない。あの,これ私のインタビューじゃないので,悠未さんにいっぱいしゃべってもらわなきゃいけないんですけど(笑)。 悠未:いや,すごくためになります!(笑) 伊藤:その意味で,サークル活動はぜひおすすめしたいですね。何か考えていますか? 悠未:何があるのかよくわからないですけど,結構みんな入るんですか? 伊藤:まあ,全員入るわけじゃないですけど……。 悠未:半分くらい? 伊藤:いや,もっと入るんじゃないかな。 悠未:えっ,そんなに? 伊藤:たとえば野球部のように泊り込みで,授業はその合間に受けるような人たちも確かにいますけど,ほとんどのサークルは週一回とか,そんなに毎日毎日やっているものばかりではないので。掛け持ちもあったり、他大学とのつながりもあったり。そうか,まだそういう情報が入手できてないんだね? 悠未:ちょっとはわかるんですけど,具体的なものはまだないです。 伊藤:大学には4月2日に行くんだっけ? 悠未:手続きは4月2日ですが,その前にオリエンテーションが3月31日にあります。 伊藤:多分オリエンテーションに行くときに,てぐすね引いて通り道を占拠していろんなものが配られるので,そこで得た情報を考えていくことになると思います。 「美点」は「クロールしかできないこと」 伊藤:やや脱線しますけど,悠未さんって苦手なことはある? 悠未:ええ,ありますよ。 伊藤:それは何? 悠未:教科で,ですか? 伊藤:なんでもいいよ。 悠未:水泳はあんまりできないですね。クロールしかできないです。 伊藤:クロールができれば立派かもしれませんけど。 悠未:でもみんなは平泳ぎとかバタフライとか背泳ぎとかできるんですけど,そういうプラスアルファは何もできない。 伊藤:一見完璧に見える人は,そういう弱点が美点になりますから,あまり心配しないで。あとは,それくらい? 悠未:理科はあんまり得意じゃなかったですね。 伊藤:センターは何で受けたの? 悠未:生物です。 伊藤:生物を取る人,多いよね。私は生物が一番苦手なんです。全ての学問の中で,一番できないのが生物。中でも動植物が全くだめなの。アブラナがどうのこうのとか,全然頭に入らないの。 悠未:覚えようとしても覚えられない,と。 伊藤:何だかね。そんなことを言ってちゃいけないんだけどね。逆に物理とかの方がとっつきやすい。 悠未:いや,それはすごいですよ。「物理ができる人はコンピューター」と言いますもん。 伊藤:そんなことはないけど,まだ理解できるっていうか。そんなに大したことはやってないけど。だから生き物系が苦手で,ずっと悩まされてたんです。 悠未:確かに理科は,分野で興味が分かれるかもしれないですね。生物は細胞とか,自分の体に関わるから,その部分はまだよかった。 伊藤:自分の体との対話で,ある程度カバーできるということ? 悠未:化学とか物理は,あんまりやりたいとは思わなかったですね。でも文系は生物か地学しか選べなかったんです。 伊藤:えっ,そうなの? それは寂しいね。 悠未:1年のときに化学はみんなやるんですけど,2年で文理に分かれると,履修や先生の関係で,生物か地学しか受けられなくなるんです。だから物理は全く触れないまま終わっちゃいました。 伊藤:「理科総合」もやらないんだ? 悠未:上の学年はやっていたけど,学年によって違うんですよね。 コツコツ頑張れば,東大は「届く目標」 伊藤:あと,ぜひしゃべっていただきたいのが「後輩たちへのメッセージ」。 悠未:そんな偉そうなことを言える分際じゃないんですけど,「あまり思いつめないで,普通にコツコツ頑張れば,届く目標だな」と思ったので,それを伝えたいです。私も入れたのは奇跡の部分が大きいから。模試を気にしないでコツコツやってきた方が,本番を落ち着いて迎えられるような気がします。 伊藤:なるほど,模試に一喜一憂しすぎないのが秘訣ですね。 悠未:模試は参考になるし、ずっとEの人よりはAの人の方が入る確率が高いのは事実でしょうけど,本番は何が起こるか分からないので,いい意味でリラックスして受けた方が,いい結果が出ると思います。 伊藤:ありがとうございます。あとは,「東大を目指す人の裾野を広げる」というこの講座の目的に沿って話しますと,東大ってそんなに特別なものじゃないですよね? 悠未:受験会場に行って思ったのは,地方から出てきた人は分かるんですよ,なんとなく。私なんかも,「えっ,東大?」って感じなんですけど,都心の人は,地元だから当たり前なのかもしれないけど,普通に東大を受けているんですよ。そういう意識の差があるのかな,と思います。 伊藤:まあ,東京にはなんといってもたくさんの人がいるからね。隣に住んでいても入らない人ももちろんいるわけで,誰でも行ける所ではもちろんないんだけど,でもそんなに特別なところじゃないですよね。 悠未:最初は「文一なんて超エリートなのかな」と思いつつ勉強し始めたんですけど,コツコツやっていけば,1番では入れなくても400人の中には入れる可能性がある。 伊藤:ぜひ目指す人が増えてほしいですよね。福高から今年現役が5人合格? 10人入ってもいいよね,15人入ってもいいよね? でも目指していないのかな? 悠未さんの周りの人たちはどうでしたか? 悠未:何人が目指したかは分からなかったですけど,今年は同級生12人が受験しました。 伊藤:ああ,そうなんだ。じゃあ,受からなかった人の方が多いってことね? 悠未:直前で志望校を下げた人も何人かいるから,そういう人も入れれば,もっといっぱい目指していたことになります。 伊藤:民友新聞の記事を見ると,浪人で受かった人が1人。誰か分かる? 悠未:浪人生は分からないです。 伊藤:そうだよね。1つ上か2つ上か,もっと上か。でも,浪人して受かるという保証はないんだよね。難しいところだね。 悠未:私も前期試験が終わった瞬間,「だめだったら,もうしょうがない」と思いました。 伊藤:もう1年やろうとは思わなかった? 悠未:思わなかったです。この1年は繰り返したくないと。 伊藤:そうか。その話に関連して,悠未さんの門出に際して私が最後にお話ししたいのは,多分東大が相当に特殊な環境である点は何かというと,(もしかしたらそうじゃないかもしれませんが)「全員が第一志望である」ということ。こんな環境は,日本中どの大学にもない。同級生たちに会うと分かるけど,「達成感の塊」です。これがある意味,罠でもあると,私は今になって思います。つまり,貪欲さが若干失われることがあるんじゃないかな,と感じています。 悠未:ふうん,やっぱりそこで終わっちゃう……。 伊藤:そう。だから悠未さんには,東大をちゃんと通過点にして,伸びていってほしいと思いますね。 悠未:でもみんな,入ってからも頑張るんですよね? 伊藤:もちろん頑張る。腐ってしまう人はあまりいませんが,たとえば慶応卒の人と就職して一緒になった時,相手から「自分の落ちた大学だ」と思いながら常に接しつづけられる,というようなことがあるのね。 悠未:慶応に行く人は,そういう人が多い? 伊藤:ある程度ね。そこを口には出さないけど,一緒に仕事していて,ライバル意識が露骨に見えることもある。もちろん,こちらも負けずにやるしかないんだけど,たまたま運よく受かったために,4年間達成感に酔いしれた人と,惜しくも受からず,悔しさをバネに4年間努力した人とで,社会に出た時の勢いは違ってくる場合があります。そこで今言った,「大学全体がものすごい達成感の塊」だということに,ちょっと注意しながら勉強を進めていく必要があるかな,と感じました。頭の片隅に入れておいていただくといいと思います。もちろん悠未さんは,私とは違う印象を大学やら同級生やらに持つだろうし,自分の感じたことをぜひ大事にして進んでいってくれればと思います。長時間ありがとうございました。 あ と が き 東大生になる人のナマの声はいかがでしたでしょうか? 私は,話しながら3つのことを感じました。1つ目は,彼女があくまで自然体,かつ無欲であるということ。彼女のように,持てる力を遺憾なく発揮するには,仏教の「無の境地」にも通ずる「人間性の構築」が重要だと感じました。2つ目は,アカデミックな家庭環境があること。お父様から法学部の魅力を聞いたり,お母様と歴史の話ができたりする環境から,ギスギスしながら学問に取り組むのではなく,楽しみとして捉えられる土壌が形成されていました。3つ目は,(ここが最も驚愕した点ですが)彼女が受験に必要なことを,本当に必要なだけきちんとこなした,ということ。現役生なら,もっと行き当たりばったりで荒削りの受験となるのが常ですが,彼女の場合はそこが恐ろしいほどにコントロールされているという印象を受けました。以上,お読みいただいた方から共感の声や,反論などがお聞きできれば幸いです。 彼女の話から,私の当初想像以上に,東大を目指している高校生は多いことが分かりました。「そういう人たちのお手伝いがもっとできる尚志でありたい!」と,改めて思いました。(伊藤) |
東北大合格者等による座談会
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2010年3月31日実施 |
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座談会「尚志で伸ばす合格力」
2010年(平成22年)3月31日 10:00 – 12:00 尚志学園専修学校 第2校舎2階教室 パネリスト 合格者 八巻健有(県立福島高卒)尚志学園大学受験科を経て、東北大学理学部生物系合格 三浦梨奈(県立橘高卒) 尚志学園大学受験科を経て、東北大学文学部合格 A君(県立橘高3) 尚志の個別指導で学び、埼玉大学教養学部合格 Bさん(県立福島高3)尚志の個別指導で学び、宮城教育大学教育学部(初等美術)合格 講師 滝本通彦(英語) 尚志学園講師(大学受験科・ONE WEX講座担当) 森本裕見子(数学)尚志学園講師(大学受験科・ONE WEX講座担当) 新田夢鷹(県立医大医学部3年) 尚志の個別指導講師(A君担当) 山本幾子(県立医大医学部3年) 尚志の個別指導講師(Bさん担当) 質問者 Cさん(県立福島高3) D君 (県立福島高2) 尚志のONE WEX講座受講生 司会者 伊藤 哲(英語) 尚志学園講師 座談会載録 (1)はじめに(趣旨説明) 司会:座談会に先立ち、今年の入試概況について、我々がつかんでいる所をお話しします。まず、国公立大が大変に難しくなりました。特に地元志向も強まり、安全志向も働いて、地方の国公立大学が軒並み難しかった様子です。東北大文系ではセンター試験で8割取っても、相当数が落ちているようです。福島大学人間発達文化学類ではセンター試験で7割近く取ってようやく当確ラインに達したようで、6割台半ばあたりの当落は混沌としています。これらに限らず国公立大については、河合塾のボーダーラインプラス10〜20点の層が軒並み落とされました。河合塾の予想を上回る厳しさだったということは、相当厳しかったということを意味すると思います。 こうした中、ここ尚志で学び、見事国公立大に合格した4名の方に、今日はお集まりいただきました。この方々は、受験生として過ごしたこの1年、ないしそれ以上の期間に、いろいろな思いを抱いたはずです。今日はそれらを惜しげなく披露していただくことで、平素の学習で身につけた「学力」を「大学合格」という形にする力、すなわち「合格力」について、探っていきたいと思います。 合格者に多くを語っていただくためには、語らせ役、すなわち質問者の存在が欠かせません。今日おいでいただいた、ここ尚志の現役生向け看板講座である One Way Express (“ONE WEX”) のメンバーであるD君には、ぜひ平素の問題意識をぶつけていただこうと思います。また、ついこの間まで受験生だった福島県立医科大学医学部生2名にも来てもらいました。現在は「個別指導」の講師として、尚志で活躍してもらっています。「先生のあの一言が合格力につながった」などという話も、受講者から聴けるかもしれません。あと、長年受験指導に携わって来られた大学受験科の講師の先生方にも、ご自身のことから語らせ役まで、さまざまな役割を担っていただき、かつ的確なアドバイスを賜ろうと思います。 (2) 合格者喜びの声 司会:まずは合格者の方々から、厳しい受験を切り抜けた今のうれしい気持ちをお聞きしたいと思います。その中に、二つのことを盛り込んでいただくとありがたいです。 一つは「受験生の期間中、一貫して取り組んできたこと・心掛けてきたこと」。もう一つは「私を目覚めさせたあの事件・この事件」〜自分のやる気が生まれた、心に残るきっかけのようなものを教えていただければと思います。 では、隣にいらっしゃる八巻さん、急ですが話してください。 八巻:ともかくも、嬉しかった。インターネットの「合格者一覧」で自分の番号を見つけて、それ以外の感情が湧き上がらないくらい嬉しかったです。自分でも受かるかどうか、全く分からない受験だったので……。今も嬉しさに浸っている感じで、「もうそろそろ現実に戻って来いよ!」って感じです(笑)。浪人時代を通してやってきたこと……何ですかねえ……。 司会:やっぱり山あり谷あり、試行錯誤の連続でしたか? 健有君はほとんど休まなかったですよね? 八巻:はい。欠席だけはしないようにと心掛けていました。 司会:その点はしっかりと貫かれていましたね。それ以外に、例えば苦手科目・得意科目、いろいろあったとは思いますが、予習などは完璧にしていましたか? 八巻:完璧という所まではなかなかできなかったですけど、自分でできる限りのことはやりましたし、「今日できることを明日に引き延ばさない」ことは、できる限り心掛けていましたね。 司会:その意味では、目の前のことで忙しい日々だったかもしれませんね。もちろん尚志に来る前でも構わないですけど、自分の中で「俄然やる気になった事件」はありますか? 八巻:1回落ちちゃったとき、「これ以上親に迷惑はかけられない」と思いました。やっぱり、それが一番の原動力だったと思います。自分が夢を叶えたいということと、親に迷惑はかけられないということ。この2つが、僕を動かしていた力だったと思います。 司会:この辺に関しましては、後ほどいろいろお聞きできそうな気がしますね。では三浦梨奈さん、同じ質問でどうでしょうか。 三浦:私はほんとに自分は落ちると思っていたので、すごく嬉しかったです。続けてきたことは、「予習・復習」です。途中から出来なくなったんですけど、出来るだけやるようにしていました。 司会:途中から出来なくなった? そういう自覚があるんですか? それは、中身がだんだん難しくなっていったということですか? 三浦:難しくてわからないから、というのも一因でした。 「やる気になった事件」ですけど、私も去年、「大丈夫だろうなー」と思っていたら落ちて、本当にショックで……。 司会:その悔しさをバネに? 三浦:そうですね。それを思い出すたびに、「やらなきゃな!」って思いました。 司会:その気持ちの強さについては、体験記を読ませてもらって、すごくそういう気がしました。 では、A君に同じ質問を答えてもらっていいですか? A君:二次試験で英作文があったんですけど、終わった瞬間周りを見た限り、みんなびっちり書いていて、俺は半分くらいしか書けませんでした。もう落ちたと思って後期の勉強をしながら、休憩時間にパソコンを見たんです。教養学部が埼玉大学で一番最初に出てくるんですけど、番号があって、「わー! 生きてきて一番嬉しい!」みたいな感じで嬉しかったですねー。 「貫いたこと」は、勉強と直接関係ないんですけど、3年生になってから本屋で偶然、手帳みたいなものを見つけました。そこには「一日にやること」「一週間にやること」「一ヶ月にやること」など書ける欄があったので、夏休みにちょっとずつ書いていました。夏以降からはこの手帳を本当に活用して、「今日は一日にこれやるぞ!」と、目標を書き込んでやっていました。もちろん、できなかった日もありましたけど。 「やる気になった事件」は、3年生に上がる前、センター試験を学校で解かされたときに、数学の�機�Aが12点、�供�Bが9点で、目標としていた大学の合格点との差が300点くらいありました。そのころ、お姉ちゃんがちょうど尚志でお世話になっていたんですけど、その一ヶ月後くらいが二次試験の合格発表で、喜んでいる姿を見て、「ああ、自分はこれじゃいけないな。」と思い、本格的に受験勉強を意識し始めました。 司会:お姉さんが喜んでいる姿を見て、「自分もやってやる!」という気持ちが湧いてきたのですね。自分が置かれている状況がまだまだだということに、そこで気づけたのは大きかったですね。 では、Bさんお願いします。 Bさん:私が一貫して続けて来られたことは、とりあえず学校の授業はちゃんとノートを取って、先生の話をちゃんと聞いて、特に歴史など、ちゃんと自分で書けば覚えられるものは授業中になるべく覚えちゃう、といったように、授業の時間を有意義に使おうとしていたことです。でも苦手だった数学は、1・2年生のころほんとに勉強していなくて、ちゃんと授業を聞くようにしても、どうしても出来ませんでした。3年生になる前の春休みに、よその塾の春期講習に行ってみて、数学がちょっと楽しいかな、と思ってきたときに、まただんだん文化祭の雰囲気になってきて、そっちに流されていってしまいました。でも「やっぱりちゃんとやらなきゃな!」と思って、尚志に通い始めました。やっぱり数学は苦手だったのですけど、ちゃんと勉強していくうちに、楽しいな、と思えてきました。�供�Bは特に難しくて、「やだな」とも思いましたけど、出来たときはすごく嬉しいし、すごく楽しく勉強できたと思います。私はセンター試験がうまく取れなかったというのもありますけど、一番は親との話し合いがうまくいかなくて、自分の第一志望を受けることは出来ませんでした。でも、国公立が今年厳しかった中で、自分が受けた学部でも定員以上の人たちが受けていたので、落ちた子たちがいることを思えば、今年受かってよかったと思います。 司会:歴史を授業中に覚えることって出来るの? Bさん:出来ます。 司会:すごいねえ! これは初めて聞いたなあ。私には出来ませんでしたね。大体定期テスト前一・二日で覚えるものかな、と思っていました。それが出来るとしたら、すごく効率的ですね。でも数学に関してはやっぱり、やる気に波があったのかな? Bさん:やっぱり数学は、積み重ねてきた人には到底かなわないです。妹が今年から高校生なので、「数学は絶対やっておいたほうがいいよ」と言っています。 司会:そうですね。その「数学強化法」は後ほど、15分後くらいに話し合いたいと思います。 (3)英語強化法 司会:みなさんの思いが多岐に及んできました。この辺から「この一年何をどう学んだか」について、教科別に突っ込んでみようと思います。まずは英語から。 今日集まってくれた4人は、みんな本当に英語の得意な人たちですので、「英語強化法」をそれぞれ話してください。八巻君が毎回最初だときついかな?(笑) A君どうですか? A君:高1と高2のとき、学校で渡された単語帳の単元テストをやりましたけど、いつも勉強しないで受けて、毎回10点中1点とか2点とかでした。それが、2年から3年にかけての春休みに、本屋で偶然見つけた単語帳が気に入ったんです。結構みんなにバカにされるような単語帳だったんですけど、模試の日を除いて、一日一回、それにバーッと目を通すようにしていました。センター演習のときには、問題集の中に分からない単語や、繰り返し出てきた単語があったので、付箋にその単語を書いて貼って、持ち歩いたりしていました。また、友達とふざけて単語でしゃべってみたりもしました。 司会:単語トークですか? A君:単語トークですね。とにかく「単語をやらないと文章はわからない」と模試やら黒本やら青本やらやって思いまして、3年生の始めくらいから単語に手をつけたのがよかったと思います。単語が分かるようになると、長文の内容のおもしろさにも気づけて、定期テスト前でも夜中まで平気で読むようになりました。 司会:その単語帳の名前を教えてもらってもいいですか? それは言いたくない? A君:自分がやって、たまたま良かっただけかな、と思うので・・・ 司会:いや、「これが良いですよ」とオススメする以上は、やっぱりその名前が出ないと! 何という単語帳ですか? A君:『1分間英単語』といいます。300回以上はやりました。でも、ほんとに微妙なやつですよ。(笑) 司会:でも、それとの出会いは大きかったということですね。 さて、Bさんは帰国子女です。すごいです。人が経験できないことを経験しているのは間違いなしです。 Bさん:私はもともとアメリカに住んでいまして、高校に入った時点の模試判定でも、三角形の英語だけがビヨーンと飛び出るグラフが出来ていました。それでずっと調子に乗って、3年間やってきた感じでした。でもやっぱり、大学受験の長文の単語になると分かりにくくなってきて、自分が今まで蓄えてきた貯金がどんどん減ってきている、と実感しました。そういう中でも、分かっている人は分かっているみたいで、「やっぱり単語をやっている人は強いな」と感じていました。私の学校でも、単語のテストが週一回あったんですけど、ほとんど勉強しませんでした。やっぱりやった方がよかったかな、と思っています。 私は受験の英語を、ほとんど長文で勉強したように思います。長文には単語も文法も入っていますからね。あと、英作文が大好きだったので、英作文の授業は集中して受け、一つの問題に対して英作文を5個くらい書いて、それを先生に添削してもらいました。 司会:つまり、一つの日本語を5通りに言えるってことね? Bさん:そうですね。頭をひねっていろいろ考えていました。 司会:その力は本当に偉大ですね。 梨奈さんお願いします。 三浦:現役のときは、学校からもらった単語帳が使いづらいもので、単語は全然やりませんでした。長文の授業のときも、文の構造が分からないまま適当に読んでいて、本当に出来ませんでした。それで尚志に来たのですが、単語帳は買わずに、長文の中で分からない単語を自分でノートに書き写し、意味や発音を調べました。それを続けていたら、模試などでも単語がすごく分かるようになりました。それから、滝本先生の授業を受けて、文の構造が分かるようになり、文章がすごく読みやすくなりました。 司会:「尚志で学んだ意義は大きい」ということですね? 三浦:はい! 司会:滝本先生のお話を、後程じっくりお伺いしたいと思います。八巻さん、お待たせしました。 八巻:受験英語に直接結びついたかは分からないのですが、よくインターネットで、海外のサイトをのぞいていました。英語で書かれた文章にたくさん触れることで、当てにならないですけど、英語に対するフィーリングみたいなものが身についたのかな、と思います。あとは、やっぱり単語。高校でもらった単語帳を2周くらいしました。 司会:ここでの受験生の間に、ですか? 八巻:はい、少ない方ですけど。あと、やっぱり現役のときは、理論的に英語をとらえることがあまりできませんでしたが、尚志に通うようになって、英語の構成などをちゃんと把握できるようになりました。 司会:今、合格者たちからそれぞれの「英語強化法」が聴けたように思いますが、次に、A君を担当した新田さん。特に二次試験対策の最後は慶応大学の問題などを使ってやってもらいましたが、新田さん自身の経験も踏まえた「英語強化法」をお話しいただきたいと思います。 新田:やっぱり英語が分かるようになるために、単語はすごく大事だと思います。でもA君の授業の中ではなかなか単語ができないので、長文を読む中で「分からない単語は付箋に書いて机とか壁に貼るなりして、ちょっとしたときに見る習慣をつけておくといいよ」と教えていました。 僕は3浪したんですけど、現役のときは英語が本当にできなくて、初めてセンター試験を受け終わった後、「単語だけはちゃんとやろう!」と思いました。みなさんの参考になるかどうか分かりませんが、僕の場合、予備校で与えられた単語と熟語の課題を、ある1ヶ月間に5000語固めて覚え、それを2周しました。そうしたら、長文読解では「分からない単語が出てきたときにちょっと辞書を見る」程度で、ほぼ知っている単語ばかり、という感じになりました。単語の覚え方についてですけど、僕は絶対、声に出して読むのがいいと思います。そうすると発音もアクセントも覚えますしね。単語帳を見て、それを3回声に出して読んで覚えました。僕はスペリングがあまり得意ではなく、確かに書きながら覚えるのも手だとは思うんですけど、実際の英作文はスペリングを忘れたから書けない、というものでもなく、まずは単語を声に出して読む方がはるかに頭に入り、時間も早くできていいと、僕は思います。 あとは、なんといっても長文を読めることが大事だと思います。僕の勧めでいつも生徒にやらせてるんですけど、英文の構造をつかむのに、『ポレポレ』という参考書があります。ぼくはそれを1ヶ月くらいやって、その後、長文を読み出しました。模試の問題だったり、赤本だったりしましたが、「今日は北大をやろう」とか、「慶応をやってみよう」とか、いろいろな大学の長文を楽しみながら読んでいたように思います。 英語って多分、「長文を読むのが面倒くさい」とか「単語が分からないから読めない」などと言って、勉強を疎かにしちゃう人が多いと思うんですけど、英語はやればやるほど読むのも速くなり、伸びる教科だと思います。やって嘘はつかない、努力に比例して伸びる教科かな、と。そして、一度伸びちゃえば落ちにくいので、受験の武器にもなると思います。 司会:力強いですね。ありがとうございました。『ポレポレ』私は知りませんが、皆さんご存じですか? (シーン) さて、滝本先生、お待たせしました。今生徒たちから相次いで「ここ尚志で文の構造が分かるようになった」という話が出ましたが、これは滝本先生から文構造の見方を教わっていることに、すごく大きな意義があるのではないか、という思いを年々強めている所です。是非そのあたりの話をしていただければと思います。 滝本:いやいや。本当に河合塾のテキストそのものが、段階的に「英文の構造を把握する」ということを意識して作ってあると思うんですね。相当、英語の学力がある人でも、たとえば5行くらいの文章で、途中にカンマで挿入語句があったりすると、主語と動詞を見つけにくくなります。「文」そのものの主語・動詞なのか、付属的要素である「節」の中の主語・動詞なのかを、場合によっては非常に見分けにくいときがあると思うんですね。僕自身、高校1年の時に一番英語の勉強で役に立った先生が、「英語は、主語と動詞を早く捕まえた者が勝つぞ」と言われていて、自分が授業する場合も、特に複文やら節やらがいくつも入っているようなときには、「文そのものの主語と動詞を早く見つけなさい」と指示します。そして、そういうことをやるのに、河合塾のテキストはよくできていると思います。 それから、単語の勉強の仕方も年度の初めに言うことがありますが、若い頃英語教育法をやったときにイギリス人から習ったことで、「単語を覚えるときには、目で見て、口で発音して、耳で聞いて、手でも書いて、総合的に覚えるのが一番確実」というのが、学習心理学の実験でも分かっていることなんですね。それで、浪人した生徒にも、単語の覚え方として総合的感覚で覚えた方が記憶は定着する、と指導しています。それからやっぱり、一回やっただけでは覚えませんから、二、三回くり返しやるということが大事だということも言っています。 そしてある程度単語がたまってくると、「単語相互の関係」に気づくことがあるんですね。僕は公立高校を退職して11年が過ぎようとしていますから、退職してからここにお世話になっているわけですが、今から3、4年前に、「老人性痴呆」とは英語で何と言うか、それを覚えられなければ痴呆が進んでいると思ったから(笑)、調べたんですね。医学部の学生さんにとっては常識なんでしょうけども、実は「老人性の」という単語も「痴呆」も分からなかったんです。調べて、“senile dementia”ということが分かりました。ところが、それを知ってすぐに、senileは「老人性」だ、じゃあ、「若年性の、青少年の」は何かといえば、「青少年犯罪」を“juvenile delinquency”ということは今から50年も前に知っていましたから、senileとjuvenileは反意語だ、ということに気づいたんですね。そういうことから、半年たっても一年たっても、「老人性痴呆」を覚えているかどうか試してみると、若い頃に覚えたjuvenileという単語からすぐ自動的にsenileが出てきて、senileが出てくるとdementiaがすぐに出てくる。こういう連想が働くために、やはりある程度単語が蓄積されるまでは、意識的に覚えなくちゃならないと思いますね。 司会:ありがとうございます。さっきA君が言ってくれたように、「自分は単語やらないと!」という思いに行き当たるということが、まず大事だという気がします。「単語が不足している」という意識をまず持つことが、覚えるきっかけになると思います。それは、あるとき突然来るような気がします。それまでにいっぱい単語に出会っている人は、それがないのかもしれないですけど。 ここまでで何か聞きたいことがあれば、是非お願いします。 D君:A先輩に質問です。『1分間英単語』っていうのは、本当の所どうなんですか? あれ、家にあるんですけど、使えるんですか? A君:あれは「参考書コーナー」にはなかなか売ってなくて、「教養」みたいなコーナーに置いてあるやつです。センター試験までだったら、一日1回とか2回やっても時間が余るくらいだったので、バーッと何回もくり返し見ていました。驚いたことには、センター試験が終わって二次試験の前に改めて学校の単語帳を開いたら、すごく分かりやすくて、すいすい頭に入りました。だから『1分間英単語』の後にもう一冊、受験用の単語帳をやるのがお勧めかな、とも感じます。でも、使えると思います。 D君:ありがとうございます。 司会:まあ、「ものは試し」ということで…いろいろ使っていただいて。 他、どうですか? この英語話について。 滝本:さっきの八巻君の話に出た、「インターネットで英語を読むようにしていた」というのは、とてもいいと思いますね。最近の入試傾向も、昔の例えば18世紀・19世紀の英文学とかじゃなくて、インターネットから取ったと思えるような、up to dateで口語的な題材が多いんですね。だから授業でも、たとえば大統領の演説などを配ったこともありますが、アメリカ大統領の就任演説などは原稿を事前に渡したりしないようで、議会の筆記者は耳で聞いたものを書き取り、直しているようです。それを日本の新聞などがそっくり使っていた。僕はその大統領の演説の本を買って読んだときに、一カ所単語が間違ってるんじゃないか、と思ったんです。その単語は、その大統領の何年か前の演説にも出てきたために、その単語を筆記者が覚えていて、書き間違えたのだと思います。 興味を持っているトピック・題材については、あまり苦労しなくても、楽に見られるということがインターネットのよさだと思いますね。気楽に読めて、辞書を引くのにもあまり苦痛を覚えないでしょう。自分の興味のある部分を強化していって、英語力をつけるのもいい手段ではないかと思います。 司会:この辺りは、10年前と今とでは全然違います。本当に、すごく進んでいますね。インターネットは必ずしもいいものばかりではないので…要するに、内容が間違っていたり、必ずしも正確な英語ではなかったりしますから、注意が必要ですが、逆にそこがまた面白いのかもしれませんね。 (4)数学強化法 司会:では、数学に進んでみたいと思います。英語をやった以上、数学を外すわけにはいかないですからね。どちらかというと、尚志で勉強する人は数学の苦手な人が多いのかな〜。医大生講師が、華々しく数学ができる方々でしょうから、教えながらギャップもあるのかな、と思って見ています。 梨奈さんがさっき言っていた、「東北大に落ちたかもしれない」と思ったのは、数学が引っかかっていたんじゃないかと思いますから、その辺の話からお聴きしていいですか? もともとは割と得意にしていたんだよね? 三浦:そんなことはないです! 数学は苦手で、二次試験はもともと、世界史で受けようと思っていました。センターまでは結構一生懸命やっていたんですけど、二次試験に関しては、過去問を数年分解いたくらいで、すごく心配でした。本番はすごく難しくて、たぶんみんなも出来なかったから受かったのかな、と思います。数学、私は多分、2割も取れてなかったと思います。 司会:健有君も苦労があったのでしょうね? 八巻:高校2年くらいまでは数学が割と得意だったんですけど、3年生でいきなり失速したんです。そこから苦手意識みたいのが出てきて、問題を見るだけで気持ち悪くなることもあったんですよ、拒絶反応みたいな感じで。でも、そこを抜け出さないとどこにも行けないと思ったので、毎日数学の問題をひたすら、解いて解いて解きまくりました。チャートやらスタンダードやら。あと、予備校に来てからはテキストやら大学の過去問とか、先生の話も聞いて、やれるもの、手元に与えられたものはこなして、力をつけていくしかない、と思っていましたね。それにしても、今年の問題は激しかったですね。 司会:前期ですか? 両方? 八巻:どっちもですけど、特に前期ですね。肌に合わない。 司会:なるほど、「肌合い」というのはおもしろい表現ですね。 Bさん、何か語ることは? ここでは目一杯勉強していましたね。A君もそうですけどね。 滝本:ちょっといいですか? 僕がアメリカに行ったのはもう30年も前ですが、大学受験を志望している人たちのクラスを見せてもらったときに、高校3年生なのに、これは日本の高校入試のレベルじゃないか? と思ったことがありますけど、アメリカの数学の方が易しいんじゃないですか? Bさん:学習の順序が全然違っていて、中学校の内容を高校でやったり、高校の内容を中学校でやったりします。例えば、logはうちの妹がアメリカの中学校に行っていたときに出てきて、全部知っていたし、反対に私は高校で、日本だと中学校3年生でやる二次関数をやったりしました。あとは、クラスが選べて、一番上のクラスはそれはそれはとても難しいことをやっていたんですけど、みんな同じくらいのクラスだと、レベルとしては日本と同じくらいか、それよりちょっと下くらいかな、と思います。 滝本:アメリカの高校生は「かけ算九九」ができない人が多いんでしょう? Bさん: そうですね。授業で「電卓持ってきていいよ」って言われます。 森本:カリキュラム・スタンダードが、日本とは全然違うのですね。日本でもそれは研究しているんですけど、かたや日本の伝統的な学習指導要領もありますから、当然違いはあります。 司会:結局、数学のグローバルスタンダードはまだないんですか? 森本:アメリカの「カリキュラム・スタンダード」がそれに相当します。日本の学習指導要領もそれを参考に作っていますが、日本独自の伝統的な教育課程も大切にしている。 司会:ジャパニーズスタンダードとグローバルスタンダードが違うのですね。 森本:日本の方が進んでいる分野もありますからね。 司会:A君は数学に関してはどうですか? A君: 数学は、解ければ楽しいけど、解けないとつらい、苦しいという感じでした。でも、尚志でマンツーマンの授業を受けるようになって、やれば解ける、分かる、出来ると再確認できました。センター前には、先生に言われた通り、赤本を30セット解きました。結果的に、自分としての目標点まで到達することができました。やっぱり、分かるまでやることが大事なんだな、と思いました。結果的に、I・Aは難しくて差がつかずに済んだこと、II・Bが易化したことなど、数学に苦手意識を持つ僕にとって、今回のセンター試験は幸いしたと思います。あと、個別指導の中で先生が「センターは簡単だよ!」というと、「そうかなあ」という気になるから不思議なものです(笑)。 司会:「精神的に負けない」ことは確かに大切ですね。山本さんはどうですか? 山本:私は、現役のときから割と数学は得意でしたが、とにかく問題の数をこなすために、高3の12月くらいからは、「赤本・緑本・黒本・青本」という、各予備校の過去問を片っ端から解いていきました。各問題とも、出だしは点が取り易く、だんだん難しくなっていきますから、分からないところはとばすなど、時間配分に気をつけ、常に時間を有効に利用しようと心掛けていました。理系の人は、二次力・記述力を強化するほうが圧倒的に大事ですから、センター対策は12月になってから、時間を少し短めに設定して鍛えるとよいと思います。浪人時代は、テキストを予習の時点でできなくなるところまでやってから授業に臨んで、分からないところがないようにしていました。 司会:ありがとうございます。では、数学担当の森本先生からご意見をお願いします。 森本:八巻くんと三浦さんは、一斉授業では取り上げざるを得ない、2人にとっては簡単すぎるような基本的な問題も、手を抜かず丁寧に取り組んでいたと感じましたね。実は、基本的な問題でも解ければ「できた!」という実感が湧き、それがモチベーションの高まりにつながると思います。また難しい問題も、2人は早い段階で、ある程度できていました。夏までは、まずは解ければよいと思います。でも試験間近になればもう少し進んで、「その問いがどういう意味を持つか」まで考察してほしい。2人はちゃんとそこまで考えられていたと思います。 それからやっぱり、ふたりともいつも笑顔でしたね。本当は余裕がなかったのかもしれないですけど。笑顔で、自分のペースを保ちながらやっていたのがよかったのではないでしょうか。 司会:では、ここまでで何か質問があればお願いします。 D君: 数学に苦手意識がありますが、不安を解消するにはどこから手をつければよいでしょうか? 教科書とかチャートとか、過去にやった問題をくり返し解くのがよいのですか? 新田:まずは「教科傍用問題集」で、基本事項を確認しながら、その単元で習得しなければならない解き方を一通り頭に入れるのがよいと思います。A君に教えていたときは、「とりあえず自分で考えてみて、分からないところを聞くように」と言っていました。「考える」といっても、ある程度基礎ができないと、ただやみくもに時間を費やすことになってしまいますし、解けなかった問題を反復してやり、身につけることも大事な学習だと思います。自分は、「1問に20分まではかける。分からなかったらギブアップ」としていました。基礎ができていれば、あとは考えれば考えるほど良いと思います。 司会:河合塾のテキストは良問が精選されていますから、徹底的に考える価値がありますね。私の所へ数学の相談に来た生徒には、「予習を1週間分先行させ、解けなかった問題は1週間かけて徹底的に考えなさい」と言っています。苦労の末解けた問題は、しっかりと記憶に残り、それが本番でのヒラメキに直結しますから。 (5)学習環境としての「尚志」 司会:予定では、この後国語、理科、社会と続けようと思っていましたが、時間をすでに大幅に超過していますので、先に進めまして、次に「尚志」という学習環境を合格者たちがどうとらえているか、お聴きしたいと思います。 八巻:尚志の学習環境として、4つの長所があると思っています。第1に、先生方との距離が近いこと。疑問が生じたらいつでも質問できます。添削指導もしてもらえますし、心の支えになってくださいます。第2に、生徒間の距離が近いこと。浪人生活はつらく、苦しいですが、雑談できる友達がいることは精神の安定に一役買います。第3に、テキストが良いこと。河合塾のテキスト、特に「数学基本事項集」には、後期試験の日の昼休みまで、目一杯お世話になりました。第4に、通学が楽であること。通学に余計なエネルギーを消耗しなくて済んだのには助かりました。 三浦:大手の予備校だと、先生に質問するにも列を作って大変だと聞いていますが、尚志だと分からないところをすぐに聞くことができました。また、私も河合塾のテキストは使いやすいと感じました。テキストを信頼して、それだけやっていれば大丈夫でした。それから、「浪人」にはどうしても暗いイメージがありますが、私は周りに友達がいるのが心強くて、暗くならずに済みました。 司会:2人とも「自然に人が寄ってくるタイプ」で、人間関係を作るのが上手ですよね。ところで、医大生のお二方とも、浪人を経験されたと聞いていますが、どのような生活でしたか? 山本:私は自宅から通うと3時間近くかかる予備校を選んだため、寮に入りました。ちょうど同じ医学部を目指す子と友達になり、互いに切磋琢磨しながら勉強できたのが良かったと思います。 新田:仙台の予備校に通っていた時期は、父と一緒に仙台で暮らしていました。予備校では、自分はあまり友達と一緒にいる方ではなかったのですが、たまに一緒に昼食を食べたり、模試のときには話したりしていました。予備校時代の友達はたくさんいても仕方なく、また馴れ合いにならないような注意が必要ですが、支え合っていける関係は大切です。それとやっぱり、予備校を選ぶ上で「通学しやすい」ことは、大きなポイントだと思います。受験生にとっては、時間の確保が第一ですからね。 司会:お2人とも、長距離・長時間通学は経験されていないということですね。福島では、長時間かけて仙台の予備校へ通い、疲れてしまって学習時間を十分に取れず、結局思うような結果を出せない人がたくさんいますから、これは示唆に富むご意見だと思います。 (6)将来の夢 司会:次にお1人ずつ、将来の夢をお聴きしましょう。 Bさん: 職業としての目標は、これから考えていきたいと思っていますが、まずは美術系の学部に進むので、美術に関して興味をふくらませ、留学もしたいです。あと、世界史と地図が好きで、世界の民族にも興味があるので、アフリカなど、いろいろな国に行ってみたいです。そして、そういう経験を生かした仕事に就ければ、と思っています。 A君: 僕は本が好きで、受験前でも結構読んでいました。とりわけ、「言葉の使い方」には強い興味があります。高校に尊敬できる国語の先生がいて、その先生の影響もあり、国語の教員免許の取得も考えています。また、国語はひとつの言語であり、言語に対する理解をより深めるという意味で、語学もしっかりやっていきたい。さらには留学もして、日本を外側から見る良い機会にしたいと思います。 三浦:漠然とですが、私もとりあえず4年間の間に留学してみたいな、とは思います。卒業したら、テレビ局の裏方とか公務員とか、いろいろ希望はありますが、文学部で学ぶ間に、本当に好きなことを見つけて頑張っていきたいです。 司会:東北大の文学部は扱うフィールドが広いので、学びながら視野やチャンスを広げていくのが一番ですね。 健有君の夢については、ぜひじっくりお聴きしたいと思います。 八巻:僕は脳科学の研究をしたいと思います。以前は医学部を志していたのですが、あるとき脳に関する子供向けの本を読んで、脳に興味を持ちました。高校時代からは「医学部志望」で通していましたが、去年、(軽い言い方になってしまうのですが)「時代は脳科学だ!」と思い当たったのです。でも実際には、「医者になることを期待している周囲の人たちを裏切ることになるのでは……」という葛藤もありました。 司会:なるほど。でも、研究者の道を決めたからには、もう大学から出ないわけですね。(笑) 八巻:はい、脳科学者になり、教授になり、大学で一生を送るつもりです。 司会:いろいろな夢が登場しましたが、この辺でご質問のある方は? Cさん: 私には夢がないです。今まで、親に言われたとおりに進路を決めてきました。どうやったら自分のやりたいことを見つけられるのか分かりません。 司会:どなたかお答えできそうな方は? 新田さんが動きましたね。(笑) 新田:「どうやったら自分の好きなことに出会えるか」がポイントだとは思いますが……。今、何か好きなことはありますか? Cさん: 本は好きで、司書もいいかな、と思ったのですが、資格をとってもあまり需要はないみたいだし給料もそんなに多くはないみたいなので……。いろいろ考えると、その道を選ぶのは不安なんです。 新田:仕事や生活スタイルに関する価値観は、人それぞれですよね。例えば、「ほどほどに働いて、適度に休みがあり、趣味に充てる時間があるのがよい」と思う人もいれば、「休む暇はなくていいから、激務に就きたい」と思う人もいます。親の言うことを頭に入れて進路選択するとなると、可能性が狭まってしまいますが、かといって親はスポンサーだから、無視することは出来ない。迷うときは「幅広い学部を選ぶ」のがよいでしょう。いろいろな選択肢がある学部で、いろいろな経験をしてみたらいいと思いますよ。 司会:「給料が低いから、その仕事はだめ」ですかね? そう思うかどうかは、人それぞれですよね。本当に大切なのは、「その仕事に誇りを感じて取り組めるかどうか」だと思います。 D君:僕の父は教師ですが、「教育と脳」などという脳科学の本を愛読したり、至る所へ科学の講演を聴きに行ったりしています。そういう父を見ていると、人の興味というものは尽きることがない、と思い知らされます。そこで質問ですが、大学に入ってから学部を変更するなど、興味の変化に応じて軌道修正を図ることは可能なのですか? 新田:医大にも、他の大学を卒業した後に学士入学してきた人や、普通に入試を受けて入り直した人、他の大学をやめて来た人など、たくさんいます。前の大学は工学系だったり、外語大だったり、いろいろです。大学によっては、成績によって学部や学科が変更できる所もあるらしいです。このように、軌道修正はその人のやる気次第でいくらでもできると思います。 滝本:戦後は、「自己実現」という言葉ばかりが叫ばれてきたように思いますね。私は小学校1年生のときに敗戦して、そのあとは食料不足に見舞われて、といった経験をしてきました。つまり私たちの世代にとっては、生きるために目の前の仕事を一生懸命やるしかなかったのです。大概の仕事は、続けていくことで自分の生きがいになります。折角就職しても、3ヶ月でやめてしまうような若者が多いようですが、彼らには「与えられた立場で、もう少し踏ん張ってみよう」といった姿勢が必要なのではないでしょうか。 (7)後輩たちへメッセージ 司会:さて、ここ尚志で経験したことを踏まえ、「後輩たちへ是非言っておきたいこと」をお聴きしたいと思います。いろいろ厳しい意見もあるかと思いますが、梨奈さん、どうですか? 三浦:ちょっと言いにくいのですが、現役で東北大に合格した友達は、みんなダブルスクールしていたように思います。そう考えると、受験には高校の勉強だけではやっぱり不十分なのかなあ、と思います。 司会:基礎を築くのに、学校の果たす役割は間違いなく大きいですが、難関大学を突破するために塾や予備校が果たしている役割も、実はすごく大きいのでしょうね。八巻さんは? 八巻:一番言いたいのは、「キライなことから逃げないで、立ち向かってほしい」ということです。私は高校3年の時に数学から逃げてしまったのが、浪人してしまった最大の原因であり、そのせいでその後もずっと足を引っ張られた、と思っています。後輩たちには、苦手なものに立ち向かっていく強さを持ってほしいです。 Bさん:勉強だけではなくて、高校生活を大いに楽しみ、やりたいことは我慢しないで、やれるうちにやれる限りやってほしいですね。私も基本的に、高校生活に悔いはないのですが、唯一1・2年生の時に、課外に出なかったことを本当に後悔しています。朝起きるのが面倒で、行かずに済ませていたのですが、「先生方が純粋に生徒のためを思って教えてくださっている」ということに、3年生になってやっと気づきました。かつ、課外で扱われた単元が知識の抜け穴になり、卒業までずっと苦労しました。 A君:僕が言いたいのは、「素直な人が成功している」ということです。変にひねくれないで、授業中はちゃんと授業のことをやり、先生に当てられたらちゃんと答え、先生に与えられたものをきちんとこなす人が、出来るようになっていく。高3の夏くらいでこのことに気づき、それからは授業にも自然体で取り組めるようになりました。また、僕も10月くらいからセンター試験までは精神的につらかったですけど、すべてを肯定的にとらえて、自分に負担がかからないように心がけました。「自分を励ましてくれている人を信じる」ことも、受験のプレッシャーを乗り切るのに大切な要素だと思います。 (8)質疑応答 司会:予定の時間を大幅に超過してしまいましたので、最後の質問の時間にしたいと思います。 D君:自分は理系志望で、文系科目の勉強は今ほとんどしていないのですが、今後どうしたらよいか、アドバイスをお願いします。 八巻:現役の間は、授業をしっかり取り組むことが一番だと思います。各教科とも、定期テストで納得できる点数を取れる程度にはしておきたいですね。その次に、センター試験対策として過去問をしっかり解くことが有効だと思います。文系教科に共通するのは、文章を読み、読解に関する感覚を身につけておくことが重要だということです。 山本:理系で「国語の文章が読めない」ことを悩む人は、少なからずいます。私は文章に慣れるために、センター試験前は国語を毎日1年分解きました。理系だからこそ、文系科目で得点できる方が強みになります。 司会:皆様よろしいですか? 長時間ありがとうございました。(拍手) |
早稲田大・東北大合格者等による座談会
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2011年4月6日実施 |
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早稲田大・東北大合格者などによる座談会
「尚志で伸ばす合格力」 2011年(平成23年)4月6日 15:30 – 17:30 尚志学園専修学校 第2校舎2階教室 パネリスト 合格者 アヤネ(県立福島高卒)尚志の個別指導・大学受験科を経て,早稲田大学文化構想・文・教育(生涯教育)の3学部に合格 サキ(県立福島高卒) 尚志の大学受験科を経て,早稲田大学人間科学部(健康福祉)と,東北大学教育学部の両方に合格 チグサ(県立福島高卒) 尚志の大学受験科を経て,東北大学経済学部に合格 ツカサ(県立福島南高卒) 尚志の大学受験科を経て,東北大学医学部(保健-放射線)に合格 講師 渡部常夫(数学) 尚志学園講師(大学受験科・ONE WEX講座・個別指導担当) 森本裕見子(数学)尚志学園講師(大学受験科・ONE WEX講座・個別指導担当) 新田夢鷹(県立医大医学部新5年) 尚志の個別指導講師 ギャラリーからの発言者 ユリ,ミワコ,リカ(以上合格者) ユウカ,アヤカ,チヒロ(以上受験生) 司会者 伊藤 哲(英語) 尚志学園講師 座談会載録 (1)はじめに 伊藤:これから,記念すべき合格者座談会を始めたいと思います。本当はもっと祝福ムードでやりたいところなのですが,震災もあってやりづらい状況が続いています。しかし,ここ大学受験科で一年間学び,見事難関大学に合格したこちらの方々が,いろんな思いを抱きながらも自分で工夫し,この活躍に至った経緯を形に残しておかなければなりません。現に,秋以降の彼女ら・彼らの活躍は本当にすごかったなあ,と今でも思い出します。一人ひとりが築いた秘策を,ここでいろいろ聞き出し,明らかにしていきたいと思います。そのためにはギャラリーの皆様の協力が必要です。時々振りますので,そのときはぜひ質問をしていただきたい。それがお互いのやりとりを活発にすると思いますので,ご協力をお願いします。 まずはパネリストに自己紹介していただきたいと思いますが,匿名希望の方もいますので,今日は下の名前だけで紹介していただければと思います。合格大学は全部言い切れない人もいるかと思いますが,お任せします。ではこちらから,よろしくお願いします。 チグサ:東北大学経済学部に合格しました…チグサです。(笑) 伊藤:恥ずかしい? イニシャルがいい? まあ,いいじゃないの(笑)。チグサさんという方です。ではでは次の方。 アヤネ:はい。早稲田大学文化構想学部,文学部,教育学部,それに明治大学,青山学院,中央大学に合格した,アヤネです。 伊藤:かっこいい! これがお手本です。そんな調子で良いです(笑)。では次の方お願いします。 サキ:早稲田大学人間科学部健康福祉学科と,東北大学教育学部と,明治と青学と立教と,あと法政に受かった,サキです。 伊藤:はい,サキさんです。覚えましたか? ではお願いします。 ツカサ:東北大学医学部保健学科に合格した,ツカサです。 伊藤:はい,ツカサ君です。では,先生方にも自己紹介を。 渡部:尚志で2年目となりました渡部です。 伊藤:数学ご担当です。次の先生お願いします。 森本:同じく数学担当の森本です。 伊藤:そして,こちらは医大生講師として活躍しておられる…。 新田:福島県立医大の,今度5年になります,新田と申します。 伊藤:そして進行を務めます,伊藤と申します。よろしくお願いします。今日はこの8名が輪の中にいますが,この1年ここで過ごした3人のお友達にもギャラリーに来ていただきました。嬉しい限りです。本当に,こんな有難いことはないですね。皆さんにも時々振りますので,ぜひ語ったり,付け加えたりしてください。 (2)合格力の秘訣は「きっかけ」と「持続性」 伊藤:さて,まずは皆さんへ2つのことをお聞きしたいと思います。1つ目は「この一年間一貫して取り組んできたことは何ですか」。2つ目は「自分を俄然やる気にさせた,あの事件・この事件」について。実はツカサ君に「質問を事前に教えろ」と言われて,さっき教えたので(笑),最初はツカサ君にお願いしようと思います。 ツカサ:「一年間一貫して取り組んできたこと」は,「よく考える」ということです。つまり,何に対してもすぐに答えを見ないこと。正しい答えを出せなくても,試行錯誤を繰り返してきたことが本番で一瞬のひらめきになるかもしれないと思って,一年間そのことを一貫してやってきました。 伊藤:「考えることの蓄積が,本番でひらめきに変わるんじゃないか」と信じてやってきたのね? ツカサ:はい,そうです。2つ目の「やる気にさせた事件」は,夏休みに先進医療の講義を聴く機会があって,放射線治療,ヨウ素線治療とか炭素線治療とかの話を聞き,興味を持ち始めたことです。「そういう方向で学んでみたい」という気持ちになり,毎日の勉強もやる気になりました。 伊藤:それはオープンキャンパスか何か? ツカサ:いえ,父の会社の関係で,「行ってみろ」とか言われて…。 伊藤:お父さんが放射線医療について聴く機会を与えてくれたということですね。 サキ:私が「一貫して取り組んできたこと」は,まず受験はゴールが決まっていて,受験日までに合格するレベルに達していなければいけない。つまりリミットがあるので,早いうちからいろいろと,大学についてパンフレットを取り寄せたり,自分の受ける教科について調べたりしていました。受験教科については,二次試験や私大の試験を受ける時点で,科目数が人より多かったら不利だと思うので,最終的には国・数・英か,数・英で受けられる大学を選んで受けることで,受かる可能性を高める,などといった努力をしていました。 伊藤:大学の情報や,科目選択に関する戦略があったのですね。 サキ:はい。それから「やる気になったきっかけ」は,夏休みにオープンキャンパスを含め,いろんな大学を下見してきたことです。自分の足で行ってみたことで,勉強への励みになるということと,一回行ったから受験の時に迷わないで行ける,という2つの効果がありました。 伊藤:「勉強のきっかけになる」プラス「本番で地理的にも迷わない」という。 サキ:そうですね。 伊藤:オープンキャンパスは,学ぼうというきっかけ作りに大いに役に立ったということですね。 サキ:はい。 アヤネ:私の場合は,具体的にいうと予習復習と英単語は毎日欠かさずやって…。あと,伊藤先生の構文テスト。あれには本気になってがっつり取り組んでいましたね。 伊藤:そうか,努力したんだ。 アヤネ:はい。構文テストの「横綱」がとりたくて(笑)。 伊藤:私は一位をとった子には,テストにYokozuna(横綱)と書くんですよ(笑)。もらった子はびっくりするみたいですね。 アヤネ:はい。嬉しかったです。「きっかけになった事件」ですが,基本的には,現役時に結果が思うように出なくて,「かっこ悪いなあ」と思っていたので,いつも自分を奮い立たせていたのは「自分自身のプライド」というか,「第一志望に入ってやる!」という気持ちでした。そうした中で,「もっと頑張らなきゃ!」と思ったのは,夏に東京の兄の家に居させてもらい,河合塾の「早稲田コース」の夏期講習に出たときです。早稲田を目指す人たちだけの授業は,尚志の授業とは突っ込んでいくレベルが全然違うんですね。尚志の授業で基本をきちんと教わったからこそ,そう感じることができたのだと思いますが,東京の人たちが細かいところまでみっちりやっていることを知って,その後は学習に対する姿勢が変わりました。それが一番の「奮い立たせられた事件」でしたね。 伊藤:一種のカルチャーショックですね。 アヤネ:はい。 チグサ:私が一年間を通して意識していたのは「基礎を大事にする」ということです。ここ尚志の授業で,前期は「基礎を固める」ということを中心にやってきましたが,後期になって「完成シリーズ」を始めた時に,英語や古文では単語の意味がわからないと結局読み進められないことや,数学では自分で思いつけないような,難しい解法を最初にインプットしてしまうと,自分では考えられなくなることに気づきました。こうした経験から,単語やら基礎的な解法やらをきちんと覚え,使える状態になっていることを確認し,いつでも自分の頭の中で組み立てられるように,といったことを意識するようになりました。 やる気は一年を通してそんなに起伏はなかったと思います。現役で落ちた時点でもう,現役時の勉強不足を自覚していたので,春休みから尚志の春期講習にも通いましたし,特に「これがあったからやる気が出た」というものはないです。 伊藤:安定していましたよねー。(笑)受験生は不安になる人が多くて,そういった相談を受けると内心「扱いにくいな…。どうしてこんなに言葉が通じないんだろう?」などと思うことも,たまにはあるのですが…。 ギャラリーA:私のこと?(笑) 伊藤:違う違う,失礼! 私たちはこれが仕事なのに,そんなことを言ってはいけませんね。でも,チグサさんはそういう意味では非常に落ち着いていましたね。 さて,ご出席の先生方にもお聞きしたいと思います。渡部先生,ご自身が「俄然やる気になった事件」というものがありましたら,思い出話などお聞かせください。学習に関してでなくても構いません。 渡部:私も浪人したんですけど,「団塊の世代」で高校に行くのもあのころは大変だったのね。その時,現役で彼女がお茶の水女子大学に入ったの。 一同:えー!! 彼女? アヤネ:いきなりいい話を。 渡部:まあ別れてそれっきりですけども。 チグサ:今の奥さんじゃないんですね。 渡部:違うの。でも,大したものでしょ,現役で。それで「自分も適当なことはやっていられないなあ」と思って浪人して,仙台の文理予備校に通いました。早稲田も受けたんだけども駄目で,結局は福大へ行って,教員になりました。今思うと,あれがやはりきっかけになったんだと思います。もう40年も前の昔のことですけど,みなさんの話を聞いてそんなことを思い出しました。 伊藤:思いがけず,楽しい話が聞けましたね。森本先生もどうですか? 「どうですか」というのも変ですけど。(笑) 森本:いえ,私のことはおいといて(笑)。 伊藤:新田先生は,かつてはどんな気持ちで勉強していましたか? 俄然やる気になった事件は何ですか? 学習って,絶対きっかけがあると思うので。 新田:はい。僕の場合は,医者になりたいとずっと思っていました。二浪した時点で「自分には無理なのかなあ」とも思ったんですけど,でも親には「絶対行け,あきらめるな」と言われていたので,まあ三度目の正直で頑張ろうと思いました。僕は仙台の代ゼミに行っていたんですけど,医学部の先輩方がバイトで個別指導とか質問コーナーに来ていて,そこで刺激をすごくもらっていました。「医学部ってどんな感じなんですか?」とか,医学部の生活を聞き,「いいなあ,行きたいなあ」などと思っていましたね。そういうのは尚志でもできると思うので,僕の話は参考になるのかどうか分からないですけど,他の医大生講師の話はきっかけになるんじゃないかと思います。 伊藤:新田先生には実際に医学部志望の子を担当してもらっていました。 さて,今年は東北大に3人受けて3人受かったという…。 アヤネ:へえ,すごい! 100%だ。 伊藤:そう,非常に誇らしい結果になりました。特に東北大は今年,7割〜8割層の人が相当密集していて,実際のところ熾烈だったんです。そこを見事に勝ち抜いたみなさんの力はすごいと思っています。それに加えてもうひとつお話ししますと,先ほど「みなさんは秋に活躍した」と言いましたが,今年の受験状況は私に言わせると,見事に判定通りだったなあ,と思います。番狂わせはほとんどなかった。国公立大学は相変わらずどんどん難しくなっていますし,そういう中でやるべきことをきちんと積み上げた人が成功しました。みなさんには,ここで培った「一貫して物事に取り組む姿勢」をこれからも続けていってほしいですね。 ここまで聞かれて,密かに感じていた方もいるかもしれませんが,現役生向け講座「ONE WEX」という授業が尚志にありまして,そこから東大文一の合格者が出ています。本当はこの輪の中に入ってほしかったんですけど,3月26日に東京に行ってしまうということで,事前に話を聞いてきました。今日来ていただいた方にはもれなく「記念品」として,お帰りの際に「対談録」をお持ち帰りいただこうと思いますので,それも併せてお役立ていただければと思います。 (3) 数学攻略法,徹底討論 �� 数学の面白さ 伊藤:さて,今日は数学の先生が2名いらっしゃいますし,今日のギャラリーには理系の人が多いということもあり,数学についていろいろと突っ込んでいきたいと思います。 森本:合格した皆さんに聞いておきたいことがあったので,まず共通したことをお話して,それから質問をしたいと思います。まず,皆さんは授業には必ず出席していましたね。しかも予習を欠かさず。そして授業を受けて直すべきところがあると,その場で計算まですべてやってしまう,というところが本当にすごいと思いました。皆さんの計算の速さには本当に私も追いつかないですね。さらにすごかったのは,自分で課題を見つけてきて過去問や演習問題などを皆さん取り組んでいましたね。正直「もうやらなくていいよ」と言いたくなる位に。去年の4月に始まって入試の直前まで,その姿勢を崩すことなく続けてきて本当にすばらしかったなあ,と思います。それでひとつ聞きたかったのが,どんな所に数学の面白さを感じてくれたのかなあと。あるいはなければ,「難しかった」とか「このように付き合ってきたよ」でもいいので,何か一言ずつお伺い出来ればと思います。ではチグサさんから。 チグサ:面白かったところは,暗記物と違って,最初から最後まで自分の持っている知識で解答を組み立てる所がパズルみたいで,「楽しいな」と感じながらやっていました。そこが数学の一番の魅力かな,と思います。 アヤネ:(沈黙)なんにも言いません。(笑) サキ:ひと通りやった上で,一番最初からやり直すようになっているので,高校で習った時によく意味が分からなかった分野も使い方が分かったり,新しい解き方を見つけたり,「こういう発見をした昔の人ってすごいな」と思ったりして,純粋に数学の面白さを知ると同時に,いろんなことを感じる機会がありました。 ツカサ:自分が考えて出した解答も,先生方に添削してもらうと別の視点の解法もあって,見方を変えることで問題の本質が分かることがあります。このように,様々な分野でいろんな見方や解き方があるのは魅力的だなあ,と思いました。 森本:ありがとうございました。嬉しいです。 伊藤:サキさんの,その「一番最初からやり直して意味が分かる」というのはどの分野ですか? サキ:私がすごいと勝手に思っている分野は,微積ですね。「なんでこんな式で面積が求められるんだろう」とか。 伊藤:たしかに見事ですよね。 �� 徹底した添削指導が奏功 伊藤:ツカサくんはいろんな先生の添削指導を受けていましたね。どういう風に進めていたのでしょうか? その場その場でなく,何か一貫したものがあるんですか? ツカサ:森本先生とは基本的に自分でやりたいことを伝えて,それに合う材料や問題を先生に出してもらって進めていました。長谷川先生はもともと授業の最後に添削問題をもらっていて,時間を計ってそれを解いて提出し,間違ってもできるまでヒントをもらいながらまた出す,というやり方を一貫してやっていました。 伊藤:そうか,じゃあ森本先生との添削は,ツカサ君の方から「こういうのをやってみたい」というリクエストを出してやっていたんですね。 森本:そうです。彼は自分で課題を見つけ,私も一応一緒に問題を見て「こっちがやってみたい?」というように,相談しながら。 伊藤:ツカサ君は自分でしっかりとした問題意識を持っていたのかな? ツカサ:やっぱり理系でしたし,数学の力を伸ばしたいというのもありましたし,もともと数学の問題を解くのが好きだったので。 伊藤:「ここが知りたい」という分野と,「ここが弱い」という分野と両方? ツカサ:はい。 伊藤:先生にお聞きしますが,特に伸びた分野はありますか? 森本:最初は県立医大の問題を10年分くらいやったと思います。実はその前の年に見ていた人がいるんですが,彼のスピードはその2倍で,「もう1週ぐらい持っているのかな」と思っていたらもう持ってきたり,「3番までかな」と思っていたら全部やってきたりしました。そしてびっくりしたのが,「真っ白」ということが全くなくて,必ず何かしら自分の考えを示してきたところですね。絶対にあきらめない。その次は河合塾の「Tテキスト」をやりました。こちらもまたスピードが速くて,次々に。しかもよくできていましたね。 伊藤:医大の問題は,もう「難しいことで有名」ですよね。 森本:そうですね。強靱な計算力が要求されます。 伊藤:完答なんていうのはほとんど「夢のまた夢」。 新田:はい。僕は「2.5問で受かる」と言われていたので。 伊藤:全部で何問? 新田:4問です。 伊藤:4問中2.5問か。それだけできれば立派なものですよね。 新田:微積とか確率だけでもいいから完答して,ぶっちゃけ二項定理とかはちょっともう,「鬼だなあ」と思いますね。 伊藤:鬼!(笑) 森本:そうですね。 新田:でもその教授は二項定理が好きなので,毎回出してきますね。 伊藤:あ,出題者が分かるんですね。医大の英語も,誰が出しているかハッキリしているんですよね,狭い世界なので。 渡部:高校入試では4人くらいの先生で分担して問題を作るからいいんだけど,一人で作っているとやっぱり自分の好きな分野とか,弱いところとか,特徴が似てきちゃうからね。 伊藤:そういうところが,医大の特色かもしれないですね。でも,本当に骨のある,難しい問題が毎年出題されているようです。 森本:さらにすごいのが必ずやった時間が書いてあって,「6分」とか「12分」とか。 伊藤:ああ,ラップタイム? 「ここまで6分」とか? アヤネ:すごい! 熱心! 森本:本当に,勉強になりました。 �� 難関私大を一貫して数学で受験 渡部:サキさんは,普通数学ではなかなか受験しない,うまくいけばいいけど,危険性もあるところを,よく数学で通しましたね。すばらしい。 アヤネ:そうですよね。すごい。 森本:力がありますね。 渡部:本当に。どんな模試でも,結構よい判定だったし。 伊藤:サキさんはもともと福高では理系でした。私たち文系に比べれば,相当広い視野で数学を見ていると想像されます。でもやっぱり数学って,逆転は狙えるけど,やられた時は大きいし,リスクも大きい教科だと思うのですが,その辺への思いは? サキ:親にたくさん受験させてもらって,全部「国語・数学・英語」で受けましたが,「やっぱり数学ができると合格できる!」と自分でも思いました。文系の人はやっぱり社会で受ける人が多いと思うんですけど,私の場合社会だと,自分の苦手な時代があると分からなかったりする。でも数学だと理論性があるので,流れにうまく乗れると答えを導き出せる,という感触を持っています。 伊藤:流れに乗る? むずかしいなあ。よく言われますけどね。 新田:確かに,言いますね。 伊藤:問題を見ると「こうしろ!」みたいな誘導を感じるんですかね? サキ:はい。センター対策をやっていたのが結構大きいかな,と感じます。センターだと流れがあると思うんですけど,長谷川先生とかに教わった「計算を省くテクニック」とか「穴埋めのテクニック」とかが,私大受験のときに活きてきたな,と思います。 伊藤:みなさん,何のことか分かります?(笑)ちょっと解説してください。穴埋めのテクニックとは? サキ:センターで言えば,数学で言えば解答欄から見て,3桁とか4桁とかが分かるとか,答えの見当をつける,みたいな。 伊藤:なるほど,昔の共通一次では分からなかったけど,今は解答欄に「アイウ」とあれば答えは3桁,と決まるのですね。でもそれって実は,計算するたびに我々が普通に考えていることですね。例えば,小学生が割合を習いたてのころ「5000%」とか,とんでもない桁違いをやらかしますが,あれはそうした見当が働いていない証拠ですね。 �� 東北大二次は「演習量」で突破 伊藤:安定感あるチグサさんは,数学にどう取り組んでいましたか? あの東北大二次試験を突破するには,安定した基盤が必要ですよね? チグサ:はい,基礎はもちろん,計算もそうです。解答の流れがぱっと思いつければ,あとは計算だけなので,問題を見たときに,仮に最後までできなくても「ここまでならこのやり方でできる」と分かれば,だいぶ楽になる。いろいろ練習してくると「あぁ,あの形だな」などと分かってくるので,練習の数は大事かな,と思います。 伊藤:なるほどね。大体のものには,こなしておけば対応できると。その点は皆さん同感ですか? 一同:(うなずく) 伊藤:実際,そこで勝負がついちゃいますね。 渡部:全然明かりが見えなかったらどこを目指したらいいかわからないし,遠くに少しでも明かりが見えれば,そこへ向かっていくことになる。でもそこへたどり着くまでに,いろいろな問題を解いておく必要があるのでしょう。 伊藤:そうですね。そこを演習量で補っていくしかないですよね。でも,入試本番はどんなときでも新作ですね。その場で,「あの時の,あのやり方だ!」とひらめくかどうかです。 (4)現役時の過ごし方〜反省をこめて 伊藤:さてギャラリーの方々,そろそろ質問,どうでしょう?(笑) ユウカ:はい! 伊藤:では簡単に自己紹介を。 ユウカ:県立福島高校新3年生のユウカです。数学がとても苦手なんですけど,理系で生物系を目指しています。皆さんは浪人を経験したと聞いたんですけど,プレッシャーが大きいと思いますし,「苦手科目をどうしよう」と心配になったり,勉強がつらくなったりする時もあったのかな,などと思います。さっき「現役時の勉強不足を後悔している」という話もあったのですが,皆さんは3年生のときに,何をどれくらい,例えば時間とか量とか,勉強しておけば良かったと思いますか? 伊藤:これは良い質問ですね。これは思いが1人ひとりあるでしょう。「高3の時の過ごし方を,反省も踏まえて述べよ。」じゃあ,新田さんから。 新田:えっ? 伊藤:こっちに来ると思わなかった? ちょっとクッションをと思って。 新田:結構前なので…(笑)。少し時間を下さい。 伊藤:じゃあ,準備できた人からいきます? アヤネ:はい。浪人した今の私からみると,本当に「あのとき何をやってたんだ!」と思いますね。足りなすぎる! 現役の時って,ちょっと頑張ったくらいで「あたし行ける!」みたいな所があって,本当に受験をなめてた! 私,高校もなんとなく入っちゃったし,大学も「まあちょっと頑張れば出来るかな」とか思ったら,センターでコケて,そのままダダダーっと行ったので,まず意識がまず最初から駄目だったし,やり方も全然。今から思うと,そんなやり方では全然足りない。とりあえず「足りてない!」ってことばかり思いますね。「もっと勉強しろよ!!」と,今の自分から言ってやりたいくらいですね。 伊藤:厳しいなあ(笑)。チグサさんは? チグサ:同じクラスでやってたけど…。 アヤネ:本当に,平和だったね。 伊藤:じゃあチグサさん,自分の言葉で。 チグサ:本当に今言ってくれた通りなんですけど,得意科目は得意なだけあって,現役の時もそれなりに取れたんですけど,最後まで苦手科目に足を引っ張られた感じですね。で,逆に浪人して一生懸命勉強するようになったら「なんだ,やれば取れるじゃないか。なんでこれが現役の時に出来なかったんだ?」という思いに至りました。勉強の「質」と「量」,どっちも大事だと思いますけど,現役の時は時間が限られているから,もともと効率の良い方法なんてないかもしれないですけど,地道に苦手なところとか,もう少し伸ばしたいところとかを全体のバランスを見ながら客観的に探していくのが大事だったかなあ,と思います。 伊藤:あれ? 苦手って,何? チグサ:日本史。 伊藤:ああ。(笑) チグサ:あと現役の時は地学も現社も。日本史は最後までだったんですけど。 伊藤:尚志に来たころから「理社が…」と言っていましたね。理社って,対策が遅れちゃうの? チグサ:遅れるというか,苦手意識が強くて。 アヤネ:苦手に真正面から取り組まなかったんだよね。 チグサ:そう。本当に基礎というか,分かりやすいところからやると,特に地学は面白く思えてくるので,やっぱり最初に難しいところに当たって砕けるより,分かって楽しいところからやっていくのがいいと思います。 伊藤:ただ,たぶん勉強って,ずっと得意で来て,あるところから苦手になってくるのかなあ,と思うんだけど,そういうものでもないんですかね。 チグサ:いや,最初から分かんない。(笑) 伊藤:それは何がいけないのかな。高校の,その教科の取り掛かりがよくないのかなあ。 アヤネ:学校のせいじゃないよね。自分だよね。 チグサ:「自分がやるかやらないか」みたいな…。特に理科・社会は。 アヤネ:歴史なんて「やったもん勝ち」。 伊藤:「現役時はやらないで済ませてしまいました」ということ? アヤネ:そう,何となく「やらなくても行けるかな」みたいな,へんなノリ。 伊藤:なるほど,英数国で乗り切ろうと思っていたかもしれないけど,そんなに甘くはなかったんだね。ではサキさん。 サキ:早いうち,それこそ3年の最初とか夏休みとかから,赤本を1回でもいいから解いてみるとよかったかなと,今振り返ると思いますね。得意な科目はそこそこできると思うんですけど,苦手な科目も,すぐには出来なくてもいいからやってみることです。出来る・出来ないよりも,どういう問題がよく出るのかとか,対策とか時間配分の仕方とかが分かります。第一志望だけじゃなくて,それ以外の受験したい大学の赤本もやってみるといいです。現役の時には,受験に使わない教科の授業もあって,時間を取るのは難しいと思うので,第一志望を重点的にやって,出来たら他もちょっとやってみようかな,くらいの気持ちでいると,入試のときに「自分は一年間赤本をちゃんとやってきたんだ」という思いを持って受験できると思います。 伊藤:タイミング的にはいつ頃がベストかな? 赤本はいつ解き始めたらいい? サキ:夏休みの始めのほうに一回,一年分やってみると,自分の苦手な教科や分野がある程度分かると思うので,「こういう出し方をされると自分はうまく対応出来なそうだ」と思ったら,似ている問題を見つけてきてそこを補強するとか。 伊藤:なるほど。現役にとっては夏が勝負だよね,やっぱり。言われ尽くしているかもしれないけど,「夏を制する」必要は絶対にある。 サキ:はい。福高って夏休みが終わってすぐに文化祭があるので…。 アヤネ:そうそう。文化祭が楽しすぎるんだよねー。 サキ:うん。最後の文化祭だし,一生懸命参加して思い出をつくるのも必要だと思うんですけど,でもそこでそればっかりにかまけてると,大変なことになる。それは現役の時に身を以て知りましたね(笑)。 伊藤:よっぽど楽しいんだろうなあ。文化祭はそれ以上早く出来ないものね。では,違う環境かもしれませんが,ツカサくん。 ツカサ:自分は部活に入っていて,サッカー部の選手権が終わるのが10月くらいで,その後に勉強に集中できる環境になったんですけど,部活が終わって「いざやろう」と思っても全然間に合わなくて。部活をやっている方もいると思いますが,少しでもいいから毎日コツコツやってくのも大事だと思います。疲れて眠っちゃうときもあると思うんですけど。 伊藤:運動部で「帰って勉強」って無理だよね。あきらめて寝るべきだよね。違うかな?(笑)「朝方の生活」は? ツカサ:いや,朝練もあったんで…。 伊藤:朝は朝で「練」があるなら,どうしようもないね。「朝2時に起きてやる」ってのは無理かな。これが続けられれば,もしかしたら成功するかもしれない。 ツカサ:続けられる…ならば。いやあ…できたらそうやりたかったですね(笑)。 アヤネ:ムリ。ムリです。 新田:相当な精神力が必要ですね。 伊藤:私は,疲れた体で勉強はできないんじゃないかなあ,と思いますね。 アヤネ:寝たいときは寝た方が,確かにいいですよ。 伊藤:例えば,夜1時間やるのと朝1時間やるのとでは効率が…。 アヤネ:だいぶ違いますね。 伊藤:あと,予習も「切羽詰まると出来てしまう」ってこと,ない? そういう暮らしを続けていると,あまり定着しないかもしれませんが。 森本:医大の嶋さん(尚志の個別指導講師)が言ってたんですけど,彼女は高校時代にバレー部に入っていて,「いつ勉強したんですか?」と聞いたら,「あまり実力はつかなかったけど,定期テストに命を賭けて,寝ないでやった」と言っていましたね。もともと推薦をねらっていたようで,評定平均がものすごくいいみたいです。 アヤネ:そうか,定期テストで取ればね。 森本:現役だと推薦があるからね。だから一般だったら無理だっただろうな,と言っていました。 渡部:医大は,県内生の場合はそれができますね。あとはやっぱり,休み時間をちょこちょこ使うしかないんじゃないかなあ。「授業後5分はすぐに復習する」とか,「昼休みはまるまる40分遊ぶんじゃなくて,部活をやっているんだったら20分くらいは何かする」とかね。そうすると,家で1時間くらいは得するよ,などと指導していました。 伊藤:確かに,私も宿題の半分を昼休みに片付けていたりしていたような気がします。 渡部:あと,野球部に在籍し,浪人して京都大学に行き,その後航空・宇宙の分野で結構有名になったハルヤマというヤツは,「3時間しか寝ない」といつも言っていましたね。 伊藤:「睡眠時間を削って持つ人は得だな」と私はいつも思っていました。 渡部:まあ,人によって方法が合う・合わないはあるからね。 伊藤:はい。では新田さん,お待たせしました。 新田:僕も現役の時は陸上部で,帰ると9時とかで僕の場合はほんとうに寝るだけだったんですけど,さっきの嶋さん同様,定期テスト前は寝ないぐらいの勢いで頑張っていました。だから平均評定は結構良かったんですけど,そのころは推薦もなかったので(笑)そのまま実力もつかず…(笑)。やっぱり渡部先生も言っていたように,休み時間を上手に使うのがいいと思います。あと理系だったら,数学が鍵になると思うので数学はちゃんとやっておいた方がいいですね。数学の考える力は一浪した時点で僕はあんまり身につかなかったので,現役の時からやっておくべきだったなあ,と思いました。 伊藤:数学の「考える力」は,どうやったら身につきますかね? さっきツカサ君が言っていたように,「とことん考える」ということですか? 新田:僕も浪人の時は問題を添削してもらって,解答を自分だけの力で書けるようになるまで考えて取り組んでいました。先生の解答を見て「何で先生はこういう考え方をしたんだろう? 何でこういうヒントをくれるのだろう? 何でこういうのを思いつくんだろう?」といったことをとことん考えてやっていましたね。それを考えないで解答暗記に走ると,全然解けるようにならないし,本当の力がつかないですね。 伊藤:どれくらい考えるんですか? 「20分経ったらギブアップ」という理論も以前聞きましたけど,その反対に「とことん考える」は1週間くらい? 新田:そうですね,そのくらい考えたこともありました。僕は数学が苦手だったので,自分で「数学の時間」というのを作っていて,予備校の自習室が夜の8時半で閉まるので,帰って風呂に入って,9時半か10時くらいから12時まで「数学だけ考える」という時間を決めて,毎日やっていましたね。 伊藤:それを365日やったら,だいぶ違うでしょうね。 といったところで,どうでしょうか,ユウカさん? ユウカ:はい,大変参考になりました。ありがとうございました。 (5)浪人は自分を見つめ,環境を生かして 伊藤:他に質問ある方は? アヤカ:はい。アヤカといいます。みなさん浪人して,勉強方法とか意識とか変わったと思いますが,何が一番変わりましたか? 勉強方法と精神的な面と,どちらもお願いします。 新田:じゃあみんなが思いつく間に,僕言っていいですか? 精神面なんですけど,僕は予備校にチューターという名の担任の先生がいたので,1ヶ月に1回くらい,「最近勉強できないんですよー。」とか愚痴りに行ったり,不安なことがあったら相談したりしていました。いつも僕が一方的に話すだけなんですけど,親身になって聞いてくれていたので,これが支えになって,すっきりして次の1ヶ月が過ごせると,精神的にネガティブにならずに過ごせましたね。模試が返ってくる度に,先生のところに行っていました。 伊藤:尚志はそういう環境は整っていますので,ぜひ愚痴りに来て下さい。「扱いにくいな」とか思わないで,ちゃんと対応しますから(笑)。 新田:僕も尚志で,生徒さんたちが先生方に話しに来るのをよく見かけます。そういう環境は生徒にとって精神的にすごく楽になって,勉強できると思います。 ツカサ:僕の場合,勉強面では基礎・土台をつくる作業が一苦労でした。基礎を固めないとその上に積み上がらないし,応用問題も基礎の組み合わせなので。河合塾のテキストも夏休みまでは「基礎シリーズ」ですし。また,精神面では常に志を高く持って,一日一回,何か思い描いてやっていましたね。 伊藤:「一日一回,何か唱えていた」とか?(笑) ツカサ:いや,そこまでじゃないですけど,「大学に入ったらこれしよう」とか,いろいろ楽しみもあるだろうと考えることで,やる気を奮い起こしていました。 サキ:私が勉強面で新しく始めたことは,新聞を毎日読むようになったということです。浪人してセンターで初めて現社を受けることになったので,朝日新聞を毎日読んでいました。それが現社で役立ったことはもちろんですけど,他の教科,例えば国語とか地理とかにも役立ったと思ったので,この習慣が身についたことはよかったと,今振り返って思います。精神面では伊藤先生に話をよく聞いてもらっていて,勉強以外の話も聞いてもらっていました。やっぱり親身になって話を聞いてくれる人が近くにいることはいいことだなあ,と思いました。 伊藤:嬉しいです。「サキさんと話が通じない」と思ったことは一度もありませんからね。(笑) アヤネ:勉強面で変わったのは「英単語を毎日やる!」「予習・復習も,決めたならやる!」というように,毎日のことをちゃんとやるということですね。高校の時は何かをやろうと決めても,眠かったり面倒くさかったりすると,すぐ投げ出したりしちゃったんですけど,浪人していること自体が自分で「ガーン」ってショックだったので,「合格しなきゃ!」みたいな感じで,自分が変わったというより,自分で変えた,という感じですね。精神面では,友達の存在です。チグサとは身近で,もともと仲が良かったんですけど,勉強でも英語とかで,私はチグサとの模試の英語のバトルを個人的に楽しんでいました(笑)。勝ったら嬉しいし,負けたら悔しいし,刺激し合える存在がいたことは大きかったです。 伊藤:熾烈な戦いでしたね!(笑) アヤネ:はい。身近に良きライバルがいたのは本当によかったです。 伊藤:私もそう思う。チグサさんはその攻撃を返すのがうまかったと思います(笑)。 アヤネ:そう。チグサはなんか包容力も持ってて…。私,すごく楽しかった。友達は大きいですね。予備校の友達と仲良くなった方がいいですね。特に今年の女子は,すごくまとまりがあったから。「みんな頑張っているから,頑張ろう!」みたいなところがあって。ね! ギャラリー:(一斉にうなずく) 伊藤:はい。では受け止め続けたチグサさん。(笑) チグサ:浪人して現役の時の自分を見つめ直して,「テレビ見すぎたなあ」とか「携帯使いすぎたなあ」とか(笑)。だから携帯は解約したりして。 伊藤:えーっ? チグサ:精神がそんなに強い方ではないので,勉強せざるを得ない環境に自分を追い込んでいました。あと休むのも大事で,メリハリをつけたいタイプなので,自習室で7時までカーッと勉強して,あと家へ帰ったらゆっくりする,などと決めていました。自習室に来るとやっぱり静かだし,家よりも「やろう!」という気になります。自分に合った,自分が集中できる環境を見つけ出すのも大事だと思います。 伊藤:ギャラリーのお友達のみなさんから,付け加えることは無い? ユリさん,突然ですが,頑張ったことを教えて下さい。 ユリ:みなさんご存じの通り,私は中国人で…。 伊藤:いや,「みなさんご存じ」じゃないですよ。(笑) ユリ:日本に来て4年目くらいで,日本で大学を受験することになって,日本語が分からなくて一番苦手で嫌いだったのは現代文だったんですけど,尚志の黒沢先生の授業がとても面白く,読む時のテクニックとかもいろいろ教えてもらって,文章を読むことが楽しくなりました。センター本番ではそんなに点数は取れなかったんですけど,一年を通していろんな文章を読むことで,筆者が何を言いたいのかも短時間で理解することができるようになりました。 伊藤:一人ずついきましょう。ミワコさん。 ミワコ:私の場合は英語が本当に苦手だったので,英語のノート作りをすごく頑張りました。センターの過去問を20年分,本試も追試も含めて全部解いて,間違ったところは発音の仕方とか構文の使い方とか,自分なりの解説を書いたりしていました。ノートが自分の苦手なところや間違ったところをまとめてある,自分だけの参考書になり,試験の前にも見直したりしていました。精神面の強化は,友達と話したり運動したりすることが好きなので,学校に来たら友達と目一杯しゃべって,暇ができたら走りに行ったり,泳ぎに行ったりしていました。妹をつかまえてバレーボールとか,キャッチボールとか,そういうふうにストレスを発散して,気持ちをうまく切り替えながら勉強していました。 伊藤:すがすがしいね(笑)。自分の言葉でノートにまとめる力は,大学に入ってからものすごく大切な能力になりますよ。大学に行ったら丁寧に板書なんかする先生は少ないから,それを如何に受け止めてノートを作れるかが大事になりますね。ではリカさん。 リカ:私は尚志と,通信制高校とをダブルスクールしていたのですが,勉強が苦手なほうで,始めは尚志のテキストを見ただけでは全く分からなくて。でもこの一年間,一貫して英語と古文を音読するようにしていたんですけど,数学も公式を音読しながら覚えるようにしていたら,だんだん夏頃から内容も分かるようになってきて,リズムがつかめるようになり,それまでは自分で自分の課題を出すことも出来なかったんですけど,勉強に向き合えるようになりました。 伊藤:「自分で自分に対して課題を出せる」というのは,大きな成長ですね。このように,それぞれ工夫したことは活かされるし,各自がいろいろやってみて,自分なりの方法を確立していくことが大事だと思います。 (6)将来の夢,そして後輩へ 伊藤:では,最後に2つ語って下さい。1つ目は「将来の夢」。大学でやりたいことでも,大学を出た後のことでもいいですよ。2つ目は,こうやって話す機会もこの先ないと思うので「後輩に伝えたいこと」。この2つをお願いします。 アヤネ:私は今の時点では,「就職」という意味での夢はまだ定まっていないんですけど,大学では心理とか,社会論とか,人間に関わることに興味を持っていて,将来も何かしら人間と内面的に関われる仕事,まだ漠然としているんですけど,そんな,そして安定した仕事に就きたいと思っています。後輩に伝えたいこと…これは「浪人した後輩」に向けて言うと,私は現役の時,「えっ,あの先輩,浪人したの?」みたいに,浪人することがかっこ悪いとか,いい事じゃないと思っていましたが,実際に浪人してみて,「浪人することって,実はそんなに不幸じゃないな」と思いました。本当は浪人したくても出来ない人もいる中で,自分がどこまでやれるか,もう一回試せるというのは,すごく恵まれた状況だと思いました。自分の考え方や内面も成長できる機会なので,親に迷惑をかけている分,このチャンスをしっかりつかんで,合格することで恩返してほしいですね。成長できる一年間を,本当に充実した一年間にしてもらいたいです。「頑張れ!」という気持ちです。いろんな人に感謝しながら頑張って下さい。 伊藤:それをきっちりできるかできないかが,ものすごく大事だよね。 アヤネ:はい。もう,そのチャンスを活かせるかどうかですね。 伊藤:今日ここに来てくれた人たちは「成功した人たち」ですけど,残念ながら全員ではありません。でも,やっぱりうまくいった人たちの話は参考になると思います。 チグサ:将来の夢は決まってないので,やりがいのある,自分が生涯賭けてやりたいと思える仕事を大学で見つけることが夢です。後輩へは自分を見つめ直し,今まで自分のやってきたことを振り返ってほしいです。出来なかったことばかりではなくて,「ここは出来ていた」とか,自分をほめるのも大事だと思います。浪人ってつらいことだけじゃなくて,苦手教科でもだんだん分かってくると楽しいです。あんまりゆっくりはしていられないですけど,振り返って自分を客観的に見て,しっかり計画が立てられれば,うまくいくと思います。 伊藤:夢は,まだ全く白紙ですか? チグサ:そうですね,今のところは。安定した仕事…。 伊藤:何が「安定」なのかな? チグサ:資格系かな。 伊藤:そうかなあ。「太く短く」もいい人生ですけどね。じゃあ,経済でどんな勉強をしたい? 経済は,やり始めて初めて「面白い」と思いましたけどね。 チグサ:3年で経済・会計・経営と分かれると思うんですけど,まだどれも楽しそうで決まってはいないです。まずは人間的に成長できれば…。 伊藤:そうですか。ではまた何年か後に登場していただいて,お話をお聞きしたいですね。 ツカサ:将来の夢は医療系に行って,人の役に立ちたいと思っています。 伊藤:割とハッキリしていますね。理系というか,技術系ですからね。 ツカサ:後輩に言いたいことは,浪人すると勉強にもしっかり向き合わなくちゃいけないし,大変なんですけど,さっきも「人間的にも成長できる機会」という話があったように,そこでしっかり自分を見つめ直し,いろんなことを考えられる時期だと思うので,その時はつらくても,後々いい経験になると思います。現役生と違ってただ勉強するだけではなく,人として学べることもあると思うので,この一年を無駄にしないで下さい。 伊藤:一年を無駄にしないためのキーポイントは,一言でいうと? ツカサ:目標を明確にして,それに向かっていくことだと思います。 伊藤:目標プラス実行力ですね。 サキ:将来の夢は臨床心理士です。今回の震災で一瞬にして家族が亡くなった方とか,家を失った方のことを考えると,こういう心理系の仕事は被害者のみならず,うつ病などになってしまった人を心理面で支える存在として,社会に必要とされていることを改めて感じ,そういう道に進みたいと思うきっかけになりました。後輩に伝えたいことは,この一年間で精神的にきつかったり,「受からないんじゃないか」と思ったりすることもあると思いますけれども,自分のやりたいことをはっきりと決められなくても,方向性だけでも考え直せる良いチャンスだと思うので,浪人していることを引け目に感じないというか,人の目を気にしすぎないで,自分の勉強したいことをしっかりやってほしいです。 伊藤:ありがとうございました。ここで先生方から,ご助言を一言ずついただきましょう。 渡部:お話を聞かせていただいて,やっぱり皆さんは時間の使い方がうまかったな,と思います。福島には戻ってくる場面や場所が少ないし,それは我々が作らなきゃならなかったんですけど,何かの形で将来,一人でも二人でも帰ってきて,いろいろなことで頑張ってもらえれば嬉しいと思います。 森本:皆さんが合格してくれたことが,私にとっても本当に嬉しいことです。本当にありがとうございました。みなさんの頑張りを見てきて,私たち自身も力をもらったし,あまり力にはなれなかったのですが,また年をとってきても微力ながらみなさんの力になれるように頑張らなければと,決意を新たにすることができました。これからもずっと応援していますので,体に気をつけて大活躍をして下さい。楽しみにしています。 新田:一浪でこういった大学に入るというのは本当にすごいことだと思います。現役の時は「やろうと分かっているけど,実行できない自分」というものがあったと思いますけど,一年間でそのことをやれたのはすごい財産になると思うし,「あの時頑張れたからこれから先も頑張れる」と思うので,この先どんな困難があってもこの一年間を思い出して,人のために頑張ってほしい,と思います。 (7)別れを惜しんで,発言合戦 伊藤:何となく締めが近づいているような雰囲気ですけど,ギャラリーから聞きたいことはないですか? チヒロ:福島高校をこの間卒業したチヒロです。私はセンターで思うように点数が取れなくて,目標を下げたりしたのですが,浪人するにあたってまた目標を上げて頑張ろうと思っています。そこで具体的な質問なのですが,「この期間までに模試判定でこれくらい取る」といった目標があったら教えて下さい。 伊藤:なるほど。答えられる方? アヤネ:判定って,そこまで気にしなかったです。 チグサ:現役の時はずっとE判定だったし。 アヤネ:そうそう,現役のときはすごく気にしていたけど,模試のために勉強しているわけじゃなくて,「合格に向かって勉強を一貫してやっている間に時々模試がある」みたいな意識ですね。着実に毎日やっていたら,判定は面白いくらいに良くなっていったし,センターもそうだった。確かに模試を一つ一つの目標にしていくにはいいことだと思うけど,一番最後の「合格」という目標を見据えて,着実にやっていくことが大事だと思います。 伊藤:どうかな? チヒロ:はい。ありがとうございます。 伊藤:皆さん,大体同感? うん。あんまり「何判定を取る!」とか思って勉強はするものではない気がする。だって,それは自分でコントロールできないことでしょう。「自分でコントロールできること」をまず目標にすることが大事です。しかし,繰り返しになってすみませんが,この方たちの秋の模試結果は本当にすごかったんだから。この結果が現実になってほしいと心底思いましたね,今年は。そのくらい,あらゆる所で大活躍しました。 アヤネ:着実にやっていれば大丈夫,大丈夫。(笑) チヒロ:はい。 伊藤:もっといろいろなことを聞きたかったのですが,もう1時間半以上になっていますので,そろそろ締めにしたいのですが,杉原校長代理が静かに座っていらっしゃるので,最後にぜひ,申し訳ありません,お言葉を。 杉原:皆さんのすばらしいお話を聞いて,感動して胸がいっぱいです。少しだけ話させてもらうと,NHK教育テレビの「テストの花道」という番組,分かりますか? 数名:ああ,見てました! 杉原:そうですか。私,東大生や早稲田・慶応の学生が楽しそうに話をしているのを見ていて,「彼らは合格したから楽しい話が出来るのであって,合格するまでは皆さんと同じようにつらい日々があったのだろう」と思いますね。そのつらい日々を乗り越えて,楽しい勉強ができるようになった感動を伝えるということに,大きな意味があると思いました。「伸びる」「伸びない」の紙一重のところで,もうちょっとやると到達する所で止まっている人と,これを乗り越えた人とで大きな違いが出てくる。そこをどうやって乗り越えたらよいのか。東大理三の合格者の声を,私はいつも読んでいますが,最初はみんなE判定で,苦しんでいるわけです。最初からA判定の人なんか,ほとんどいないんじゃないか。そういう中から自分でつらいことを楽しく変えていくのがドラマじゃないか。そんなすごいドラマを経験できたら,人生何があったって乗り越えられるんじゃないか,と思います。 今回の大震災で,福島県は何十年も大変なことになると思います。その皆さんには「自分は福島県のために,何が出来るのか」を考え,皆さんの力を将来にわたってつぎ込んでほしい。そして,福島県をよくしてほしいと思います。先ほど新田さんも「人のために何ができるか」とおっしゃっていましたが,皆さんが福島県のために力を注いでもらえると嬉しいと思います。 伊藤:ありがとうございます。みんな,話し足りないことはない? リカ:はい! 伊藤:リカさん。 リカ:私は英語が本当に苦手で,添削指導などで英語の久保田先生にはとてもお世話になりました。個別でもしっかり親身になって面倒を見てくれる先生がたくさんいる尚志はいいと思いました。(拍手) ミワコ:私も高校からずっと化学が大嫌いで,尚志に入ってからも嫌いなままだったんですけど,でも嫌いだからと逃げてちゃ駄目だから,猪野先生というスペシャリストを捕まえて化学や数学を,バカにされながら一時間以上ずっと教えてもらったりしていました。苦手教科だからと逃げないで,何時間でもいいから先生を使って,たくさん教えてもらったほうがいいと思います。だってお金も払っているんだし(笑)。 アヤネ:確かにそうだよね。あと,尚志は職員室も近いし,みんなで勉強している感じがあるし。やっぱり尚志はいいと思います。 ユリ:一年間を通して,日本語を3人の先生に教えてもらっていたんですけど,それはさっき言っていた現代文の黒沢先生と,井本先生と,伊藤先生です。小論文が不安だったのですが,先生たちと一緒に,小論文を考える時間が多くなり,苦手でも楽しいと思えるようになったり,愚痴をこぼしてもなぐさめてくれたり。「絶対大丈夫」と言われても,やっぱり自信がなくて,本当に伊藤先生には最後まで支えてもらいました。 伊藤:いやいや,私はたまたまそこに居合わせただけです。でも本当に頑張ったよね。今思えば楽しかったね。 ということで,皆さんいかがだったでしょうか? ためになる2時間近くであったら幸いです。では今日語ってくれた4人と,そちらの3人の方,お立ち下さい。この人たちの門出を祝福し,拍手でお送りしたいと思います。(拍手) これをもちまして,合格者座談会を終了したいと思います。ありがとうございました。 |
北大・筑波・東北・早大等合格者座談会
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2015年3月24日実施 |
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座談会「尚志で伸ばす合格力」
2015年3月24日 13:30〜15:00 尚志学園第2校舎2階にて 出席者 ジュンヤ 北海道大学総合文系,早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修,中央大学法学部法律学科 合格 ユウ 筑波大学人間学群心理学類 合格 ユウキ 東北大学法学部 合格 ギャラリー 多数 講師 杉原長次 尚志学園福島高等予備校福島校 校長(政治経済) 森本裕見子 同 常勤講師(数学) 鈴木威芳 同 大学受験科講師(日本史) 芳賀文香 同「医大生と学ぶマンツーマン個別指導」講師(英語・数学・理科) 司会 伊藤 哲 同 教頭(英語) (1)主役たち,登場 伊藤:これより,難関大学合格者による座談会「尚志で伸ばす合格力」を始めます。まずは杉原校長先生からお話をお願いします。 杉原:みなさん,合格おめでとうございます。またお忙しい中,各先生方にお集まりいただいてありがとうございます。今日はみなさんがこれまで頑張って来られた足跡を,今後の受験生が期待・希望を持てるような内容でお話ししていただければありがたいです。どうぞよろしくお願いします。 伊藤:ここに並んでいる3人の方々が今日の主役です。まずは自己紹介をしつつ,合格大学と,「合格してうれしかった」の次に思ったこと,そしてもう1つは「自分がここまでたどり着いたきっかけ」つまり,みなさんを俄然やる気にした出来事・事件を教えていただきたいと思います。 ジュンヤ:ジュンヤといいます。橘高校を去年卒業して,昨年4月から尚志で勉強しました。合格大学は,まずセンター試験を利用して中央大学法学部の法律学科へ,その次に一般入試で早稲田大学教育学部地理歴史専修コースへ,そして二次試験で本命の北海道大学総合文系へ合格しました。 伊藤:「受かってうれしかった」の次に思い浮かんだことは? ジュンヤ:それはもう「安心感」ですね。これが本当に大きかったです。舞い上がっちゃうとかそういう感覚は全くなくて,「終わったんだな」ということ,つまり大学受験を完結させたということに対してほっとしました。 伊藤:では次に「やる気になったきっかけ」を。 ジュンヤ:正直言うと,現役の時に「落ちて悔しい」という感覚はありませんでした。つまりそれだけ,現役の時は出来ていなかったということです。だからここまで頑張れたきっかけは,悔しさとかではないです。浪人が決まっていろんな予備校を探したんですけど,やっぱりここ尚志に来たときに伊藤先生,森本先生,お会いした先生から安心感を感じ取って,「ここでやっていけばいいんだな」と思えたこと。河合塾のテキストとカリキュラムももちろんですけども,決定的な後押しとして,先生方のお話や誠実さに惹かれたことが,ここまで頑張れた大きなきっかけだと思っています。 伊藤:そう言って頂けてうれしいですね。では次の方お願いします。 ユウ:ユウといいます。県立福島高校出身です。今回は筑波大学心理学類に合格しました。受かったときはというと,家族のほうが断然喜んでいて,私はちょっと呆気に取られていましたが,ジュンヤ君と一緒で安心感が,合格発表の日ではなく,だんだん日が経つにつれ感じられてきました。その後は,「入学までの期間に何かできることはないかな。大学に行ったらこんなもんじゃないだろう,英語とか,いろいろ計画たてなきゃ,ああ,忙しいな」などと思いました。やる気になったきっかけは,やはり現役の時に「落ちた」ということです。D判定で,後期も出願せず,捨て身の状態で挑んだので「あぁ,これはダメだな,やっぱり」と思ったんですけど,それでも生きてきた中で一番の敗北感で,しばらく家に閉じこもって,英語のテキストを最初から読んだりしていました。そうしていないとおかしくなっちゃいそうだったので。 伊藤:悔しさをバネにしたのですね。では次の方。 ユウキ:ユウキといいます。出身校は安積黎明高校です。この度は前期で東北大学法学部に合格しました。合格の直後に思ったことは,今までは受験勉強さえしてれば他のことは家族がやってくれるし,お金の心配もいらなかったんですけど,これから1人暮らしするようになると,生活のすべてを自分でやっていくわけですから,考えることもやらなければいけないことも増えるし,さらに大学生活も慣れるのが大変でしょうから,そういうことを考えたら「あぁ,この先大変だな」って。喜びの時間は少なくて,すぐ不安の方向に行っちゃいました。 伊藤:この3人が主役です。次に,私たち講師側も簡単に自己紹介をしていこうと思います。 鈴木:鈴木と申します。日本史担当で,ジュンヤ君・ユウキ君と一緒に勉強しました。2人とも合格するとは思っていましたけど,やっぱり受かってよかった,と思いましたね。今驚いたのが,ジュンヤ君は北海道大学だけじゃなくて,早稲田大学や中央大学とかにも受かったのですね。これはすばらしいです。このあたりの私大は本当に難しいですからねえ。今日私がこの場に来るのを躊躇したのは,この2人はもう最初から日本史に関しては優秀で,去年のセンター試験も良く,なぜ落ちたのか不思議なくらいの人たちだったので,「私は何をお手伝いできたのか?」と感じているためです。まず,ジュンヤ君は質問がものすごく鋭いです。普通の丸暗記した勉強では出てこないような,別な角度から歴史を突っ込む力があるので,将来楽しみだな,と思っていました。それから,ユウキ君は無口だけれども真面目。なんでもきちんとその通りにやる人です。彼はこの素直さゆえ,必ず合格できると思っていました。実は昔,自分の子どものうち,女の子2人は現役で大学に行きましたが,男の子は浪人し,仙台の予備校に通いました。しかし思うような結果が出なかった。その後,縁あって尚志に来て,こんなに少ない人数なのに,すごい大学にどんどん入る。福島にこんないい予備校があることをもっとよく知っておくべきでした。 伊藤:その担い手がまさに鈴木先生です。では森本先生。 森本:森本と申します。主に掃除を担当しています(笑)。でも毎朝掃除をしていると,床に消しゴムのカスがたくさん落ちています。それだけみんな頑張った証拠ですから,毎日床をみては「いやぁ嬉しいな」の連続で,あっという間に1年過ぎてしまいました。この3人の方の数学を担当させていただいて,今年すごく勉強になったのは「重心が低く,ぐらつかない強さを持っている」ということです。これは論理展開をしっかりできる強みがあるからだと思います。3人は理系ではなく,数学�靴魍悗鵑世錣韻任呂覆い里法ね�系生の考えるようなことが自然に出来ている。これはやっぱり,他教科の勉強をしっかりとして,何をするにも真剣に考え,自分の意見をまとめて,それをどう表現しようかと常日頃から努力されているからかな,と思いました。センター本番ではもっと実力を出してもらえるぐらいのお手伝いが何かできなかったのかな,と思うと,自分の責任を痛感するばかりです。それでも数学を大事に勉強していただいたことに本当に感謝していますし,これからも3人の活躍が楽しみです。3人が頑張っていれば私も頑張れるような気がします。 伊藤:以上お2人が平素授業を担当されていた代表です。実はこの予備校は浪人生だけでなく現役生も夕方通っており,そしてその現役生を教える講師代表として,偉大な医大生・芳賀さんにも来てもらいました。 芳賀:合格おめでとうございます。芳賀と申します。今ご紹介いただいたように,現在福島県立医科大学に通っていて,今度4年生になります。県立福島高校出身で,福島に住んでいます。今の3人のお話を聞いて,「3年前そうだったなぁ」と,懐かしむような感じでいました。 伊藤:今年度,私どもの予備校は志望者の7割以上が国公立大学に受かりました。これは素晴らしい数字です。そしてもう1つ。私どもはこの予備校へ来てくれた人みんなに最初,「君はどこの大学に行きたいの?」と聞きますが,今日ここにいる3人は,そのとき答えてくれた大学・学部,すなわち第一志望に,見事合格した人たちです。相当の難関大学に合格しても,実は第一志望ではない,というのはよくあることですが,この3人は当初の希望をそのままかなえた。これは大したことですよ。 (2)英語攻略法 伊藤:さて,入試には教科があって,それを攻略していかないといけませんので,ここからは教科ごとの攻略法を解明していこうと思います。今年度生の英語と国語は見事でしたね。国語は入学時からでしたが,英語は秋から成績が伸びて,尚志の浪人生の平均が全国の浪人生の平均を上回りました。この予備校に9年間勤める中で初めてのことだったため,本当に感心しました。私も英語担当で,芳賀さんも英語がすごく得意だから,後ほど色々とお聞きしたいのですが,実は英語にはいろんな勉強の仕方があって,私がいいと思っていても生徒には通じないということがよくあります。そこで今日は各自の秘策を1つずつ,「これがよかった」ということを,まず英語に関して語っていただこうと思います。ユウキ君からでいいですか。 ユウキ:勉強法みたいな話ですか? 伊藤:そうですね。「こうやったら出来るようになった」ということを1つ2つ。 ユウキ:現役の時は単語帳やイディオム集ばかりやっていましたけど,浪人してからはむしろ単語帳はあんまり開くことがなくて,ほとんど構文や簡単な例文などを分解し,「これはこうなっているんだな」と考えたり,覚えたり,そういう学習が中心でしたね。実際このほうが,長文の問題を解くときも「この形は見たことがある」と安心して取り組めました。そういう面で,この勉強法は正しかったと思っています。 伊藤:ユウキ君はいつも,すごくよく考えるんですよ。たぶん,自分が「出来た」と思うまでは提出したくないんですよね。私は今年受け持った「英語長文」の授業の終わりに「帰れまテン(10)」という企画で,その場で長文問題を解き,出来た人から答案を出して帰れる,というのをやっていました。後に授業がないのをいいことにみんなを居残らせて,随分ヒンシュクを買っていましたが,そこでユウキ君は結構最後まで居残り,素晴らしい答案を置いて帰ってくれるんです。しっかりとした思考力があり,ただ時間をかけるのではなく,時間をかける価値を分かっている人だ,と思っていました。ユウさんはどうですか。 ユウ:高校3年の秋から尚志に個別指導でお世話になり,医大生に教わっていました。現役のときはセンター試験が近くなっても全然出来ず,ひどいときは模試で「100/200点?うわー」とか思っていました(笑)。そのとき「単語力がない」と指摘してもらったので,長文を読んでいて分からなかった単語を全部覚えていきました。分からなかったところに丸をつけて,その単語を紙にまとめ,ご飯を食べながら,あるいは空き時間に読んでいました。それをしばらく続けていたら8割くらい取れるようになってきて,「本当に単語力がなかったんだな」と思いました(笑)。浪人しても,分からなかった単語を1冊のノートに,「とにかく書いて,読んで」というのをやっていました。単語については,この方法が良かったと思います。あとは,「毎日英語をやること」ですね。例えば英語を10分でも聴くとか,長文を1日1題やるとか。私は今年のセンター試験後,二次試験に向かって勉強しているときは「長文を1日1〜2題は絶対やる」と決めていました。記述の力はそうやってついたかな,と思っています。 伊藤:ありがとうございます。ユウさんはよく職員室に来るので話す機会が多かったんですけど,あるとき「私,センターの英語を取れる自信がついてきました。」と言ってきたんです。それは本当にその通りだったと思いますよ。センターの英語って,きちんと実力がつくと模試でもなんでも,どんな問題が来ても最低9割は取れるようになるんです。そこからは上は難しいですけどね,ちょっとあわてて読み落としたりして。でもユウさんは間違いなくその域に達した人だな,と,この1年接して思いました。英語の基礎を築くのにはいろんな要素があって,簡単ではありませんが,一通り固まってくるとほぼぶれなくなります。ではジュンヤ君。 ジュンヤ:尚志に来て,色々な面から英語を吸収できるようになりました。特に英作文の授業が充実していると思います。英作文を書くという作業は単語・文法・語法が必要で,そこからいろんなテクニックが身につきます。あと,僕も単語帳は使っていなくて,長文で出てきたものをその都度覚えていきました。 伊藤:英作文の授業は,河合塾では「英語表現」というテキストですけど,どんなところが良かったですか? ジュンヤ:やっぱり段階的になっているところですね。 伊藤:あ,最初に整序作文から始まり,次に構文が指定されている短文,そしてフリーハンドでと,だんだん長くなっていくところですか。 ジュンヤ:まず初めに例文が出ていて,先生に「暗記して」と言われます。短いんですけど,単語や文法がどう使われているのかが覚えられるようになっており,その後の問題で,やったことが活かされるようにテキストが作られているところが良かったです。 伊藤:テキストだけではなくて,プリントも出たんでしたっけ? 添削課題ですか? ジュンヤ:そうですね。授業の終わりに,抜き打ちで。 伊藤:それはテキストをさらに応用させたものですか。 ジュンヤ:そうだと思います。 伊藤:テキストの例文なりが活かせるように作ってあると。それは強制なの? ジュンヤ:ええ。時間を制限して,その時間内に解いて出す,という形式です。 伊藤:なるほど,ありがとうございました。 そして芳賀さんは,いろんな現役生を教えて下さっていますが,芳賀さん流の英語攻略法について1つ2つ教えていただけたら,と思います。 芳賀:自分が英語を得意に出来た要因を考えますと,単語・文法・構文を早い時期に何回も繰り返してやり,基礎をがっちり固めたのがよかったのかな,と思います。現役生を教えていても,単語が分かってないと「ちょっとなぁ……」と感じる部分がありました。早めにある程度単語を固め,文法を理解すれば,英文もだんだん読めるようになり,楽しいと思えるようになりますね。基礎は大事だ,と痛感しています。 伊藤:そうですよね。多分今日の主役の皆さんも同感だと思いますけど,英語に関しては「センター対策」は相当後でやりますよね。 芳賀:そうなんです。私もそんなにやりませんでした。 伊藤:基礎が固まっていれば大丈夫かなと。むしろセンター対策といって,あの選択式の問題をいくら解いたって,基礎が出来ていなければかえって遠回りですからね。 (3)数学攻略法 伊藤:次は数学を聞いてみましょう。先ほど,今日の主役たちは「文系生ながら理系生の考えが出来ている人たちである」という話が出ましたが,どういうことですか。 森本:まずは,勉強量が多いということですね。問題を積極的に解こうとしていたと思います。例えば,ユウさんは二次試験に数学を使わないんですよ。ところが「二次向けの添削課題を私もください」と言ってきて,しかも最初に提出するのは彼女でした。英語と一緒で,ユウキ君の場合はちゃんと納得しないと出さないんですよね。だから3枚も4枚も,丁寧に折って持ってきてくれるんですよね。そんなふうに積極的に,記述の難しい問題に臆することなく,3人とも問題量を多くこなしていました。ユウさんは夏休みにも毎日のように「問題は他にないでしょうか,次の問題ください」と来てくださって。2回ずつぐらいやりましたっけ? ユウ:そうですね。 森本:1回目でできないものは,必ず2回やってできるまでやりました。あと,分かりやすい答案を作ってくれるという点に関して,この3人はすばらしいと思います。パッと見て,考えの柱はどこかがよく分かるんです。筋の通った答案で,余計なことは書かないし,自分が納得していないことは決して書かないということですね。 伊藤:ちなみにユウキ君,東北大学の最後の数学は「ベストではなかった」と,チラッと聞きましたが。 ユウキ:「こんなところでつまずくかなあ」という失敗はしちゃいました。 伊藤:でも学習してきたことは活かされた? ユウキ:それはもう,現役の時と比べればはるかに書けたと思います。 伊藤:難しかったんだよね,今年は。 ユウキ:去年と比べると時間に余裕がなかったので,そういう点では難しくなっているのかな,と感じました。 伊藤:なるほど。ただその分,英語とかで取っていると思いますので。国公立はトータルの勝負なので,他でしっかり取れたのではないでしょうか。 ジュンヤ君も,今回の「センター数学�僑臓廚旅喃箸鯣羈單�うまくクリアしたと,点数的に私は思っているんですけど。 ジュンヤ:数学に関しては全く自信がないです。何にも言えないです。 伊藤:ユウさんの努力の話もたくさん出ましたが,どうですか? 思い出でもいいし,「やってきてここがよかった」とか。 ユウ:数学を大嫌いではなくなったかな,と思います(笑)。 伊藤:それは大きな成果だと思います。芳賀さんは今年のセンター問題,見ましたか? 芳賀:�僑造�難しくなったんでしたっけ? 伊藤:何か感じたことは? 芳賀:自分も3年前に受けた�僑造�難しくて全然取れなかったので,「3年越しに来たな!」という感想です。でもやっぱりいくら難しくなっても,解ける人は解けるんですよ。傾向が変わったな,とは思いましたが,「土台ができていれば決して難しくはない」と感じたんですけど。 伊藤:指導する立場としては「土台の部分をしっかり築くことに力を注ぐ」という感想ですね。 芳賀:パッとみて難しいと思っても,よく向き合って考えれば糸口はあるから,そこから考えていけばいいと思います。 森本:芳賀先生に質問してもよろしいでしょうか? 芳賀:はい。 森本:数学の受験勉強は,どんなふうにやっていましたか? 芳賀:私の場合は後期試験だったんですけど,前期で受験した子は「数学は難しいから,完璧に解こうとするのではなく,部分点だけでも取って,取りやすい数学以外の教科で稼ぐ」という友達が多かったです。私自身はチャートの例題だけをひたすら繰り返して,解けなかった問題や時間のかかった問題を分け,何回か繰り返して解きました。 森本:学校の先生に質問はよくしましたか? 芳賀:分からない問題はたまに聞いていました。あと,3年生の時のクラスに「理系オタク」といいますか,数学や物理を愛する人たちがいっぱいいたので,けっこう友達同士で分からないところを聞き合っていましたね。それでだいぶ刺激される面もあったと思います。 森本:ありがとうございました。 伊藤:「理系オタク」って,男女ともに? 芳賀:男子が多かったです。私は「学校に残って勉強する派」でしたが,同じように残っているメンバーにそういう人たちがそろっていたので。その人たちは,英語はダメだったんですけど,理系教科は頼りになりました。 伊藤:灘高とか,そういう雰囲気があるらしいですね。そういうクラスは貴重ですね。あと,今お話があった「解けなかった問題に印をつける」のは私もやっていましたけど,「時間がかかった問題にも印をつける」というのはすごく参考になりますね。特に数学の場合「どこまで自分で考えるか」という見極めが大切ですから。 森本:確かに「ずっと考え続ける」のはいいことだと思います。ご飯を食べているときとか,寝る前とか,ずっとその問題が離れない。でも受験数学で考えると,やっぱり勉強時間は1分たりとも無駄にはしたくないですから,「私だったらこれは30分以内でやり切ろう」とか,とりあえず時間を区切って,あとは方針をチラッと見たり,人に聞いたりして,有効に時間を使わないといけない時もありますね。その後大学に行った場合に「とことん考え抜く」という時間があれば,ぜひやったほうが良いと思います。これはすごく楽しいことなので。 伊藤:ありがとうございます。では芳賀さんにも,時間のかけ方について聞いてもいいですか? 芳賀:私はけっこう負けず嫌いだったので,分からないところがあるとずっと考え込んでしまうタイプだったんですけど,今思えば受験勉強は時間がないので,例えば「10分考えて分からなかったら諦めて解答を見よう」などとやっておけばよかったかな,という反省もあります。 伊藤:まあ,実際のところ「バランス」ですよね,ぜひ参考にしてください。私がいつも言っていることですが,「自分の力で解いた経験」の蓄積が実力になっていきます。解答を見てしまうと実力にはならない。だけど,例えば数列あたりで,自分で解こうとするといたずらに時間を食うときがありますので,解法をある程度覚えるのも必要だと思います。 さあ,ギャラリーの皆さん,このあたりで今日の主役たちへぜひ質問してください。 ギャラリー:今年のセンターでも数�僑造脳任辰真佑�結構いると思いますが,その場合どうやって試験時間中に立ち直ればいいでしょうか。 伊藤:答えられる方は? ユウキ:解決法というほどではないですけど,あくまで体験談としては,全体を見ていると「あ,これも分からない!」と焦ってしまうので,「最初の問題くらいだったら出来そうだ」という分野を見つけて,そこに集中し,終わったら次に出来そうなところを,とやっていくしかないですね。 ジュンヤ:確かに1つの分野にこだわると,その後の分野で解ける問題があるのに,解き逃すことがあるので,問題を一通り見て,目が止まったところから解きますね。 (4)国語攻略法 伊藤:冒頭で言った通り,今年の大学受験科生は国語に関して入学時から抜きんでていましたから,それぞれの秘策を是非ともお聴きしたいと思います。ユウさんからいきますか。 ユウ:センターの国語はある程度テクニックが必要で,古文が苦手だったので私は「漢文→評論→小説→古文」の順に解いていました。尚志に入ったとき「自分は何も知らない」という感覚で,つまり「知ってるよ」ではなくて「もう一回やろう」という気持ちで前期に基礎を積み上げたことが,センター試験につながったのかな,と思います。古文も英語と同じで,分からなかった文法と単語をノートに書き残し,テストの直前にちょっと見る,というのを続けていました。あとは演習をこなせば,それなりの点は取れると思います。 伊藤:ありがとうございます。ゼロから出発して基礎を築き直すことと,演習を繰り返すことがポイントのようですね。ジュンヤ君は? ジュンヤ:最初は1つの文章で分からないところは止まり,徹底的に分解して理解しようとしました。でもそれを繰り返している中で「これは文章の中で大事ではない,枝葉末節の部分だ」など,自分の要領の悪さに気づくときがありました。こうした作業の試行錯誤を通して,少しずつ読むスピードが上がってきたように思います。 伊藤:「掘り下げつつ全体を見る」「全体を見つつ掘り下げる」という,全てに通じる「ジュンヤ流」のやり方があるんですね。ユウキ君は? ユウキ:英語と若干似ているかもしれないですけど,僕は現役のとき散々「古文の単語」だとか「漢文の句法」とか「よく出る漢字」とか,そういうものばかりやっていたので,浪人生活ではそれまで圧倒的に足りなかった「実戦演習」を重視していました。文章を読んで分からなかった単語はその都度覚えますけど,基本的には2人も言ったように「慣れる」経験が浅いと,コツが掴めなくて慌ててしまいます。あと現代文は未だに苦手意識がありますね,人よりも読むのに時間がかかったりして。あるとき,自分の興味がある分野だったらスラスラ入ってくるけど,興味のない分野は「あ,もういやだ」とすぐに思っちゃって,内容が頭に入ってこない,ということに気づきました。そこで例えば,ニュースでよくやっているようなテーマの本や新聞を読んで,浅くですけど(笑),「あ,これはどこかで聞いたことのある話だ」というのを増やしていくようにしました。古文も単語や文法は大事ですが,それだけではどうしてもうまく読めないことがあるので,気休めかもしれないですけど,有名な「源氏物語」「枕草子」「徒然草」などは日本語訳が図書館に置いてあるので,全部じゃないですけど,サラッと読んでいました。実際それで「あ,これは読んだやつだ」というのが5〜6回ありました。また,漢文は「政治はこうあるべきだ」「こうすればいい」など,教訓じみた話が多いので,流れを予測して「だいたいこういう結論に向かうんじゃないか?」という見当をつけると読みやすいかな,と思いました。もちろん,それだけじゃダメなときもありますけど。 伊藤:おもしろいですね。今の話の1つ1つが「そうだな」と思います。3人に共通する点として,ある程度の「量をこなす」ことはとても意味があると思います。それだけでも随分出来るようになりますよ。 (5)地歴公民科攻略法 伊藤:次は地歴公民科ということになっていくと思うんですけど,実はこの方々は正真正銘のスペシャリスト,「こんなに地歴公民が出来る人は見たことがない」というぐらいの人たちです。その意味で,後輩たちに地歴公民に関する秘話を何かしてもらえればうれしいのですが。先に鈴木先生からでいいですか? 鈴木:私も高校の時は社会が得意でした。高校3年のとき,社会の先生に紹介された専門書を読んで「歴史って,こういう勉強の仕方があるんだな」ということを学びまして,「大学受験の勉強」というよりは,興味・関心を持ってやった感じです。まず覚えることは覚えて,基本的なことがらや流れをきっちり頭に入れる。それを繰り返してやっていけば,自ずと出来るようになると思います。そして100点を取る必要はない。問題で出てくるものはみな,どこかで見たことがあるはずだから,あとはいかにそれらを結びつけられるかです。あと,興味・関心をもってやる人は得意になるだろうと思いますね。そういう意味ではジュンヤ君がまさにそうだったね。彼は受験的解答だけでは満足できない,「なぜこうなのか?」「裏にはこういうことがあったのではないか?」ということを絶えず疑問に持てる人だったので,「素質あるな!」と思っていましたね。ただ彼に限らず,みなさんすごいですよ。今年はいつもと違って最初から平均点が高かった。予備校は同じ学校から来る人ではないですから,もちろんレベルも違うし,模試の点数も高い人から低い人までいますけど,そんな中で集団としてこれだけのスコアを取れたのはすごいです。みなさんの努力と,テキストのおかげなのでしょうね。 伊藤:ありがとうございます。ではジュンヤ君,地歴公民のおもしろさを語ってください。 ジュンヤ:日本史に関しては高校の頃から受験のための知識の詰め込みが本当に嫌で,学校のテストもそんなに良くなかったです。高校は1個1個教えますけど,その間の説明があまりなく,そこが疑問で,「それはこういう話なのかなー」と,自分なりにストーリーを作っていきました。そして尚志に来て,鈴木先生の歴史のちょっとしたエピソードなどを聞き,「つながっていく」ということにおもしろさを感じていったのです。まあでも,現役生と違って時間はあるので,興味のおもむくままにやっていた感じですね。覚えようとして覚えるのではなく,「こういうことなんだ」「ん?」と,止まりながら聞くことで勝手に覚えている。覚えようという意識でやると,逆に忘れちゃう。だから歴史も考えた方がいいと思います。 伊藤:ありがとうございます。深いなぁ! ユウキ君はどうですか。 ユウキ:ほんとにジュンヤさんの話はすごいなあ! 正直言うと,僕はそこまでガッツリ掘り下げる感じではなかったんですけど,もともと地歴公民は,自分が一番リラックスしてできる教科です。つまり,「好き」ということです。僕の最終的な受験科目は日本史Bと倫理・政経でしたが,最初の頃は地理をやっていました。日本地図を見て「この土地にはこういう文化がある」とか,地図帳を見て「特産品はこれ」などとやっていたのですが,そのうち歴史のほうにも目が向いてきて,「この人がこういうことをやって,ここでこれがあったから今こうなっている」などと関心が広がっていきました。そうしてつながりが分かると面白くなり,また興味をもって調べて…… ジュンヤ:どんどん気持ちよくなっていく。 ユウキ:そうですね。 伊藤:ユウキ君が一番印象深く経験したものは何ですか? 「何時代の誰」とか,もうちょっと具体的に教えてもらえますか。 ユウキ:きっかけは,漫画の「三国志」が学校の図書室にあったことです。そこから自然と興味が広がっていった感じですかね。 伊藤:それは日本史というよりも中国史ですね。 ユウキ:はい。でも世界史は取っていなかったので,そっちのほうには広がらなかったですけど。 伊藤:そうですよね,両方やっていれば見事につながるんですけど。 ユウキ:本当はどっちもやりたかったんですけどね。 伊藤:そこは寂しいですよね。 ユウキ:政治・経済は,数ある教科の中で僕にとって一番身近に感じられるといいますか,「社会がどういう仕組みになっているかを知って暮らしたい」という気持ちで臨んでいました。何も知らずに過ごすのはやっぱりもったいないですから。 伊藤:校長先生,授業を持たれているので,付け加えることがありましたらお願いします。 杉原:政治・経済は,今の世の中を生きていく上で必要ですよね。そして,経済が分からないと自分の将来の姿が見えてこない。だから大事だと思いますね。 伊藤:ユウさんは? ユウ:歴史は本当に面白いと思います。自分と同じ感覚を持った人間が,自分が想像もつかない時代にいて,その国の仕組みが当たり前だと思って生活し,結婚したり,家を建てたりして生活していた,と思うとすごく不思議な気持ちになります。でも,歴史の教科書は「誰が国を作った」「誰が反乱を起こした」とか書いてあるだけで,何でこんなに面白くない本なんだろうって(笑)。人間味が全然伝わってこない,ただの活字ですね。私は世界史と倫理を勉強していたんですけど,元々は日本史が好きだったんです。小学校の頃から大好きで,高校2年生のときまでは日本史をやっていました。でも3年になったときに「日本史はこれからもきっと自分で本を買って勉強する。でもそういえば私,世界史を全然知らないじゃん? 今の内にやっておこう!」と思って,世界史を選択しました。興味を持つ分野や,「好きな人については何でも知りたい」といったような,何だかアイドルの追っかけみたいで変ですけど(笑),そんな気持ちを大事にしてほしいです。 森本:私も元々日本史が大好きで,ユウさんに「徳川15」という本を借りたんですけど,もうこれが面白くて(笑)。ユウさんのおかげで,そういう楽しい経験をさせてもらいました。「点を取りやすいか」ではなくて,そういう問題意識で自分から世界史を取っていたんだ,なるほど,と思いました。すごいですね。 伊藤:今「日本史と世界史は両方知るべきだけど,それが出来ない」という話をした矢先に,ここに両方学んだ人がいました。ユウさんが高3でわざわざ世界史を知ろうとして今に至る,というのは本当にすごいことです。こうして,興味は限りなく広がるわけです。 さて,ギャラリーのみなさんから質問があればどうぞ。 ギャラリー:僕は理系で,これまでは地理をやっていて,これから文系で勝負するかどうか検討しているところですが,地歴公民をもう1つやる上でオススメがあったら教えていただきたいです。 ユウ:私の友達もまさに同じ状況でした。彼女は新たに世界史をやったんですけど,地理をやった人は世界史にすごく強くなる,というのを,彼女と学ぶ中で知り,「私も地理をやっておけばよかったな」と感じました。やりたい分野はないんですか? ギャラリー:特には……。 伊藤:人との出会いと同じで,科目との出会いも1つの縁ですよ。「これ,やってみよう」と思ったら,とことん突っ込んでいきましょう。 (6)ギャラリーとの質疑応答 伊藤:みなさん,折角なのでぜひもっと質問を。 ギャラリー:尚志で使用していた問題集以外に,何か使っていましたか? 伊藤:この質問はお1人ずつお答えください。 ジュンヤ:正直言うと,使ってないです。短絡的ですけど,「河合塾のテキストは,受験に関してちゃんと分析している人たちが作っている問題集だから」と全面的に信用して,それに委ねてやっていました。そうしたら,テキストがなぜこのように作られているか分かってきました。ますますテキストへの信頼が高まり,それだけをやり込みました。 伊藤:それはすべての教科で? ジュンヤ:はい。ただ,「もっと詳しく知りたい」と思ったときは,高校でもらった資料集を活用しました。問題を解くのは全部河合塾のテキストだけ。 伊藤:それで十分だったの? ジュンヤ:本当に十分でしたよ。 ユウ:ほとんど同じ意見です。私も,ここのテキスト以外は使ってないです。いろいろな問題集が自分でこなせる人は,予備校に来ないんじゃないかと(笑)。特に英文法は細かいところまで何回もサブテキストを読んで,大事に大事にそれだけを使ってきました。 ユウキ:2人と同じように,問題を解くことに関しては河合塾のテキストだけをやりました。でも僕の場合は数学で,どうしてもテキストを見ているだけではイマイチよく分からなくて苦しむところがあって,そういう時はテキストよりももっと基礎的な,黄色チャートなどを見て,テキストと照らし合わせていました。 伊藤:必要なときだけ? ユウキ:そうです。 伊藤:河合塾のテキストで分からないとき,チャートを見たら解法が出ていたりするんですか? ユウキ:すぐには分からないときもありますけど,一番の基礎となっているところだけでもチャートで復習した上で,テキストに入るのは有効です。 ギャラリー:すごく漠然とした質問ですけど,何でみなさんは勉強するんですか? 校長:それは受験勉強? ギャラリー:受験勉強も含めてなんですが,何で人間は勉強をするんですかね。 校長:やっぱり勉強する人は知的好奇心が旺盛で,いろんなものを知りたい・分かりたいと思っています。そして1つを知ると「もっと知りたい」という欲が出てくると思うんです。そうすると,嫌々やっていないから楽しく勉強できるんだよね。受験も同じで,「これはこういう解法だな」とか「この問題は受験生にこれを試そうとしているんだな」などと,問題の意図が見えてくると,勉強はすごく楽しくなると思うんです。 伊藤:人は「知らない」という自覚があって初めて,知ろうとするのかもしれないです。だから,自分が「今何かを知らないか」という状況に気づくことが大事です。 鈴木:「何で勉強するのか」という質問は, 恐らく「勉強させられている」意識の表れではないかと思います。点数を取らなくてはいけない,良い大学に入らなくてはいけない,確かにそれは分かる。だけど,さっき校長先生がおっしゃったように,勉強していくと「あ,そうだったのか」そして面白くなって「何でこれがこうなのかな」と思ってくるようになる。自分から入り込める勉強は力がつくんじゃないかな。ただ単に暗記するとか,点数を見て喜ぶとか悲しむとか,そういったことではないと思うんです。興味でやっていくと土台ができて,さらに新しい疑問が生まれる。だから,まず勉強してみて新しい発見をし,その喜びを味わうことが一番大事だと思います。なにかきっかけがあればいいね。 伊藤:あっという間に時間になりましたので,座談会をこれにて終了します。ありがとうございました。がんばってください。みなさんの成功を祈っています。(一同拍手) |
福島県医大・東北大・慶応大合格者等座談会
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2017年3月23日実施 |
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座談会「尚志で伸ばす合格力」
2017年3月23日(木)13:30〜15:00 尚志学園福島駅前新校舎 303教室にて 出席者 リサ 福島県立医科大学医学部 合格 ルオ 福島県立医科大学医学部 合格 アオ 東北大学工学部建築社会環境工学科 合格 ケイ 慶應義塾大学理工学部学門2 合格 ギャラリー A,B,C,D,E(それぞれ福島大学 合格) 質問者 1,2,3,4 講師 稲月あかり 尚志学園講師・福島県立医科大学医学部新2年 (英語・数学・国語・化学・生物) 司会 伊藤 哲 同 教頭(英語・小論文) 1 主役たち、登場 伊藤:今日は多数の方においでいただきありがとうございます。これより「合格者座談会2017―尚志で伸ばす合格力―」を始めたいと思います。「尚志に来て、こういう力がつき、合格に至った」という話がたくさん聴けることを願っています。今日はちょうど午前中に「合格祝賀会」を実施したところでして、お友達もギャラリーに多数そろっていますが、まずは輪の中に入った方々に、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。最低限、「どこへ進学することになったか」と、「俄然やる気になったきっかけ」を盛り込んでもらえると有難いです。では急ですみませんが、ケイ君から。 ケイ:この春から慶應義塾大学理工学部に進むことになりました、ケイです。僕がこの1年でやる気になったきっかけは何回かありました。最初は「数学を自分に合ったレベルでもう少しやりたい」と思った時に、数学の森本先生が問題を与えてくださったことです。その次は、この4人で集まる機会となった数学のサークルです。先生の助言をもらいながら、一週間考えた問題をみんなで協力して解こうとするのですが、これは自分のモチベーション維持にすごく役立ちました。他には、苦手意識のあった国語を、友達と集まって一緒にセンター対策したことが、国語をしっかり学ぶことにつながってよかったです。最後は、逆説的になるのですが、センターで思ったほど点が取れなかったことが、その後の入試本番までの大きなエネルギーになって、最後1か月頑張れたように思います。 伊藤:ありがとうございました。こんな調子で宜しくお願いします。 ルオ:福島県立医科大学医学部に進むことになりました、ルオです。この1年でやる気になるきっかけになったことの1つめは、東北大の過去問を解いて、森本先生に添削してもらったことです。これでモチベーションが上がりました。2つめに、東北大オープンの模試を受けたことで、自分が合格のレベルまでまだ全然達していないのをしっかり認識するきっかけになりました。3つめに、ケイ君が言っていた数学のサークルも、モチベーションの維持に大きく関わりました。 リサ:福島県立医科大学の医学部に進むことになりました、リサと申します。やる気になったきっかけは大きく2つあって、1つめは、去年の受験に落ちたということです。去年の受験までの1年は、私の中では一番頑張っていて、模試もそこそこ良かったので、「行けるかな」と思っていたのですが、二次試験がまったく歯が立たず、結局ダメでした。そのとき、「自分の中で頑張っただけでは結局自己満足にすぎない。行きたい大学に行くためには、どういう内容の問題をどの程度解けなければいけないのかを考えながら勉強していかなければいけない」ということを身にしみて実感したので、春からちゃんと気合いを入れて勉強できました。2つめは、いま前の2人から話のあった、4人で集まった数学のサークルです。始まったのは12月、ちょうど「全統センタープレテスト」があまり良くなくて、結構落ち込んでいたときでした。それまでにないくらい真剣に問題を考え、自分が辛いときに他の3人が頑張っていることを起爆剤に、すごく頑張れました。以上です。 アオ:東北大学の工学部に合格した、アオです。入学した頃は、あまり気が入ってなかったように思います。しかし「添削をやる」という話が出たときに、「ちゃんとやろう」という気持ちに切り替えることができました。その後、ケイくんから「センター試験の問題をみんなで解こう」という話が持ち上がったときにそれに参加することになって、それからセンター試験を意識して過ごすようになりました。あと、やっぱり同じになってしまうんですけど、数学のサークルに誘ってもらって、それが難しく、悔しかったのも原動力になったと思います。 伊藤:はい、ありがとうございました。この4人が今日の「招待選手」ということになります。ちょうど福島民友新聞さんがそこにいらっしゃいますが、民友さんはじめ各新聞に、この4人の「合格者の声」を掲載したところです。次は、こちらにいらっしゃる稲月先生に自己紹介をお願いします。 稲月:私は福島県立医科大学の、今度2年生になります、稲月あかりと申します。私も浪人を経験しているんですけど、もともと他県の出身で、尚志学園の出身ではないので、むしろ外の視線で何かあればお話ししようと思っています。宜しくお願いします。 伊藤:ありがとうございました。追加しますと、稲月先生には昨日「センター英語」の入試分析会を担当してもらいましたが、来てくれた人はいますか? (多数挙手) 去年の5月からここ尚志で講師をやってくださっています。主に平日の夕方と土曜日に実施している授業で、「医大生と学ぶマンツーマン個別指導」というのがありまして、たくさんの現役高校生が来ていますけど、その講師をお務めで、その他にも夏・冬の講習会など、いろいろやっていただいています。京大の総合人間学部を卒業された後に医学の道を志された方で、我々にはない豊かな経験をお持ちです。 ここでこの1年間を総括しますと、今年度の大学受験科は同期生が50人余りでした。そういう中で切磋琢磨し、このたび「超難関」という所にこの4名が受かりました。本当におめでとうございます。そしてその後ろ側に、見事に福島大学に受かった5人がすわってくれています。嬉しい限りですね。福島大学には、今年15名の合格が出ました。私が尚志に勤めて以来、最高の数字です。もちろんその昔はこれ以上いたと思いますけど。ともあれ、これだけ小規模な予備校ながら、合格者が見事にそろったことにはどういう秘密があるのかを、今日の座談会で解き明かしていきたいと思います。稲月先生にはぜひ客観的な目で、尚志のよいと思われる所や、よそで行われている別のやり方などを、これまでの経験も踏まえて率直にご指摘ください。そして、ギャラリーでお聴きの皆さんにも時々質問しますので、各人の秘密を引き出してもらいたいと思います。 2 「ハイレベル数学サークル」 伊藤:先ほどからお話が出ているこの4人の方は、私が勝手にネーミングした「ハイレベル数学サークル」のメンバーでした。ただ、主催者の森本先生が「今日はちょっとこの場にいると濃くなるから」と言って退室されましたので、皆さんの口からその様子を伝えて欲しいと思います。私も傍から、頼もしく思って見ていました。もっと前からやっていたように錯覚していましたが、リサさんが言ったように、始まったのは12月の「全統センター試験プレテスト」の後なんですね。それはどんな経緯でリサさんの所に話が来たんですか? リサ:その「プレテスト」の数日前だったと思います。この4人が呼ばれて。 伊藤:あ、4人がいきなり呼ばれた? リサ:そうです、急に。私は何も知らなかったんです。それで「プレテストが終わった次の週から、同じ問題を4人で解いて話し合ったりしませんか」というようなことを言われ、その場で問題を配られ、予定を決めました。 伊藤:変な言い方ですけど、タイミング的には不安はなかったですか? 12月くらいになるとセンター試験が迫ってくるので、2次試験の勉強をやめてセンター試験の勉強に特化する人が多いじゃないですか。アオさんは不安はなかったですか? アオ:僕の場合はさっき言ったように、センター試験の演習をするサークルを別にやっていたので、焦りはありませんでした。「勉強をセンターだけに特化する」というのが、それはそれで僕には不安で、少なくとも年内はどちらもやりたかったから、ちょうどよかったと思います。 伊藤:今の点はルオくんも同じですか? ルオ:はい、僕も2次の勉強もちゃんとやりたいと思っていたので、12月に入っても2次の勉強と、センターの勉強と両方の機会があったので良かったです。 伊藤:ケイくんも同じですか? ケイ:同じです。 伊藤:よく我々の予備校ではテキストを使った授業が11月に終わると、12月は何となくセンター一色になりがちで、そういう点では、今年そこにみなさんの力で違う風を吹かせてもらったことは、我々にとってもすごく新鮮だったし、大きな効果があったと思います。最初は先生から話が来たと。 ケイ:はい。僕は先生にプリントをもらっていたのですが、この4人もたぶん同じような問題をやっていて、そこでの対話を全部森本先生がやっておられて、それよりも様々な方向からアプローチがあったほうが良いのではないかということで……。 伊藤:あ、分かった。結局「1対1」が4つ、もしくはそれ以上あったんですね。それを一本化するというか。 ケイ:そうですね。それまで無駄も絶対にあるじゃないですか。 伊藤:先生としては同じことを説明しないといけないとか? ケイ:それ以上に、同じ問題をみんなで一緒に考えるのは大切だということです。 伊藤:ということは、先生から教わる以上に、仲間から教わることが多いということですね。 (一同大きくうなずく) ルオくん、それはどういうことですか? ルオ:自分たちで解いた答案を先生に添削してもらうのも勉強になるけど、他の人の別の答案を見ることで更なる学びになるから、それを共有しようということで、良いサークルになりました。 伊藤:よく分かりました。少し質問を変え ます。アオさん、このサークルでの「思い出の一問」は何ですか? アオ:僕は一問、全く歯が立たず、本当にぜんぜん進まなかったやつがありました。 伊藤:ちょっとそれを、全く問題を見てない人にも、分かるように説明してもらえますか。 アオ:うーん……ちょっと説明は難しいです。それが、「こんなもん、全く解けねえよ」と思って持って行ったら、周りの人が解けてたんですよ。 伊藤:3人とも? アオ:完全ではないにしても、けっこう。「もうこれは繰り返したくない」と思って。 伊藤:それはこたえますね、凹みますね。 アオ:それから、より真剣にやるようになりました。 伊藤:でもどんな科目でも、人に解けて自分に解けないということはありますよね。リサさんにとっての思い出の一問は、きっと違う一問ですね? リサ:積分の非回転体の体積を求める問題でした。私はそれまで分からなくてもせいぜい1〜2日で諦めてたんですけど、それは5日間くらい、本当に夢にまで出てくるくらい考えました。でも結局分からなくて、それで持って行ったら3人は出来ていて、それで自分は頭が固いというか、柔軟な発想が出来なかったことが悔しかった。それで、そこからはもうちょっと視野を広く取って問題を考えてみようと思うようになりました。 伊藤:これ、おもしろいので最後までお聞きします。ルオさん。 ルオ:集まって一番最初の問題だったんですけど、軸上で円が動いて、そのグラフの交点の数を解く問題だったんですけど、「これは絶対この解き方しかないだろう、他のやり方は考えられない」と思って来たら、みんなは各々違う解き方をしていて、「自分の引き出しが全然少ないなあ」と感じました。そのことがすごく印象に残っています。 ケイ:僕にも「1人だけできなかった問題」がありました。確率の問題で、難しくはなかったんです。でもケアレスミスをして、その回の話題に「1人だけ入れてない感」、つまり、考え方は合っていても、もう土俵に乗れてない感じがして、ものすごくこたえました。 伊藤:いやいや、すみません。「思い出の1問」は見事に「自分だけ出来ず、こたえた1問」になってしまいました。逆に、「してやったり」の1問はないですか? ケイ:確かに、ルオ先輩の解き方ではない解き方で解いたとき、「してやったり」とは結構思いましたが、それよりはやっぱり、出来なかったときの印象が強いです。 伊藤:そのときは、「ルオ先輩より自分のほうがうまい」と思いました? ケイ:あー、思いました。でも、そこよりはミスの方が響きました。 3 苦手科目の克服 稲月:なんかさっきから、福大に受かったギャラリーの人たちが、数学の話を聞きながらざわついていたんですけど、私は数学がめっちゃ苦手で、この4人の話を聞いていたら「自分は絶対無理、入れない!」と思いました。数学、もともと得意なんですか? 毎回毎回、結構数学の問題を楽しんでやっていたと? 伊藤:ルオくんはわりと自信を持っていたようですけど、あとの人たちはどうですか? ケイ:そういうわけではないです。好きですけど。 稲月:逆に数学が苦手な人たちの意見も聞きたい。その苦手をどう克服していったかとか。この4人のメンバーじゃないかもしれないですけど。 ケイ:A君がいいんじゃない? 数学が一番伸びたから。 ギャラリーA:現役時のセンター本番は、�毅繊Ν僑造匹舛蕕癸械亜腺苅暗逝罎世辰燭鵑任后�でも、尚志に来て、どの先生もすごく親身になって教えてくれて、とくに森本先生は授業が終わったあとに毎回課題を出してくれるんですよ。最初はとにかく「出されたからやってみるか」という気持ちでやっていたんですけど、やっているうちにだんだん数学が楽しく感じられてきて、最後の方は「この問題、解けたら嬉しいな」と思いながらやっていました。今年1年は数学を楽しんで出来たから、上がったんじゃないかと思います。 伊藤:すごいね。 稲月:他に何か苦手科目を克服した経験はありますか? 数学以外にも「苦手だったけど、今年1年で一番伸びた科目」はありますか? ケイ:現役時に、物理がすごく苦手で、友達に「模試の答えを見せて」と言われて渡したら、そこに自分の点数を書いちゃっていて、友達がそれを見て「おまえ、これだけしか取れてないのか」と言われ、そこから勉強したのは覚えています。 伊藤:そういう心ない人がいたんですか?(笑) ケイ:そうですね。でも、結局そいつにも最後は勝つことができてよかったです。(笑)あと、浪人時は「苦手科目は?」と聞かれても、「ないです」と答えるくらいに、全部ある程度出来ていたんですけど、でも点数は足りない、という状況でした。そこで、一回やれば出来ることでも、繰り返して「すぐ出来る」ようになることを目標にしていました。例えば化学だったら、「この反応は何?」「色は何?」とか、そういうのを繰り返した1年でした。 伊藤:「合格体験記」にも書いていましたね。「授業でやった問題は、すぐに答えが出るまで繰り返した」って。それがケイ君の勝因ですね。 ケイ:でも、それに気付いたのは後半、ほんとに最後のほうでした。 伊藤:いやいや、これは役立ちますよ。やっぱり「考えて出来た」で終わっていては駄目なんですね。「スピーディーに出来るように鍛え上げる」というところが大事だということです。 ルオ:僕が苦手だったのは地理なんですけど、結局克服出来なかったので、何とも言えないです。 伊藤:以前に、「ルオ君はこの仲間の絆が深まったころ、地理の克服法をケイ君に尋ねた」という話を耳にしました。どんなことを尋ねたんですか? ルオ:「どんなことを根拠にして問題を解くかが大切だ」というようなことを教えてもらったように思います。点数に結びつけることは出来なかったですけど、そういう周りからの意見を参考にし、それをもとに勉強したことは、この1年の素晴らしい経験でした。 伊藤:リサさん、同じ質問ですが「苦手克服」に関して。 リサ:さっき「数学が得意」な仲間に加えていただいたんですけど、私の中では数学は一番苦労した科目です。私は3年間尚志にいたので、今年は最初から出来たんですけど、ほんとに入りたての頃は、模試も全く取れなくて、授業にもついて行けなくて、という感じでした。そのころは問題を見て自分に出来なそうだと、「まだそこまで学力がついていないから、いいや」と諦めていました。それをある時から、「分からなくてもとりあえず解いてみる」ということをするようになりました。そうするとやっぱり、最初から諦めるよりも、解けないから悔しい気持ちになり、解答を見ても、すぐに諦めたときよりもちゃんと頭に入ってきます。最初はつらいんですけど、これを続けているうちに、まがりなりにもちょっとずつ答えが出るようになってきて、それを繰り返していたら、今度はちょっとずつ答えも当たるようになってきて、それまで解答とかを見ながらやっていたのとつながってきたように感じられました。それでちょっとずつ楽しくなり、最終的には、解けることが楽しいだけではなくて、「これはこういうことを聞いているんだ、問題自体も面白いな」と思えるようになってきました。今も「数学大好き」というほどではないんですけど、苦労して克服出来たところだと思います。 伊藤:今おっしゃってくれたように、私はリサさんを3年間見ていたつもりですけど、1年1年進化していくんですよ。これは出来るようで出来ないことです。センター試験の得点も毎年100点ずつ、着実に伸ばしていった気がします。記憶違いでないとよいのですが(笑)。浪人は高校で学んだことの復習・繰り返しに思える人もいるかもしれませんが、それを「着実に進化させた」というのは、なかなか真似できない点だと思います。 アオ:分野別の話になってしまうのですが、僕は数学の確率が極端に苦手で、何を言っているのかも分からなくて、去年は、見た瞬間捨ててしまうぐらいに出来なかったんですけど、それを森本先生の添削で、一時期ひたすらやらせてもらって、それで苦手意識はなくなったというか、食わず嫌いではなくなったというか、見ただけで捨てるという感じではなくなって、「とりあえず解いてみる、やってみる」、その一歩が出るようになったと思います。 伊藤:たまに聞きますけど、確率はどこかから急激に難しくなるんですよね。分野として、難問が多いんですよ。違いましたっけ? アオ:いや、自分の場合は、かなり初手の初手でつまずいていました。そもそも確率が何なのか、確率と場合の数の区別がつかない、場合の数って何だろう、本当にそういう感じだったので。 伊藤:うなずいていますね、みんな。経験があるのかな。 アオ:本当にそういうレベルだったんです。分からなかった。処理しきれなかった。 伊藤:最初は1対1で添削を受けて、そこから少しずつ進歩していくことのできるのが、尚志という環境です。この質問、福島大学に見事合格したギャラリーの方々にも聞いてみますか? 苦手克服に関して、秘訣を1つずつ披露していただこう思います。 ギャラリーB:僕は理工に受かりました。最初は英語が苦手で、英語見ただけで、本当にもう……、(一同笑)できなかったんですけど、夏休みに「河合サテライト講座」と、あと自分の時間を作って長文を毎日2〜3個やっていたら、結構読めるようになりました。 伊藤:それは前期の復習ですか、それとも、新しいものを何か? B:前期にやったテキストと、「河合サテライト講座」です。あとは、外国人が読むのを真似して音読していたら、結構模試でも読めるようになったのが嬉しかったです。 伊藤:教材のCDか何かですか? B:はい。前期のテキストのCD、借りに行ったじゃないですか。 伊藤:あ、そういえばね! 借りに来ましたね。あれを使ってくれたんだ! そうでしたか、それは嬉しいですね。あれと同じように読めるように努力したと。 B:はい。ちょっと遊び心で真似したりして。 伊藤:へえ、やるなあ。すばらしい。河合塾のテキストの音源は、今の所はそうやって私のところに借りに来るしかないですね。こうやって自主的に来てくれた人には貸してあげています。そうすると、最近は各自がすぐにダウンロードできる環境らしいので、すぐに返してもらって、あとは自分で何度も練習していただきます。まずは音読するスピードで読み、理解できることを目標にしてみましょう。恐らく多くの人はそれ以上に時間をかけて英語を読んでいますから。いきなり英語の話に変わって申し訳ありません。ではCさん。 ギャラリーC:僕は行政政策に受かりました。苦手を克服できないまま、今に至っているものも結構あるんですけど、克服できた例でいうと、国語の漢文です。どうやって克服したかというと、結局「みんなで集まって解いていた」というのが一番大きかったですね。みんなで集まって解くと、出来る人はどこを見て速く読んだり、正解の選択肢に至ったりしているのかなど、「正解に至るルート」が見える感じで、「自分もこうしたら速く、正確に読めるんじゃないか」ということが分かって、漢文がちょっと出来るようになったと思います。 稲月:「漢文サークル」というのがあったんですか? C:漢文に限らず、センター試験の国語と、たまに英語もやるサークルがあって、そこでやったのが一番大きかったと思います。 伊藤:これは、次にスポットライトを当てていこうと思っていたところで、前振りを大変ありがとうございます。この話は後ほど、ぜひ温めましょう。ではAさん。 A:僕は理工に受かりました。ほぼさっき 言ったことになるんですけど、ほんとに、理系なのに数学が一番苦手だった。でも何とか克服はできたかな。今はほんとに好きな分野になったと思います。 伊藤:そうだよね、森本先生のお墨付きでしたよね。 A:本当ですか? 伊藤:そうそう。職員室でよく話題に出ていましたよ。そこに至ったというのがすばらしい。 ギャラリーD:僕は経済経営に受かりました。現役時に英語が苦手だったので、尚志に入った時に「英語の講座は全部取ろう」と決めました。「基礎英語」も「難関大英語」も全部出席しました。「難関大英語」は入試問題をまるごと1年分、「こんなの読めねえよ」みたいなやつを2週に1度やりました。それらで拾った単語などを出来る限り覚え、単語集も英単語の意味だけでなく、フレーズまできちんと英語で言えるようにしていました。あと、リスニングのCDを通学中に聴いていました。通学がちょうど30分ぐらいなので、イヤホンで聴きながら通いました。お風呂でも聴くとか、色々やっていたら、確か8月のマーク模試で英語がよくて、その時に「英語が出来ると、こんなに判定が違うんだなぁ」と思い、モチベーションが上がりました。その後、記述模試でも点が上がってきました。毎日、英語はもっとやろう、どんなに眠くても英語を聴くか読むか、解くまではいかなくても、読むぐらいはしようという気持ちで、毎日英語に何かしら触れていたら、センター試験でも取れました。英語を日常生活に取り入れていたことが良かったと思います。 伊藤:なるほどねー。以前に尚志学園の望木理事長が、「眠くて『もう寝る』となったときに、我慢してもう10分だけ勉強しろ」という話を生徒にされていました。それを思い出すような話ですね。英語を通して「もう10分」という踏ん張りが身に付いたと思います。E君、お待たせしました。 ギャラリーE:僕は理工に受かりました。僕が現役時に一番苦手だったのは現代文で、模試で校内(福島東)ワースト2を取ったことがあります。それで、尚志の予備校で先生が「復習ノートを作れ」とおっしゃっていて、僕はこの先生に賭けてみようと思いました。具体的には読んでいて分からなかった部分や問題、ポイントなどを書くということだったんですけど、それを1年間続け、見返しているうちに、考え方が身に付いてきて、センター試験本番は時間がちょっと足りなくなっちゃったんですけど、結構な得点源になったと思います。 伊藤:すばらしい。現代文は河合塾から黒沢先生という方が週1回尚志に来て下さっています。今の話に触れますが、「復習ノートを作れ」という指示を守った人は?(ほとんどが手を挙げる)すごいね、びっくり。黒沢先生は職員室へ質問に来る人たちに対しても、復習ノートの作り方まで指導されていて、浸透しているのがよく分かりました。やっぱり、厳しく言われましたか? ケイ君。 ケイ:前期とか、学期が始まる時は言われたのを覚えています。 伊藤:頭の整理に役立つのかな。 ケイ:それもあるし、見返したときに「1年でこれだけやったんだな」という気持ちになる点でも、すごく大きかったと思います。 伊藤:かなりの量になったの? ケイ:自分は、小さいノートが現代文だけでも10冊ぐらいになっちゃいました。 伊藤:やっぱり、自分の足取りを、失敗も含め、きちんと振り返りながら成長に繋げていくのが大事ですね。 4 センター演習自主サークル 伊藤:次に、もう一つの秘密、「センター演習自主サークル」の話をしたいと思いますが、いつの間に作ったんですか? ケイ君がほぼ主催者だと思っていますので、簡単に概要をご説明ください。 ケイ:いつぐらい? A:9月ぐらいかな。 D:後期には入っていたね。 ケイ:授業でもらったプリントを……。 A:「どうせやらないんだったら、みんなでやるべ」みたいな。 伊藤:授業でプリントが出た? ケイ:例えば漢文で、プラス一問「センター過去問」みたいなのが出るんです。それをみんなでやりたいと思ったのがきっかけでしたね。 伊藤:補充問題的なものが授業で出るけど、放っておくとやらないから、と。 ケイ:古文もあったね。 A:あったね。 伊藤:それを「せっかくだから集まって解こう」ということになった。 B:古文が苦手な人が多くて、「みんなで克服しようぜ」となって。 ケイ:浪人していると、「1人で黙々とやる」というのもあると思うんですけど、自分は苦手で、結果的にみんなでやって良かったと思いました。でも、その中では「本当によかったのかな?」と思う部分も多少ありました。 伊藤:何、それは? ケイ:「一人で突き通す」という部分も、ないといけなかったかな、と。 伊藤:「頼っちゃう」ということ? ケイ:それに加え、各人が志望大学を意識して、学習の組み立てを自分で考え、確立する必要があったかな、ということです。 伊藤:なるほど、それは「反省の弁」になるかもしれませんね。分かりました。ただ、ケイ君がこうやって誘ってくれて、ギャラリーのみんなが……今日来てくれたのはサークルのフルメンバー? ケイ:はい。 伊藤:では、全員が見事に成功しましたね。これはやっぱりケイ君の功績。(一同笑)今年最大の成功事例です。みんな、結構ディスカッションしていましたよね。「ここはなぜ3番か?」みたいな。その思い出話をぜひ。 A:思い出話? ほんとに、最初はただ飯食ってただけなんですよ。(笑)B君とケイ君が仲良くて、その輪に入れてもらって喋り始めて、C君もアオ君も来て、9月ぐらいに「じゃあ、やってみよう」みたいになって始めたのがきっかけです。自分たちで解き、解答を見て考えてみよう、と。「なんでこうなるの?」「これはこうじゃない? ああじゃない?」とやっていただけです。その中で思い出の一瞬は、自分だけ間違っていることも多い中で、逆に自分だけが当たっていて、周りがみんなハズレているときに、「ここはこうじゃない?」と解説するときです。良い経験になったと思いますね。 伊藤:国語あたりだと、うまく収まりがつかないこともあると思いますけど、そこで全員を納得させられるとすごいね。「オレだけ正解。こうだからじゃないか」と説明して、みんなが「ハハァー」となると大成功。(笑) A:そういうのがたまにあると、「こう解いて良かったんだ、これからもこう解いていけばいいのかな」と、今後につなげることにもなったし、みんなの役にも立ったような気がしました。本当にみんなで楽しく、内容の濃いことをやらせてもらって、ケイ君とみんなには感謝してもしきれないです。 5 毎日どのように勉強したのか 伊藤:ここらへんでぜひ、ギャラリーにおいでの方から質問していただきたいのですが、どうですか。 質問者1:平日予備校に通い、その後帰ってからどのように勉強したのか、スケジュール的なものをみなさんに聞いてみたいです。 伊藤:アオ君からいきますか。 アオ:僕はそもそも問題を解くのが速いほうではないので、授業の予習を重点的にやっていました。授業でやることを予習しておけば、大丈夫だろうと信じていたので。後半は数学も、時間をたくさん取りました。 伊藤:その都度、自分に必要と思われるこ とをやっており、その中で「予習」というのが大きなポイントだということですね。リサさんは? リサ:予備校は予習を必ずしなければいけないのですが、私は、予習・授業・復習という流れを大切にしたいと思っていました。ただ、難関国公立大理系コースや医学部コースは授業が結構詰まっていて、前日に予習をやろうとすると、その予習は終わらなくて、復習にはもう手が回らなくなります。そこで、土日のうちに次の一週間分の予習をすべて終えておき、平日は家に帰ってからは、まずはその日やった授業の復習をやり、残り時間は補強したい教科、特に私は数学をやりたかったので、先生に個別にいただいた問題をやっていました。 伊藤:本当に、予習が出来てない日はなかったよね。すごいな、土日に終えてあったとは。月曜火曜に慌てて授業準備している私とは全然違う(笑)。 ルオ:僕は授業が終わったら、まず、その日の復習をやりました。自習室が7時まで使えたので、復習はだいたいそこで終えて、次の日以降の予習をやりました。7時までに終わらなかった部分を家に帰ってやりました。 ケイ:僕も予習が大切かと思います。「授業までにやること」が必要ですが、厳しくなった日もありました。復習についても、「自分の力で答えられるまで繰り返す」というのを、普段の日程の中にもっと組み込めていたら、入試でさらによい結果が出たかな、とも思います。 伊藤:出来なかった日もあり、若干の反省も込めてくれました。 B:私は、規則正しい生活を心がけていました。予備校が終わった後は、友達とアオウゼで一緒に勉強もしました。 伊藤:「アフターセブン」があったということ? B:はい。自分で考えても分からないものは、教えてもらったりもしていました。 C:僕は次の日の予習で精一杯でしたね。絶対に次の授業で指された時に答えて、「ドヤ顔してやろう」と思いながら予習していましたね(笑)。 伊藤:大体できていましたね。(笑) A:自分は家に帰ったら全然勉強できないので、とにかくみんなが集まっているうちとか、尚志にいるうちに、せめて予習だけはやっておこうと思っていました。残れる日は尚志に残ってやってみたり、アオウゼへ行ってみたりして、それでも終わらなかったら、家でもちょっとやって、後は休むみたいな感じで過ごしていました。休むことも大事だとは思いつつ、予習は「自分の出来るところまでは絶対やろう」と決めていました。 D:自分も予習を全部土日にやりました。「難関大英語」とかは下手すると一日これだけで終わっちゃうことがあったので、その週によってリズムが全然違いましたけど、予習はきちんとやっていました。でも、復習は手が回らない時もあって、「時間がないからいいや」と言い訳していたのは失敗だったかもしれません。でも家だと、基本テレビとか見ちゃって全然できなくて、家でテキストを開くことは、平日の夜は少なかったんですけど、それでも「少なくとも10分は触れよう」と思って、何かしらやっていました。 E:私も家で勉強があまりできなかったので、休み時間や空いた時間に高速で予習をやっていました。 伊藤:もしかして、「アフターセブン」のメンバー?(笑) E:いや、そうではないです。最初の方は上手くいかなかったんですけど、だんだん工夫を重ねていって、けっこう出来るようになりました。当然、家でも全く出来なかったわけではなくて、家の人がみんな寝静まってから、やる気になって勉強していました。 伊藤:いろんな苦労がありますね。大体参考になりましたか? 「復習はその日のうちに」というのは鉄則ですね。復習を何日か経ってやろうとしても、本当に大事なところを忘れてしまっていて、なかなか定着しません。あと我が校は、予備校にしては早いとよく言われますが、「家庭で学習することも大事にしていただきたい」という思いで、7時完全下校にしています。しかし、「アフターセブン」というやり方もあるのですね。 6 継続するコツ 質問者2:これまでの自分を見ていると、勉強を始めるのは出来るんですけど、続けることが出来ないのがしょっちゅうあって、続けられる方法はないかな、と思いまして。 伊藤:続けるコツ? 何か答えられそうな人、いる? ケイ:「続ける」というのは、「繰り返せば、自然とそうなる」というのがけっこう大きいと思っています。また、「授業があったらそれに合わせて、惰性で結構動く」という部分もあると思います。テレビでもやっていましたけど、短い時間、例えば「5分でもやってみよう」と思って始めると、意外と続くんですね。最初の5分をやる中で、「結局できてないじゃん!」と気付くことがあり、それが積み重なっていく感じですかね。あとは、「危機感」も大きいかな、と思います。「やらないといけない」状況になれば頑張れます。 伊藤:たしか、ルオ君が合格体験記に、「やりたくないときでも頑張った」と書いていましたね。 ルオ:「あまりやりたくないときでも、7時までは自習室に残る」というのはずっとやっていました。自習室にはテレビもなく、勉強するしかありませんからね。あとは、あまり良くないかもしれないですけど、予習は次の日には絶対間に合わせないといけないので、家であまりやりたくなくても、「絶対間に合わせなきゃ」という気持ちで予習を家でやるようにして、なんとか続けられたかな、と思います。 稲月:さっき「センター演習自主サークル」の話が出ていましたけど、続けるんだったらみんなでやっているほうがモチベーションになりますよね。ずっと一人で貫いた勉強だとやっぱり、どこかで折れた時にそれを支える人がいない。そう考えると、「みんながやっているから」というのはすごく大きなことだと思うんですよ。「しんどい時ほど、苦手教科の時ほど、みんながいてくれると心強いんだな」と、今聞いていて思いました。 伊藤:こんなところでよろしいですか。 質問者2:はい。 7 勉強時間と組み立て 伊藤:もし他に質問があれば。 質問者3:一日の勉強時間は大体どのくらいですか。あと、その時間の中で何教科勉強するのか、というのを質問したいです。 伊藤:平日と休日でもだいぶ違うと思うけど、まずはE君から。 E:私はあまり家で勉強できるほうではなかったので、合計で2時間ぐらいやったかなって感じです。あと、最後の追い込みの時期は自分の中でルールを作り、自習室に毎日通って7時までやりました。 伊藤:朝の時間はいろいろでしたが(笑)終わりは大体一緒でしたね。 D:平日は多くて2時間ぐらいで、たいていは英語か数学。休日は机に座っていたのは8時間ぐらいだったと思うんですけど、勉強していたかと言われると……。だから、勉強時間は平均すると1日5時間ぐらいで、さっき言った通り、土日は予習ばっかりやっていました。だから、全部の教科をやっていました。 A:自分はあんまり、勉強時間を気にしたことがなくて、とりあえず「次の日の予習は絶対やろう」と決めていたので、家でも2〜3時間とか、出来る日はやっていました。でも、土日は基本的に休みじゃないですか。だから、もともとそんな大して勉強していた訳ではないですけど、「土曜日は休む日」と決めて、日曜日に月曜日の予習を、月曜日に火曜日の予習を、と回していました。 B:平日は次の日の授業の予習を間に合わせることだけを考えていました。だから時間は分からなくて、寝るか、勉強するか、ご飯食べるか、お風呂入るかぐらいしか覚えてないです。教科は次の日の授業に合わせていました。土曜日は尚志の自習室が午前中開いていたので、時間のかかる数学の予習を主にやって、その後は自分へのご褒美と思ってカフェとかで……。 伊藤:おいしいものを食べながら? B:そうすればやる気が出ると思って。 伊藤:私も好きです、実は。(笑) B:そこで、ちょっと苦手な科目も気分良くやりながら乗り越えてきました。 伊藤:お金はかかるけどね(笑)。 ケイ:自分も平日は予習で終わってしまったと思います。「7時まで自習室に残る」というのも後半になってようやく習慣になりました。だから、自習室での学習時間はたぶん2時間くらいで、帰ってからもご飯を食べて、11時には寝られるように10時には勉強をやめるようにしましたから、自宅で2時間ぐらい、合わせて4〜5時間だと思います。教科数は、前期は「予習の教科数+数学」といったところでした。休日も次の週の予習と、時間ある限り数学をしっかり考えていたと思います。「学校が開いているときは学校でやる」と決めていたので、自習室も利用していたほうだと思います。 ルオ:僕は平日7時まで残ることにしていたので、その日の履修しているコマ数によって自習している時間は違うんですけど、平均して2時間ぐらいでした。そこではその日の復習と次の日の予習をしましたから、教科数は多かったと思います。家に帰って、1時間半か2時間頑張って予習をやるのが、平日のパターンでした。休日は月曜の予習と、授業以外の数学の添削を解くのと、「難関大英語」という、大学の過去問を丸々解く授業があり、それは予習にすごく時間がかかるので、それを休日に持っていって、大体6〜7時間やる感じで、数学と英語しかやらなかった日も、休日にはありました。 リサ:私は最初のほうは朝、1時間ぐらい英語の長文を読み、学校の授業を受け、授業が終わったらすぐに家に帰っていたので、4時間ぐらいその日の復習と数学の添削問題をやっていました。休日はさっき言ったように私は予習しかしていないので、その時々にもよりますが、大体7〜8時間ぐらいやっていたと思います。センター試験が終わってからは、授業がほとんどなくなったので、その頃から7時まで自習室に残るようにしました。朝1〜2時間家でやってから、自習室で7時までやって、あと帰ったら2〜3時間はまたやるという感じです。受験に使う科目は、毎日全科目やるように心がけていました。 アオ:僕が家でやっていた勉強時間はだいたい予習をやる時間でした。やっぱり次の日の予習をするのに僕も精一杯だったので、平日は2〜3時間それをやって、余裕があったら添削の問題を少しずつ進めるようにしました。休日も平日とそんなに変わらず、予習をやって余裕がある時間を復習にまわしたり、添削の問題を解いたり、できればもうちょっと進めてみたりなどしていたので、決まった時間はなかったです。 伊藤:稲月先生、何か付け加えることはありますか? 稲月:受験生時代、私も一緒で、お家で勉強できない人間だったので……。 伊藤:ご家族も多いんでしたっけ? 稲月:そうなんですよ。私が予備校に行っていたときは寮に入っていたので、家と言っても一人暮らしに近かったんですけど。それでも、一人だけで部屋にいるとダラダラしてしまうんですよね。だから、それはもうしょうがないと割り切って、学校にいる間に全部片付けて、学校と家でスイッチを切り替えるようにしていましたね。家で難しい数学の問題など取り組み始めちゃうと、寝る時間が遅くなって、生活リズムが崩れてしまう危険性があったし、実際そうなることもあったので、家では単語を見るとか、自分を眠りに誘うようなことをベッドの上でやるようにしていましたね。教科としてはみなさんもおっしゃっていましたけど、私の予備校も予習と復習をきちんとやらせる所だったので、私は主に平日は授業を受けたら、復習をきちんとやる。その日に受けた授業の科目だったので、けっこう多岐に亘っていたかな。土日は予習。みなさんと同じ感じだったと思いますね。特に私は理系科目が苦手で、文系科目がまあ大丈夫だったので、文系科目の予習に時間を結構かけていました。逆に復習はなるべく理系科目を中心にやるようにして、苦手科目と得意科目の勉強の仕方を少し変えてやっていました。 伊藤:実際そうなりますよね。苦手科目は予習中心に回していけないですよね。 稲月:解けないんですよ、数学とか。 伊藤:そこはそうなると思う。あとは「ノルマ制」にすることですね。「時間に関する質問」の答えとしては非常に恐縮ですが、時間だけ費やすのではなく、果たすべき課題が終わったら、スッキリして寝る。こんなところでいいですか? 8 不安の解消法 伊藤:すみません、次の方、お待たせしました。 質問者4:年度の最初につまずくと1年間ずっとつまずくタイプなので、1年間ちゃんとやっていくためのポイントと、高校を転学した経緯もあり、学校の授業の雰囲気がいまだに怖いので、その解消法とかを教えてください。 伊藤:スタートの仕方と、授業の雰囲気が怖い? 授業に入って行きづらいと感じたことのある人? このメンバーは大丈夫だったようですね。うん、あまり心配しなくていいと思いますよ。もしかしたらトラウマがあるかもしれませんが。 稲月:見た感じ、みんなすごく仲良さそうですね。私は大手の予備校だったので、クラスの人数もすごく多くて、人とのつながりを作るには自分から行かないといけないし、友達を作らず、けっこう1人でやっている人が多かったんですよ。でも、ここはお互いの苦手・得意までしっかり把握していて、いい雰囲気だな、と思います。 伊藤:そういうわけで、「授業の雰囲気は心配しなくていいよ」ということにしておきましょう。あとは、授業が始まってからだと教室に入りづらいので、「先生より前に教室に入る」。(一同爆笑)これだけ笑いが起こるということは、よほど身に覚えがあるんでしょうね。 9 まとめ 伊藤:あっという間に時間になりました。この1年を振り返って、合格に至るまでにいろいろな良い場面があったことを参加者のみなさんに知っていただけたかと思います。ここに4月から来てくれる人たちも多いと思うので、「今度はそれを自分たちが作る番だ」と意識してスタートしていただけると嬉しいです。では、これにて合格者座談会を閉じたいと思います。ありがとうございました。 |
東北医・高知医・藝大・早大等合格者座談会
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2018年3月22日(木)実施 |
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座談会「尚志で伸ばす合格力2018」
2018年3月22日(木)13:30〜15:00 尚志学園福島駅前新校舎 303教室にて 出席者 大学受験科(高卒)生 サリナ 高知大学医学部医学科 合格 アヤカ 筑波大学理工学群物理学類 合格 ミユ 千葉大学教育学部養護教諭養成課程 合格 サキ 東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科 合格 グリーンコース(現役)生 ヒロキ 東北大学医学部医学科 合格 ジュンヤ 早稲田大学文学部 合格 質問者(ギャラリー) 1,2,3,4,5 司会 伊藤 哲 尚志学園教頭(英語・小論文) 1 主役たち、登場 伊藤:これより「合格者座談会2018―尚志で伸ばす合格力―」を始めたいと思います。ギャラリーの皆さん、おいで頂きありがとうございます。今日は尚志でこのたび立派な合格実績を上げた6名をお招 きしました。彼ら1人ひとりの、いろいろな秘密を探っていきたいと思います。ではまず自己紹介と、将来の夢をお話しください。 サリナ:医学部医学科なので、将来は医師として、世の中に貢献できるような人間になりたいと思っています。今日は現役で東北大医学部医学科に受かった人もおられて、「すごいな!」の一言です。このような場に呼んでいただいて、とても光栄に思います。 アヤカ:将来は物理を究め、宇宙の研究をしたいと思っています。 サキ:将来は、音楽をはじめとする芸術に携わって、人や社会をつなげるような企画、アートプロジェクトなどに携わりたいと思っています。 ミユ:私の進む課程では、みな養護教諭になるんですけど、子どもたちの気持ちに少しでも耳を傾けられる養護教諭になれればいいな、と思っています。 ジュンヤ:将来は地元に帰って、地元に貢献できる、教師か公務員といった職業に就きたいと思っています。 ヒロキ:尚志で伊藤先生に英語を習って、だいぶ英語が伸びたような気がします。将来は医者……研究医か臨床医か決めてないんですけど、できれば両方できる医者になりたいな、と思っています。 伊藤:ありがとうございます。このようにお医者さんを目指す人が2人、宇宙の研究をしようとしている人、芸術で人や社会をつなげたいという人、子どもの気持ちに寄り添う養護教諭、将来は地元に帰って教師や公務員を目指す人、という顔ぶれです。そして、女性4人はこの1年間「大学受験科」に所属し、平日の日中ここで勉強した方々です。男性2人は、夕方から来ていた人たちです。 2 医学部医学科へ「AO1期」で合格 伊藤:さてここからは、一人一人がどういう「輝き」を持っているかを探っていきたいと思います。サリナさんはとても珍しい「AO1期」で合格しました。どういう計画を立てていたのですか。 サリナ:ここの予備校に来るまでは、その入試自体を全く知りませんでした。予備校で出会った、医学部を目指す友達に教えてもらい、高校の成績とコミュニケーション力には自信があったので、挑戦することにしました。願書は本当に、締切ギリギリで出しました。 伊藤:確か、倍率は結構高かったですよね。 サリナ:30人の枠に180人が応募しました。 伊藤:6倍か。で、まずは学力試験で60人に絞られるんでしたね。学力試験はどんなことが課されたのですか。 サリナ:英語、数学、理科2教科と小論文です。 伊藤:通常の入試とそんなに違いはないのですか? あるいは何か特色があるのですか? サリナ:夏休み明けの試験だったので、内容的にはあまり高度ではありませんでした。受験資格は「一浪まで大丈夫」なので、一浪には有利かな、という印象です。 伊藤:ここに1つ、作戦の立て方のヒント がありますね。小論文はどんな感じでしたか? サリナ:特に対策もせず、普通の文章を読んでまとめたりするようなものでした。 伊藤:過去問を見て「あ、これは普通だ」と思っていたんですね。 サリナ:新傾向として、図や表を描かせたりするものもあったので、少し焦りはしましたけど。 伊藤:話によると、しっかりと過去問をやっていたということですけれども。 サリナ:教科のほうは。でも小論文はほとんど……。 伊藤:あ、そうなんですね。そこで60人に絞られ、そこから30人、半分になるまでは何があったのですか? サリナ:丸一日、グループごとにあるテーマに対して調べものをし、発表するのをすべて観察されている試験がありました。そこで医師としての資質や、いろいろな能力を試されました。 伊藤:10月の試験ということですが、覚えている限りで、どんなトピックだったか教えてもらえませんか。 サリナ:1グループが6人で、それぞれの自己紹介をある程度暗記し、誰かが誰かを紹介する「他己紹介」をさせられ、記憶力やその場での適応力を試されました。 伊藤:6人のグループで1人ずつ自己紹介をしたときに、「この人はこういう人なんだ」という事をインプットし、丸暗記ではなくいろんな事を掴んだ上で、人に伝えるということなのですね。それはいきなり「誰々さんを紹介してください」と言われるの? サリナ:そうですね。それで次に、ある患者さんの主訴の紙を渡されるんです。 伊藤:シュソ? 難しい言葉ですね。 サリナ:患者さんが訴える症状を書いた紙です。その中で分からない言葉や数値についてピックアップし、調べものをし、論を広げる、という形式でした。 伊藤:「どういう病名で」みたいなやつ? サリナ:最終的にそこまでみんなで持って行けるような形で。 伊藤:「患者さんに、あと何を聞けばよいか?」とか。 サリナ:そうです。 伊藤:テレビでたまにやっていますね、研修医が何人か出てきて。そして、試験官は議論の様子を後ろで見ていると。その次はどんな感じですか? サリナ:ある特定の分野に絞り込んでいくんですけど、私たちは「高血圧」でした。グループごとにテーマが違っていて、色々なテーマの集まりで最終的に患者さんどの部分がどのように悪くて、なんという病気なのかをプレゼンテーションしていくというもので、試験官の方々が質問してきたら、それに答えながら進めていきました。 伊藤:こうして話すと短くなってしまいますが、ここまで丸一日かけて、動きを逐一観察され、医師としての資質を見られていたということが分かります。今の話の中で、どなたか何か聞いてみたいことはありますか。 質問者1:どのくらいの時間がかかったのですか。 サリナ:まず、渡されてから40〜50分ぐらいが調べものの時間。少し場所を移動して、各チーム5分ずつで発表。これが何セッションかあって、少しずつ内容が深まっていく感じでした。ある程度、役割を分担する紙が配られていて、「第1セッションでは誰々が発表」とか、話し合いの中での司会や発表は最低一人1回ずつやらなければならない、などと決まっていました。 伊藤:様子がいろいろと想像ができますね。このような試験が行われているというのは驚きですね。新しい時代が近づいていることを感じます。 3 ブラックボックスを解明したい! 伊藤:では、アヤカさんに移っていきたいと思います。宇宙の話はみんな少なからず興味があると思いますけれども、職業にしたいとまで思うきっかけは何かありましたか。 アヤカ:一番初めに興味を持ったのが、小学校5年生のときの授業でした。いろいろなものが解明されていく中で、宇宙には分からないことがいっぱいあってすごいな、というのが、初めてこれをやっていきたいと思ったきっかけですね。 伊藤:具体的に、状況がもう少し分かるとうれしいのですが。 アヤカ:授業の後、ブラックボックスについて本やテレビで見て、興味を持ち……。 伊藤:で、解明してみたいと。 アヤカ:それで、宇宙に関係する仕事に就きたいと思うようになりました。 伊藤:壮大ですね。この分野、今日のメンバーの中ではヒロキさんが興味ありそうですね。 ヒロキ:宇宙ですか? 好きですよ。自分 で勉強しようとは思わなかったですけど、「ニュートン」という雑誌を読んでいました。スターウォーズも好きです。面白いですよね。 伊藤:そのへん、アヤカさんとはきっかけが違うのかな? アヤカ:スターウォーズは見てないです(笑)。ニュートンはたまに見ます。高くてあまり買えないですけど。 伊藤:高いんですか? 英語なんですか? アヤカ:日本語です。あと、宇宙だけでなく、医学なども出ています。 伊藤:理科系の雑誌なんですね。私は縁がなくてお恥ずかしいですけど、このへんの人に近づくには、「ニュートンを読め!」(笑) そう単純なものではないかもしれませんが。今回アヤカさんは見事、第一志望の筑波大学に受かりましたが、この分野ではやっぱり筑波がいいんですね? アヤカ:東京大学には劣ると思いますが、JAXAが近くにあることと、研究施設が充実していることが長所です。筑波へ入って、大学院まで行けば、出来ることもあるかな、と思いました。 伊藤:ということは、アヤカさんはこのままずっと大学にいる感じですか? アヤカ:(うなずく) 伊藤:素晴らしい。 4 「芸術家を支えるプロ」の道へ 伊藤:では、サキさんに移っていきたいと思います。「芸術を通して人や社会をつなぐ」ということでしたが、この学科はどんなことを追求する所で、自分は具体的にどんなことをしてみたいか、教えてもらえますか。 サキ:音楽環境創造科(“音環”)では音響であったり、例えば初音ミクとか現代系の音楽の作曲であったり、アートプロジェクトという企画・運営であったりと、分野や音楽にこだわらずいろいろなことが経験できて、かつ日本でトップレベルの人と同じ学部で関われるし、その人たちの演奏を録音させてもらうなど、いろいろなことが柔軟にできる学科です。私はその中で「アートプロジェクト」という分野に携わりたくて志望しました。 伊藤:きっかけは? サキ:元々小学生の頃からずっと調律師になりたいと思っていました。高校で合唱部に入り、実際にコンサートの運営に立ち会ったり、音楽を引っ張ったりする側になって、「自分はパフォーマンスではなく、感動する人たちを支えたい」と漠然と思い始めました。そんな時に高校の音楽の先生に「東京藝術大学に入り、一番上の高いところからそういう世界を見てみないかい?」と言われて、目指し始めました。 伊藤:そこでそういう助言をした人がいるというのはすごいですね。結局のところ、それがきっかけになったのかな? サキ:はい、最初は「助言」という受け止めだったんですけど、自分で調べたり、現地に行ったりするうちに、「絶対ここに入りたい!」と思うようになりました。 伊藤:ということは、高校の先生が知っていらっしゃったということですね。 サキ:いや、音環のことは全然知らなかった。でも、「とりあえず藝大」(笑)。自分で表現することは苦手だけれども、「調律師になりたい」という夢は先生も知っていらっしゃって、「そういうことが学べる大学で、プロに近い人たちがいる環境」というのが藝大だったのです。 伊藤:いや、驚きました。私たちは藝大をついつい「芸術家が育つ所」と思いますけど、「芸術家を支えるプロ」の仕事があるということですね。私も大学で芸術論を学び、当時の同級生は美術館に勤めているような環境にいたので、そういう世界をそれなりに知ってはいましたが、藝大にそういう所があるというのは分からなかった。そこのプロの卵として認められたということはさすがですね。 5 苦しみが大きくなる前に解決する 伊藤:次はミユさんです。私たちは保健室の先生がどんな仕事をしているか、知っているつもりでいて実は知らないことがたくさんあると思います。みんな大なり小なり、保健室の先生にはお世話になったでしょう。ミユさんが養護教諭を仕事にしたいと思ったきっかけは何ですか? ミユ:高校に入ってすぐの5月に、どこの大学に行きたいかを書いて提出する機会があって……。 伊藤:1年生の5月に書かなきゃいけなかったの? ミユ:はい。そのときは違う目標を書いていたんですけど、何回かそういう機会があってそのたびに自分の将来を見つめ直すうちに、私自身、高校がすごく楽しくて、学校は勉強していく中で自分の好きなことや興味あることを見つけていく場所だと思ったので、学校で働きたいと思い始めました。 伊藤:みんなが進路とかで迷いながら進んでいく、その現場にいたいということですか? ミユ:中学生のときには人間関係に悩んでいたこともありました。学校はいろいろなものを見つける場所でもあるし、いろいろな人と出会っていく場所だから、悩むことも多いと思います。そうした中で、養護教諭というのは一番近い場所で支えてあげられるのかなと思っていて、ある種カウンセラーの仕事も似ているのかもしれないですが、学校という同じ空間にいるからこそ、悩む前に声をかけてあげられるのかな、養護教諭とは何か特別な存在なのかな、と思って目指し始めました。上手く言えないですけど。 伊藤:もしかしてミユさんには、「苦しみ始める前の状態」がきっと見えちゃうんですね。 ミユ:今話したことは、この一年間、自分なりに考えを深めていたことです。養護教諭の先生に話を聞きに行ったときに、「ちょっとした体調不良の子と話をする中で、その子の背景にあるものを引き出して、その子の苦しみが大きくなる前に解決するのが大きな仕事なんだよ」と言われて、最近「その通りだな」とやっと感じ始めました。でも、まだまだ分かっていないことばかりだと思います。 伊藤:誰でも出来そうで本当に出来ない、難しい仕事ですね。さらに磨きをかけてほしいと思います。 6 8年間で大きく成長 伊藤:さて、ジュンヤさんは長いこと尚志で学んでくれていましたよね。その中で何か思い出すことがあれば教えてください。 ジュンヤ:尚志には小学校5年生からずっと通いました。長いこと勉強してきて、その中で良い先生に巡り会えました。個別指導はやっぱり、先生との相性が大事ですけど、尚志で出会った先生は全員が全員、本当にみんな良くて、そのおかげでずっと辞めないで通ったことが良かったのかな、と思います。 伊藤:何人の先生についたんでしたっけ? ジュンヤ:3人でした。中でも最後に教わった3人目の先生が最高でした。実は数学ができなくて、数学をちょっとでも伸ばそうと思って尚志に来ていたんですけど、いくらやってもできなくて、最後の1年は3教科の私立文系にシフトしました。そこで国語を1年間頑張ったら、見事に上手くハマッてくれたと思います。 伊藤:今日はその3人目の講師にここへ来てほしかったんですけど、どうしても用事があるということで残念でした。小学生のときについていた1人目の講師は今、とある小学校で、そして中学生のときについていた2人目の講師は今、とある中学校で活躍しています。どんな思い出がありますか? ジュンヤ:えっ? 思い出ですか……。 伊藤:小さいころの話が自分なりに脚色されるのは世の常なので、気にしないで。 ジュンヤ:尚志に来て少しずつ成績が上がり、中学で英検2級を取ったときや、高校3年で準1級を取ったとき、先生たちは喜んでくれました。最後の最後には、早稲田に受かって良かったです。 伊藤:中学の頃はよく寝てたよね!(笑)覚えてる? ジュンヤ:そういった失態を繰り返していました。 伊藤:私、講師からの授業コメントは全部読んでいるので、いろいろ思いながら過ごしていましたが、ジュンヤさんはどう思いながら授業を受けていましたか? 「厳しい先生だな」とか。 ジュンヤ:いや、寝ていたのは先生が悪いわけではなく、数学は聴くだけでもダメで。 伊藤:あ、逃げていたということ? ジュンヤ:そうです。嫌いな教科は聞くだけでも眠っちゃって、学校でも尚志でも。先生には申し訳ない、と思いながら寝ていました。(笑)それでも辞めずにやっているうちに、3人目の先生が根気よく国語を教えてくれました。国語の文章の読み方が、最後の方になると完全に頭に入って、文章が理解できるようになってくる。やっていて、楽しくて仕方ありませんでした。本当に良かったと思います。 伊藤:それは自分が成長した証ですね。当時の講師も、厳しいことも言っていたとは思いますけど、でも「英語を読む時の集中力がすごい」とも言っていたので、そのころから「何かスイッチが入る人なんだな」と思っていました。そういうところが、大きな成長につながったのではないかと感じます。 7 iPS細胞の発見に刺激 伊藤:ヒロキさん、お待たせしました。ヒロキさんは「絶対医学部」と言っていたじゃないですか? その強い思いはどこから来るの? ヒロキ:父方の祖父が医者で、父が教師で、母方の祖父が農家だったので、その3つしか職業を知らなくて、その3つの中で「医者かな」と。それが一番最初に医者になろうと思ったきっかけです。その後、山中先生がiPS細胞を発見したとき、恐らく2回目に僕が「医者になりたい」と思い、そこからはずっと医学部だけ考えてやっていました。 伊藤:ヒロキさんから見て、おじいちゃんはどんなお医者さんだったのですか? ヒロキ:寡黙ですけど、いつも最善の手を考えていて、探究心を失わない所が、信頼されている理由だと思っていました。 伊藤:小さいころから随分、おじいちゃんを客観視していたのですね。それにしても、iPS細胞の発見は大きなニュースでしたね。 ヒロキ:そうですね、結構びっくりしました。最初はES細胞のことを知らなくて、再生医療が今は最先端だというのもこのとき知りました。再生医療があると、希望があるような気がします。 伊藤:本当ですよね。この100年で平均寿命が30年くらい伸びているわけですけども、その根底には医療の目覚ましい発達があると感じますね。 質問者2:最初から医学部を目指していたんですか? 要するに、小学生からとか? ヒロキ:小学生のときは、大学名は分かっていなかったですけど、医者にはなろうと思っていましたね。 質問者2:東北大を目指したのはいつごろですか? ヒロキ:最初は目標を高く持つ方がいいかなと思って、でも関西に行くことは考えなかったので、東大か東北大か福島県立医科大学かと考えていて、センター試験が終わって、東北大学へ出願しようと。でも一番上を目指して勉強しておけば実力がつき、他大学への対応も出来るのかなと思い、尚志で2年間受けた英語も、東大対策のものをやっていました。英語は東北大に切り替えてから、過去問をやっても結構スラスラ出来るようになっていました。 質問者2:もう1つ質問してもいいですか。模試の判定とかはどうでしたか。 ヒロキ:東北大学は大体CかBでした。Aは1回あったぐらいですけど、だいたいBかC。センター試験はBの下のほうでした。 質問者2:センターはどのくらい取れたんですか? ヒロキ:ぴったり9割でした。 質問者2:じゃあ、東大は? ヒロキ:「東大実戦模試」や「東大オープン」の判定はそんなに良くなかったので、後期で東京医科歯科大を受けることも想定し、センター9割5分ぐらいを東大受験の目安にしておいて、9割だったので東北大学にしました。あ、別に悔いはありませんよ。(笑) 伊藤:ここで「ONE WEX講座」の話をしますか? 「東大・京大・医学部へ一直線!」という、河合塾の最高レベル講座ですが、それほど「山あり谷あり」という感じではなかったでしょう? ヒロキ:そうですね、人数もそんなに多くなく、3人ぐらいだったのでやりやすかったです。答案の添削というか、黒板に書いた自分の解答を、先生がすぐに直してくれるというのは本当にためになったと思います。講義形式の授業はすぐに眠くなってしまうので。 伊藤:いや、私は答案を後で添削しようと思うと、あれこれ仕事が入って全然出来なくなってしまうので、「黒板での添削」は私にとっても助かりました。皆さんが「これでどうだ!」と胸突き八丁でガンガン来るので、私も必死に応えて、本当に勉強になりました。とっても面白かったです。 8 尚志の「大学受験科」とはどんな所か? 伊藤:さて、今度は尚志という学習の場に目を移していきたいと思います。「大学受験科」の人たちは基本的に朝から夕方まで一緒に学んできたので、尚志という環境や、尚志での教科とか生活とかについて話していただけますか? ミユ:まずは、先生方が毎朝声をかけてくださるのが私にはうれしくて、勉強しやすい環境だったと思います。あと、少人数授業なので、添削を毎回やっていただいたのはすごくありがたかったと思います。伊藤先生も授業が終わってから答案を全部チェックしてくださって、自分では「もうちょっといけるかな」と思ったらダメだったり(笑)、「あ、これでいいんだ」みたいなこともあったので、やっぱり毎回個人に合わせてやっていただけたのがすごくありがたかったです。数学も私はセンターだけだったんですけど、けっこう好きだったので、個人的に頼めば、いろいろな問題を出していただけたのがありがたかったです。 伊藤:登校時、うちは玄関を入ってすぐに職員室があるので、多くの生徒が自然に挨拶するようになりますね。ミユさんは毎朝、8時13分くらいに「おはようございます!」と言いながら通っていくのが、私も楽しみでした。不思議なものですね、ちょっとしたコミュニケーションですけど。 ミユ:本当に。あるのとないのとでは全然違います。 伊藤:あと「少人数授業」と言ってくれましたけど、何か思い出に残るシーンはありますか。 ミユ:伊藤先生の授業で、私はリスニングが死ぬほどできなくて、授業で当たるたびに思わぬ誤解を暴露し、「恥ずかしい、もっとやらなきゃ!」と思うこともありました。また長文の授業では毎回、全員で英文を1文ずつ読んでいくんですけど、現役時代は授業の中で「みんなで読む」ということはそんなになかったので、自分がそこまで苦手だということに気づけていませんでした。そして、読む度に「あぁもう、できてない!」と思って、それから授業がある日の朝は英文を2回音読してきて、家でもう一度復習し、合わせて最低3回は読む習慣がつきました。現役時代に苦手だった英語が、おかげでだいぶ読めるようになったと思います。でも、リスニングはセンターでも結局できず、そこはこれからの課題でもあるので、頑張って続けていきたいです。 伊藤:今年のセンターのリスニングは難しくて、全員が壊滅しました。みんなが自信をなくしてしまい、本当に気の毒に思います。でも、各自の環境にもよりますが、英語は一生使い続けますから、これからも向上心を忘れないでほしいですね。そして、長文の授業の音読では、みんなが順番に1文ずつ読んでいくだけなのですが、耳を澄ますといろいろなことが伝わってきますね。 ミユ:ああいう1人1人とのやりとりがある授業だからこそ、自分自身の課題に気づけたのかな、と思います。やっぱり、先生の話を聞いているだけの授業だとそうはいかない。 伊藤:40人学級くらいなら出来ますけど、大手予備校のように60人・70人とかでは声も通らないし、みなさんの活躍が授業として成立しづらくなりますね。サキさんはどうですか。 サキ:自分が分からないところを丁寧に書いて説明していただいたり、休んだときは解説をメールボックスに入れてくださったりして、先生たちの心遣いを常に感じていました。あと特に印象に残っていることとして、夏休み明けに目標や反省を書いたときに花丸をもらったのが、すごく嬉しくて(笑)、「頑張ろう!」と思いました。 伊藤:いろいろなことを覚えてくれているものですね。ありがとうございます。 アヤカ:やっぱり1年間を通して、家から近い、高校よりもむしろ近い所に通うのは、精神的にも身体的にもストレスが少なくてすごくよかったと思います。仙台の予備校に行っちゃった友達は親元離れて1人暮らしをしていて、「すごくつらい」「ご飯も口に合わない」などと聞かされ、自分はこの環境でよかったと感じました。あともう1つは、数学の添削をしてもらったことです。尚志に入る前は数学にけっこう苦手意識を持っていて、理系なのに、そんなにできないと思っていましたが、5月からほぼ毎日、数学の添削をしてもらい、たぶん一番自信がついた教科になりました。先生との距離が近く、個人的な添削指導をしてもらえるのがすごく良かったと思います。 伊藤:アヤカさんは秋以降、記述模試がものすごく出来るようになりましたね。何が良かったんでしょうね? アヤカ:「毎日やっていた」ということではないでしょうか。英語も数学も、毎日何かしら触れていた。予習をしないといけませんから。 伊藤:予習は毎日に振り分けてやっていたの? アヤカ:英語と数学は毎日、物理と化学と前期の国語は、土・日にやっていました。 伊藤:ということは、あの仰天するような記述力は尚志で培ったということですね。 アヤカ:ええ、ここに入るまではそんなに自信がなかったので。 伊藤:では、そのスイッチを入れてあげたと解釈して(笑)、すごくうれしいですね。いま「1人暮らしがつらい」人の話が出ましたけど、予備校を訪ねてくる人の中には、逆に「地元は嫌だ、離れたい」と言う声も聞かれます。でも実際に遠距離通学や1人暮らしをしてみると、いかにそれが大変か分かってくるのではないかと思います。と言いつつ、これからはみんな1人暮らしですか? 全員:(うなずく) 伊藤:ではみなさん、その苦労はこれから味わうかもしれません。 サリナ:私は東京の高校を卒業して、福島県立医科大学を目指し、福島に祖母もいたので、東京の予備校か福島の予備校か迷ったときに、たまたまインターネットで尚志の大学受験科を見つけて、「説明会に参加しちゃえ!」という、そんな調子でここに来て、今に至っています。東京の予備校や「医進館」にはないような、「コース制ではあるけれども、そのコースの垣根を越えた横のつながり」があったり、時にはコースの中でちょっと競い合ったり、意識しあったりするような、良い「ゆるさ」というのがあって、自分にはすごく合っていたと思います。 伊藤:こういう前向きなコメントはものすごく嬉しいですね。ギャラリーの方々にぜひ、心に留めておいてもらいたいところです。 サリナ:私は親元を離れて祖母の家に住みながら、少し遠い距離、10キロぐらいを自転車で通っていて、祖母との二人暮らしの中で「勉強しろ」だの、親には言われたことのないことを言われて、少し精神的に参っていたんですけど、そういうことでも先生方に相談したら、自分の親は東京にいるんですけど、親のように親身になって話を聞いてくれて、ずいぶん助かりました。 伊藤:実は9月ごろ、一度お父様とお電話でお話しする機会があって、そのときにお父様がサリナさんのことを如何に信頼されているかが分かったので、それからは協同歩調を取ってきたつもりです。気づいていましたか? サリナ:(微笑) 9 二次試験の対策はいつから? 伊藤:さて、ギャラリーの方々から質問はありますか? 質問者3:二次試験で記述を課す大学の対策は、やっぱり4月から始めるんですか? アヤカ:私は現役のときも浪人のときも志望校が筑波で、過去問は現役のときに一度解いて、傾向が分かっていたので、10月にもう一回解いたくらいでした。数学は尚志で数学の得意な人たちが集まって、個人的に解き合いました。また物理や化学も記述なので、センター前でも少しずつ、記述の力を鈍らせない程度にやっていました。 サキ:私も2回、同じ大学を受験しました。だから二次試験の「音楽一般」も「小論文」も「自己表現」も、現役時代の土台の上に修正を重ねていった感じです。でもセンターの比率も大きいので、センター前はセンターに集中して、終わったら私大の問題をやりつつ、試験が近くなったら自分の構想を目に見える形や文章に落として、それに修正を加える形で二次試験に臨みました。 ミユ:私の二次試験は「英語」「保健体育」「面接」でした。英語に関して、尚志のカリキュラムは記述向けになっていたので、それに合わせて勉強していたのと、「英文を毎日2題読む」というのを個人的に続けていたので、二次の勉強がセンターにもつながっていくのを実感しました。 ジュンヤ:僕の高校では毎日いろいろやらされます。平日は12時間学校にいて、土曜日は尚志にいました。問題をとにかくやることと、筆記だったら国語力が大事だと思うので、小論文の練習をしたり、国語の文章をひたすら解いたりするのが大事かなと思います。あと、字を綺麗に書くことです。小論文もちゃんとやると国語に活かされるから、受験は小論文が大事なのかな、と思います。 ヒロキ:去年の今頃はまだ国数英の基礎が固まっていませんでした。とりあえず6月ぐらいまでに数学と英語を終わらせ、ある程度基礎を固めて、それから夏休みの終わりまでに理科を終わらせ、夏休みが終わってから赤本を始めました。教科書を早いうちに終わらせていたのが良かったのかな、と思います。 伊藤:総合すると、難関大学を目指す人はセンターを「通過点」だと思っています。センターはほとんど意識せず、記述を鍛えるべきである、と言い切ってもいいのではないかと思います。センターの過去問も、模試でだいたい経験するので、あまりやらなくてもよい。むしろ、記述力をきちんと鍛えていくことに98%くらいを費やしてもいいのではないかと思います。 10 数学速習の効果 伊藤:ヒロキさん、前にチラッとお聞きしましたけど、数学は高1の終わりで数�靴泙能�わっていたの? ヒロキ:中3で高校の数学を始め、高2の始めに教科書はひと通り終えたのですが、「身についた」というレベルではなく、「知っている」というレベルでした。学校の授業で教科書を解きながら復習し、身につけていった感じです。 伊藤:ということは、数学成功の1つの秘訣としては、「早めに教科書を終わらせておくことが有効である」ということですか? ヒロキ:ええ、現役生は特に、理科・社会を後からやらないといけないので、国数英は早めに終わらせないと厳しいと思います。中高一貫だとだいぶ違うのでしょうが。 伊藤:学校で教科書をもらうタイミングでは遅いのですか? ヒロキ:分からないですけど、数学は別に、どんどん先にやって損はないと思います。 伊藤:数�靴鬚笋辰真佑燭舛蓮∈�の点をどう思いますか? アヤカ:やっていいとは思いますけど、私にはそんなこと考えられなかったです。聞いてびっくり。 サリナ:私も教科書を終わらせるに越したことはないと思いますが、そもそも勉強は興味や好奇心から始まるもので、それがあるからどんどん伸びていくのだと思います。高1・高2から興味があって、こなす能力があるのであればやったらいい。他の教科にも言えることですが、強制されるのではなくて、自分が興味あるところに踏み出していったら、自ずと得意になると思うので、自分の意志で出来たらいいのではないか、と思います。 伊藤:この答え方に、サリナさんの「人間力」を感じますね。 11 復習の仕方 質問者4:頭に残る復習の仕方について教えてください。 サリナ:ハッキリ言って、私は復習が好きではなくて、どんどん新しいことを入れる派なので、ほとんどやらなかったです。申し訳ないですけど。新しいことをやっているうちに似たような問題に必ず当たるので、そこで点と点が結び合うことがよくあり、それが復習になっていました。 アヤカ:私はその日の授業の復習はできるだけその日にやっていて、出来なかった分は土日にまわして、一回やって出来なかった数学の問題などは切り取って、復習ノートに貼り、何回もどんどんこなして、毎日見ていました。「復習ノート」はすごくお勧めできると思います。 ミユ:私は土日に予習をやってしまって、平日はその日の授業の復習をしていたんですけど、英語はできなかった問題を一冊のノートにまとめ、現代文も黒沢先生に教えてもらった復習の方法をやりました。2回目の復習ではそのノートを見直すことと、数学は分からない問題に印をつけていたので、模試に合わせてそれをもう一回解き直しました。 伊藤:「黒沢先生に教えてもらった復習の方法」とはどのようなものですか? ミユ:授業が終わったらその日のうちに、間違ったものの問題と選択肢を書き、間違ったポイント、例えば「言葉の意味が捉えられていなかった」などと書く、というものです。私は現代文が得意だと思っている分、あまり考えないで選んでしまうことがあって、そういう所には大きくダメ出しを書いていました。長い休暇のときにはもう一度解くよう、先生から日にちを分けて提示され、それに合わせてやりました。模試の前にこれを見直すと全然違って、出る漢字とか言葉の意味とか、テキストから出ていることばかりで驚きました。 伊藤:まあ、河合塾のテキストと河合塾の模試ですから、かぶることはありますね。 ジュンヤ:英語は単語が分からなかったら、一冊のノートに書いて、忘れた頃にもう一回見返すことと、国語は一回ちゃんとやり、答えを見て、どうして間違ったのかを考えて、自分のできないことを反復して埋めていくことが大事だと思います。社会は参考書を何回か読めば大丈夫です。 ヒロキ:数学や理科は同じ問題集の出来なかったものを何周もすることがありました。英語はCDなどたくさんもらいましたが、時間がなくて、あまり復習しませんでした。話を覚えちゃっているので……。 伊藤:そうなんですよね〜。記憶があるうちは、あまり意味がない。 ヒロキ:やる気が起きない。 伊藤:こういう難しいことがありますけど、ジュンヤさんは国語の復習とか、どうやっていましたか? ジュンヤ:国語でストーリーを覚えている問題は、意識的に「自分は忘れた」と暗示をかけてやったり、忘れるまで他の問題をやり続け、また戻ったりしていました。農閑期みたいにスパンを決めて待って、その間に他のことをやって、実が成るまで待とうという作戦です。 12 テストの過渡期における過去問演習の意義 質問者5:2020年から試験のパターンが変わってきますよね。そうした中で、過去問はどれだけ当てになるのでしょうか。 伊藤:みなさん、入試前は過去問など解いたと思いますが、入試で意外なタマが飛んできたことはありましたか。 ミユ:私の場合は面接です。私の受験した所は、以前は二次試験で面接がなかったんですけど、最近面接が入ってきたのは、自分の意見を言う力がより求められてきていることの表れだと思います。聞かれ方も5人の集団面接で、ひと通り志望理由とか自分の長所・短所とかを答えた後、「こころの健康って何ですか?」「小学校の養護教諭として働く上で一番重要なことは何ですか」と聞かれ、「分かった人から挙手」というのが急に入ってきたのは結構びっくりしました。「その場で考えて、みんなの前で積極的に発言する」という形式が、今後どんどん増えてくるように感じました。 サキ:私の受けた科は、「これからの社会を考える」ことが大事なので、どちらかといえば未来志向です。小論文では、「過去の音楽を聴くことにあなたはどういう意味を感じるか」を書かされました。過去・現在・未来を考えていく力が求められていると思いました。 アヤカ:当日傾向の変わった教科が2つありました。英語の自由英作文が、それまでは賛成か反対かどっちかだったんですけど、今年は「賛成と反対、どっちも書く」というもので、かなり驚いちゃいました。賛成について書こうとすると反対が浮かばなくなり、そこで臨機応変に対応する力が求められていると感じました。物理も原子分野がこれまで3年ごとに出ており、前年出ていたから今年は出ないだろうと思っていたら、2年連続で原子分野が出ました。そんなに力を入れて深くやっていなかった所だったので、出た瞬間「あ、終わったな!」と思ってしまいました。なんとか最後まで、出来るところまでやった、という印象です。 ヒロキ:傾向に関して感じたのは、今回は数学がすごく難しかったことくらいですかね。東北大の過去問はセンターを終わってから結構やりましたが、でも結局、過去問は「出ない」ものじゃないですか? だから最初は過去問の演習に疑問を感じていたんですけど、「問題のレベルや傾向を知る」という意味では、やって良かったと思います。化学の苦手な分野が1つあって、そこだけいっぱいやったんですよ。そうしたら、10年ぐらい前のやつが今年もう一回出てきて、助かった。そういう意味では、やっておいて良かったと思います。 伊藤:そこで勝負が決していた……かもしれない。 サリナ:いま、入試が変わる境目だと思います。近年、東大の理三でも面接が導入され、またある大学では面接の点数化が廃止されて、面接での「一発落ち」もあり得るような、どんどん人間性を見る時代になってきています。2020年のことはあまり意識していませんでしたが、勉強以外の力も伸ばしていかなければならないのかな、と思います。 ジュンヤ:最近は英語で外部入試試験を使うとか、いろいろ変わっていて、これまでと違うことを求められるかもしれないですけど、大事なことは変わったとしても自分のことを信じて、例えば、面接では何が起きても自分の魅力を伝えることができる力とか、上智では小論文を書かされたんですけど、土壇場で話題を出す力とか、あとは勉強だけでなく総合的に高めることが、今求められているように思います。過去問は大学のキャラクターが分かるものであり、人のイメチェンと一緒で(笑)、今後少しは傾向が変わるかもしれないですけど、大本はそこまで変わらないと思います。過去問をやることによって大学を知り、それが合格する力になるのではないかと考えます。 13 最後に再び、「尚志ってどんな所?」 質問者5:尚志はあまり大きな塾ではないですよね。みなさんが尚志に来てどういう感じを抱いたか、正直なところを聞きたいです。 ミユ:私の高校ではわりと浪人する人が多くて、結構みんな仙台に行くんです。正直なところ私自身、入学前は仙台の予備校へ行くか尚志に行くか迷っていたんですけど、尚志のホームページで同じ高校の先輩の体験記を読んだときに、「一度仙台まで行ってみると良い」と書いてあったので、ためしに自分で電車に乗り、話を聞いて帰ってきたら、行くのだけで電車で1時間半ぐらい、往復だと3時間ぐらいかかって、これはすごい負担だと分かり、尚志にしました。最初は正直、「仙台の予備校の方が、もっと違うことをやっているのかもしれない……」などと思うことも多かったんですけど、勉強すればするほど、少人数だから周りの人に聞くことも多くて、「自分は全然足りていない」というのを日々痛感できたので、やっぱり少人数の良さはあると思いました。あとは繰り返しになってしまうんですけど、毎日先生方が声をかけてくださるんですよ。「体調どう? 大丈夫?」とか。本当に助かりました。だから、ここを選んで良かったと思います。 サキ:大学を辞めることに決めて、映像で学ぶ所も含めれば福島市内にも勉強できる所がいろいろあることを知り、迷った中で「尚志に電話しよう」と思い立ちました。電話して訪問したら、先生から「絶対応援するよ、サポートするよ」と言ってもらったことが印象に残り……(涙) 伊藤:すぐに手を差し伸べる習性があるもので。 サキ:不安な中で、「頑張ろう」という気持ちになり、行くことに決めました。 アヤカ:私は最初から「浪人するなら少人数の所」と思っていました。郡山の1:1で教わる所なども調べましたが、尚志は高校で長年教えてきたベテランの先生方が教えてくださるので、すごく分かりやすいですし、質問にもすぐに答えてくれますし、安心感があって、良かったと思います。 サリナ:私はけっこう負けず嫌いで、私も対抗しよう、追い抜こうと思えるような仲間たちが身近にいたので、負けず嫌いな性格が功を奏して、うまくいったと思います。大きな塾だったら、もっと優秀な人たちに囲まれて、「自分はもうダメだ」となっていたかもしれないです。性格によっては大手に行って、すごい上のランクの、周りの人たちを目標にしながら、コツコツ勉強するという形もあるのではないかと思います。 ヒロキ:学校が結構忙しかったので、定期考査前は授業を休みにしてもらうなど、融通を利かせてもらったところはありがたかったと思います。あと、河合塾のテキストで勉強できるというのはやっぱり大きいと思いました。 ジュンヤ:尚志の良いところは、三拍子揃っているところ。「立地が良い」「懇切丁寧でアットホーム」「先生が良い」の3つです。ぼくは家から1分で通えましたし、福島に住む人だったら誰でも通いやすい場所にあります。都会の有名な予備校と違って、営利目的を前面に出さず、良い意味で「ゆるい」。ぼくがお世話になったバイトの先生も、みなちゃんとしている人だったし、尚志で職員として働いている先生たちも、定年まで高校の第一線で教えてきたベテランたちだし、伊藤先生とか優秀な先生がこんな田舎にいる(笑)。尚志なら、福島で安心して大学を目指せます。あと、昔、伊藤先生が「ジュンヤくんは、慶應とか早稲田に入れますよ」と言ってくれた。その時は「無理ですよ〜」なんて言っていたんですけど、それが実現するまで面倒を見てもらえた。本当に面倒見が良くて、アットホームなところが尚志の良さだと思います。 伊藤:ありがとうございます。話し足りないこともあるかもしれませんが、だいぶ時間を超過しましたので、これにて座談会を終了といたします。今日たくさん話してくださったパネリストの方々の、今後のご活躍を祈ります。(一同拍手) |
東北(医・文・経)・海洋大等合格者座談会
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2019年3月25日(月)実施 |
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合格者座談会「尚志で伸ばす合格力2019」
2019年3月25日(月)13:30〜 尚志学園福島新校舎303教室にて 出席者 大学受験科生 トモ(仮) 東北大学文学部 合格 ナオヤ 千葉大学工学部総合工学科 合格 ルナ 東京学芸大学教育学部生涯学習コース 合格 ユウマ 東京海洋大学海洋資源環境学部海洋資源エネルギー学科 合格 現役生コース ショウタ 東北大学経済学部 合格 カズマ 東北大学医学部医学科 合格 ギャラリー カズマ父 質問者 1,2,3,4 司会 伊藤 哲 尚志学園教頭(英語・小論文) 1 主役たち、登場 伊藤:これより、尚志恒例の「合格者座談会2019―尚志で伸ばす合格力」を始めたいと思います。どんな話し合いになるのかは本当に始めてみないと分からないのですが、「公開収録」ということで、そのうちホームページやら冊子やらに掲載され、尚志で学び、受験で大活躍した人たちが、いつまでも書面を通して残るという企画です。尚志をこの1年何らかの形で利用してくれた、すごい人たちの秘密を探るべく、いろいろと質問をしたいと思います。この企画は、時々ギャラリーのみなさんも質問ができることになっていますので、ぜひ何を聞こうか考えながら参加してください。 ではまず、受かった大学・学部、将来の夢、座右の銘などを盛り込んで、自己紹介をお願いします。そちらから回していただいて。 トモ:東北大学の文学部にAO�郡�で合格しました。将来の夢は、まだそんなに固まっていませんが、歴史関連の研究者です。 伊藤:座右の銘、信条は? トモ:無いです。 伊藤:いやいや、まあまあ(笑)。すみません、変なノリで。では次の方お願いします。 ルナ:東京学芸大学に合格しました。将来の夢は、大学は東京なんですけど、その後は地元の公務員になれればいいと思います。 カズマ:東北大学医学部医学科に前期一般試験で合格しました。将来の夢は明確には決まってないんですけど、とりあえずお医者さん。その中でも今一番興味があるのは心臓外科医です。座右の銘はちょっと、あるようで無いので…。 伊藤:折角だから言ってみたら? カズマ:座談会中に考えておこうかと思います。(笑) 伊藤:では是非見つけていただいて。次の方。 ユウマ:東京海洋大学海洋資源環境学部にこれから通います。将来の夢は今のところ2つあって、片方が航海士になって、船舶職員としていろんな世界中の国に行ってみたいということ。もう片方が研究者になって、日本の海底資源の、環境に配慮した開発に携わりたいということです。再生可能エネルギーなどを研究し、原発事故があった福島出身なので、少しでも原発の依存度を下げられればいいとは考えています。座右の銘は、日本史の授業でやった「超然主義」です。世間の風評に左右されずに生きていきたい、という意味を込めています。 伊藤:ありがとうございます。いやぁ、素晴らしい。こんなふうにやっていただきたい。(笑)では次の方お願いします。 ナオヤ:千葉大学工学部に後期日程で合格しました。将来の夢はまだ明確にこれというのは無いんですけど、化学系の研究職に就ければいいと思います。座右の銘も、これといって無いです。 ショウタ:東北大学の経済学部にAO�郡�で受かりました。将来の夢について、AO�郡�という入試では自分が将来何をやりたいかを話す場面があるので、そこで結構自分でも考えたんですけど、スポーツと経済と地域関係に携われるような仕事、具体的に言えば、どこかのスポーツチームの運営団体か運営企業に入ってみたい、という夢を持っています。「座右の銘」と言われてパッと出てくる人はなかなかいないと思いますが(笑)、僕がいつも勉強とか模試に関して思っているのは、「なるようになる」ということです。これは皆さんの考えとは違うかもしれないですけど、「勉強したから結果が出る」とか「勉強しなかったから結果が出ない」とかということではなくて、やってきたようにしかならないし、なるようにしかならない、と捉えて生きています。 伊藤:つまり「なるようになる」というのは「投げやり」ということではなくて、「なるようにしかならない」、要するに「現在は過去の結果である」ということですね。 ショウタ:そうです。 伊藤:はい、ありがとうございます。今日の主役はこんな人たちです。ギャラリーのみなさん、早速何か聞いてみたいことはありますか? いきなりは大変かな? 2 海底は未知の世界 伊藤:では、みなそう簡単には入れない所に立派に合格した人たちなので、恐らく学習の過程の中でつらいこともあったでしょう。そこで例えば、「こういうことがあったから一年間頑張れた」とか、「こういう思いに突き動かされて自分はここまでやってきた」とか、そういう所が聞けるといいのですが、いかがでしょうね。頭の中はまとまりましたか? ユウマくんは何か答えられそうですか。 ユウマ:「合格体験記」にも書きましたが、僕にとって一番の学習の原動力になっていたのは「恐怖心」です。第一に、東京海洋大学は海洋を専門とする大学で、その専門性の高さから他に併願できる大学が上手く見つからず、そうすると落ちたら即もう1年浪人という覚悟だったので、そういう自分への追い込み方が、もしかしたら自分に合っていたのかもしれません。それともう一つ、不合格だとこの1年間勉強したことが水の泡になり、友人たちの声援や親が払ってくれたお金など、すべてが無駄になってしまう気がしたので、なんとしても合格して、この1年にちゃんと意味を持たせたかったです。この2つの恐怖心が、僕が勉強を続けて、海洋大に合格できた要因です。 伊藤:すごいですね。ユウマくんの合格体験記は、ほんとに100%自分と向き合って書いてくれた、なかなか稀少なものです。今の話で、海洋大の特殊性がよく分かりましたが、そこで「自分にはこの世界しかない!」と思い詰めた何かがあるの? ユウマ:最初は環境系に興味を持ち、陸上や海の環境は研究が自然と進んでいますが、海底についてはまだ全然調べ切れていないことが分かって、きっと勉強したら面白いだろうと確信しました。 伊藤:そうですよね。皆さんも本やテレビで見聞きしているでしょうが、海底については本当に、まだまだ分からないことだらけです。そこを自分で解明しようと思ったと。そうするには、もう海洋大しかないんですね。 ユウマ:そうですね。 伊藤:外国の大学はどうなんですか? 私も不勉強ですみませんが、例えば海底の研究が進んだ海外の大学とか、海洋大とタッグを組んでいる海外の研究所とかの話は? ユウマ:海洋大にはインターンの制度があって、TOEICで一定の点数を取ると海外の大学で短期間お世話になれるみたいです。でももともと日本は島国で、海がそこらじゅうにあって、しかも解明されてないから、日本でも十分研究出来ると思っています。 伊藤:逆に外国から日本に来るのかもしれませんね。なんといっても、日本はこれだけ豊富な海洋資源を有していますから。 ユウマ:海洋大のホームページには、外国からの訪問者の記事がずいぶん出ていて、いろいろな国が挙がっていました。だからきっと、海洋分野では諸外国から日本に勉強に来ているのだと思います。 伊藤:日本には海洋大しかないけど、世界ではどうなんだろう? そんな思いから世界に視野を広げ、「でもやっぱり海洋大が世界一」という結論に至るのかもしれませんが、ぜひユウマくんには、この分野の最先端でご活躍いただきたいと思います。 3 数学と経済と社会をつなぐ 伊藤:私、ショウタくんの「スポーツチームの運営団体に入る」という話は初耳なんですけど、そこに至った経緯を教えてください。 ショウタ:AO入試に向け、将来何がやりたいか、どうしてこの学部で学び、それをどう活かしていきたいのか、というのを考える機会が何回かありました。経済学部へ進学する動機としては、「社会全体を考えることができる」ということが大きかったです。自分は文系ですけど、一番好きな教科は数学で、自分でいろんな参考書に手を出し、教科書以外の範囲もいろいろやりました。その中で「経済数学」という分野があって、そこでは数学だけを目的にするのではなく、数学を手段として社会の問題を考える所がすごく面白いと感じました。例えば、数字で社会の動きを見て、そこから政策を立案したり、企業なら新しい商品を出したりといった具合です。そして、そことスポーツとの結びつきについてですが、もともとスポーツが好きで、自分でやるのも、見たり考えたりするのも好きです。偏見ではありますが、誰もが一つくらいは好きなスポーツがあるのではないかと思っていて、人が生きていく中で、テレビやネットなど何らかの形でスポーツに関わる機会は多く、スポーツと人の暮らしは切り離せないものになってきました。そうすると、スポーツと人をつなぐような社会の動きを、経済を通して見ていく分野も大切だろうし、2020年にはオリンピックもあって、その経済効果を考えるのはすごく有意義だし、面白いと思っていたので、スポーツと経済をつないでいこうという発想になりました。それを将来どんなことに生かせるかと考えたときに、スポーツ、具体的に言うと例えばプロのサッカーチームがあったときに、僕たちがサッカーの試合を見ると「あ、サッカーやってるな」で終わっちゃうかもしれないですけど、そこでは必ずお金が動きます。試合をするためにスタジアムを作る、借りる、そこに人を呼ぶ、人を運ぶ、チケットの値段を決める、などなど、たくさんの複雑なお金の動きがあります。クラブの経営者は、そういうのをちゃんと考えているわけだから、自分も学んだことを生かして、やってみたいと思うようになりました。 伊藤:すごい! AO�郡�に受かるのもうなずけますね! 実は私、小さな音楽事務所も経営しており、なかなか儲からなくてつらいんですけど、一方で巨人ファンでもあり、東京ドームには結構行くんですが、あの何万人もの観客は一体どうやって集まってくるんだ! と、行くたびに感動します。ああいうことが音楽でも出来たらすごいな、と思いながら全然出来ない。百人も集まらない(笑)。確かに、そこではありとあらゆるものが動いています。ショウタくんの言う通りだと思います。そういえば、数学を経済の手段とする話が、今年の入試でも出てましたね…… 英語です…… 東北大の1番じゃん! あ、一般入試だから経験してないですね(笑)。 4 先行した同期のノートに奮起 伊藤:トモくんにいきますか。AO�郡�を受かる人というのはやっぱりこれだけのことが言える人だと期待し(笑)、変な振りで申し訳ありませんが、自由にお話しください。 トモ:これまでやってこられたのはまず、将来歴史の研究がしたいと思う中で、歴史の研究をする人は大体旧帝大以上の大学にいる人が多い、という就職的な面も大きかったです。もう一つの理由は、僕には東北大の文学部を去年一緒に受けて受かった友達がいて、その友達からどんな授業をやっているのか、たまに会って話し、授業で使っているノートやプリントを見せてもらっていました。それで、「これを読む訓練してるの? すごく面白そうだな、これと同じ勉強がしたい、絶対東北大の文学部に入ろう!」と思いました。仙台は東北の一大都市だから、近世あたりからの史料もいっぱい残っているだろうし、東北大の図書館にもそういう史料がいっぱいあるだろうし、やっぱり入って勉強するにはここが一番だろうと、モチベーションを高めていました。 伊藤:身近な先輩というか、同期がいるのは確かに大きいですね。あと、残酷かもしれませんが、歴史学を学ぼうとすると易しい所は本当に無いですよね。それは世の中のニーズと一致しているのだと思います。見せてもらったのは古文書ですか? 私も大学で、人形浄瑠璃の台本を読まされましたが、当時のさらさらと筆書きされたものをポンと渡され、それを教授がすらすら読んでいるのを見て、最初は本当に「目が点」でした。トモくんもこれから、本物の史料と大量に出会うでしょう。きっと面白いですよ。 5 演習の読み物に感化+こわい父 カズマ:最初に発言した方と同じように、僕にも恐怖がありましたが、その恐怖というのはちょっと異質で、そこに座っている僕のお父さんに、ちゃんと勉強しないと、ものすごい剣幕で怒られるんです。それがすっごく怖くて、その恐怖に打ち勝つことがモチベーションになっていました。あと、浪人期間中に本を読んだり、問題演習で英文を読んだりするたびに、例えば「いじめ」がテーマの本を読んだら、「子供のいじめに対して何か出来る職に就きたいな」というように、テーマによってその仕事に憧れを持ったり、やりたくなったりしました。そうしたら、浪人して1年間大学受験のための勉強に専念するのがすごくもったいない気がして、早く大学生になって自分の興味あることをとことん、大学図書館など使って調べられるようになりたい、という気持ちになり、それで勉強を頑張れたところはあります。 伊藤:面白いですね。上手くいって良かったですけど、そう思いつつも上手くいかなかった人もきっといる、と思いながら聞いていました。皆さんも小論文だったり現代文だったり英語だったり、様々な場面でいろいろなものを読んで感化されますよね。でもまた次の作品を読むと、興味がそっちへ行ってしまい、結構長続きしない面もあるんですけど。それにしても今の世の中、「親父の権威」を守っているというのは大したものですね。 6 高分子の研究職をめざす ナオヤ:去年合格した大学とは別の大学が元々第一志望で、その大学に受かるためにどの教科も足りていなかったので、合格するために勉強しないといけない、というのが……。 伊藤:ちょっと待って。現役の時にはどこかに受かっていたということ? ナオヤ:後期は受かっていました。でもそこには行かないで、もう1回めざそうと思って。 伊藤:そういうことだね。分かりました。そこを蹴ったということが土台にあるわけですね。あとやっぱり、ナオヤさんといえば「化学」という印象がすごく強いんですが、化学の魅力について語っていただけますか? あるいは、どういう研究職を目指していますか? ナオヤ:世間一般でいう「高分子化合物」、有機化合物の中でもプラスチックなど高分子の分野、中でも新しい材料に多少興味があります。そういうことが出来ればな、と。 伊藤:はい、わかりました。彼は非常にシャイですが、研究者としては成功するタイプだろうな、と思います。また後で是非、いろいろ語ってください。 7 東京で学んだ後、福島市で働く 伊藤:ルナさん、お待たせしました。いろいろ温めたものを。 ルナ:いや、無いです。(笑) 伊藤:いやいや、「こういうものに突き動かされて自分は頑張ってきました」と。 ルナ:現役の時から「どうしても関東に行きたい」という思いしか無くて、どうしても地元を出て東京とかの大学に入りたいと思っていて、現役の時も関東の大学を受け、今年もどうしても、と。本当に、そういう気持ちが一番強かったです。 伊藤:これは大事なことですね。追求するのは野暮かもしれませんが、「関東、何がいいの?」と聞かれたら、どう答えますか? ルナ:就職は福島でしたいと考えているので、学生生活最後の大学4年間をどう過ごそうかと考えたときに、やっぱり東京に行けるのはこの4年間じゃないかと思いました。大学選びもそれが関係しています。 伊藤:ルナさんはこの部分を、全く曲げずに来ましたよね。それがまずありきで、全ては後から肉付けしていた感があって、それで見事に成功させたと思います。 ルナ:やっぱり譲れない部分が、そこにはあったと思います。それで大学も、最初は経済学部を目指していたんですけど、結局地元で就職したいと思った時に、やっぱりもうちょっと地域に関係する学科が関東にあったらいいな、と考え、調べてみました。東京学芸大学は教育学部しか無くて、たぶんみんな先生になるんだろうな、と思って最初は全く頭に無かったんですけど、よく調べたら教育系だけではなく、教養系のコースもあると分かって、そこの「生涯学習コース」だったら、地域に関係するような、自分が少しでも興味がある分野が学べるように思い、そこを第一志望にしました。夏ぐらいのことです。 伊藤:なんと一貫した、見事なシナリオでしょう。私はこの分野をあまり詳しく知らないですけど、「地域関係」というのは具体的にはどんなことを勉強して、どんな仕事が待っているんですか? ルナ:公務員でも、地域に関わることのできる職種があり、そこで働こうと思っています。 伊藤:基本的には、ターゲットは福島市ですか? ルナ:そうですね。福島市の職員は、自分がいま一番希望している職業です。 伊藤:尚志は実は、西会津町や金山町など、県内各地で出張指導というか、夏・冬の課外授業を請け負って、教育に関わるいろいろな活動をしているんですが、ルナさんの職場は福島市でなくても、例えば奥会津だったらどうですか? ルナ:ええ、地元のために出来ることがあったらしたいという気持ちがあります。 伊藤:今、好奇心やモチベーションの維持のためにどういうことを思いながら勉強してきたかを、それぞれの言葉で話してもらいました。それぞれの目標も見えてきて、面白かったと思います。 8 授業を重視し、飽きずに続ける 伊藤:この辺でちょっと聞いてみましょうか。今の話を聞いていて、質問したくなってきたんじゃないですかね。役者が6人いますので、特定の人でも、みんなに聞いてもらってもいいです。この人たちの魅力をさらに皆さんの手で引き出していただくと嬉しいのですが、いかがですか? 質問者1:日々の勉強で意識していたことは何ですか。 カズマ:勉強を一日やったら、何かしら分からない所が出てくると思います。そこで夜に復習の時間をちゃんと設けて、一日やったことを確認し、その中でも自分が気になったものに関してはちょっと大きな紙に殴り書きでまとめ、ファイルに綴じておきました。それを僕は二次試験の時に持って行って、科目は気にせずいろいろ書いてあるそれを見ていたら、自分がそれまでやってきたことを思い出して自信が湧いてきただけでなく、自分の苦手としていた所が分かりやすくまとまっていたので、スッキリした頭で入試本番を迎えることができました。 ショウタ:僕はそんなにたくさん勉強しなきゃいけないと思っていたわけではないし、自分なりの勉強法が確立されているわけでもないので、参考にはならないですけど、どちらかというと僕は学校の勉強を基本的に学校の中で終わらせるようにして、家で勉強をした記憶があまりないくらいです。皆さんに大切にしてほしいのは、「授業は授業の中で終わらせてしまう」くらいの意識を持って授業を聴く、ということです。授業中寝たり、内職したり、各自いろいろで、別にそれが絶対悪いとか、ダメだとかいうわけではないですけど、僕が周りの人たちに比べて良かったと思えるのは、授業をすごく聴いていたということです。「勉強法」からはちょっとずれるかもしれないですけど、やっぱり授業を楽しく、しっかり聴けば、ある程度の土台は出来てきます。内職は僕もしていましたが、やるんだったら分析しながら、考えてやることですね。「分析」とはどういうことかといいますと、ただ「何時間やる」というのではなく、まず「苦手を消す」と「得意を伸ばす」という2つに分けます。点数でいえば周りの平均点よりも負けている部分と平均点よりも勝っている部分を考えて、試験なので点数が最低点を超えれば受かるわけなので、ざっくり言えば、だったらまず平均点より落ちている部分をカバーする勉強と、誰かに勝つために平均点より取るところに分けて考えるべきだと思います。僕は国語が大嫌いで、勉強をほぼしなかったんですけど、唯一出来るところが漢文の句法です。これさえ覚えていれば得意にはならなくても周りには負けない、どうにかなると思っていました。古文はほぼ捨てていて、単語も覚えていないし、活用も言えません。逆に、英語は長文でみんなに差をつけよう、勝とうと思い、伊藤先生の「トップレベル英語」を受講して、必ず習慣づけて勉強しました。水曜日にすごく難しい英文を毎週毎週読むというのが繰り返されたのは、やっぱり活きたと思います。でも、リスニングは平均点でいいと思っていたので、ほとんどやりませんでした。こんな調子で分析し、何を勉強するかを考えてやりました。受験までの時間は制限されているので、どこで負けないようにし、どこで勝ちにいくのかをしっかり考えながら勉強するのがいいと思います。 伊藤:「戦略」を持って勉強することの大切さを話してくれました。英語、よく頑張ったと思っています。 ユウマ:化学は苦手科目の1つでしたが、無理矢理にでも興味を持ってみようとして、独り言で「へぇ、そうなんだー」と大げさに感心したりしていました。 伊藤:理科・社会は「興味ありき」ですよね。興味がなかったら頭に入りません。 ルナ:とにかく飽きないようにやるのが一番だと思います。私は数学で、本当に平均が取れればいいとしか思っていなかったので、とにかく平均は取ろうという気持ちで、数学に飽きたら好きな科目に帰る、考える科目に疲れたら暗記科目に移るという考えで、飽きないように1年間勉強していたと思います。 伊藤:ルナさんはこの1年、見事に苦手を上手く底上げし、よく仕上げたと思います。いまの勉強方法だと、「お休みする」必要がないですものね。 ルナ:得意科目をやっている時間は、自分の中で休憩時間みたいな感じです。集中してないわけではないですけど、やっぱり苦手な科目をやると疲れるので、現社がすごく好きで、その勉強を休憩時間にしていました。 9 「数学攻略法」秘策さまざま 質問者2:自分はすごく数学が苦手で、なかなか点数が伸びなくて、センター試験とかを学校で解かされて「これではまずい」と思っていますが(笑)どうしたらよいでしょうか? 伊藤:トモくんいきますか? トモ:数学に関してはこの2年間ずっと逃げてきました(笑)。高校時代の時に渡された参考書は結構深いところまで踏み込んだ内容で、これを全部やるのは時間がかかるし、こんなの出来ないだろうというところまで書いてありました。だから、むしろ基本の基本しか書いてない参考書を一冊買って、ひたすらその基本のところだけやり続けることで、失敗は少なくなったと思います。 伊藤:それ、青チャートですよね? 全部やりきるのは「無理」ですよね。あれをやりきった人は10年間で1人くらいはいるかもしれないですけど(笑)青チャートの呪縛に苦しんでいる人はやたらと多い気がします。そういう意味で、尚志は河合塾のテキストを使いますが、内容が比較的精選されていますので、ぜひ活用していただきたいと思います。「ナオヤ流」の数学はどうですか? ナオヤ:数学はまず基本を徹底する所からやらないと点数が取れないと思います。基本的なことは教科書とか参考書とかを見てちゃんとおさえて、それが完璧になれば、大学入試に出るような難しい問題もやっているうちに少しずつ出来るようになると思います。僕は理系ですけど、去年までは数学がそこまで得意ではなかったです。だけど今年になって勉強し始めたら、夏くらいから高2・高3で出来なかった二次試験の問題が解けるようになってきました。「慣れ」なのかな、とは思いますけど。 伊藤:「慣れ」というよりは、自覚するのは難しいかもしれないですけど「基礎が確立した」ということではないでしょうか。浪人生最初の4ヶ月、尚志では「基礎シリーズ」に取り組みます。そこで知識の穴をしっかりと埋め、土台作りをします。その中には比較的易しいものも含まれていますが、それらがきちんと埋められたからなのかもしれません。ユウマくんはどうですか? 数学は比較的得意ですよね? ユウマ:僕は数学は「質より量」だと思っています。何回もやってパターン化し、問題を見たら「これはこの公式を使えばいい」というのを考えるまでもなく、何回も何回も問題をやるうちに自ずと見えてくるのではないか、というのが自分の考えです。最初の頃は苦しくて「ここでこう考えるのか」「こういう解き方もあるのか」などと思ってばかりでしたけど、でも数をやっていくうちに「問題文がそれを使うように言っている」とだんだん思えるようになってきます。だから「質より量」。時間をかけて根気強く取り組むことです。 伊藤:かなり極めたと思われるカズマさん、どうですか? カズマ:そうですね。何回も解いて「こういう問題はこの公式を使う」というのはやっぱり大事だけれども、その公式がなぜそうなのかを理解すること。例えば、二次方程式の解の公式だったら、元々の式を平方完成してグラフ的な処理をした結果出来るわけであって、それを知らずにただ「解の公式」として覚えると、余計な所でこんがらがったり、あるいは「判別式」は「解の公式」のルートの中身にすぎませんけど、それを分からずにただ暗記していたら別のものと認識していたりすることもあります。だから僕としては、公式はちゃんと理解し、導出した上で暗記するのが大切だと思います。 伊藤:「判別式」あたりはまだ浮かぶかもしれませんが、成り立ちまでしっかり分かっていてほしいのは「点と直線の距離」あたりですかね? カズマ:僕はわりと最近まで「倍角の公式」とかも「導出出来るからいいや」と思って覚えていなかったですけど、やっぱり覚えたら解くのが圧倒的に速くなるので……。まあ、全部ですかね。 伊藤:積分あたりはどうですか? カズマ:そうですね。いわゆる「6分の1公式」なども、一回手計算でちゃんと解いた上で暗記すべきでしょうね。 伊藤:この機会にちょっと聞いてみたいんですが、数学はわりと「公式の成り立ち」まで常にパッパッと出るべきものだと思いますけれども、物理あたりはそういうのをあまり問わないらしいじゃないですか。 ナオヤ:そうでもないです。 伊藤:あ、そうでもない? すごく昔の話ですけど、高校で物理を習い始めたときに、先生が公式を大して検証もしないのに「使え、使え」と仰ることに違和感を覚えた記憶がありましてね。数学と随分違うな、と感じました。 ナオヤ:高校の物理は、実際にここで同じことをやっても、そうはならないじゃないですか? だから、それ以上の追求をやめておくんですよ。 伊藤:あ、そうかそうか。実際には空気抵抗などが影響しますからね。では、こんな所でよろしいですか? 10 得意教科は予習中心に 質問者3:予習と、復習と、自分の勉強に、どれくらい時間をかけたか教えてください。 伊藤:これは簡単、「時と場合による」。ルナさんはどうですか。 ルナ:高校の時は予習をそれほどやっていませんでしたが、尚志に入ってからは予習を必ずやるようにしました。結構時間がかかりました。復習はほとんどしなかったので、良くないです。本当に分からなかった数学の問題を、後から自分で解いてみるくらいでした。 伊藤:予習中心であったということですね。 ルナ:そうです。いつもいろいろと、ほとんどの教科の予習をしないといけなかったので、結構大変でした。復習は本当に……やったっけ?(笑) 伊藤:浪人生は少なくとも、当校の枠組みでやっていく以上、予習は必須です。やらないわけにはいきません。そうしないと、自分は何が分からないのか分からないまま、授業を受けることになります。そして、予習の進め方として大きく、�‥據ζ�に固めて予習し、平日は復習だけする という組み立てと、�∨萋�予習する という組み立てと、大きく2つに分かれると思うんですが、みなさんはどっちでしたか? ルナ:私は土・日や休日に自分の勉強がしたかったので、予習は平日にしていました。 伊藤:復習をしっかりする人は、わりと土・日に予習をしていたかもしれませんね。 ルナ:私は自分で復習しないぶん、授業が終わると、分からなかった所に関し、友達をつかまえて「ここ、もう一回説明して!」と頼んだりしていました。 伊藤:復習すべきポイントが授業の中ではっきり見えていれば、復習は多分5分とか、短時間で終わりますね。トモくんはどうですか? トモ:僕は平日に予習をやりました。予習が終わらないと授業に出ない、と決心し、授業に出ないと授業料がムダになる、と自分を追い込みました。復習は一切やりませんでした。(笑) 伊藤:同じことを言う人が2人いるというのは大きいですね。 トモ:まず予習を終わらせ、その後に時間が余ったらそこで理科・社会をやったり、赤本を解いて分からなかった所を復習したりしました。授業の復習はしなかったです。 ナオヤ:僕は予習を基本、土・日に固めて、平日は授業が終わった後、その日の復習をすることもあれば、前週の授業内容を復習することもありました。土・日は予習の後、時間があれば自分の勉強をしていました。 ユウマ:僕も予習中心で、土・日に固めようとしましたが、なかなか土・日では終わらず、平日の放課後あたりもやっていました。実は僕も、ほとんど復習をした記憶がありません。授業を受けても分からないことはあまりなかったです。だから、復習するとしたら、しばらく経ってもう一度解き直し、自分が分からなかった所が出来るのを確認するのがいいと思います。 伊藤:そう、復習中心にやらなければいけないのは多分、相当な苦手教科だと思います。それはしょうがないですよね、予習しろと言われても多分出来ないですから。そういう科目はハッキリ切り替えて、復習中心にやりましょう。あと、得意教科の予習は楽しいので、どんどん進んでしまいますけど、あんまり早く進めると授業を受ける時に忘れてしまっていますから、国語や英語は直前に予習するのが結構いいと思います。 11 家庭内コーチ 伊藤:さて、ここで聖光学院特待生だったカズマ君に、我々が経験したことのない環境で培った秘伝をいろいろご披露願えますか。 カズマ:聖光学院は、基本的に野球部のためにあるような学校で(笑)、授業らしい授業は経験していません。たまに授業中にもキャッチボールしている人がいるような(笑)、予習もくそもない(笑)所でして。だから基本的には家で勉強し、授業に出る必要のある時間は内職という生活でした。 伊藤:高校では映像授業を見ていたんでしたっけ? カズマ:「ブロードバンド」が導入されていました。予習はせずに、映像授業を見て、すごく分かりやすいので、見終わった後にすぐテキストやノートをざっと見直して終わりでした。その意味では、復習中心の学習だったことになります。 伊藤:映像授業以外の部分は、どのようにしていましたか? カズマ:ウーン、とりあえず問題を解いて……。 カズマ父(ギャラリーより):映像授業が予習で、お父さんが復習。(笑) 伊藤:現役時と浪人時と、ほぼ同じ所を受験したわけですよね? カズマ:はい。 伊藤:ということは、この1年で成長出来たから受かったわけです。尚志にはこの1年、模試をきちんと受けに来てくれたことに加え、センター後は面接練習にも通ってくれましたけれども、「この1年の成長の秘訣」は何だと思いますか? カズマ:さっき物理の話が出ましたけど、以前は公式に代入するだけで、あまり本質を理解出来ていなかったので、そこに関して丁寧にやりました。公式を見たらその導出について逐一考えていましたが、学習が進むにつれて、大学の知識を使わないと導出が出来ないものもあることが分かり、そこは割り切って「こういうものだ」と受け入れるようにしました。基本的に、勉強していると自分の苦手な分野が自分で分かるものなので、そこを意識して練習することが大事だと感じています。 伊藤:さっきトモくんも言っていましたけど、我々はテキストを使って学習し、「明日この授業がある」と思うから、待ったなしで予習するじゃないですか? 日々、この繰り返しです。そういう意味では何か歯止めがないと、学習を継続するのが難しいような気もするのですが、そこを続けられたのは、もしかして「お父さんの力」? カズマ:(きっぱりと)お父さんの力です。(笑) 伊藤:それはもう「名コーチ」としか言いようがないですね。 12 「習い終わり」が学習の転換点 伊藤:今度は福高現役生代表として「ショウタ流」を聞いてみたいですね。 ショウタ:僕は普通の高校で普通に授業を受けてきた普通の高校生なので、普通のことしか言えないですけ(笑)、まず僕が高校3年間授業を受けてきた中で思ったのは、1・2年生の授業と3年生の授業はかなり違うものだということです。高1・高2は教科書を進め、新しいことを学びます。ところが高3の受験期になってくると、新しいことを学ぶのではなくて、今まで覚えたことが使えるか、出来るかという方向に移ってくると思います。だから1・2年生のうちは確かに「予習・復習」というのがありますが、高3の受験期以降になってくると「予習・復習」というより、「出た問題が解けるか、解けないか」にポイントが変わってきます。だから僕の話に戻すと、予習・復習はしませんでした。した方がいいと言えるのは、模試の復習と、演習の授業で出来なかったポイントを押さえる復習です。この機会にぜひ覚えていてほしいと僕が思うのは、高1・高2で出来なくても高3になると変わることがある、例えばセンター試験を高2の時に解いて「出来ないな…」と思っても、意外と高3になってみると「あれ? 出来る!」というのがあることです。だから、高3は予習よりも、解けなかった問題をもう一回解くという復習に重点を置くのがいいと思います。 伊藤:ふーん、なるほど。学年が変わるだけでこんなに「違う!」と思うものですか? ショウタ:端的に言うと、新しいことを習い終わるタイミングが、教科によって異なります。数学だったら、僕は文系なので高2の途中で�機Γ繊Ν供Γ造龍飢塀颪�終わり、問題を解く授業に移ります。英語は文法を全部学び終わればあとはひたすら問題演習。ところが社会は、高3の10月まで普通に教科書で新しいことをやります。だからいつまで経っても、例えばセンター試験の過去問をやっても、未習のことが出てきてやる気がしない。けれども、教科書が終わった所でやってみたら、ちゃんと出来る。その意味で、学年というよりは、教科書の終わるタイミングが勉強法の変わり目だと思います。 伊藤:そこで、自分で教科書を終わらせるかどうかという議論がありますね。 ショウタ:僕は、理科基礎は自分で教科書を終わらせました。社会が後々忙しくなりそうだったので、早いうちに理科基礎は終えておきたいという意識で、自分でさっさとやってしまいました。でも、あとは教科書を授業通りに、普通に受けていました。 伊藤:先取り学習が好きな人はいますけど、効率がいいかどうかは微妙な感じがしますね。結局先生に教えてもらった方が手っ取り早いです。去年の座談会に「先取りマン」がいて、「数学は�靴泙如�高2の頭に全て終わらせました」と発言し、衝撃を与えていました。確かに自分でやる面白さはありますけど、高校の3年間で大学入試に向けて準備する中で、効率的かどうかはちょっと分からないですね。でも高3の秋くらいまでずっと数�靴龍飢塀颪鬚笋辰討い襪茲Δ任蓮△弔蕕�なってくるものですか、ナオヤさん? ナオヤ:米沢興譲館高校では、高3の夏休み前くらいに教科書が終わりました。でも、高2の冬休み明けくらいから数�靴貌�りましたが、ものすごいハイペースで、とても理解したとは言い難いです。 伊藤:ここらへんでつらくなる人もいるのかもしれませんね。カズマさんはかなり自分で進めていたようにお見受けしていましたが。 カズマ:確かに、数�靴老觜汁瓩瓩暴�わっていましたけど、やって満足して放っておいたら結構忘れて、後で一から、みたいな感じになってしまいました。だから結局どの科目に関しても、定期的なメンテナンスが大事で、それがないと抜けてしまいます。 伊藤:そう、数学は意外にも、既習事項でもしばらく経つときれいに忘れます。だから忘れないための「復習の組み立て」を考えなければなりません。その仕掛けを作るのが講師やコーチの重要な役割ですね。 13 対策は目標によって異なる 質問者4:センター対策はいつ始めましたか。また、センターの目標点数を聞きたいと思います。 トモ:僕は高校2年まで本当に遊び放題で、3年生になってからあわてて勉強を始めましたが、間に合いませんでした。今年1年浪人して分かったことは、二次試験に必要な国・数・英に関しては、むしろ二次に向けた勉強を先にやった方が結果的にセンターが楽になるということです。理科・社会に関しては文系の場合、センターしかないところが多いから、センターに特化して勉強すればよいです。あとは特定の教科を好きになりすぎないことですね。去年、僕は日本史ばかりやり過ぎて、他の教科が本当に悲惨なことになってしまったので。 伊藤:魅力に身を任せるのは、実は非常に大事なことだと思いますけどね。 ルナ:私は二次試験が小論文だけで、本当にセンター勝負だと分かっていたので、記述の練習はほぼ全くしませんでした。橘高校では数学を二次試験で使うクラスにいて、現役の時に志望していた大学にも記述があったのでそれなりにやりましたが、結局は記述もマークも中途半端な仕上がりでした。だからこの1年間は最初からセンター試験で得点が取れればいい、小論はみんな大体同じようなことを書いて差が出ないから、点差をつけるのはセンターしかないと思って、ひたすらセンター対策。記述の練習は一切やっていないです。今思えば、ちょっと危険な賭けだったかな。これでセンターに失敗して、急に記述が必要になったら……と思うとヒヤッとしますが、結果的に、絞って良かったと思います。 ユウマ:尚志からセンター対策用のテキストが来て、それを始めたのが僕にとって最初のセンター対策でした。渡されたテキストをやっていくうちに、自然と対策が出来たと思います。目標点数についてですが、東京海洋大は英語の配点が高く、600点満点中250点が英語なので、とりあえず英語は死守しなければいけない、8割〜9割は絶対取りたいと思っていました。達成出来てよかったです。後の科目は、尚志で出されたものをやってそれなりの点数が取れた感じです。 ショウタ:僕が本格的にセンター対策を始めたのはすごく遅くて、12月の頭くらいです。過去問は地理と世界史を3年分、数学を2年分やったくらいで、国語も英語もやりませんでした。でも、経験した人は分かると思いますけど、高2の冬ごろからセンター模試が何回かあります。初めは「分からないよ!」と、あまり気にしませんでしたけど、受けていくうちに「とりあえず夏までに国・数・英で合計8割」と意識しました。12月以降はセンター演習が高校でもたくさんあるので、そこで理科・社会を完成させ、最終87〜88%を目標にしましたが、実際にはそこまで取れませんでした。 カズマ:二次試験に必要な科目であれば、その対策を中心に、センター試験に向けては直前に形式に慣れるくらいでそれなりに点数は取れると思います。僕も二次試験にある科目は12月くらいからやって、それ以外の国語と社会はもう少し前からしっかりやっていました。 ナオヤ:本格的にセンター試験対策をし始めたのは、今年は12月の半ば頃くらいです。記述式の勉強で十分センターの範囲をカバー出来ているので、形式に慣れるだけで、そんなに早くから始めなくてもいいと思います。 伊藤:はい。ありがとうございます。ということで、要は何が言いたいかというと「目指す大学によってだいぶ違ってくる」ということです。そこで、自分はどこを目指すかを考えるとき、目先だけを考えずに10年後くらいをちゃんとイメージし、大学を将来に向けての通過点として捉えることが大切です。次に、その大学は何を要求しているのかを確認します。今話が出た通り、本当にセンターでほとんど決まってしまうような大学もあれば、センターをあんまり見ない大学もあります。その両方を追いかけるときはどうすれば良いかも考えなければいけないですけど、例えばA大学は物理があるが、B大学は英語だけとか、課される科目がバラバラだとターゲットを絞りにくいでしょう? だから出来ることなら、ある程度一貫していた方がいいですよね。そういったことも考えた上で、志望大学を決めてみてください。 では、大体予定した時間になりました。本日話してくださった6名の方、お立ちください。この方々の前途に幸多かれとお祈りし、拍手を送りたいと思います。今日は本当にありがとうございました。(拍手)これにて座談会を終了したいと思います。長時間ありがとうございました。 |
自治医・県医2名・外語大等合格者座談会
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2020年3月23日実施 |
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「合格者座談会2020 尚志で伸ばす合格力」
2020年3月23日(月)13:30〜15:00 尚志学園福島駅前新校舎 303教室にて 出席者 大学受験科 ヒデキ 福島県立医科大学医学部 合格 ヒナノ 自治医科大学医学部医学科 合格 ハルト 福島県立医科大学医学部 合格 リンヘイ 東京学芸大学教育学部中等教育教員養成課程保健体育専攻 合格 タクヤ 横浜国立大学教育学部 合格 ※現役生コースにも在籍 現役生コース ユリノ 東京外国語大学国際社会学部東南アジア第2学科ラオス語専攻 合格 マコト 東京理科大学理工学部経営工学科 合格 講師 高野成一 尚志学園講師(大学受験科・数学) 稲月あかり 尚志学園講師(大学受験科/現役生コース・全教科) ギャラリー 質問者1,2 司会 伊藤 哲 尚志学園教頭(英語・小論文) 1 主役たち、登場 伊藤:この1年、尚志でいろいろな形で勉強し、特に成功した人たちに、今日はお集まり頂きました。ギャラリーに来て下さった皆さんには、後ほど彼らへぜひ質問をしていただきたいと思います。彼ら一人一人が心に持ついろいろなことをみんなで引き出し、それぞれの人物像を浮かび上がらせたいと思いますので、ぜひご協力をお願いします。ではこちらから時計回りに、軽く自己紹介を。 マコト:東京理科大学に進学します。大学では寮に住み、部活動にも勉強にも全力で取り組んでいきたいと考えています。 ユリノ:東京外国語大学に合格しました。まだサークルを決められてないですけど、頑張れたらいいな、と思っています。 ヒナノ:自治医科大学に進むことになりました。この一年間、先生方の手厚いサポートを受けて、精神面でも大きく成長できたと思っています。 ハルト:福島県立医科大学医学部に合格しました。本当に、この尚志に来たからこそ受かれたのだと思います。 ヒデキ:僕も福島県立医科大学医学部に進みます。僕はここの大学受験科で2年間お世話になりました。先生方に支えられて2年間何とか続けられ、合格出来ました。これからはここで受けた恩をいろいろな人に返していきたいと思っています。 リンヘイ:東京学芸大学に合格しました。自分はこの中では一番勉強してないので(笑)、そんなに偉そうなことは言えないです。 タクヤ:横浜国立大学の教育学部に進学します。福島高校での学年は現役生たちと一緒ですが、こちらの方々と一緒に大学受験科にも在籍しました。今日は頑張ってしゃべろうと思います。 伊藤:タクヤくんはこの座談会のために、引っ越しを遅らせてくれたらしいです(笑)。このように、今年は7名もの人たちがこの場にそろいました。なかなかこんなに豪華にはならないです。この人たちの話がいろいろ聞けますのでお楽しみに。次に、この人たちといろいろな形で関わってきた先生方からも、自己紹介をお願いします。 高野:皆さん、おめでとうございます。私の数学の授業にはどんな印象をお持ちだったでしょうか? 私は教員時代、進学校での指導経験がなく、この予備校に来て2年目なので、果たしてみなさんの知りたいことにマッチした授業だったか、ズレはなかったかと心配しています。今年のセンター数学は少しクセのある内容で、見た瞬間ヤバイ、大変だと思っただろうと思います。ああいうときにお役に立てるには、授業でこう言えばよかったかな、などと振り返っているところです。いろいろとお話を聞かせてください。 稲月:今年度は前期に大学受験科の数学の授業を、そして現役生コースでは個別指導や少人数指導で、英語その他を担当しておりました。私、基本的には学生で、福島県立医大の、今春から5年生になります。ですので、これまで生徒だった人たちが、遂に後輩として入学してくることが、うれしくて仕方ありませんし、授業した人たちがそろって見事合格したことも喜ばしく、今日はめでたい気持ちを表しに来ました。 伊藤:こういう顔ぶれで今日は進めて参ります。本来は新聞社を呼んだりしてさらに賑やかにするのですが、昨今のコロナ騒ぎなどもあって、手配を忘れてしまいました。そういえば、ヒナノさんは去年も座談会にいましたよね? ヒナノ:はい! (ギャラリーを指して)この位置に。 伊藤:そして、稲月先生は一度、3年前にも座談会に来てくださいましたね。 稲月:……けっこう前、でしたね。 伊藤:あのときも福島県立医大医学部の合格者が2人いたと思うのですが、あのときはまだ大学受験科を受け持っていらっしゃらなくて……。 稲月:そうです。個別指導の担当で、医大の合格者は担当していた生徒さんではなかったので。 伊藤:だから今回めでたく「教え子が後輩になった」ということですね。そして稲月先生は、福島県立医大の学生になる前に、京都大学を卒業されています。ユリノさんが尚志へ初めて来てくれて、「東京外国語大学をめざします!」と言ったときに、稲月先生には大学受験科で数学を教えてもらっていましたが、ユリノさんの英語を担当するのは、あの京大の難解な英語を克服した稲月先生がベストだと思い、お願いした経緯があります。 2 数学で社会に貢献する 伊藤:さて、ここからは一人一人に質問していきます。まず、マコト君が進む「経営工学科」というのは、どういうことを勉強する所ですか? マコト:高校の勉強で一番好きだったのが数学で、高校の勉強以外で一番興味があったのが社会学でした。 伊藤:社会学とどんな接点があったのですか? マコト:ニュースを見るのが結構好きで、これを見るだけでなく、自分の好きな数学と結びつけて、社会の仕組みを数学的に解明し、数学を社会に活かすことの出来る人材になろうと思っています。 伊藤:なかなかない発想だと思いますが、どこでそれを知りましたか? マコト:身近な新聞記事などです。例えば、コンビニなどにあるPOSシステムでは、企業が即座にデータを集め、読み取ったものから今後の方針を立てていくものです。こうした枠組みに共感し、何か新しいものを思い付けば、社会に役立つと考えました。 伊藤:Post POS を考案するのですね(笑)。 マコト:これは一つの簡単な例です。企業が数学やデータを使っていることに新鮮な感じがしました。小学生のときにこのことに気づいて感動を覚え、いつかはこうしたことに携わりたいと思うようになり、いろいろ調べて経営工学に行き当たりました。 伊藤:いま感心したのは、このことを思い立つきっかけが本当に小さいときにあったということです。なかなか出来ないことではないでしょうか。 高野:一般論として、数学は文系か理系かといわれると理系に分類されるでしょうが、数学を道具と考えるならば、文系・理系の区別はなくなる。例えばワープロのようなものは、元々むしろ言語のほうを専門にする人たちが、数学の発想を加えて開発したものです。40年前、私が大学にいた頃、統計学は基本的に「全データを処理できないから、抽出データから推測する」学問でした。でも今はビッグデータを処理し、そこへ社会科学的考察を加えて活用する学問に変わってしまいました。当時は「ある人の血液を20か所で採取すると、ある時は低血糖、ある時は高血糖と判定される場合がある。これはどう処理するのが数学的に正しいか」というようなことをやっていましたが、今は検査の精度も上がって、このようなことはもう起こらなくなりましたね。 伊藤:深いですね。皆さんもこのように、感じたことを遠慮なくお話し頂きたいと思います。でもまずは聞かれる方が先ですね。 3 東南アジアを究める 伊藤:次はユリノさん。ラオス語! これはもともと考えていたのですか? ユリノ:いや、たまたまです。 伊藤:例えば「マイナー言語の専門家になりたい」という夢があったとか? ユリノ:いや、言語よりも、東南アジアという地域や歴史に興味があったということ です。 稲月:私、京都大学にいたとき、第二外国語でアラビア語を履修しました。 全員:ええっ!(笑) 稲月:世界で唯一、右から左に書く文字を持つ所に興味を持ったからでしたが、言語を学ぶためにはそこの文化や歴史を知らないといけない。ですから、今はもうアラビア語自体は読めるだけで、意味はほとんど分からなくなっていますけど、当時勉強した歴史や文化や社会的背景は、授業で先生が話していたことを含めて、結構頭に残っている気がします。ですから、言語を学ぶということは、それを使う人たちのことを知るということだと強く思うので、ユリノさんも東南アジアに関して同じようなことを感じるのかな、と思います。 伊藤:大学へ行く皆さん、第二外国語はそれぞれ、ぜひやって下さいね。 タクヤ:ウチは多分、ないです。3年前くらいに必修から外れて。 伊藤:でも、必修から外れても、きっとあるよ。(笑) タクヤ:僕は多分やらないです。(笑) 伊藤:でも一度ぜひ、英語以外の言語を学ぶ機会を持ってほしいと思います。第二外国語を究めようとすると、我々が如何に英語の蓄積を多く持っているかにも気づくし、言語を形成する普遍的な仕組みにも気づくし、発見がたくさんあります。ところで、東南アジアは今、世界史でどの程度扱うのでしょう? 私が学んだ当時はすごく薄い扱いだったという印象があるのですが。 ユリノ:東南アジアを選んだ理由の一つとして、世界史を好んで学ぶ中で、第二次世界大戦後に東南アジアの人たちが力強く復興する姿に触れ、興味を持ったということがあります。 伊藤:そうですか。いろいろ聞いてみたいこともありますが……。 4 入試で「惚れ惚れ」 伊藤:次はヒナノさん。自治医大に何かのきっかけで惚れ込んだんですよね? ヒナノ:はい、会場に行った時に。 伊藤:ああ、行って「ここだ!」と思ったのですね。 ヒナノ:もう「ここに来たい」という思いが止まらなくなった。 伊藤:その思いを実現させたというのはすごいですね。 稲月:そういうのって結構、学校に通い出してからも感じます。私、今医大に通って、もともと第一志望だったんですけど、でも結局来たことはなくて、入試で初めて医大の敷地に足を踏み入れたときに、「絶対ここに来る!」と思った。だからいまだに、その場所を通るたびに、「ああ、本当に入ってよかったな」と思い続けています。大学のことをいろいろ好きになるのはいいことだと思いますね。 伊藤:ヒナノさん、それをもう少し分かりやすく言葉にすると、どういうことになりますか。 ヒナノ:学生さんの感じもよかったし、先生方やスタッフさんの感じもよかったです。 伊藤:学生が入試に何か関わっていたのですか? ヒナノ:いや、ちょうど病院で研修していた学生さんとすれ違って……。みんな仲が良さそうで、何というか、いい雰囲気だったんです。オーラを感じました。(笑) 稲月:全寮制ですものね。結束力が全然違う、と聞いたことがあります。 伊藤:全寮制は、大変な部分もあると思いますよ。「絶対ヤダ」とか思っている人、いるでしょう?(笑)あとは合格体験記にも書いてくれていたように、「入試の形式が自分に合っていた」ということもあるのですか? ヒナノ:面接が3回くらいあって、そこで出てきた先生方がすごく優しくて、「いいな!」と。(笑) 伊藤:面接の時にそんなことを感じるって、なかなか出来ないですよ!(笑)福島県立医大とは入試の形式が違うんですよね? 小論文があるのと、面接は集団面接? ヒナノ:集団が1回と、個人面接が2回ありました。 伊藤:その中で印象に残ったことはありますか? ヒナノ:1回目の個人面接は一次試験の一つとして、福島県庁でありました。それを通過した人が現地で二次試験に臨み、その中で12人による集団討論がありました。テーマは「東京オリンピック・パラリンピックの日本における成功とは何か」でした。それをさらに通過した人が、現地で2回目の個人面接を受けました。 稲月:「福島県枠」ですね? ヒナノ:そうです。 稲月:じゃ、いずれはこっちに戻って、みんなと一緒に。(笑) 伊藤:自治医大にはこの枠しかないですよね? 「一般枠」ってあるんですか? 稲月:ないですね。みんながどこかの地域と結ばれている。 伊藤:合格体験記に「新聞を毎日読んでいたのが役立った」と書いていたと思いますが、何があったのですか? ヒナノ:「質問カード」に高校時代のことを書く欄があって、福島の放射線について調べた経験を書く中で、新聞を読んで得た知識が役立ったということです。 伊藤:あ、ニュースとかではなく、その当時の話ね。 ヒナノ:そうです。時事問題などが出題されたわけではありません。 伊藤:なるほど。でも、ちゃんとアンテナが立っていないと、「これ書こう!」とは思わないわけですから、そこはうまく対応出来たということでしょうね。 5 精神面を支えた「友」 伊藤:さて、ハルトくん。「現役の時は一人で勉強していたのがつらかったけど、尚志はそうではなかったのがよかった」と、合格体験記に書いてくれましたが、その辺りを詳しく教えてもらえますか? ハルト:現役の時には「一人で勉強した方が、時間が取れるのではないか」と思ってやっていたのですが、やはり一人での勉強は精神的な負担が大きくて、かえって集中が切れてしまうことがよくあり、入試直前はもう「諦めモード」に入ってしまっていました。そこでこの1年間は「精神面に一番気をつけよう」と思ってやってきました。 伊藤:やっぱり「友達がいる」というのは、大きな支えになるのですか? ハルト:そうですね。例えば、勉強していると眠くなったりしますが、友達がいると起こし合える。友達が頑張っているから、自分も頑張れる、と思いました。 伊藤:そういえば、ヒナノさんも合格体験記に書いていましたね、「模試の結果も見せ合って、励まし合って」と。 ヒナノ:はい。 伊藤:この場に友達が来ればよかったですね。(笑)本当は一緒に来るはずだったんですけど。 6 誘惑を絶って、合格を「必然」に 伊藤:ヒデキくんに行きましょうか。私、すごく印象に残っているのは、「『受かることは必然です』と言えるようにしろ、とある時、とある先生に言われた」という話です。 ヒデキ:実は、去年から言われていました。最後の最後になり、やっぱりちゃんとやっているとそういう感覚が湧いてくると思います。合格体験記にも書きましたが、去年はセンター試験が取れて、ちょっと調子に乗っていたんです。「これは行けるな」と。2月はそんな感じで、浮き足立ってダメだったんです。あれは過信というか、慢心でした。今年はセンターの得点もさらに上がったけど、「まだまだ」と自分を戒め、ゲームの電源も入れては消し、また入れては消して(笑)、これを勉強のスイッチにしていました。そうして二次試験本番を迎え、会場で席についたとき、「ああ、自分はここまでちゃんと積み上げてきた」と実感し、落ち着いて試験を受けることが出来ました。「これだけやったからきっと大丈夫」という感覚が、今回はありましたね。 伊藤:ゲームの誘惑って、みんなあるんですか? ある人? (ほぼ半分) そうか、ない人もいて、人それぞれということですね。私の世代でさえ、ゲームがむちゃくちゃ上手いヤツはいましたね。 タクヤ:伊藤先生じゃないですか? 伊藤:私? 全く出来ません。知っているのはマージャンくらいです。だから、ゲームも一つの技術だとは認めますが。 ヒデキ:でも、受験期はちゃんと勉強しないといけない。 稲月:そしてそれが結果的に、自分の精神面での支えになったわけですからね。 ヒデキ:実は全くやらなかったわけではなくて(笑)、少しはやったんですけど、でも年明けからはプレッシャーもあったから、つけてはすぐ消すようになりました。 伊藤:この1年で精神力がついたのですね。 ヒデキ:そう、去年の2月は浮き足立って、ずっとやってしまいましたから。 伊藤:本当に、ちょっとしたことなんでしょうけどね。「勝負は紙一重」なので、取れるものも取れなくなる。ここらへん、逆にハルトくんはすごいな、と思います。 7 教える喜びを生涯のものに 伊藤:リンヘイくんの番ですが、その前に、これだけ話を聞いて、逆にいろいろ突っ込みたくなっているんじゃないですか? リンヘイ:「自分、薄いな」って。(笑) 伊藤:何を仰いますやら。東京学芸大の中等・保体というのは、基本的には教員を目指すコースですか? リンヘイ:いや、教員もありますし、別な道もありますね。全日空へ就職した人もいますし、文部科学省へ入る人もいるみたいです。でも僕は、教員志望です。 伊藤:そうか、きっぱりと! 得意なスポーツは何でしたっけ? リンヘイ:テニスです。 伊藤:部長だったんだよね? リンヘイ:そうですね。 伊藤:有名だったんでしたっけ? リンヘイ:全然。(笑) マコト:いや、結構知ってました。 リンヘイ:違うヤツじゃないですか?(笑) 伊藤:そういう意味では、相当体が利くのでしょうから、それを活かして。あとは……後進の指導? どういう気持ちですか? リンヘイ:僕は英語と体育が好きで、でも尚志に来て、英語は人に教えられるレベルではないと悟ったので、体育のほうに行こう、と。そして、人にものを教えるのは好きなので、自分の得意なことを活かして、好きなことをやろうと考え、教員になろうと思いました。 伊藤:この部屋を出たすぐそこにロビーがありますけれども、「リンヘイ・グループ」というか、リンヘイくんが中心とは必ずしも言わないですけど、そこでよく賑やかに勉強していましたね。あれは、教え合っていたのですか? リンヘイ:そうですね。高校のときは聞かれることが殆どなかったですけど、何だかあそこにいると、みんなが僕に聞いてくるので。(笑)教えられないこともあって、そのときはちょっとショックでしたけど。 伊藤:教える中心は英語だったの? リンヘイ:英語もですけど、数学も結構好きで、ある程度なら教えていました。 伊藤:おかげで、職員室に来る人が少し少なくて済んでいたのですね(笑)。小先生がここにいると、すごく助かるんですよ。2年前にもそういう人がいて、彼女は福大生になり、今はギャラを払って講師をしてもらっています(笑)。 8 個性を伸ばす学校を作りたい 伊藤:さて、タクヤくんも教員志望ですか? タクヤ:志願理由書では「100%教員になりたい」と言っておきながら、その意思がないというのは失礼になるかな、と思っている所です。 伊藤:どんな夢を持っているんでしたっけ? タクヤ:いろいろあるんですけど……一番大きなの、小さなの、どっちがいいですか? 伊藤:では、大きなのを。何といっても「夢は大きく」ですから。 タクヤ:「学校を作りたい」です。 伊藤:へえ〜。既存の学校ではダメだと……。尚志もそんな思いで通信制高校を作ったのかもしれませんが。 タクヤ:そっちの方向ではないですけど。 伊藤:では「タクヤ学園」の構想は? タクヤ:いまの教育現場は画一化していて、「こういう子は良い子」「こういう子は悪い子」というような、個性に対応しないで同じものを作ろうとしている面をすごく感じているので、そうではなくそれぞれの個性を伸ばし、柔軟に対応していく。そのためには「優等生」とされるルートだけではなくて、いろいろな経験をしたほうがいい。そして、そうした経験を全部活かし、それを人へ伝える。そんな思いで教育学部を志望しました。教員にはならないけれども、そんなことに携わっていけたらいいな、と思います。 伊藤:教員にはならずに学校を作るということは、経営者になるのですね? タクヤ:既存の学校教育の組織に染まるつもりはないです。だから、中途半端に教員になるよりは、学校を作ってしまおうと。でもそのためには、教員の経験が豊かなしっかりした人と、コミュニケーションを図りながら進めていかなければいけないと思っています。 稲月:そこが重要になりそうだね。 伊藤:長年先生をやって来られた高野先生は、この点についてどのようにお考えですか? 高野:学校はどうしても、法律に縛られます。そしてその親分として、文部科学省がいます。「文部科学省は何を考えてこの施策をやっているのか?」と考えるようになるのは、管理職になってからで、一般の教員のうちは生徒と向き合うことだけを考えるので、あまり上が何を言っているかは考えない。文部科学省で要望を作っている人たちが、学校やこれからの若い人たちがこうあるべきだというビジョンを本当に持っているのかどうかは分からない。だからタクヤくんには、学校を作るのが目的だとしても、どういう子どもたちを育てたいのかをまず自問自答しながら、いろいろな所に手や頭を突っ込んでみたらいいのではないか、と思います。皆さんも今それぞれ夢を持っていると思いますが、自分の中のビジョンを大きめに持って、どんな医者になりたいのか、将来どんな仕事をやっていきたいのかを、よく考えてほしい。今の学校は、そういう自由度が低いと見られている所が大なり小なりあります。でもその手の議論は昔からあって、教員採用でも点数のいい人から採らないで、上中下に分けて上から何人、中から何人、下から何人という採り方をしたほうが、教員に多様性が出て好ましいのではないか、という人もいるけれども、例えば数学の教員として雇ったときに、センター試験の指導もできない教員では困るだろう、ということで、そうは踏み切れないという現状があります。 タクヤ:「点数が良くても落とされる」という評判だった学校で、点数開示が始まってから、面接ではなく点数重視で取るようになった、という話を聞いたことがあります。その前は面接を結構重視していたみたいですけど。 伊藤:なるほどね。今は何でも「透明性」の世の中で、何でダメだったかを逐一追及しようとする。我々の頃は当然、点数開示などなかったですからね。 高野:私は「共通一次」も受けてない世代なので。 伊藤:そうか、「自己採点」も出来なかったのですね。 9 休日の勉強量は? 伊藤:さて、この辺りでぜひ、何でもいいので、この人たちに何か聞いてみませんか? 質問者1:休みの日や日曜日はどのくらい、どこで勉強していましたか? 伊藤:さっきと逆順で。 タクヤ:僕に休みの日を聞いていいんですか? 僕は、平日はここに7時半まで。その後、最初の頃は家に帰って、僕は学校の勉強が半分で終わっていたので、スタディサプリで理科・社会を補填し、「英文法」を見ていました。休日は、平日にやりたいことが全く出来ないので、好きなことをしてリフレッシュする日を丸一日つくり、勉強は週6日のサイクルを作っていました。全然参考にならないです。 伊藤:いや、それも一つのやり方ですね。どう息抜きするかは、実は大事なポイントです。それぞれのノウハウがありそうなので、一通り聞いていきましょう。 リンヘイ:僕は二次試験に実技があったので、8月までは日曜日、午前中いっぱいテニスをして、少し寝てから勉強を夕食の前までやって、日曜日の夕食は僕の担当ということで、みんなの料理を作って食べ、その後はまた12時まで勉強しました。9月からの日曜日はドトールや、友達の家で勉強しました。 伊藤:9月からは実技をストップし、センター試験に備えたということですね。日曜日の夕食づくりは、家族の一員としての役割があって、よい方法です。 ヒデキ:休みは朝早く起きて勉強すると、すごくいい日になるというか、勉強スイッチがうまく入ると思うほうなので、早起きしました。土曜日は学校が開いていれば出来るだけ行って、自習室が開いている間ずっと勉強し、帰ってきてからはリフレッシュ、遊び時間のほうが多かったです。日曜日は朝食の前にしっかり勉強し、朝食後も昼食までまた勉強。ごはんを食べるのがすごく好きなので、ごはんを楽しみに勉強を続けていました。昼食後は少し遊んでいましたが、入試が近づくにつれて遊ぶ余裕もなくなっていきました。 伊藤:今の話だと、結構やっていた感じですね。 ヒデキ:ずっと「Tテキスト」(河合塾の上位クラス用のテキスト)をやっていました。でも、見直しの時間がほしかったです。 伊藤:「2周目に入りたかった」ということですね。 ヒデキ:ちょっと詰め込むのが精一杯で、そこまで考えられなかったです。 伊藤:でも、これだけでも相当なものがあるでしょうからね。 ハルト:休日は、とくに予定がない限りは午後2〜3時に起きる感じで、合計で3〜4時間勉強すればいいほうで、むしろ平日のほうが勉強していた感じでした。さすがに直前期は徹夜もしました。基本、夜の方が勉強できると思うので。 伊藤:平日に完全燃焼している感じだったので、どうしても土・日はゆっくり起きることになりますね。 ハルト:いや、燃焼しきってもいなかったので、自分としてはまだまだ足らなかったと思います。 ヒナノ:私は、休日は次の一週間分の予習を全部終わらせて……。 伊藤:ね、皆さん、この話、すごいと思いますよね。 ヒナノ:平日はここに7時半までいました。日によってはあまり人がいなくて、「貸切」という日もあって、すごく集中するのと、あと面白いのは、お腹が空いてくるので、あちらこちらからグーグー聞こえてくるんですよ(笑)。みんな頑張ってるな、と思っていました。 伊藤:この話は、そこにいた人でないと分からないですね。 ヒナノ:夏・冬の休みは、授業がなくても朝ここへ来てやっていました。9時前にすわって、気持ちを整えて、9時から始める。家でやるよりも勉強出来たと思います。授業がある週の土・日は、家でやっていました。 伊藤:日曜日は自習室が開かないので、アオウゼや喫茶店でやっていた人もいるようです。 ユリノ:私は、土・日は時間的には10〜12時間くらいは勉強していたと思います。でも家ではなかなか集中できないので、アオウゼにいつも通っていました。朝9時から夜9時まで。 伊藤:もしかして、開くのを待っていた人ですか? ユリノ:そうです。 伊藤:席を取るのに待っている人が結構いるらしいですね。 ユリノ:家の方が集中できるかな? と思っていた時期もありましたが、学習時間を計算し、比較してみたら、家でないほうが集中した学習が持続できるという結果が出たので。あと、守ったのは「睡眠だけはちゃんと取る」ことです。 伊藤:そのへんのコントロールをしっかりやっていたということですね。私はついつい、やっているとどんどん延びてしまう方なので、さすがです。アオウゼは早く行くと、大体席が取れるのですか? 奥の仕切られたお部屋の方を取るの? ユリノ:はい、「自習室」です。 伊藤:ウチの自習室は逆に、そういう仕切りがなくて、そこが人の目も微妙にあってよい、という声も聞きます。「12時間」って、すごいですね。どうやってやるんだろう? 9時から9時まで? ユリノ:家に7時くらいに帰って、続きをやりました。 マコト:僕は2つのパターンがあって、部活をやっていたときは、部活を全力でやっていて、土・日は遠征で福島にいないことが多かったので、休日に勉強するのはなかなか厳しかったです。だから「やるときはやる」を意識して、平日は最低2時間を目標に、学校で集中して取り組み、遠征のバスでの移動時間には大体英単語かリスニングを必ずやり、宿泊の夜には安積高校の人と、1時間一緒に勉強することにしていました。帰りのバスはさすがに疲れていたので、しっかり寝て、帰ったら1時間だけ集中して勉強しました。僕が一番勉強に集中出来た場所はお風呂で、濡れてもいいものを持ち込んで、数学や物理をお風呂で解くのが楽しかったです。 一同:へえ〜! マコト:このように、すき間時間を使って勉強しました。部活をやり切った後は、「もう受験しかない」という気持ちになれて、ユリノさんと同じく、朝は9時にアオウゼに行きましたが、僕はちょっとここでは言えない場所でも勉強しました(笑)。 伊藤:ん? 「他の塾」ということ? 別に言ってもいいですよ。 マコト:名前は伏せておきますが、駅前にある塾の自習室だけ使わせてもらっていて、そこは集中できるのと、友達がいて、一緒にごはんやおやつを食べることができたので、リフレッシュしたりお互いの受験の話が出来たりしてよかったです。そこに9時までいて、帰ると両親と世間話をして楽しく過ごし、早く寝る、という生活でした。だから受験期は、土・日に家では基本、勉強しませんでした。たまに走る程度で、あとは9時から9時まで勉強しました。 伊藤:マコトくんには「すき間時間にすごく勉強している」という印象を持っていました。そんなに会わないけど、会うたびにそれを感じていましたね。この精神力が成功の源です。 ということで、参考になりましたか? ものすごい情報量でしたね。 質問者1:はい。 10 模試結果は気にする? 質問者2:成績が下がって自信がなくなるときは、どうやって自信を回復しましたか? ハルト:模試はあんまり気にしなかったです。模試は基礎学力を見る物としてはひとつの資料として、よいと思うのですが、実際に自分が受ける大学の過去問と比べたときに、傾向や形式が違うので、模試の結果に一喜一憂しないで、あくまで入試を見据えて、過去問を研究することのほうが大事だと思います。 伊藤:ということは、模試よりも過去問研究をよっぽどやった方がいい、ということですか? ハルト:模試で良い点を取ることは前提とした上で、過去問をしっかり研究することが大事だということです。やや冗談半分ですけど、たとえば模試が返ってきても、それは1か月前の自分ですから、その不出来にはあまり落ち込まないようにすべきです。 伊藤:一喜一憂しない? しすぎない? 性格的なものもあるでしょうけど。 ハルト:まあ、精神力が持って行かれない程度に。 伊藤:ハルトくんの場合、痛みを感じることは感じる? ハルト:感じます。そういうときは寝て。 稲月:時間が解決するのを待つ(笑)。 ヒナノ:私、気になっちゃったかもしれないです。私の場合は、志望校へのモチベーションとかではなくて、模試ごとにモチベーションをそこに盛っていたので…。 伊藤:これもまた、とても大事なことですよ。話を止めてすみません。 ヒナノ:だから順位も結構気になりました。 伊藤:そう、ヒナノさんはね、愚痴をこぼすんですよ。「こんなに頑張っているのに……」って、すごいんです。(笑)壁になっていた人がこの辺りにいそうですね。 ヒナノ:だから、まだまだだな、といつも思っていました。なかなか勝てなくて。 伊藤:でも、そう思えたから今がある。ユリノさんの戦いはどうでしたか? 少し様相が違うと思いますが、どんなことを思っていましたか? ユリノ:私も模試の結果は結構気にするほうでした。でも、模試が返ってきたときの結果を見て落ち込むというよりも、模試をやった日に「なぜあそこは出来なかったのだろう?」と気にして、落ち込んでいました。でも模試を受けた日に落ち込むと、次の日にはもう気にしなくなって、この繰り返しでした。 伊藤:もう立ち上がれない、この悔しさは一生忘れない、というような経験はありますか? 稲月:実感こもりすぎ!(笑) 何があったのですか? 伊藤:私、夏の駿台東大実戦で、数学80点満点で8点を取ったことがあります。100分間ほぼ手が止まった状態で、そのときは本当に悔しかったことを、今でも思い出します。中身はもう忘れてしまいましたが。 ユリノ:11月に受けた模試でリスニングが出来なくて、外語大志望なら英語くらい出来て当たり前だと思っていたのに、全然及ばない感じで、あのときはすごく落ち込みました。 稲月:得意だと思っているもので失敗すると、結構グサッときますね。 伊藤:でも、悔しさをバネに頑張るほうが大事ですね。こういう経験、たまには必要なものだと思う。 稲月:失敗が本番でなくて模試でよかった、と思うべきでしょうね。 伊藤:模試はそのためにやっているわけですからね。入試が終わってしまえば、模試は本当に、何の役にも立たない。毎年模試の成績を片付けながら、いつもそう思います。 マコト:ぼくも模試を目標に頑張ってきました。目標点数が取れればご褒美で何かを食べに行く、というようなことはありました。逆にダメだったら理由というか、言い訳を考えて、次はその言い訳をしないために何をしなければならないかを考えました。例えば、学習内容に偏りがあったのではないか、とか、物理と数学とを両立させるためにどのように平素の学習を組み立てたらよいか、といった具合です。あと、いま出た話と被りますけど、模試が悪かったときは「これ、模試でよかったね。本番だったら怖かったね」などといつも言われていました。だから自分には、「もしこれが本番だったら」と逆にプレッシャーを与えていたので、以後気をつけることにつなげられていたと思います。だから模試で落ち込まずに済みました。 伊藤:「これ、模試でよかったね」は私もよく言うせりふです。そう思えるかどうかが鍵ですね。言い訳は誰でもしますが、それをしないためにどうするかを考えられたのが、マコトくんの勝因です。 タクヤ:これから言う経験は僕独自のもので、他の人には当てはまらないと思いますが、ぼくは高校時代が2年生の10月12日で終わっているから、定期テストもなく、「これ、必要あるの?」というようなことに煩わされることもなく受験勉強が出来ました。8月までは順調に伸びて、第一志望にはA判定をもらい、当時の同級生からも点数や福高の平均点を教えてもらって「勝ってる、勝ってる」と思ってきていたので、9月に一気に下がったときはショックで、「先に受験勉強に着手したアドバンテージはどこへ行った!」と動揺するほどの落ち込みようでした。そこで稲月先生に相談し、全教科を教えてもらうことになりました。本当に丁寧にやってもらって。 稲月:各教科の優先順位づけと、そこからの集中がすごかったので、一歩一歩着実に積み上がっていきました。 タクヤ:週1回1時間半、ほぼほぼカウンセリングという日もありましたが、全教科やってもらったおかげで、受験まで楽しく過ごせたかな、と思います。一番ショックを受けたのは、マークミスをしたことですね。たしか11月の模試でした。 稲月:最終盤でね。 タクヤ:本当に「模試でよかった」と思いました。 稲月:「もう、絶対やったらあかんよ!」ってね。 タクヤ:あと、Z会の市販のやつで出来なくて、ショックだったことも思い出します。けっこう気にするタイプなので。でも、こうした一つ一つを全部支えてくれる先生で、何でも見せられる相手がいるのは心強いと、すごく感じました。 伊藤:ちょっと口をはさむと、いわゆる「大学受験科」に入っても、今のこの話みたいに週1回コーチをこういう方に頼み、学習の進め方を軌道修正したり、疑問を解決したりすることが出来ます。もちろん別料金ではあるのですが。 リンヘイ:自分は「センター重視型」だったので、一緒にここで学ぶ人たちと「マーク模試では負けない!」という気持ちで臨んでいました。他の人たちが二次に向けて多くの時間を割く中、自分は二次の勉強がなかったので、まあ「マーク模試では勝って当たり前」という状況でしたが、実際にはほとんど負けていました(笑)。僕は高3の秋に成績が結構うなぎ登りに伸びたので、調子に乗って12月は You Tube 三昧(笑)。 伊藤:そういう慢心の経験がみんなあるのですね。 リンヘイ:それで、本番に数学�,妊沺璽�ずれをして、第2問が0点になってしまい……。 稲月:ええっ、ショック……。 リンヘイ:東京学芸大は数学�,靴�使えないので、出願できなくなってしまいました。これでマークずれの怖さも知ったので、いつも気をつけて、あと慢心にも気をつけて1年を過ごしました。自分は模試毎にどの教科も上がったり下がったりするタイプだったので、悪かった所はその日のうちに復習だけして、あとは極力いい所を見るようにし、本番で目標点を取ることだけを考えました。 伊藤:目標には大体、行ったんだよね。 リンヘイ:ええ、大体行きました。数学以外は目標を超え、数学も家でやり直したら「解けるじゃん!」となり、勿体なかったな、とは思っています。 ヒデキ:記述模試で出来なかったのがあると、当日帰宅後に自分の解答を思い出しながら「学習の手引き」を読んで納得し、模試が返ってきたときも「これは復習した」と思い出しながら確認していました。だから、模試が悪くて落ち込むということもなかったですし、模試が良くても去年慢心したことを思い出して、「いや、まだまだ」と思っていました。だから、模試は出来なかったものをやり直すことだけで、結果のことは全く考えなかったです。ただ一度、センター前の「プレテスト&解説」を受けたとき、日本史がすごくひどい点数で、先生にも心配されて、あのときだけは落ち込み、テキストや授業プリントまで引っ張り出して徹底的にやり直しました。危機感が生じて、結果的にはよかったです。 稲月:試験が近づけば近づくほど、「落ち込んでいる暇があったら手を動かせ!」と思いますね(笑)。アスリートと一緒です。 高野:後で点数を見ても「1か月前、自分は何を考えて出来なかったか」が分からないと、ただ「出来なかった」というだけでは役に立たないので、出来なかったものは模試の直後にすぐ解答を確認し、発想や考え方を復習しないといけませんね。ハルトくんは「部品をちゃんと揃えて勉強しよう」というタイプです。公式、解き方、模範的な問題は全部解いて、それを模試に当てはめてやっていこう、という。そうじゃない? ハルト:どうなんでしょう? あんまり、自覚はありません。 高野:そう? 多分、定理や公式はすべて押さえきっている感じがします。それに対し、ヒナノさんは自分で考えるタイプだよね? 例えば、難しい問題があると、10分考えて出来なければ諦める。でしょ? タクヤ:なんか、ぼくが諦めているみたいですね。(笑)出来る人に頼ったほうが効率的かな、と思うほうなので。 高野:ところが、ヒナノさんはそこで粘るでしょ? ヒナノ:粘ります。書いて書いて……。 高野:そう、自分なりに考えて持ってくるタイプです。だから何枚か見た答案は、面白かったです。「あ、なるほどな」と、理解が深まる。数学って、浅いレベルで理解するのは意外と簡単で、センター試験みたく、何故だかよく分からないけど、とりあえずワークは出来る、ということもありますが、ヒナノさんの答案でいろいろ考えさせられたものが2題ほどあり、とても印象的でした。ハルトくんは道具を持っていて、あとは「うまく使えるか」ということ。ヒナノさんが道具を持っていないというわけではないけど、平気で1時間くらいは粘り、自分で考えられる所に感心して見ていました。そして、ヒデキくんは簡単に教えてもらうよりもマイペースで解こうとし、分からなければ早めにヒントをもらう、という行動が全ての教科で確立しているような印象でした。 タクヤ:ぼくは「授業で全部出来なくて当たり前」という考えで、出来なかったところは全部教えてもらって、吸収すればよい、と思っていました。だから、すごくお世話になりました。 稲月:個別指導は「チェックポイント」になりえますね。自分がやっている勉強法が、正しい方向へ進んでいるかどうか、もし結果が悪ければ、ちょっと軌道修正すればよい、という考えで、落ち込むだけでなくそれを前向きに活かしていける方法として使ってもらえればよい、と思っています。 伊藤:うまくまとめて頂きました。答えになりましたか? では、今のことを活かして、よい1年にしてください。 11 最後に「将来の夢」続編 伊藤:あと10分くらい残っています。先ほど「将来の夢」らしきものがちらほら聞こえてきましたが、聞けてない人もいますので、「10年後・20年後、こんな人になっていたい」ということをぜひ、お話しください。 ヒナノ:私は、福島県で臨床医になりたいです。自治医科大学を選んだのも、地元に帰って医師になりたいからです。へき地など医師の少ない所に行って、必要とされるお医者さんになりたいな、と思っています。 ユリノ:まだ特にちゃんと、なりたい職業とかは決まってないですけど、大学にはいろんな国の人がいて、いろんな価値観を持つ人と接する機会があると思うので、自分が大学のうちにそういう経験をいっぱい積んで、いろんな人の意見を聞いて自分が成長出来ればいいと思います。英語含め海外に関するものを学び、それが活かせる職業に就けたらいいと、漠然と考えています。 伊藤:どちらかというと「企業」ですか? ユリノ:そうです。 マコト:僕は夢が2つあって、なりたい仕事の一つとして、経営コンサルタントがあります。大学卒業後は大学院に進学し、金融業界などに勤めてノウハウを得てから、全国の人たちの役に立つ経営コンサルタントになりたいと思います。その先にあるもう一つの夢として、福島の人口流出を抑え、少子化を食い止め、復興と活性化を実現するために、福島に「職」をもたらすこと、つまりは起業して、事業を全国各地で立ち上げ、地方の活性化に寄与する経営者になりたい、と思っています。 伊藤:それは日本全国に事業を展開する中で、「福島」を故郷として思う、ということですか? マコト:そうです。自分には地方で育ったからこそ分かるものがあると思うので、それを活かして将来頑張っていこうと考えます。 伊藤:そう、我々は日々「少子化」ばかり感じています。高校のクラス数はどんどん減っていく、生徒はこの先来ないかもしれない、といった不安ばかりです。かたや首都圏の中学入試は、人がガンガン増えているんですよね。つまり言いたいのは、「ちょっと舞台が変わると、様相は全然違う」ということです。だから皆さんも、東京に行けばまた全然違うことを思うかもしれない。私は大学生のとき、中学入試に関わるバイトをして、教える仕事を面白いと思えたことが、現在につながっています。マコトくんも新しい環境で得た新たな印象をぜひ活かして、これから活躍して頂きたいと思います。 タクヤ:さっき話したこととすごく矛盾する内容ですけど、「何をしていたいか」というよりは「周りを見ることの出来る、視野の広い人でいたい」というのが願いです。この2年間、僕は人が経験したことのないことを随分いろいろ経験してきました。言い換えると、経験というアドバンテージが今の僕にはあるのかな、と思います。それを活かして誰かの支えになれれば、と思います。今まで言われて救われた人の言葉を胸に、誰かを救える人になりたいと思います。 伊藤:その舞台がどこかは、よく分からないけれども、ということですね。基本的には小学校の課程ですか? タクヤ:僕の進学する課程は、卒業要件に小学校の教員免許が入っていて、それが大学3年生のうちに取れます。そこから「教科教育コース」に進むと教科が2つまで取れて、それらが主専攻・副専攻になります。もう一つは「人間形成コース」です。AO入試で受かった人は10月にどちらかを決めることになっています。 リンヘイ:自分も「社会貢献」とかではなくて漠然と、自分を好んでくれる人が多くなるような教員になっていたいな、と思います。 伊藤:そう、「憧れられる存在」になるということは、先生としてとても大事です。 稲月:結局それが「社会貢献」ですね(笑)。 ヒデキ:医大の近くの立子山に「村上病院」があって、そのうちそこへ帰ってくるようになるので、専門もそれを考えて決めるつもりですけど、でも地域の病院では専門以外にも「急患」などを受け入れる場合があるので、ちゃんと全部診られて、少なくとも「この症状はここだ」というのが診断出来る医師にならなければいけない、と思っています。多分、地域の活性化もいろいろ期待されていると思うので、医師という立場でこの点も貢献していきたいと思っています。 伊藤:ヒデキくんは最終就職先が決まっているのですね。(笑) ハルト:僕も、生まれ育った地元に医療の面で貢献したいという思いは共通です。これからいろいろ学ぶうちに、なりたい科などは変わるかもしれませんけど、今の所は総合診療、ジェネラリストに興味があります。医師不足、医療費のことなど、医療にはいま様々な問題がありますが、福島という地域を考えた場合に、総合診療は広く貢献出来るのではないかと思っています。機関病院には患者さんが集中し、数時間待って数分の診療で帰される現状は、総合診療の充実を図ることにより解決されうるのではないか、と僕は考えています。そんな思いでジェネラリストを目指そうとしています。 伊藤:ぜひ個人のバリューを磨きつつ、地域全体における医療の質の向上にも一役買って頂きたいと思います。最後に「この人に質問したい」とか、「これは言い残した」とか、ありませんか? では、ちょうどお時間になりました。豪華な顔ぶれが今の思いをたくさん語ってくれたおかげで、楽しいひとときとなりました。最後に皆さんの輝かしい前途を願って、拍手を送りたいと思います。(拍手) これにて座談会を終了します。 |
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