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第13回子育て通信

第13回子育て通信  算数の成績を上げる方法��

小学高学年の算数の成績は、小学3年生までの算数の理解度が大きく影響しています。たし算・ひき算・かけ算・わり算の意味がわかっているかが重要なのです。

学校の算数のテストで計算はできているからうちの子は大丈夫と思っていても、文章題が解けていなければ計算の意味がわかっていないことが多いのです。まずは、小学3年生までの算数の学習について振り返ってみてみましょう。

算数学習の第一歩をまちがえると、取り返しがつきません。

○たし算の意味が本当にわかっていらっしゃいますか。
5+3= の答えはいくつでしょうか。8ですね。8と書けば、みんな、○をもらえます。それでは5とはどういう意味でしょうか。3とはどういう意味でしょうか。5+3= とはどういう意味なのでしょうか。
これが意外にわかっていないのです。これらの意味がわかっていなければ、テストで○をもらっていても、わかっていることになりません。

小学三年生〜四年生になって文章題のテストが増えてくると、本当にわかっていたのかどうかが歴然としてきます。しかし、その時になって気付いても手遅れなのです。

○数字はいろいろな具体例の抽象概念です。
5という数字には、いろいろと深い意味があります。子どもが5人だったり、鳩が5羽だったり、木が5本だったり、いろいろな具体物の数を表しています。また、お金が5円だったり、時間が5分だったり、速さが毎秒5mだったり、長さが5mだったり、いろいろな単位のついた量を表してもいます。また、前から5人目だったり、100m走で5着だったり、賞品が5等賞だったり、順番を表すこともあります。

こう考えると、単なる5も深遠な記号に見えてきます。5という数字の意味がわかっているということは、このようないろいろな物や量や順番の抽象として5という数字があるということを理解していることです。

○たし算を使う場面はいろいろあります。
「たし算」を使う場面は大きく分けると三つあります。一つは「すずめが5羽いました。そこに3羽飛んで来ました。何羽になったでしょう。」というような増加する場合です。もう一つは「りんごが5個、みかんが3個あります。合わせて何個でしょう。」というように全体の数を求める場合です。最後の一つは「前から5番目の人の3人後ろの人は、前から何番目でしょう。」という順番を問う場合です。

「たし算」にはこのようないくつもの場面があることを知っていなければ「たし算」がわかったとはいえないのです。

○たし算の意味がわかっていない子は、意外に多いのです。
もちろん子どもたちに「数の意味を知っていますか。」「たし算の意味を知っていますか。」と聞いても、このような答えを言える子は、ほとんどいません。しかしこの中には、無意識のうちに理解している子とまるでわかっていない子がいるのです。

まるでわかっていない子は、単に数字を記号として扱い、5と3をたすと8になるということを、訓練を通して、機械的に覚えているだけなのです。ひき算やかけ算・わり算の意味についてはここでは省略しますが、それぞれにいくつかの意味があります。

この、計算の意味がまるでわかっていない子が四則混合の文章題に出会うとたいへんなことになります。三年生の終わりになって「ここに100円あります。5人でわけると1人何円もらえるでしょう。」という問題で、100+5=105と答える子どもが出てきます。「ちがうよ。」と言うと、すぐに100―5=95と答えます。「まだちがうよ。」と言うと、100×5=500と答えます。「ちがう。ちがう。」と言うと100÷5=20と答えて涼しい顔をしています。信じられないかも知れませんが、こういう子は意外に多いのです。しかし、この子達の多くは、計算の訓練は十分積んでいて、計算は速く正確です。ようするに、「お金」と「人」をたしたり、ひいたりできないことがわかっていないのです。また、「たし算」や「ひき算」「かけ算」「わり算」の意味もわかっていないのです。

小学一年生〜三年生くらいまでの算数のテストは、ただ機械的に計算させる問題が多く、四則計算の意味がわかっているかどうかがチェックできません。文章題が出ていても「たし算」を習っている時は、「たし算」の文章題しか出ません。「かけ算」を習っている時はかけ算の文章題しか出ません。ですから、文章題でも機械的に「たし算」や「かけ算」の式を書いて○をもらってしまうのです。四則計算を習い終って、四則混合の文章題が出てきた時になって、初めて意味が理解できていなかったことがわかるのです。

○三年生になってからでは手遅れです。
しかし、この時になってわかっても手遅れです。子どもは算数とは計算することであり、訓練して答えを覚えることだと思いこんでいます。

深く考え、意味を理解するということが算数だと教えても、もうそれを受け入れることができなくなっています。ひたすら頭を使わず、手で解く機械的算数を続けようとするのです。四年生からも、分数や小数の計算のように機械的な計算問題も多少ありますが、大半は機械的な訓練では解けない問題になって、成績が急落することになります。

 計算の意味がわかっていない場合の対処法

簡単に小学3年生まで起きる算数の落とし穴について書いてきましたが、そんな子どもは稀ではないかと思われるかもしれません。しかし、実態は、小学4年生の3割から4割は計算の意味がわかっていないのです。学校でも3年生の終わりまで、テストは良い点を取ってきますし文章題も解けていますので、計算が理解できていないことが発見できないからです。

しかし、計算の意味がわかっていないと小学4年生からの文章題はほとんど解けなくなってしまいます。小学3年生までは文章題も解けていたのに、小学4年生から急に文章題が解けなくなったという子供のほとんどが計算の意味がわかっていないのです。

計算の意味がわかっていなければ、割合や速さの問題は理解できません。割合や速さが苦手な子供たちは、計算の意味がわかっていないことが原因となっていることが多いのです。

このように、小学3年生までの算数の学習で計算の意味がわかっていないと、その修復は大変な作業になります。算数とは何かということについて子共たちは重大な誤解をしていますので、その誤解を解くことが大変なのです。

計算の意味がわかっていない子どもたちは、計算とは覚えることだと思っています。確かに1けたと1けたの計算くらいは記憶力の良い小学低学年の子どもたちなら簡単に覚えてしまいます。しかし、2けたと2けたの計算になると単なる暗記では覚えきれません。その場合は、計算のルールを覚えて解いています。しかし、その計算の意味するところはわかっていないのです。計算には、意味があり、現実の抽象化であるということを理解させなければなりません。

小学4年生以降で、計算の意味がわかっているかどうかを調べるには、文章題を解かせるのではなく、逆に、計算式から文章問題を作らせると、すぐに理解しているかどうかがわかります。たし算・ひき算・かけ算・わり算の計算式を書いて、そこからそれぞれの計算について3問ずつ文章問題を作らせてみるのです。それが、問題無くできていればだいじょうぶです。一問ではまぐれあたりと言うこともあるので三問作らせるのですが、この問題作りに苦労していたり、作れなかったりした場合は、計算の意味がわかっていないのです。

そのような時は、今から大仕事をするという覚悟が必要になってきます。そう簡単には算数に対する誤解は解けないからです。

このような事態に直面して、たくさんの文章題を解かせようとするとこれは逆効果です。なかなか理解できなくて算数嫌いの子供を作り出す結果になってしまいます。

では、どうしたらいいのか。そもそも、計算の意味がわかっていないということは、計算と現実的な場面が結びついていないのですから、現実の場面で多くの計算をさせることです。

例えば、飴玉を最初3個あげて後から2個あげて、合わせて何個になったと聞くとか、買い物に行かせてお釣りを計算させるといった方法です。わり算なら、飴玉を9個あげて3人でわけると言った方法です。

文章題が解けないのならこのような計算もできないのではないかと思われるでしょうが、実は意外にできるのです。算数という世界から、現実という世界に引き戻すことによって現実と計算がつながります。
実は計算の意味がわかっていないというのは、算数の世界だけのことで、現実の世界では計算の意味がわかっていない子どもは皆無に近いのです。計算の意味がわかっていないというのは、計算が現実の世界とつながっているのだということがわかっていないということなのです。

ですから、現実の世界で計算を使う練習をしばらくやっていると、算数に対する誤解は解けていきます。子ども達は、現実世界で生きているのですから、現実世界は理解しています。算数の計算もできるようになっています。この二つが結びつかないまま算数の勉強をしてきたのです。そこに、急に四則混合の文章問題が出てきて、混乱を起こしてしまったのです。文章問題が急に解けなくなった子どもに、これは大変だと解けない文章題をたくさん解かせようとするとますます混乱がひろがっていきます。そして、そのまま、速さや割合の授業に入っていくと、子供にとって算数は苦痛以外の何物でもなくなります。いや、その前に、分数や小数の意味だってわからないのですから、苦痛はすぐに始まってしまいます。わり算の意味がわかっていないと、分数や小数の意味は理解できないのです。子どもたちは、ここでも計算のルールだけを覚えて対処することになります。通分の意味も分数のかけ算やわり算の意味もわからなくて計算をすることになります。しかし、分数の計算ルールは、かけ算やわり算の計算ルールに比べるとはるかに複雑な計算ルールになりますから、計算さえ満足にできないことになります。

小学4年生の初めには3割から4割いた計算の意味がわかっていない生徒も、5年・6年になると2割程度に減ってきます。これは、塾に通わせたり、お母さんが教えたりして理解できるようになった場合もありますが、文章題を解いているうちに子供自身が、計算と現実世界がつながっていることに気づいて一人で克服している場合も多いのです。しかし、今でも計算の意味が理解できていない危険性がある場合は、今すぐ現実の場面で計算を使わせるという対処法を始めなければなりません。






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