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第17回子育て通信

第17回 子育て通信

国語の成績を上げる方法��

前回は、国語の実力をつける方法についてでした。今回は、国語のテストの点の取り方について触れていきたいと思います。
 
国語は、よく成績を上げるのが難しい教科だと言われます。しかし、テストでの成績を上げるだけなら、算数よりも、はるかに、国語の方が上げやすいのです。難しいのは、国語の実力をつけることです。
 
国語のテストの内容は、「漢字・語句」「読解問題」「「作文」などに分かれます。難しいと言われるのは、「読解問題」や「作文」などで、「漢字・語句」の成績の上げ方は誰が考えても、漢字や語句を覚えるしかないということは分かると思います。
 
まずは、「漢字・語句」の勉強の仕方についてです。ま教科書に出て来る新出漢字を何回も書いて覚えるということは、変わりがありませんが、その覚え方、書き方で学習効果は大きく変わってきます。

宿題でよくあるパターンに、同じ漢字を10回ずつ書いて来させるというものがあります。これが、漢字を覚える場合に大きな問題を引き起こしています。

子ども達は、縦に並べて十回書くのですが、ほとんどの子ども達は上の字を見て写しているだけです。ひどい場合は、漢字一字ずつを書くのではなく、縦線だけ十回書いて、次ぐに横線だけ十回書くといった、漢字をばらばらにして書いている子もいます。この方が速くかけることに気付いた賢い子ども達です。

しかし、上の漢字を写して書いたり、漢字をばらして書いたりしているようでは、漢字は覚えられません。これは、宿題を消化する作業をしているだけで、漢字を覚えると言う目的では書いていないのです。私たちの記憶は、覚えようという目的意識を持って学習した時に初めて記憶出来るのです。覚えようと言う目的意識を持たない学習はほとんど記憶にとっては役に立ちません。

私たちの記憶は、いったん海馬と言う記憶機関に蓄えられますが、ここから眠っている間に側頭葉に移されて長期記憶となります。海馬に蓄えられた記憶はそのままでは間もなく消えてしまいます。覚えようと目的意識を持って学習したことでなければ、海馬から側頭葉に記憶の移転は起こらないのです。正確にいうと、移らない訳ではありませんが、非常に効率が落ちるのです。覚える時は、覚えるという目的意識を持って学習することが大切です。

そのために良い方法は、紙の四隅に書いていくことです。一度書いた漢字が見えないところに、何も見ないで四回書くのです。これができればほぼ覚えてしまいます。覚えなければ見ないでは書けないからです。また、書くためには、覚えたことを思い出し、手に覚えた漢字を書くという指令を出し、書いた漢字を目で確認すると言う作業をしなければなりません。この思い出す、指令を出す、目で確認するという作業一つひとつが、記憶を強化する効果があるのです。記憶にとっては復習が効果的です。何度も同じものを思い出し、再度覚えようとすることです。忘れるころにもう一度やるともっと効果は高まりますが、四回書くだけでも、覚えようと言う目的で書けばかなりの効果があるのです。目に見えるところに四回書くとどうしても写すと言う作業になって、覚えているかどうかが確認できません。

覚えることに何回も書くと言うのは効果的なことなのですが、先生が十回漢字を書いてきなさいと言う宿題の出し方をすることが、子ども達に誤解を与え、漢字を十回写すと言う作業になってしまい、漢字が覚えにくくなっているのです。

テストをするからこの漢字を覚えてきなさいと言った宿題の出し方の方がずっと効果的な宿題なのです。覚えてきなさいというと、覚えるために書きますが、十回書いてきなさいと言うと子ども達は十回書くと言う作業が宿題だと勘違いするのです。

学校では、新出の言葉を覚えてきなさいと言う宿題はほとんど出しません。ですから、新出の言葉の意味を子ども達が分かっているかどうかはテストまで分かりません。テストをしても、全ての言葉がテストに出るわけではないので、分かっている子と分かっていない子の差がついてきます。ですから、新出の語句を毎回しっかり覚えていくことが大切です。

また、小学生は、言葉の意味だけを覚えるということは実際にはほとんどできません。例えば、「記憶・・・覚えること。覚えた知識。」というような覚え方をしても記憶には定着しにくいのです。子ども達は、言葉をそのような形で覚えるようにはできていません。高校生くらいになるとこのような覚え方の方が、効率が良くなってきますが、小学生では文章の中での用法として覚えないと定着しにくいのです。

例えば、「私は去年の運動会のマラソンで最後まで走れなかったことが悔しい記憶として焼きついています。」といったように文章と共に覚えるのです。もちろん、その前に、「記憶・・・覚えること。覚えた知識。」と言う確認はしておかなければなりませんが、具体的な用法として覚えるようにしなければ小学生には定着しません。例文も、一つではなく、二つ、三つあれば効果的です。これは、子ども達が普段言葉を辞書で引いて覚えているわけではなく、話し言葉の中で、知らない言葉をその会話全体の流れから推測して理解しているからです。こうやってたくさんの言葉を覚えてきたのです。このような子ども達の習慣に沿った覚え方をさせないと辞書を引いて覚えるような覚え方は、まだまだ、苦手なのです。中学生になり英語の単語を辞書で引いて覚える習慣ができて来ると、少しずつ、日本語も同じ手法で覚える能力がついてきます。

新出の漢字や語句がどれなのかを子ども達が判断することは難しいので、書けない漢字、意味の分からない言葉は毎回覚えるようにするのが良いと思います。そうすれば、以前に出てきたが覚えていないというものも覚えていくことができます。
 
国語で難しいと言われるのは読解問題です。読解問題は、一般的には、漢字や語句と違って知識を問われる問題ではなく、国語の実力を問われる問題だと考えられています。しかし、国語の読解問題は、実は国語の実力を問うものではありません。なぜなら、設問も設問の答えも日本語で書いてあるからです。

ですから、国語のテストは、どこに答えが書いてあるかを見つけるゲームみたいなものです。ですから、読解問題を解く時に重要なことは、答えがあるところの見当のつけ方、設問の読みとり方、設問に対する答え方の知識なのです。

もう少し具体的に言うと、例えば「棒線部のそれとはなんですか。」というような問題が出てきたら、それがさす内容は、「それ」という言葉が入っている文の前の文か「それ」が入っている文にあり、「それ」よりも前にあります。そして「それ」は名詞ですから、名詞になるような内容なのです。内容がそのままでは名詞形でない時は、「・・・すること」といった形で、名詞形で答えなければなりません。このことがしっかり分かっていれば、国語のテストはそう難しいものではありません。

一見難しそうな「作者の言いたいことは何ですか。」と言った設問の答えは、最後の三行くらいにあります。結論を最後に書くのが通常の文体だからです。傍線の内容について問われる設問の答えは、傍線の前後にあります。読解問題の苦手な子ども達は、答えがあるところの見当のつけ方が分からなくて、文章全体から探しているのです。

また、全て設問のパターンに対する答え方をしっかり身に付けないと、内容は合っていても、点はもらえません。「・・・はなぜですか。」と聞かれたら、「・・・だから」と答えるとか、「主人公のどんな気持ちを表していますか。」と聞かれたら、「・・・・の気持ち」と答えるといったことです。

国語の読解問題で間違ったら、もう一度設問をよく読み、模範解答を見た後で自分の答えがなぜ間違ったのかを考える習慣をつけると答え方はすぐに身につきます。

今までの自分の国語の答案を集めて、これをやってみると、十回分くらいの問題をやり直すだけで、答え方は身につきます。これで、ほとんどの人は10点くらい成績を上げることができます。それくらい、内容は合っているのに答え方で点を落としている子どもが多いのです。これは、数学でいえば計算ミスにあたります。ですから、少し練習するだけで点数が上がるのです。
 
国語の成績を上げるために、学校の教科書を勉強しなおすよりも、過去の国語の問題と模範解答を集めて、自分の答え方が間違った原因を探すほうが成績は上がります。国語の読解問題は、読解力を試すものではなく、答え方のテクニックを試すものだからです。

読解問題は、先に問題文を読んで、それから本文を読むようにしましょう。これは、本文を自分の主観で読むのではなく、問題に答えるために読むためです。先に本文を読むと、自分勝手な解釈が生じてしまい、問題文の趣旨に沿わない答えを書いてしまうことが多くなります。

私たちは、本文を読むと、自分なりに印象に残るところとか感動するところとかが生まれてきます。そうすると、答えが印象に残ったところや感動したところに引きずられてしまい、問題を作った人の意図から外れてしまうことが多いのです。

作文も難しそうですが、作文は、採点基準が原稿用紙の使い方など、形式的なところにありますから、採点基準に沿った作文の書き方を練習すれば誰でもできるようになります。じつは、作文が一番点をとりやすい問題なのです。

採点基準を列挙すると、「原稿用紙の使い方」「句読点の打ち方」「設問に沿った内容」「指定の文字数で書く」「正しい漢字で書く」といったところです。この中で、「指定の文字数」とは100字で書きなさいと言われたら90字から100字の間で書きます。9割から10割で書き、指定の文字数を超えてはなりません。

「正しい漢字で書く」という点は、自信が無い漢字を使わなければいいのです。どんな簡単な漢字を使ってもいいし、どんな簡単な言葉を使ってもいいのです。作文を良く見せようとして、難しい漢字を使ったり、難しい言葉を使ったりしないことです。難しい漢字や難しい言葉を使っても点数は増えません。もし、間違った使い方をしたら減点されてしまいます。
 
国語のテストで点数を上げる方法を書いてきましたが、国語の点数を上げたからと言って、国語の実力が付くわけではありません。国語の実力を付けるには、たくさんの本を読むしかありません。

また、たくさん文章を書くしかありません。国語の実力とは、正確に文意を読み取るというだけでなく、文章から自分の生きる糧になるものをどれだけたくさん吸収できるかということなのです。

また、自分の考えをどれだけ人に正確に伝えられるかということなのです。同じ本を読んでも、そこから吸収する内容は人によってさまざまです。また、人に伝えたい内容も人によってさまざまです。同じ本でも人によってその評価はさまざまです。ですから、国語の実力を点数に直すことは難しいのです。
 
国語の実力を評価しようと思えば、読書感想文を書かせるか自由作文を書かせるしかありません。しかし、そうすると、その評価には、評価する人の好き嫌いや主観が入ってしまい、正確な点数を付けるのは難しくなります。評価するのに時間もかかってしまいます。ですから、学校のテストとか入試問題のように公平かつ正確に点数を付ける必要がある場合には、テクニックを問うしかなくなるのです。
 
国語の答えは一つではないということを言う人がいます。本の読み方はまさにその通りです。考えを表現するやり方もさまざまでしょう。しかし、テストの答えは一つです。公平に点数を付けるには、一つになるように問題を作らなければならないからです。この国語の答えは一つではないという考え方は、国語のテストの成績と国語の実力とを混同した考え方で、その考え方が国語の成績を伸ばす妨げになっています。
 
では、なぜ国語の成績と国語の実力の評価との混同が起こるのでしょう。その原因は二つあります。一つは、テストだから実力を評価しようとしているはずだという考えです。確かに、国語以外の教科は、実力を評価しようとしています。ですから、国語だってそうだろうと考えるのは当然です。

しかし、評価の技術的な問題から、国語では実力を評価する問題が出せないのです。もう一つは、学校の授業にあります。学校の先生達は、授業で国語の実力をつけようとしています。そして、テストの点の取り方を教えてくれません。それなのに、国語の試験をして点数をつけるのです。学校で国語の成績を上げるテクニックを教えていないのに、同じ先生が同じ教科書の内容でテクニックを問うテストをするのですから混同するのも無理はありません。

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