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第14回子育て通信

第14回子育て通信  算数の成績を上げる方法��

 以前、小学低学年は抽象的思考ができないと書きました。算数では、具体的なものを使って教えるか、具体的なものを絵にしたものを使って教えないと算数の意味がわかりません。計算はできても意味がわからないのです。

今回は分数・小数・速さ・割合等の単元を理解させるために必要な指導法について触れていきます。
このような単元は、四則計算よりも抽象度の高い分野です。そのために理解できないと、抽象的な理解力が劣っているのではないかと疑ってしまいます。算数の能力が無いのではないかと思いこむ危険性もあります。
 
確かに、小学4年生になったら、全員が、一律に、抽象概念が理解できるようになるというものではありません。抽象概念の理解力の成長には個人差があります。小学3年生の時から、偉人伝を読んで感動できる子もいれば、小学4年生になっても何も感じない子もいます。

しかし、算数と言うのは「速さ」や「割合」と言った単元でも、数学と違ってすべて具体的な事象について学ぶものです。複雑にはなってきますが、具体的な生活の中でイメージできるものです。このイメージが実感できないような教え方をしてしまうために、子ども達にとって難しい抽象概念に見えてくるだけです。算数の理解にとって抽象概念の理解力の差は、さほど重要なことではないのです。抽象概念の理解力の個人差は、いろいろな能力の成長スピードの差であり、小学生の間は、子どもの個性であって頭の良し悪しではありません。ただし、算数が理解できないまま、中学になるまでほっておくと、取り返しがつかなくなります。
 
 「速さ」の指導法

 「速さ」の単元の事例を上げて、具体的な指導法を見てみましょう。「時速と言うのは、一時間に進む距離をいいます。進んだ距離を時間で割って、単位時間当たりの進む距離を計算したものを速さと言います。時速も速さの単位です。それでは、12キロメートルを時速4キロメートルで歩くと何時間かかりますか。」と言った指導の仕方をすれば、ものすごく抽象的な説明になり、子供たちはなかなか理解できません。

この指導の仕方は、数学を習う中学生向けの説明の仕方なのです。しかし、ついこれに近い教え方をしてしまいます。これで、速さの計算ができるようになったとしても、子供たちには実感がわきませんから、本当に速さを理解しているとは言えず、非常に難しく感じてしまいます。
 
では、どのように教えたら良いのでしょう。例を記してみます。

「1時間に4キロメートルずつ歩いて、3時間歩いたら、何キロメートル進みますか。」このような、距離を計算する例題を何回もやります。4×3=12というかけ算の形で答えが出る例題を繰り返すのです。この例題はイメージしやすく、子ども達にもわかりやすいのです。子ども達は、速さの計算をしているとは思わず、かけ算をしていると言う感覚になります。
 
次に、同じ例題を使って、今度はかかった時間を計算させます。「12キロメートルを、1時間に4キロメートルずつ歩いたら、何時間かかりますか。」といった計算をさせるのです。12÷4=3というわり算の計算を繰り返させるのです。これも、子ども達はわり算をしているだけだという感覚になります。そして、かけ算もわり算も子ども達にとっては具体的にイメージできるものなので、難しいとは感じません。

この二つの計算を十分にやってから、「速さ」について教えます。「いま、一時間に4キロメートルずつ歩くと言いましたが、これが速さです。一時間に進む距離を時速と言います。それでは、これから速さの計算をしてみましょう。12キロメートル歩くのに3時間かかりました。時速は何キロメートルでしょう。」

ここで、十分に時間をかけ、子ども達にこの計算式を作らせます。ここで決して計算式を教えてはいけません。同じような例題でやってきていますから、答えは時速4キロメートルということはわかっています。このわかっている答えを導き出すための計算式を考えさせるのです。12÷3=4を思いつくまで考えさせるのです。この計算式が見つかった時、子そも達は「速さ」なんて簡単だと思うようになります。コツは、距離や時間を計算させる例題をたくさん出して、慣れさせておくことです。その上で、速さを求める式を教えずに考えさせることです。「速さ」を計算する時には、個人差が出てきます。すぐにわかる子もいれば、結構時間がかかる子もいます。しかし、すらすらと計算式が出て来るようになるまで、じっくり時間をかけるのがポイントです。
 
このような具体的な問題を解いた後で、「速さ×時間=距離、距離÷速さ=時間、距離÷時間=速さ」という公式を教えて覚えさせるのです。わかってから公式を覚える、この順序が大切です。大人はついつい、数学のように公式を使って問題を解かせようとしますが、小学生は、まず実感できる形で解いてから公式を覚えさせます。こうしておけば、公式を忘れても解けますし、忘れた公式を作ることさえできます。

「速さ」を例に、算数の指導法を記してみましたが、他の単元でも同様です。具体的にイメージできる事例を繰り返し解かせながら、だんだんとその単元の意味をわからせていきます。算数とは、そのような教科です。小学高学年になったから、すぐに抽象概念が理解できるというわけではないのです。確かに、「速さ」という言葉は抽象概念です。

しかし、算数は、抽象概念を使って説明するものではないのです。具体的にイメージできる言葉や例題を使って説明し、その中から抽象概念である「速さ」の理解につなげなければならないのです。

  「分数」の指導法

いくつかの単元についても触れてみます。

 「分数」の説明でも、「1を3でわったものを3分の一といいます。」といった教え方は最悪です。いきなり抽象概念の世界に連れ込もうとしているからです。では、どうしたらいいのでしょう。

「みかんが12個あります。これを3人で分けると一人何個になりますか。」と言った問題を出してわり算をさせます。12÷3=4という計算式を書かせるのです。

このような問題を出しながら、最後に、「ケーキが1個あります。これを3人で分けるとケーキは一人どれだけになりますか。」と言った問題を出します。

ここで計算式だけを書かせます。1÷3=?となって子供たちは途方にくれます。ここで初めて、「3人でわけた時の一人分を3分の一と言います。」と教えるのです。

「12個のミカンを3人で分けた時、一人4個になりますが、この4個を12の三分の一と言います。」と言うような説明をするのです。それから、わり算をしていた例題を作り変えて、「みかん12個の三分の一は何個ですか。」「6個のリンゴの二分の一は何個ですか。」と言った問題の出し方に切り替えて行くのです。そしてだんだんと、2個のケーキの3分の一は何個ですか。」と言った複雑な問題にしていくのです。

具象から抽象へ、少しずつ誘導するのがコツです。

  「単位の変換」の指導法
 子ども達が苦手にしているものに単位の変換があります。特に、速さなどでは、「分速から時速への変換」「時速から分速への変換」などが自由自在にできないと思うように問題が解けません。これも、イメージができるように説明していくことが大切になります。

例えば、1リットルは1000立方センチメートルという単位の変換をする時には、丸暗記ではなく、1リットルは牛乳パック1個分、1立方センチメートルは、角砂糖1個分といったように具体的なイメージをまず持ってもらった上で、1リットル=1000立方センチメートルと覚えさせなければなりません。1キロリットルはお風呂いっぱいくらいといったようにです。

全ての単位について、具体的なイメージを持たせることが大切です。その上で、公式を覚えさせるのです。公式を覚える時には、言葉の意味も教える必要があります。キロと言うのは千倍のこと、だから1キロリットル=1000リットル、1キロメートル=1000メートル、1キログラム=1000グラムと言ったように、キロという言葉の意味について理解させておきます。ミリというのは千分の一のこと、だから、1リットル=1000ミリリットル、1メートル=1000ミリメートル、1グラム=1000ミリグラムといったように単位の変換は、言葉の意味も理解させる必要があります。
 
この時注意しなければならないのは、広さや体積についての単位の変換です。1平方キロメートルは、1000平方メートルではありません。1平方キロメートルというのは、一辺が1キロメートルの正方形の広さです。これをメートルに直すと、一辺が1000メートルの正方形の広さですから、1平方キロメートル=1000メートル×1000メートル=1000000平方メートルになります。1立方メートルの体積も、1000立方ミリメートルではありません。1立方メートルというのは、一辺が1メートルの立方体のことですから、ミリメートルで表すと、一辺が1000ミリメートルの立方体になります。ですから、1立方メートル=1000ミリメートル×1000ミリメートル×1000ミリメートル=1000000000立方ミリメートルということになります。言葉の意味がわかっても、面積や体積のイメージがしっかりついていなければ、丸暗記ではとんでもない間違いをしてしまいます。

 「小数と分数と割合」

 小数と分数の関係が良くわかっていない子ども達も意外と多いものです。0,1=10分の一、0,01=100分の一といった関係がよくわかっていないと小数と分数の混じった計算ができなくなってしまいます。それが、わかってさえいれば、小数と分数の混じった計算も簡単です。

小数を分数に直して計算すれば良いからです。数字は10進法で、くらいが一つ上がれば10倍、一つ下がれば10分の一ですから、10進法の意味さえわかっていれば、小数を分数に直すのは簡単なのですが、意外とこれができていません。

小数を分数に置き換えられなければ、割合の理解も難しくなります。なぜなら、1割は10分の一のことですし、1%は100分の一のことですが、23%と言った端数が出てくると、小数と分数の関係が良くわかっていないと、23%が100分の23ということが理解できないのです。また、分数で理解すると難しくなってしまいます。23%=0,23と言った理解が必要になってくるのです。「割合」が難しいのは、この小数と分数の変換がスムーズにできないのも一因です。また、計算はできても、小数や分数の意味がわかっていなければ、割合はまるで理解できません。割合が難しい場合は、分数の意味がわかっているか、小数の意味がわかっているか、小数と分数の混合計算がスムーズにできているかを確認してみる必要があります。

  お子様の苦手な単元は、具体例をたくさん使ってもう一度教えて見て下さい。
 ポイントは具体的なイメージで説明して、その単元の言葉(速さ・割合・分数・小数と言った抽象概念)を理解させて行く指導法が大切です。
 お子様の苦手単元があったならばチャレンジしてみてください。

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