TOP›ほのちゃんRoomこちら›テーマ夏祭り:花火の下の人魚姫
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夏の終わりを告げる虫の音色が聞こえてくるようになりました。
その夏の余韻を。。。
今年出版されました
��DayトレPart1の��Day4の28ページのイラストに
合わせた「夏祭り」をテーマにした物語を
ほのちゃんが創作して下さいました。
イラストとあわせて どうぞお楽しみ下さい。
花火の絵がいまひとつ?ごめなさいね。
人魚は気にいっていてよ(ニコ:安藤)
創作物語:花火の下の人魚姫
作 者:ほのちゃん 14才
イラスト:安藤 伸江
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創作物語テーマ:夏祭り
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花火の下の人魚姫 前編
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夕焼けと夜が混ざり合った夏空の下、
自然豊かな河川敷は沢山の人々で賑わっていた。
そう、今日は年に一度の花火大会。
吊るされた提灯(ちょうちん)には和風な光が灯り、
色とりどりの屋台を飾っている。
着飾った人々の笑い声と、
どこか懐かしく感じる虫の鳴き声が
混ざり合いながら辺りに響いていた。
そして そんな中、人ごみから外れた道の隅に、
ポツリと浴衣の少女、ナナミが立っていた。
彼女は辺りを不安そうな表情でせわしなく見回している。
さっきまで一緒だったはずの両親の姿は
どこにも見当たらない。
「はあ……迷子になっちゃった」
目の前を通り過ぎてゆく人々は
自分には目もくれずに通り過ぎていく。
ふと寂しさを覚え、
ため息をついたナナミはしゃがみ込んだ。
すると、突然そんな彼女に声がかかった。
「ねえ、ひょっとして君も迷子?」
顔を上げると、
そこにはナナミと同い年くらいの男の子が立っていた。
顔の横につけたお面の影に隠れた、
子犬のような茶色の瞳がナナミを見つめる……
だが、プイ、とナナミは目をそらした。
「……違う」
迷子だなんて答えるのは、なんだか格好が悪かったのだ。
「ホント?」
男の子が疑わし気に首を傾げる。
「ホント。本当に違うから!」
強くナナミが言い放つと、男の子は寂しそうに眉を下げた。
「そっか、同じだと思ったんだけど…残念だな。
じゃあね!」
そう言った時には、彼の後姿は人ごみの奥へと消えていく。
彼も迷子だったのだろうか。
なら、素直に言えばよかったな。
今更ながら、そう思ったナナミは顔にかかった髪を振り払った。
あまりにも人通りが多く、
ナナミは再びゆっくりと歩き出した。
いつの間にか、自分は一人と思えば思うほど
焦りが大きくなってゆく。
隣を歩いていた両親は、一体どこへ行ってしまったのだろう。
流れてくる人波をさかのぼる自分の周りからは、
どんどん色が消えてゆくようだった。
提灯の温かい光だって、
色とりどりの屋台だって、
白と黒に変わっていく…
気がつけば、ナナミは走り出していた。
だが、走っても走っても景色が変わるようには見えない。
周りの人々の背は、こんなにも高かっただろうか。
「どうしよう……?」
後ろを振り返っては、辺りを見回すのを繰り返したあと、
ナナミは道の真ん中で立ち止まってしまった。
その時だった。
色あせた景色の中で唯一、色を帯びたものが歩いていった。
さっきの男の子だ。
彼は道の隅にある薄暗い紫色のテントに入っていく。
もう恰好悪いなんてどうだっていい。
ナナミも、彼を追いかけて走り出した。
紫色のテントの中の空気は、
ひんやりとした博物館のように重かった。
人はいなく、
カーテンの外とは別の世界のように静まり返っている。
「あっ、さっきの子だ!」
戸惑いながら入口に佇むナナミを、
男の子は嬉しそうに振り返った。
ナナミは数歩前に進み出て、聞いた。
「……なにしてるの?」
男の子は笑って答える。
「何もしてないよ。
面白そうだから、入ってみただけなんだ」
そんなことをしてるから迷子になるんじゃ……
という言葉は飲み込んで、
辺りを見渡したナナミの視線は、
台の上に飾られたものに釘付けになった。
「え?これ、人魚?」
なんと、光に照らし出されたクッションの上には、
美しい尾びれを揺らしながら無表情でこちらを見つめる、
小さな人魚の姿があったのだ。
作り物にはとても見えない。
「君にも見えるの?」
「うん、それは、もちろん」
男の子は顔を輝かせる。
「うわあ、僕もだよ!」
どうしてそんなに驚くのと、首を傾げたナナミに、
男の子は説明書きのプレートを指さした。そこには…
「これは海岸で発見された人魚のミイラ。
しかし、心が綺麗な人には美しい本物の人魚に見えると
言われています。
あなたは本物の人魚が見えますか?
もし見えたら、願い事をしてみるといいかもしれません」
読み上げたあと、ナナミは嬉しそうに言った。
「すごい!ラッキーだね、わたし達!」
だが、男の子は何も言わなかった。
そして一瞬の間のあと、困ったように彼は言った。
「うーん。
でもさ、本当はミイラになんて
なりたくなかったんじゃないかな、この子」
そう聞いたナナミは、軽々と立ち上がりながら言った。
「確かにね…ちょっと可哀相。
じゃあ、何か願っても叶わなそうだね。
考えていたけど…残念、残念」
そう言った時、
ふと目の前の可愛らしい人形のような人魚の瞳が、
怪しげに光ったように見えた。
驚いた二人が見上げると、
人魚は尻尾の先からゆっくりとしなびていく。
そしてそれはあっという間に全身へと広がり、
人魚は浮き出た骨と皮だけの
不気味なミイラへと姿を変えた。
かろうじて残った髪は固まり、
小さな口元はひきつって不適な笑みを浮かべる。
その姿は醜く、なんとも恐ろしい。
何か良くないことを言ってしまったのだろうか。
二人は思わず後ずさった。
「呪われる……とか、ないよね?」
だが、ナナミの一言で姿が変わったということは、
おそらくこの人魚には本当に心があるのだ。
それはきっと人を幸せにすることもあるだろうし、
場合によっては不幸せにすることもあるだろう。
「願い事、ある?」
自分達が迷子だったことも忘れて、
ナナミが恐る恐る聞いた。
「ないかな」
男の子も答える。
二人は静かに入口へと歩いていったが、
思いとどまったように振り返った。
「でもしいていうなら……
この人魚が海に帰れること、かな」
「うん、そうだね」
それは口先だけの嘘ではない。
二人は人魚を見つめ続けた。
すると、 干からびたミイラだった人魚は
ゆっくりと美しい色を取り戻していった。
それはやがてさっきのように小さな人魚へと姿を変える。
やはり無表情なのに変わりはなかったが、
それでも二人には彼女が優しく微笑んだように見えた。
「ふふ、よかったね」
笑いあった二人は、
賑わいが広がる外へと繋がる紫色のカーテンを開いた。
香ばしい屋台の香りに混じって、
蚊取り線香の匂いが漂ってくる。
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花火の下の人魚姫 後編
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「ねえ、君の名前は?」
今更ながら、男の子が聞いた。
「ナナミ」
「僕はシュンタ、よろしくね!」
そう笑顔で言ったシュンタを、ナナミは見上げた。
「あの、私、さっきは嘘ついたの。本当は迷子」
「あはは」
とシュンタが笑う。
「やっぱりね〜、そうかと思った。僕もだよ。
じゃあ、一緒に探そうよ!」
始めからそう言えばよかった。
ナナミもつられて笑いながら頷いた。
「うん!」
その瞬間、突然 空に光りがのぼっていった。
それはまるで雫が重力に逆らうように、
見上げる全ての人々の喜びを乗せるように。
そして、破裂音が辺りに響き、
大きな花火が夜空に咲いた。
「わ〜、綺麗!」
思わず拍手をするナナミの声にあわせたように、
沢山の花火が空に打ちあがっていく。
「すごーい……ねえ、もっと近くで見よう!」
ナナミの手を取ったシュンタは、
河川敷の階段に向かって走り出した。
浴衣のすそをひるがえして、ナナミが慌ててついてゆく。
走ってゆく二人の横を、
夏祭りの景色が遠い日の思い出のように流れていった。
辺りには軽快な花火の音が響き、
カラフルな光が辺りをパッと照らしては消えてゆく。
二人の心も踊るように軽く、
いつしか笑いだしながら二人は石の階段を駆けあがった。
息を切らして見上げた夜空に、
ひときわ大きな花火が弾ける。
斜面の下には、屋台の灯りが浮かんでいた。
笑顔のナナミがシュンタを振り返る。
だが、シュンタの瞳は悲しそうに灯りを見つめていた。
「僕さ、この夏が終ったら引っ越すんだ」
「え?」
遠くで寂しげな歌を歌うように虫の声が流れてきた。
「近いの?」
「ううん、ずっと遠く」
小さく微笑んだシュンタは、そっと首を振った。
ずっと前から知っていたように感じるその声は、
さっき出会ったばかりだ。
ナナミは口を開きかけ、再びつぐんだ。
しばらく二人だけの静けさが流れたあと、
ナナミは聞いた。
「友達……だよね。ずっと」
「うん。もちろん」
シュンタは力強く頷いた。
「また会えるかな?」
「大丈夫、きっと会えるよ。
そう願っていれば、人魚が叶えてくれるはずだから」
人魚の館は、もう暗闇に浮かぶどの光かはわからない。
それでも、そのうちのひとつがキラリと光ったように見えた。
「また会えますように」
小さく呟いたナナミは、その光景を目に焼きつけようと、
花火を見上げた。
シュンタもそれに続く。
まるで花火の終わりを告げるような
ひときわ大きな花火が、空に弾けては消えていった。
大丈夫、花火大会はまだまだ続く。
「ねえ、あの人魚がもしおとぎ話とかに出てくる
人魚だったら面白いと思わない?」
突然、シュンタが言った。
「……泡に消えていったはずの人魚とか?」
ナナミがいたずらっぽく首を傾げて言う。
ふふ、とシュンタは笑った。
「その人魚の友達だった人魚とか」
「なるほど〜。
だとしたらおとぎ話、信じる?」
「信じるよ。もしそうなら」
もし、あの人魚がおとぎ話とかに出てきた
人魚だったのなら、どんな人魚だったのだろう。
誰か教えてくれないだろうか……
でも、ナナミは小さく微笑んだ。
ううん、想像している方が楽しいかもしれない。
小さなことにも、夢を抱き続ける……
おとぎ話って、そういうものだろう。
その時。
「あ、やっと見つけた!ナナミー!」
「いたいた、シュンター!」
遠くでお母さん達の呼ぶ声がした。
夢から覚めるように、はっと二人が振り返る。
二人と人魚の短いお話はここで終わり……
いや、区切りを迎える。
それはまるで空に咲いた花火のように。
「またね」
シュンタが言った。
「うん、またねだよ!」
そう頷いて、二人は笑い合った。
打ちあがってゆく花火が、
月の光にきらめく人魚のしっぽのように揺らめいた。
(終わり)
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定休日・備考 |
火金 祝日:お電話は土曜上記時間にお願い致します。 |
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住 所 |
〒175-0092 東京都板橋区赤塚2-1-12 パンダビル3階 |
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交 通 |
東武東上線下赤塚駅 北口改札前:有楽町/副都心線歩3分 |
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