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第21回子育て通信

第21回 子育て通信 

学ぶ意欲を育てる方法��

学ぶ意欲を育てる方法として、学ぶ意欲は子どもの本能だという話と勉強しなさいと怒ると条件反射で勉強を嫌いになるという話をしてきました。しかし、これは本来学ぶ意欲を持っている子どもの邪魔をしないようにしましょうという消極策です。

今回は積極的に勉強を好きにさせるにはどうしたら良いかについてお話したいと思います。

そのためにはまず子どもの気持ちを理解しておく必要があります。3歳くらいまではお母さんの保護が無ければ何もできない時代ですから、子どもはお母さんと一心同体で生きているといえます。全面的に保護者に依存して生きていますが、子どもにとっては、それは当り前で自覚もしていないと思います。お母さんの顔が見えなくなると急に不安になって泣き出しますが、一緒にいることが当たり前ですから、お母さんに対する思いは自覚できないのではないでしょうか。
3歳を過ぎると行動が活発になり、保護者から離れて行動ができるようになります。しかし、帰るところは保護者のところだという気持ちは当り前に持っています。

親の言うことも素直に聞きます。これが、小学高学年くらいになってくると生意気になり、保護者の保護が無くても生きていけるような顔をしはじめます。それで時々親子喧嘩が始まるようになります。

小学低学年では親子喧嘩もまずないですから、お母さんやお父さんは、子どもには自分が必要不可欠だと子どもも感じてくれているという自覚があります。

しかし、高学年になると、自分の言うことを聞かなかったり喧嘩になったりすることも起こり始めますから、子どもが親の保護の大切さが分からなくなっているのではないかと感じたり、愛情が伝わらなくなってきたのではないかと感じ始めます。

小学高学年の子どもを思い通りに動かしたいのなら、子どもにどんな変化が起きているのかを理解しておく必要があります。子どもが中学生になると反抗期に入るということは良く知られていることですし、皆さん自身の経験もあると思いますので、反抗期については理解できるのではないでしょうか。

ですから、反抗期に入ったなと感じたら子どもに対する対応方法を変えることができます。しかし、子どもは突然反抗期に入るのでしょうか。そういうことはありえません。反抗期に入る準備が必要です。反抗期というのは、親の影響を排除して、自分だけで考え行動していこうという本能的な反応です。反抗期は、自立へのチャレンジなのです。そう考えると自立へのチャレンジの前に、その準備が必要です。反抗期への準備、それが小学高学年で生意気になる原因なのです。それで、皆さんは、子どもが親の言うことを素直に聞かなくなったと感じ、苛立つことになるのです。しかし、これは成長の証であり、むしろ喜ぶべきことなのです。

子どもたちはこの時期にどう感じているのでしょうか。この時期、子どもには自立した意志が生じます。大人の意志に従順に従って行動して来た小学低学年と違って、自分の考えで行動していこうという気持ちが徐々に育ってきます。しかし、親に反抗するほどの意志でもないし、反抗しようというような気持もありません。少しずつ変化していくので変化への自覚もありません。そして、両親の保護と愛情は相変わらず必要不可欠だと感じているのです。それを自覚できるようになっている時期だけに、親の愛情を最も求めている時期だといえると思います。生意気になってきたと感じる両親、親の愛情を最も強く求めている子ども、この気持のすれ違いが、親子関係が微妙にずれ始める原因なのです。

小学高学年の時期は、反抗期とはまるで違います。実は、最も子どもを動かし易い時期なのです。小学低学年までは、無批判的に自覚も無く親の言うことに従っていますが、小学高学年の時期は親の言うことを理解して行動できる時期なのです。ですから、子どもに対する接し方次第で最も効果的に子どもを動かせるのです。
小さい頃は、親の愛情をもっと必要としていると思いますが、子どもにはその自覚がありません。ですから、愛情で子どもの行動をコントロールすることはできません。

もっとも、小さい時に親の愛情が足りないと情緒不安定になったり、元気が無い子になったりするというマイナスの影響は出てきます。しかし、愛情で積極的に子どもの行動を促すということは難しいのです。しかし、小学高学年ではこれができるのです。

小学高学年になると愛情表現は言葉で伝えることができるようになります。それまでは、言葉の意味で感じ取っているというより、表情や雰囲気で感じ取っている面が強く、ご両親の言葉の意味を理解して行動させることが難しいのです。

親の愛情を欲しがっている子どもに勉強しなさいと怒ることは最悪の行動になってしまうのではないでしょうか。子どもから見れば、死にたくなるくらい辛いことなのです。

学ぶ意欲を育てたかったら、勉強させたかったら褒めることです。褒められることで親の愛情を実感できます。褒められることと怒られることはこの時期の子どもにとって天国と地獄ほどの違いがあるのです。

勉強しないから怒るのであって、褒められることがあるのなら褒めていますという考え方が一般的かもしれません。しかし、保護者の方も生身の人間です。自分が勝手に作った基準や他の子どもとの比較で褒めたり怒ったりしてしまうことはありえることかと思います。

ですから、自分の子どもを基に褒めたり怒ったりする基準を作ることが必要ではないでしょうか。子どもは、自分を基準に自分の自己評価を作り始めています。自分で自分が駄目だと感じている時に怒られても反抗はしません。落ち込むことはあるでしょうが、生意気な態度にはでません。自分で頑張ったと思っている時に怒られることが最も腹が立つ瞬間なのです。

人を育てるには、その人の今の状態にOKを出し、そこからどれだけ成長できたかを評価することが大切です。人と比べて優れているとか劣っているとか評価することは人を育てるのにはマイナスです。

本人が目指すべき憧れの人が居て、その人のようになりたいと思うことは夢であり、目標であって、評価ではありません。イチローを目指して野球をやっている高校野球の選手はたくさん居ると思いますが、その人にお前はイチローより野球が下手だと怒る人はいないでしょう。イチローに一歩近づいただけで褒めてもらえると思います。

そう考えるとどんな子どもでも褒める機会はあるはずです。今日は珍しく学校から帰ってきたらすぐに宿題を始めたとか、今日は勉強時間が普段より少し長かったとか、この前50点だった算数の点数が今回は60点になったとか、いくらでも見つかるはずです。怒るところを探しているのか、褒めるところを探しているかの違いではないでしょうか。

イソップ童話の「太陽と北風」を例にしてみましょう。イソップ童話では、北風と太陽が旅人のマントを脱がす競争をします。

まず、北風が強い風を吹かしてマントを吹き飛ばそうとしますが、旅人はよけいマントをしっかり持って吹き飛ばされないようにします。北風はマントを脱がすことに失敗します。

次に太陽が暖かな日差しを送ります。暖かくなって旅人はマントを自分で脱ぎ、太陽が北風に勝つのです。

この話は、皆さんもご存知かと思いますが、気づかないうちに、自分の子どもに対しては、太陽ではなく、北風になってしまうことがあります。子たちは、褒め言葉と言う太陽を待ち望んでいるのかもしれません。

最後に、褒め方の注意点についてお話ししておきましょう。褒めることが大切だと書いてきましたが、褒め言葉の大安売りはしないことです。勉強しているだけで褒めていたら、子どもはなぜほめられているのか分かりません。親の褒め言葉に何か魂胆があるのではないかと疑ってしまうでしょう。

褒めるのは褒めて欲しいと子どもが思っている時に限定すべきです。その方が褒め言葉が効果的に作用します。

少し早めに勉強を始めたとか、少し点数が上がったとか褒められる理由が分かる時に褒めるのです。その基準は、お子さんの勉強時間や点数の平均値です。この平均値を基にすると、半分は褒められることになります。上手な褒め方をしていると、だんだん子どもの勉強時間は伸び、成績も上がり始めます。そうするとお子さんの平均値は上がってきます。この変化する平均値に基づき、褒める基準も少しずつ上げていくのです。成績が上がれば子どもの自己評価も変わってきますので、それに合わせて褒める基準も上げていかないと、子どもの気持ちを効果的に前向きにしていくことはできません。

もう一つ注意しなければいけないことは、勉強ができるから、成績が良いから褒められていると感じさせないことです。成績が良いからという理由で褒めていると子どもは大変な勘違いをする場合があります。

逆に、成績が悪ければ親の愛情がもらえないと勘違いする子が出て来ます。そんな子どもが、中学に行き、何らかの理由で成績が悪かったりすると不登校になったりします。

こんな例があります。中学になって病気になり1ヶ月ほど学校を休まなければならなくなった生徒がいました。病気が良くなって学校に戻ったのですが、当然定期テストの点数は大幅に下がってしまいました。それから急に学校に行かなくなったのです。ご両親は、何が原因で不登校になったのか見当もつきませんでした。その子は女の子でしたが、家に閉じこもったきりで誰とも話をしなくなってしまいました。

原因を探り分かったことは、その子は、成績が優秀だったので両親に認めてもらえていたが、成績が悪くなったのでもう認めてもらえないと思って絶望していたのです。

お母さんは「そんなことで悩んでいたの。病気で学校を休んだのだから成績が下がるのは当り前じゃない。成績が良くても悪くてもあなたに対する気持は何も変わらないわよ。」と言われ、親子で泣きじゃくり、やっと気持ちが通い合い、理解し合うことができ、その後、その子は学校に行くようになり、元気になったそうです。

子どもは、無条件で愛されたいのです。ですから、無条件で愛してあげなければなりません。少し接し方を間違えると、成績が良いとか勉強を頑張るとか品行方正とかの条件を満たしているから愛してもらえるのだと勘違いすることがあるのです。
褒め方も気をつけないと、こんなとんでもないことになることがあります。成績が良いという褒め方は危険です。

そうならないためには、結果ではなくプロセスを、努力を褒めてあげることが大切です。

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