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かわいいムギ

物語は始まる! かわいいムギ

ムギどうしちゃうのかしら?

[かわいいムギ]の創作物語コンテストの作品のご紹介です。
お預かりした ネコのムギちゃんが行方不明に…
色々な冒険の旅に出たムギ!
本当はムギ! 何者!
これからどうなるムギ?

お楽しみください。

創作物語の作者ペンネームHさんは14才です。
彼女自身で英文変換もされました。

対 象

実施日

かわいいムギ

物語は はじまる!

■かわいいムギ

マルシアおばさんは、しっぽの先は青みがかった灰色の小さな斑点(はんてん)があり、雪のようにまっ白で目は青い血統書付(けっとうしょつき)の何百万というペルシャ猫を飼っている。
猫の名前はムギといい耳が聞こえず体も弱かった。
メイは猫が大きらいだった。
私もマルシアおばさんが飼っている まっ白いペルシャ猫は苦手だった。

ある日、マルシアおばさんが
「ムギを2ヶ月あずかってほしいのよ。」
と言ってきた。
私とメイは、しかたなく引き受けた。
ムギは、思ったより手がかからなかった。
友達のマックも毎日来てはいろいろ教えてくれた。
三週間ほどして、私とメイは眠っているムギを家政婦(かせいふ)のジュンに頼み家を留守にした。さわぎは このときに 起こった。ムギの姿がどこにも見あたらないのだ。
「ムギー どこー!」
「たいへん どこにも いないわ!」
「どうしよう〜!」

ここから おはなしの続きスタートです。

第1話からのリメイク版登場!ご期待を!

第1話 ムギと魔法の指輪 ペンネームH 5月28日掲載

第1話:ムギと魔法の指輪

ムギは二人が留守にしている間に
ジュンの目を盗んで外に出た。
いつもマルシアおばさんには、
なかなか外に出してもらえないので
外の世界が気になったのだ。
ドアの隙間からこっそりと外に出ると
通りは人通りが少なく車も通らず、
指輪がひとつ落ちていた。
その指輪は
真ん中についている宝石だけが光り、
ほかのパーツは汚れていた。
光るものが好きなムギは、
その指輪を転がして遊んでみた。
3回右に転がし、3回左に転がした。
するとその指輪が
いきなり激しい光りを放ち
光の渦を巻きだした。
ムギはそのうずの中に入ってしまった。
すると周りの景色が回りだし、
回転が止まると辺りは砂漠だった。
いつの間にか指輪が指にはまっていた。
そして、その砂漠の中を
スカーフで顔を覆った人たちが
ラクダと一緒に歩いている。
ムギはとりあえず
ついていってみることにした。
だいぶ歩くと
その人たちはやっとムギに気が付いた。
そしてお互いに何か言葉を交わしあい、
ムギは抱きかかえられて
箱の中に入れられ、食べ物をもらった。
ムギはその食べ物は食べたことがなかったが
とてもおいしかったのであっという間に
全部食べてしまった。
箱の外を見ると
巨大な三角形の砂の山がいくつもあった。
人々の様子からして、
現代でないのは確かだった。
そして疲れていたのもあり、
すぐに寝てしまった。
目が覚めると高級そうなベッドの上に
寝かされていた。
いつも寝ていたベッドよりも
とても寝心地が良かった。
「もう一度寝ようかな」
と思ったとき、
きれいな背の高いドレスを着た人が
こっちにやってきた。
とても綺麗だった。
その人は
どこかマルシアおばさんに似ていた。
その人は言った、
「ムギ、よく来たわねー。いらっしゃい」
ムギが首をかしげると
その人はムギをなでながら言った。
「私はマルシア•ジェニー•
ファニング、マルシアおばさんよ。
私はもう数えられないくらい、
ずーっと、生きてるのよ」
ムギは言っていることは
よくわからなかったが
この人がマルシアおばさんだということは
分かった。
ムギは指についている指輪を見せた。
マルシアおばさんは言った。
「あら、ありがとう!
すごく探してたのよ!
あっちの世界よりこっちの方が楽しくて、
たまに戻ってくるの。
あと二か月ここにいるつもりなんだけど、
たぶんあなたは帰った方がいいわ。
この指輪を使って帰してあげる」
マルシアおばさんは指輪を持って、
何か呪文を唱えた。
すると周りの景色が回転し、
ムギが寝ていた部屋に戻っていた。
「メイが私を見つけたら
びっくりするだろうな」
と考えながら
ムギは自分のベッドに戻っていった。

第2話 テルシカ島の過去 ペンネームH 6月4日掲載

第2話:テルシカ島の過去

前書き:これはムギのお話の時代よりも
前のお話です。

マルシア・ジェニー・ファニングは
リアム王がおさめるテルシカ島の女王。
宝石が大好きだ。
彼女はたくさんの人々から好かれていた。
リアム王もまた彼女を愛し、
国はとても平和だった。

その時代、テルシカ島のどこかに
何億という価値がつく
貴重で不思議な力を持つ指輪が
隠されているという話を誰もが
信じていた。
過去にその指輪を持った者は
必ず偉大なことを成し遂げ、
その国は大いに発展したという。
だが、だれも本気でその指輪を
探そうとはしなかった。

そんなある日、
欲張りで傲慢なアストラ島の王、
ガファ王がその指輪を欲しがった。
リアム王は
「そんな指輪はない」
とうそをついた。
だがそれがさらにガファ王の欲望を
かき立てたらしく遂に
「探検隊を強制的に送り込む」
と言いだした。
戦争はしたくなかったリアム王は
いやいやそれを許可した。
それが原因となり、
二つの国の仲はどんどん悪くなっていった。
探検隊たちもお互いを敵対しあうようになり、
ついにけが人が出てしまった。
さすがにこれはよくないと思ったリアム王は
ガファ王に
「指輪の事はお互いに忘れよう」
という手紙を書いたのだが
ガファ王はそれを無視した。

そんなある日、城の古い書斎から
指輪についての古い書き物が発見された。
「その指輪の力はとても強力で
持ち主の望むことなら何だって
叶えることができる。
そしてその指輪は森の中に隠された。
ある者が見つけたが
その時にはもう指輪は力をうしなっていた。」
というようなことが書いてあった。
これを読んだリアム王は、
すぐにガファ王に手紙をだした。
当然ガファ王が信じるはずもない。
何度もやり取りをしたが、
ガファ王は信じなかった。

ついにガファ王は怒り出し、
勝手にテルシカ島を侵略しだした。
リアム王もこれには怒り戦争を
することにしてしまった。
マルシア女王は
戦争をするということに対して嘆き悲しみ、
あんなに愛していたリアム王に失望した。
そしてリアム王を説得にかかったが
リアム王の決意は固く、
そう簡単に変わるものではなかった。
激怒したマルシア女王は、
国を出ていくといった。
そして本当に国を出て行ってしまった!
リアム王は戦争をやめようかと思ったが
もう遅かった。

そうこうしているうちに
マルシア女王はどんどん海を渡り、
平和で自然豊かな国に移り住んだ。
だが彼女もテルシカ島が心配になり、
町で一番の魔女とも呼ばれている占い師、
ドロシーに占ってもらうことにした。
古いけれども汚くはない
心地よい店の中には
ドライフラワーなどが
天井からぶら下がっていた。
二階へ続いている階段から
黒いマントを羽織った見とれてしまうほど
美しい女性が下りてきた。
マルシア女王は
その人がドロシーだとすぐにわかった。
するとドロシーは
マルシア女王を見ると目を見開いて告げた。

第3話予告:
ドロシーが告げた言葉とは?
リアム王はどうなってしまうのか?
マルシア女王はどうする?
指輪の行方は?    
3話をお楽しみに〜!(ペンネームHより)

第3話 島の行方 ペンネームH 6月11日掲載

第3話:島の行方

これまでのあらすじ:
魔法の指輪をめぐって
戦争をするといったリアム王に
失望したマルシア女王は国を出てきた。
だが心配になり魔女のドロシーに
占ってもらうことにした。

「あなたからは
とても偉大なオーラを感じます。
ひょっとしてあなたは。。。
マルシア女王ではないですか?!」
「そうよ、マルシア・ジェニー・ファニング。
マルシア女王よ。」
「あなたに会えて光栄です!」
「ありがとう。嬉しいわ!」
そう言って
片手を顔に当てたマルシア女王の指には
エメラルドグリーンに輝く指輪が
光っていた。
ドロシーは目を見開いた。
それはまさに
その伝説の魔法の指輪だったのだ。
「そ、それはまさか!
あの魔法の指輪?!
どこで手に入れたのですか?!」
「私の母上からもらったものよ。
でも力を失ったのではなかった?」
「いいえ、私は感じます!
その指輪は力を封印しているだけです!」
マルシア女王は考えた。
もしこの指輪が
力を取り戻すことができたら
テルシカ島を救うことができるかもしれない。
「力を。。。
取り戻すことはできるの。。?」
しばらく間を開けてドロシーは言った。
「可能ですよ。ただ!
それをするには持ち主の力が必要です。
あなたの力を使うことによって
あなたは不死身になります。
それでもかまわないならやりましょう」
マルシア女王は少し考えて言った。
「かまいませんわ。お願い。」
「本当にいいのですね。」
そう言って
ドロシーは何やらと呪文を唱え始め
どこから出したのか杖を振り回しはじめた。
そしてたっぷりと30分
それをやったあと静かに言った。
「指輪は力を取り戻しました。
これであなたの望みを
かなえることができます。」
今ならまだ間に合う!
マルシア女王はそう思った。

一方、残されたリアム王は
戦争を始めようとしていた。
空はどんよりと曇り、
雲がマルシア女王の顔に見えてきた。
最初の大砲が放たれようとしている。
本当にいいのだろうか。
そうリアム王が考えた時だった。
雲から突如太陽が現れ、
透明に輝く光が下りてきた。
その光の中には人影がかすんで見えた。
リアム王は人影を見て
思わず手にした剣を落とした。
それはマルシア女王だった。
彼女は叫んだ。
「指輪よ!今すぐ戦争をやめさせて!」
今、マルシア女王の指にはまった指輪は
すべての光を反射し、輝いていた。
すると彼女が持っている指輪から
光が飛び出し、
光の雨となって降り注いだ。
すると遠くに見えていた相手の軍は
みるみると姿を消し、それと同時に
すべての武器と防具が消えていった。
リアム王が落とした金色の剣は
地面へと吸い込まれていった。
曇った空からは太陽が顔を出し、
鳥がゆうゆうと飛んでいた。
破壊された森は緑が生い茂り
ガゼルの群れが軽やかに走っていた。
荒れていた海は水色に光り、
イルカの群れが波の上で踊るように
飛び跳ねていた。
光の輪から飛び出したマルシア女王は
リアム王のところへ走っていき、
抱きついた。
どこからか音楽隊がやってきて
愉快な音楽を奏でだし、
人々が踊りだした。
青い空の下で皆が歓声を上げ、
国の平和を喜んでいた。
島中が今、平和を喜んでいた。

予告:まだまだ続く!
次回にはムギちゃんも出てきます。お楽しみに〜! Hより

第4話 家来のスライリン ペンネームH 6月18日掲載

〜第4話〜 家来のスライリン

リアム王がテルシカ島を収めていた時代から
100年の時がたった。
だがマルシア女王は年を取ることもなく、
まだ女王として国を守っていた。
マルシア女王の努力により
アストラ島とも貿易を始め、
国はとても豊かで平和だった。
マルシア女王には信頼できる家来たちがいた。
なかでも一番信頼していたのは
ジムニーという家来だった。
そんなある日、
マルシア女王は
一人の家来が高齢だったのもあり、
もう一人新しい若い家来を雇った。
彼の名はスライリンといった。
彼女は早速スライリンに手紙を
アストラ島へ出してくるよう命令した。
だが彼はとても不器用で にぶかった。
彼は船に乗ったものの何故か行き先を間違え、
そのまま手紙を町のどこかに落とし、
手紙を届けるまでになんと一か月もかかった。
マルシア女王は優しかったので
ペコペコと謝るスライリンを許してしまった。
それ以来マルシア女王は、
できるだけ重要なことを
スライリンに頼むのを控えることにした。
また別の日、マルシア女王はスライリンに
町の様子を見てくるように言った。
これくらいできるだろう、
と思っていたマルシア女王に
ジムニーはこういった。
「女王陛下、
スライリンに大事な仕事を頼むのは
控えるとおっしゃっておりませんでしたか」
「町の様子を見ることぐらい
できるでしょう?」
「でも彼は船に乗って
どこかにいきましたぞ」
「えぇっ?」
そう言ってマルシア女王が窓から外を見ると
一隻の船が島から遠ざかり
水平線に消えてゆくのが見えた。
「ちょっと!彼は何をやっているの!」
「わかりません」
「あとを追いなさい!」
こうしてスライリンの怪しげな行動を
見たマルシア女王は思った。
「なんて不真面目な人なの!
仕事を頼んだのに勝手に旅行に行くなんて!
あんな家来はクビよ!」
その頃、スライリンは
あのへらへらした態度からは
想像もつかない不気味な笑みを
浮かべていた。
「ふっふっふっ 全部俺の作戦通りだ」
彼の目は一枚の紙に向けられていた。

〜続く〜
予告:怪しげなスライリン、彼は何者?
お話はこれからも続く!

第5話 作戦の始まり ペンネームH 6月25日掲載

第5話 作戦の始まり

その後、ジムニーはスライリンの後を
追ったが見失ってしまい
何の手掛かりも見つからないまま島に
戻っていた。

城ではスライリンが国のお金を
大量に持ち出していたことがわかった。
だが優しいマルシア女王は
何か急用があったのかもしれないと考え、
「彼が正直に話したら
少しだけ許してあげよう」
と考えていた。
だがなんと、
スライリンは船に乗って用を済ませ、
その日のうちに帰ってきていた。
そして残りの4日は
国のお金を貧乏な村人たちに分け与え、
いろいろな村の問題をスライリンは解決して
村人達から感謝されていた。
それに加えて、
スライリンはブロンドの髪に
鼻と目がはっきりしていて、
女性からの人気を集め、
彼は村人達からすぐに気に入られた。

やっと帰ってきたスライリンに向かって
マルシア女王は言った。
「スライリン!
あなた、どこに行っていたの?!」
「はい...?
私には何のことだか
さっぱりわかりませんが?」
「窓から見えたのよ!
あなたが船に乗って、
どこかに去ってゆくのを!」
「見間違いではないでしょうか?」
「正直に言いなさい!
言ったらまだ罪が軽くなるわよ!」
「嘘ではございません、女王陛下。
嘘かどうかは村人たちに
聞いてみてくだされば
わかると思います。」
「はぁ? あなたは何を言ってるの!
もういい、あなたはクビにしたわ!
出ていきなさい!」
「でも女王。。。」
「言い訳はいらないわ!
国の大事なお金を持ち出した人は
さようなら。」
「えぇ。。。」
がっくりと肩を落としてスライリンは
トボトボと歩いて帰っていった。
ように見えた。
スライリンは内心ガッツポーズをした。
すべて彼の作戦通りだった。
村人を助けたのも善意でやったことではない。
すべては村人を味方につけるためだった。
スライリンは言われた通り
おとなしく城を去っていった。

一週間後、
村でスライリンが城から追い出された
ということが話題になった。
だが村人からすると
「スライリンは国のお金を
困っている自分たちのために使ったのに、
マルシア女王はそれを無駄遣いと思った」
という解釈となり
マルシア女王の評価がものすごく下がった。
村人たちは親切なスライリンが
追い出されたことに対して
怒り城の前に集まり騒ぎ出した。
「スライリンを連れ戻せー!
スライリンを連れ戻せー!」
何事かと思ったマルシア女王が
窓の外を見ると
たくさんの村人がおおきな紙を掲げ、
抗議していた。
マルシア女王は少しあきれながらも
ベランダに立ち言った。
「彼は不真面目で頼んだ事も何一つ
しっかりやらなかったのよ。
家来だからといって
勝手に国のお金を使うのはよくないし、
手紙一つ届けられない家来は
私はお断りです。
あなたたちもそう思うでしょう?」
マルシア女王のこの態度は
さらに村人たちを怒らせた。
だがマルシア女王は村人たちの意見を
聞こうとはしなかった。
村人たちはさらに
「マルシア女王は
村人の意見は全く聞かない理不尽な人」
という情報を流しだした。
だがマルシア女王も
「家来を一人追い出したからと言ったって、
あなたたちには関係ないでしょ?
国が戦争もしないで平和なのは
私のおかげなのよ」
という態度だったので
村人たちはさらに誤解し
「そもそもマルシア女王は
もう100年近く女王なのだから
新しい王と女王を決めよう」
という話になってしまった。
こんなに事が大きくなるとは
思っていなかったマルシア女王は
仕方なく人々の前で謝罪した。
「先ほどはごめんなさい。
これからはあなたたちの意見をしっかり聞く
いい女王になるわ。」
と言ったが村人たちは許さず、
「マルシア女王は100年も女王じゃないか!
新しい女王を迎えるぞー!」
と言い続けた。
マルシア女王は
国民の意見ならしょうがないと思い、
国民投票をすることにした。
そして新しい王を迎えるかどうかの投票が
始まったのだった!

予告:騒ぎ出す村人たち!
スライリンはどうなった?!
マルシア女王の運命とは?!
投票の結果をお楽しみに〜!!

第6話 消えた指輪 ペンネームH 7月2日掲載

第6話 消えた指輪

今日は投票!結果発表の日。
集計は家来たちに任せているマルシア女王は
噴水のそばで、
なぜか余裕でハーブティーを
飲みながらくつろいでいた。
そこへ、家来のジムニーが駆け込んで来た。
「女王陛下!大変です!
新しい王に賛成の投票が圧倒的に多いです!」
「それは本当?
ちょっと見せてごらんなさい」
ゆったりとした足取りで
マルシア女王は集計の結果を見た。
そして思わず叫んだ。
「えぇぇっ?!
ちょっとこれはどういうことなのっ!」
「どういうことと言われましても。。。
残念ながらこの通りです。」
「そ、そんな!私はどうしたらいいの?」
「やはり当分の間は他の国にいた方が
いいかと思います。」
「。。。わかったわ!
国からいなくなればいいんでしょ!」
マルシア女王は怒ったようにそう言うと
部屋を出て行った。
そして荷物をまとめ、
最後の挨拶を村人たちにし、
一週間後には毅然として国を出て行った。
だがマルシア女王はこう思っていた。
「いつか絶対戻ってくるわ!
私は不死身なんだもの!」
その後、マルシア女王は
占い師のドロシーに会った国に移り住んだ。
平和で穏やかな時が流れてゆくなか、
マルシア女王はある新聞の記事に目をとめた。
「テルシカ島の新しい王、スライリン!
O月☆日、
テルシカ島で新しい王の投票が行われた。
そして投票の結果、
スライリン氏が新しい王となることが決まった。
彼は嬉しそうに語った…」
グシャグシャグシャっ!
マルシア女王は
記事を全部読み終わらないうちに新聞を丸め、
暖炉に投げつけるようにして放り込んだ。
「何よ!なんであんな人が選ばれたの?!
そもそもスライリンは王になりたかったから
私の家来になったのね?!
許せない!」
そう怒鳴ったマルシア女王は
いまさら指輪のことを思い出した。
そして自分の指を見たマルシア女王は叫んだ。
「指輪がない!」
彼女は急いで家じゅうを探し回ったが
どこにも見つからなかった。
家の近くにもどこにも見当たらない。
道ゆく人にも聞いたがそんな物は
見なかったという。
「なんでないのーーーーー!!」
探し回りながらマルシア女王は思い出した。
そういえば昨日駅に行った。
そこに落としたのかもしれない!
マルシア女王は駅に駆け込んだ。
そして駅員に聞いた、
というよりも大きな声で怒鳴った。
「エメラルドグリーンの指輪を
見ませんでしたかっ!」
「わぁっ!あ、す、すみません。
いきなりだったもので。。。
えっと、昨日までは落とし物入れに
あったんですけどねえ。
今朝、黒い皮のジャケットを着た男が
自分のものだといい受け取って行きましたよ。
確か白い猫が一緒にいたような気がします」
「その人、どっちに行きましたか?!」
「確か☆☆行きの電車に
乗っていったと思うんですが。。。」
「ありがとうございます!」
そう言ってマルシア女王は電車に飛び乗った。

予告:
指輪はどこに行った?
黒い皮のジャケットの男の正体は?
なぜスライリンが王になった?
白い猫は。。。?
続きをお楽しみに!

第7話 不思議な少女 ペンネームH 7月9日掲載

第7話 不思議な少女

一方、スライリンは念願の王に
なれて満足していた。。。
わけではなかった。
彼はなぜかこっそりと自分の部屋で
手紙を書いていた。
その手紙を
何重にもなった封筒の中に入れると、
彼は家来に手紙を出すように命じた。
彼はまだもう一つ別の目的が
あるように見えた。
スライリンはジムニーを追い出し、
新しい家来を雇っていた。
王の仕事はすべてその家来に任せている。
彼は結局、
王の仕事は何一つしていなかったのだ。
だが誰もそのことには気付かず
スライリンはとてもいい王だと
思い込んでいる。
家来達の中では
逆らうとすぐにクビにされるので
みんな彼のいうことを聞いている。
それをいいことにスライリンは
とても贅沢な暮らしを送っていた。

電車に乗ったマルシア女王は駅員に聞きまくり、
遂に黒いジャケットの男が下りた駅を知った。
彼女はその駅で飛び降り、
知っている人影を見つけた。
ドロシーだった!
占い師のドロシーは
魔法も使えるといううわさもある。
マルシア女王と同じく不死身なのだろう。
マルシア女王は思わず声をかけた。
「ドロシー!」
驚いた顔をして振り返ったドロシーは
すぐさまマルシア女王に笑いかけた。
「マルシア女王!お久しぶりです!」
「久しぶりね!
この間は本当にありがとう!」
「どういたしまして。
それよりこんなところで
何をしているんです?」
「えっと。。。」
マルシア女王はこれまでのことを
すべて話した。
それを聞いたドロシーは言った。
「この辺は平和だから。。。
その人のことはよくわかりません」
「あら、そう。。。」
すると、
横からいきなり話しかけてきた少女がいた。
「何話してるの?」
「えっ。。。えっと、迷子?」
10歳かそれより下に見えた。
黒髪で大きな丸い目をした賢そうな少女は
マルシア女王に向かって言った。
「失礼ね。迷子じゃないわよ!
指輪を盗まれたんでしょ?
私、ずっと見てたわよ」
マルシア女王が
「生意気〜!」
と思っているとドロシーが言った。
「あなた、
お母さんかお父さんはどこにいるの?
一人じゃあ危ないわよ。」
「ここにはいないわよ。」
「あら、そうなの?
じゃあしばらく一緒にいましょう」
「ふん!いいわよ。
それにあの男のことなら私の方が知ってるわ。
一緒に探してあげる。」
「ご両親は心配しないの?」
「だから言ったじゃない。
ここにはいないの。」
「そうなのね。。。私はドロシー。
こちらがマルシア女王よ。
あなたのお名前は?」
「その人、女王なの?知らないわね。。。
私はアリーナよ。
その男を探すの、
手伝ってあげてもよくってよ。」
ドロシーとマルシア女王はとりあえず、
この女の子と一緒にいることにした。
その女の子は言った。
「ほら、ついてきて。この電車に乗るのよ。」

この女の子は何者?!
指輪は見つかるの?
次回へ続く!

第8話 出発! ペンネームH 7月16日掲載

第8話 出発!

三人の不思議な旅が始まった。
マルシア女王とドロシーは
アリーナのいう通り電車に乗った。
5駅、10駅、20駅。。。
外は日が暮れている。
「外はもう暗いわよ。
まだ電車をおりないの?」
マルシア女王が聞いた。
もうこれで5回目だ。
「もうすぐよ。」
「さっきもそういっていたわ!」
「もう、うるさいわねえ」
アリーナが上の空で答えた。
「そういえばご両親は?
心配しているでしょう!」
ドロシーが慌てた様子で聞いた。
「だーかーら、ここにはいないの。
大丈夫よ!」
「そうなの。。。?でももう夜遅いわ。
一回駅でおりましょう!
この駅なら宿があるはずよ。」
ドロシーとマルシア女王は
無理やりアリーナを電車からおろし、
宿に泊まることにした。
アリーナの分のお金を払おうとすると彼女は、
「自分の分のお金くらい持っているわ。」
と言い
どこから出したのか大金を手に持っていた。
マルシア女王とドロシーは
「どこに持っていたの?!」
と驚いて聞いた。
二人が改めてアリーナを見ると、
彼女のワンピースは
足先まで隠していて高級そうだ。
「お金持ちの家の子なのかしら。」
とマルシア女王が思っていると
部屋を貸してもらえることになり、
案内された。
マルシア女王とドロシーは
疲れていたのですぐに寝てしまった。
ただひとり、
アリーナは窓から外の景色を眺めていた。
次の日、3人はふたたび出発した。
「ねえ、どこに行くのかぐらい
教えてくれないかしら?」
マルシア女王が聞いた。
アリーナはあきれたように言った。
「そんなことも知らないでついてきていたの?
あの男のアジトみたいなところよ。
そこにいるのはあの人だけじゃあないわ。
仲間も何人かいるのよ。」
「えええぇぇー?!
そんなところに私たちは行くの?
危険じゃない!
それよりもなんであなたが知っているのよ?」
「確かに危険よ。
だからあなたたちに
ついてきてもらったんでしょ?」
「そんなこと一言もいわれなかったわ!」
「じゃあ指輪を取り戻したくないの?」
「言ってくれたっていいじゃない!
そもそもどうしてあなたはそこに行きたいの?」
「私、猫を飼っていたのよ。」
マルシア女王を面白そうに見ながら
アリーナは言った。
ふざけていると思ったマルシア女王は
聞き出すのをあきらめた。
アリーナは言った。
「ほら!ついてきなさい!
今日中にそこにつくわよ!」
[ええ?!ちょっと待ちなさいよ!」
マルシア女王とドロシー、
アリーナを乗せた汽車は
大きく汽笛を鳴らして山の中に進んでいった。

確か皮のジャケットの男は
猫を連れていた気が。。。?
次回に続く!

第9話 不気味な家 ペンネームH 7月23日掲載

第9話 不気味な家

夕方になってやっとアリーナはある家の前で止まった。
「ほら、ここよ」
アリーナが指さした先にはとても不気味なお城のような建物があった。
壊れかけた門の先には枯れはてた大木があり、枝が怪しげに揺れていた。
そして骨でも転がっていそうな道の先には、今にも壊れそうな柱がむき出しになった家があった。
「こ、ここ。。。?ここに、入るの?」
マルシア女王がおそるおそる聞いた。
「入るに決まってるじゃない!」
アリーナは目をキラキラさせていて、とても楽しそうだ。
アリーナは二人の手をつかんで言った。
「ここまで来たのよ!ほら、行くわよー!」
そう言ってアリーナは くもの巣のはった門をこじ開け、
二人を中に引っ張っていった。
空気はひんやりとしていて暗く、いっそう不気味だった。
血のように赤く光る太陽に覆いかぶさるようにして
木の枝が揺れ、それがまるで幽霊のようだった。
その木の根元にひとつ、小さな赤い靴が落ちていた。
アリーナがそれを見て、足を止めた
アリーナは思い出した。。。
「ムギイを返して!私の猫よ!」
「ふっふっふ。この猫は魔力を持っているんだよ。
実験に使わせてもらう。」
「返して!」
「静かにしないのなら。。。」
迫りくる黒い影、宙になびくマント、つり上がった冷たい目、
赤い口から見える牙のように長い二本の歯。。。

そうだった。私は。。。

「アリーナ!何をしているのよ?」
マルシア女王がアリーナに聞いた。
「ううん。なんでもないわ!」
アリーナは何かをごまかすようにドアに向かって走り出した。
マルシア女王も後に続いた。
「開けるのを手伝って。」
アリーナが言った。
大きな黒いドアは重く、3人で押してやっと少し開いた。
ギギィ。。。

この家には誰がいる?

アリーナは何者?
ムギイとは。。。?
続きをお楽しみに〜!

第10話 謎の男の正体 ペンネームH 7月30日掲載

第10話 謎の男の正体

まっくらな廊下は長く、破けた絵が飾ってあった。
ドロシーが不思議そうに言った。
「不思議なところねえ。。。何人もいるわ。」
「何が?!何がいるのよ!」
マルシア女王が叫んだ。
「よっぽど邪悪なものがいるに違いないわ。」
ドロシーは全く怖がる様子がない。
それに比べてマルシア女王は
「きゃぁぁぁー!いま絵が動いたわよ!」
アリーナがぴしゃりと言った。
「動いてないわよ!何を言ってるの。」
するとドロシーがある部屋の前で足を止めた。
「なにか。。。聞こえない??」
「なによっ!?」
マルシア女王が叫ぶように聞いた。
「壊れたピアノみたいな音よ。」
「。。。何も聞こえないわよ!」
「ええ?そんなはずないでしょう?
怖いけれど悲しいような不思議な曲よ。
このドアから聞こえるわ!」
「そ、そんなもの私には聞こえないわよ!」
「私も聞こえない。けどなにかの気配を感じるわね。」
アリーナが言った。
「よし!これを開けましょう!」
バンッ!
ドロシーが勢いよくドアを開けると、
そこには小さなピアノが一台あった。
。。。誰もピアノを弾いてはいない。
「ほら!誰もいないじゃない!早く出ましょう!」
マルシア女王が叫んだ。
「ううん。いるのは分かるわ、見えないけれど。」
ドロシーが冷静に言った。
すると、
パチンッ
という音がして、辺りは煙に包まれた。
思わず目を閉じた3人の前に現れた人物がいた。
「誰っ?!」
「ふっふっふっ。
また会うとは思っていなかった、アリーナ・ラブグッド。」
アリーナの表情が固まった。
マルシア女王が叫んだ。
「あなた誰よっ!」
「俺の名はディスカーだ。お前らのいう。。。」
彼は間を開けていった。
「ドラキュラだよ。」
「ギャアアァァァァァーッ!」
マルシア女王が絶叫して部屋から逃げていった。
ドロシーがすぐさま呪文を唱えた。
「プロテゴーホリビルス!」
だがドロシーの呪文もディスカーには簡単に避けられてしまう。
そして彼は余裕の笑みを浮かべて言った。
「倒せるものなら倒してみろ。俺は何百年ももう生きている。
そしてこれからもそうする!
あの指輪が手に入ったからな!
それにこの小娘が求めている、
ムギイが実験台になってくれたおかげだな!」
「ムギイはまだ生きているの!?」
アリーナが聞いた。
「それは自分の目で確かめろ。
ただしこの俺を倒せたなら、な。」
そしてディスカーは怪しい高笑いをしながらパチンっという音とともに消えた。

予告:
ディスカーとアリーナの関係は?!
ディスカーは何者?
お話は続く!

第11話 もう一人?! ペンネームH 8月6日掲載

第11話 もう一人?!

「消えてしまったわ!」
ドロシーが驚いて言った。
するといきなりアリーナがドロシーに助けを求めるように言った。
「私はムギイっていう名前の猫を探しているの!
 あの人が盗んだのよ!
 ねえ、ちゃんと最後まで探してくれるわよね?!」
ドロシーが笑って答えた。
「もちろん。どんな猫なの?」
「真っ白な猫。
 でもしっぽの先はグレーで斑点がついているの。」
「へえ。。。かわいい猫ね。」
「血統書付きよ。200万するの。
 どんなにいい猫か想像できる?」
アリーナはいつもの生意気な少女に戻っていた。
「その猫に会いたいわ。」
ドロシーが微笑んだ。
すると突然、
玄関の方へ逃げていったマルシア女王の悲鳴が聞こえた。
「キャーーーー!」
「何かおきたのかしら?!」
ドロシーは慌てたがアリーナは落ち着いて言った。
「ほんっとにうるさい人ねえ」
二人が玄関ホールに行くと
そこにはなんとマルシア女王の他にもう一人いた。
その人物は赤茶色のウェイブがかかった長い髪をゆらし
真っ赤な唇でささやくように言った。
「出られなくて残念ね?
 ディスカー様の館に勝手に入り込んだやつらを、
 この私が逃がすとでも思ったのかしら?」
「あなたは誰よ?」
アリーナがにらんだ。
「名前? ラヴェンよ。」
「何その名前。鳥みたいな名前じゃない。」
アリーナが馬鹿にしたように言った。
マルシア女王が慌ててアリーナの口をふさいだが遅かった。
ラヴェンが手を振った瞬間、雷のような光線がアリーナにむかって放たれた。
「危ない!」
光線はアリーナを。。。通過した。
だがアリーナは何事もなかったように立っている。
「アリーナ、大丈夫?!」
マルシア女王が聞いた。
「ふふん。私すごいのよ。」
アリーナは笑った。
ラヴェンがあぜんとして
「あら?なんでかしらね?」
そして そのすきにドロシーが呪文を唱え、杖を振った。
ラヴェンは消えた。。。
「。。。消えたの?」
「ううん、違うわ。
 無理やり遠くに強制移動させただけ。」
「とりあえずここから出ましょう!」
3人が外に出ると風が吹き荒れていた。
とても暗い夜だった。

3人はこれからどうするの?
お話は続く!

第12話 スライリンの手紙 ペンネームH 8月13日掲載

第12話 スライリンの手紙

「ねえアリーナ、これからどうするのよ?」
マルシア女王がアリーナの顔を覗き込んで言った。
「うーん。どうしましょうねえ。」
「どうしましょうねえ、じゃあないわよ!だって。。。」
マルシア女王が言い終わらないうちにドロシーが言った。
「いちど家の中に戻った方がいいかもしれないわ。
なにかあの人たちについて手がかりが見つかるかも
しれないし。」
「えぇぇー!あの二人が戻ってきたらどうするのよ?!」
「大丈夫よ。」
ドロシーがにっこり笑って言った。
そして3人は家の中に入っていった。
あらためてとても広い玄関ホールを見ていると
壁に穴が開いていた。
アリーナを通り抜けた光線がかべに当たったのだろう。
「アリーナ、そういえばあなたは
なんで光線にあたっても平気だったのよ?」
「私には当てられないのよ。」
アリーナが得意げに言った。
するとマルシア女王が床を見て飛び上がった。
「蛇だわ!キャー!こっちに来るわよ!」
「その蛇は毒がないから危険ではないわ。
この部屋に入りましょう。」
ドロシーが言った。
マルシア女王はまだ怖がっていたが
ドロシーとアリーナに続いて部屋に入った。
部屋には大きな本棚が壁中にあり、
高級そうな机が置いてあった。
ドロシーが本棚に駆け寄っていった。
アリーナが感心したように言った。
「いい机ねえ。。。
引き出しには何が入っているのかしら?」
アリーナが勝手に開けた机の中には、
手紙が何通も入っていた。
その手紙を見たマルシア女王が言った。
「私この手紙を見たことがあるわ!」
そして手紙を裏返した。
そこには見覚えのある名前が書いてあった。
「スライリンじゃない!!!」
マルシア女王が封筒を開けた。
「スライリンってだれよ?」
アリーナが覗き込んで言った。
本棚の本をながめていたドロシーもマルシア女王の方に
歩み寄ってきた。
「どうしたの?」
「スライリンよ、スライリン!」
「。。。ああ、あの新しい王の?」
「なんでドラキュラと連絡しあってるのよ!」
マルシア女王が破きそうな勢いで手紙を広げた。
そこにびっしりと書かれていたのは。。。

何が書かれていたの?!
お話は続く!

第13話 ドロシーの水晶玉 ペンネームH 8月20日掲載

第13話 ドロシーの水晶玉

「無事マルシア女王を追い出しました!
彼女はすでに☆☆駅に向かっていると思われます。
ドロシーも作戦通りです。」
しばらくしてドロシーが言った。
「作戦だったのね。。。
駅で マルシア女王 あなたに会った日には、
どうしても今日占ってほしいと言った人のところに
行ってきた帰りだったの。」
マルシア女王が言った。
「それがスライリンだったのかしら?」
「そうかもしれないわ。」
「でもなんであの二人はドロシーが必要なのかしら?」
「たぶん私を仲間にしたいんだと思うわ。
私が魔法使いだから。」
「。。。そういえば なんで あなたは魔法使いになっの?」
するとドロシーはカバンから水晶玉を取り出した。
透明の玉のなかには白いくもが渦巻いていた。
「この水晶玉は川に流されていたの。
私はまだ子供だったからそれを拾ってみた。
そうしたら水晶玉が輝きだして私は魔法を使えるようになったのよ。
それで後になって、
その水晶玉は持ち主を選ぶことができて私が選ばれた、
って知ったの。」
マルシア女王が目を輝かせた。
「すごいわね!」
するとアリーナが言った。
「それを使ってこれからを占ったら
いちばん簡単じゃない。」
「そうなんだけど。。。
今のまま、まだなんの手がかりも見つけていなかったらどうなるか、
なんて占ってもしょうがないわ。」
「それもそうねえ。」
マルシア女王が机をパ〜ンと叩いた。
「じゃあ これからこの館でなにか手がかりを見つけましょうよ!
それで指輪と猫を返してもらいましょう!
私は他の部屋を見てくるわ!」
「私も一緒に行くわよ。あなた一人じゃ たよりないわ。」
アリーナがそそくさとドアを開けて出ていった。
マルシア女王も部屋を出ていき、ドロシーは部屋に取り残された。
水晶玉が怪しく光っていた。

いい手がかりは見つかるの?お話は続く!

第14話 愉快な妖精 ペンネームH 8月27日掲載

第14話 愉快な妖精

マルシア女王とアリーナは階段を上がり、奥にある部屋に入った。
がらんとしていて、とてもなにか手がかりがあるとは思えない。
マルシア女王が棚の上に置いてあった鳥かごを
手に取った瞬間、悲鳴をあげた。
なかには茶色の帽子をかぶり、
だぶだぶのズボンをはいた小さな妖精が入っていた。
すると妖精はキンキン声で言った。
「こんにちはん!」
少し変わったしゃべり方をする妖精は
楽しそうに羽をパタパタと動かした。
「妖精?本で見たことがあるわ!」
マルシア女王が妖精を覗き込んだ。
「妖精だよん。」
「妖精なんて初めて見たわ!お名前は?」
「呼びたいようによんでいいよん!」
「なんでよ?」
アリーナがかごを開けながら言った。
かごから飛び出した妖精は本棚の上に向かって飛んでいったが
マルシア女王にぶつかって机の上に落ちた。
「捕まってたの?」
「そうそう」
「ふーん。。。
じゃあ、あの二人のことについて何か知ってるの?」
「うーんとね。。。あ!二人は恋人じゃないよ!」
「そんなことはどうでもいいわ!」
アリーナがため息をついた。
「なにか他にないの?」
「うーん。。。人間じゃなかったと思うよ。」
アリーナがドアを開けて言った。
「もういいわよ。ありがと。」
「待って待って!あ、あのね!
二人はもっと広いところで仲間を作ろうとするって言ってたよ!」
「どこなの?!」
マルシア女王が身を乗り出して、机を倒してしまった。
「ドラゴンが住んでいるところだってん。」
マルシア女王が飛び上がった。
アリーナが顔を輝かせた。
「少しは役に立つじゃない!ドロシーに伝えにに行くわよ!」
二人は部屋を飛び出して廊下をかけて行った。
「待ってー!ねえ、名前つけてくれるんじゃなかったの?」
マルシア女王が立ち止まった。
(アリーナは階段をかけ下りて行った。)
「いいわよ。。。ピクシーなんてどうかしら?」
「ありがと!」
三人の嬉しそうな足音が家中に響いていた。

これからどうなる?
お話は続く!

第15話 あらたな冒険 ペンネームH 9月10日掲載

第15話 あらたな冒険

「ドロシー!」
ドロシーは本棚にあった本を読みながら生返事をした。
アリーナがドロシーの読んでいた本をひったくった。
「いいものを見つけたわよ!」
「ものじゃないよー!妖精!」
そういいながらアリーナをぽこぽこと叩いているピクシーを見て
ドロシーが目を見開いた。
「あらすごい!リュタンエルフ妖精じゃない!」
「「リュタンえるふ妖精?」」
アリーナとマルシア女王が同時に言った。
「そう。リュタンエルフ妖精は主にフランスの村に住んでいて、
とてもいたずら好き。
クリスマスにサンタクロースの手伝いをする妖精としても
知られていて子供のような性格をしているわ。
またエルフに似ていると言われるけれど実は。。。」
ドロシーの説明をアリーナがさえぎった。
「それでさっきこの妖精が言っていたのが、
あのドラキュラの二人はドラゴンの。。。」
今度はピクシーがアリーナをさえぎった。
「ぼくが自分で言うよ!
ブアベル洞窟のおくに移って仲間を作るって二人が話してたよ。
そこにはドラゴンが住んでいるって!
おまけにその近くにテイリン族も住んでるし、
入るのは難しいと思うよ!」
「その洞窟知っているわ!古くからある洞窟よ。。。
いちど入った人は出てこれないって聞いたわ。
行くのは危険だわ。。。」
ドロシーが考え込むように言った。
「でもこれを知っているのは私たちだけだし。。。
行きましょう!」
マルシア女王がまたまた机をたたいた。
「そうね!あそこにムギイがいるなら私もいくわよ!」
アリーナも賛成した。
ドロシーがうなずいた。
「そうね!」
ピクシーも言った。
「ぼくもテイリン族に会ってみたかったんだー♪」
アリーナが首を傾けた。
「テイリン族って何よ?」
「うーん。。。見ればわかるよ!
あの人たちが住んでいるのはあそこだけなんだ!」
「それじゃあ、みんな賛成ね!さっそくいくわよ!」
マルシア女王がドアを開けた。
そしてマルシア女王、ドロシー、アリーナ、ピクシーはあらたな旅に出たのだった。

お話は続く!

第16話 砕け散った水晶玉 ペンネームH 9月17日掲載

第16話 砕け散った水晶玉

ドロシーの魔法の力で ドラキュラの館を破壊したあと、
4人は駅に向かった。
「わー、すごいね!ぼく汽車は初めて見たよん!」
ドロシーのカバンの中でピクシーがはしゃいだ。
ドロシーが言った。
「これにのりましょう。
ブアベル洞窟の近くまでいけるわ」
「そうね!ブアベル洞窟ってどんなところなのかしら?」
マルシア女王が上を見上げながら言った。
「あんまりいいところじゃないと思うわよ」
アリーナがもぞもぞと動くピクシーを見ながら言った。
「でも見てみないとわからないわ!」
そう言ってマルシア女王はウキウキと汽車に乗った。
アリーナとドロシーも続いた。
オレンジ色に染まった空と燃えるような太陽が
山の影に沈もうとしていた。
外の景色をみながらマルシア女王が言った。
「もうずっと旅してるわね。」
「そうね。指輪と猫を探して。。。」
ドロシーが言った。
「この旅も悪くないけど、たまには休憩したいわよね〜」
「悪くないって。。。
あなた、叫んでばっかりじゃない。」
アリーナが横目で言った。
「それは、驚いただけよ!」
「11回も、ね。」
アリーナが勝ち誇ったように笑った。
すると窓から外を見ていたドロシーが言った。
「汽車が遅くなっているわ。何かあったのかしら?」
「えっ?そういえば。。。そうね」
マルシア女王も髪を結ぶ手を止めた。
汽車はだんだんと遅くなっていき、そしてついには止まってしまった。
「どうしたのかしら?!」
マルシア女王が大きな声で言ったが、
周りの音にかき消されてあまり聞こえなかった。
「なにか嫌な予感がするわ」
ドロシーが水晶玉を取り出した。
すると突然 汽車の電気が消えた。
ガタンッという鈍い音が汽車の中に響き渡った。
列車が揺れた。
「あぁっ」
水晶玉がドロシーのひざから転がり落ちて砕け散った。
「外にだれかいるよ!」
ピクシーがささやいた。
すると汽車のドアがきしみながら開き、
人影がなめらかな動きで入ってきた。
「キャーーーーっ!」
マルシア女王が叫んだ。
(アリーナが耳をふさいだ)
その人物はクスクスと笑いながら言った。
「見つけたわよ〜」

誰?!
お話は続く!

第17話 汽車のわな ペンネームH 9月24日掲載

第17話 汽車のわな

3人に向かって人影は言った。
「忘れられちゃったのかしら?私はラヴェンよ♡」
「何しに来たのよ?!」
アリーナが言い返した。
「もちろん、あなたたちを捕まえに来たのよ。」
ラヴェンは美しいけれど意地悪な笑みを浮かべた。
「私たちの仲間にしてあげるわ。操るのなんて簡単よ。」
ラヴェンが手を宙にかざすと
3人の上に蜘蛛の巣のような網ができた。
それはゆっくりと3人に近づいてくる。
席が向かい合っているので逃げ場がなかった。
突然マルシア女王が水晶玉の破片をつかんで
ラヴェンに投げつけた。
そのすきにアリーナが椅子から立ち上り、
ラヴェンを押しのけて逃げ出した。
マルシア女王もあとに続き二人は
別の車両へと一目散に逃げていった。
「一人捕まえたわよ〜。」
逃げ遅れたドロシーにラヴェンが手を伸ばした。
光線とともにラヴェンの網が放たれたが
ドロシーの方が速かった。
ドロシーは窓をこじ開け、大きく開いた窓から外に飛び降りた。
ラヴェンも電車の窓を光線で破壊して追いかけていった。。。

一方、マルシア女王とアリーナは別の車両にいた。
マルシア女王が後ろを振り返って叫んだ。
「ドロシーがいないわ!」
「なんで確認しなかったのよ?!」
「私のせいじゃないわ!」
「一回戻るわよ!」
二人はまた電車の中をバタバタと走っていった。
電車の中の人々はいつの間にか消えていた。

お話は続く!

第18話 はなれ離れ ペンネームH 10月1日掲載

第18話 はなれ離れ

ドロシーが振り返ると高笑いしながら追いかけてくる
ラヴェンがいた。
ふとカバンがもぞもぞと動いた。
「外で何が起きてるのーん?」
ピクシーのことを忘れていた!
ドロシーは慌ててカバンを草むらに投げ出した。
ラヴェンは気づかなかったようだ。
「あーはっはっはっは!逃げられるわけないじゃな〜い!」
ドロシーは急に立ち止まりラヴェンに向かって叫んだ。
「逃げてはいないわ!」
「じゃあ戦ったら〜?」
突然ドロシーは杖を振り上げると呪文を唱えた。
「インペディメンタ!」
いきなりの攻撃にラヴェンは数メートル後ろに吹き飛ばされた。
「ふ〜ん。やってくれたわね。」
ニヤッと笑ったラヴェンだが目は笑っていなかった。
ドロシーが次の呪文を唱える前に
ラヴェンが手を突き出し、光線をドロシーに放った。
光線はドロシーの近くの木に爆発するように当たった。
すると木の内側に火が燃えているように木が赤くなった。
ドロシーの呪文も間に合わず、木はあっという間に燃えだした。
「森が燃えてしまうわ!なんてひどいことをするの?!」
「燃やしちゃおうかしら~」
「やめなさい!」
ラヴェンは楽しそうに光線を木に放っている。
「アグアメンティ!」
ドロシーの呪文で杖から水が吹き出し、
覆いかぶさるようにして火を包み、火は消えた。
ドロシーがラヴェンをにらむと
ラヴェンは楽しそうに笑っていた。
二人は しばらくにらみ合った。
先に呪文をとなえたのはドロシーだった。
「フェルーラ!」
ラヴェンの足元の植物がラヴェンの足にからみつきはじめた。
ラヴェンの手から別の色の光線が
からみついた植物をチリチリにこがしていった。
しばらくの間、
ラヴェンとドロシーの間で光線が飛び交っていた。
息を切らしたラヴェンが自分に言い聞かせるように言った。
「なかなかしぶといわね〜。さっさと終わらせましょう?」
ラヴェンが再び放った光線が 防ぎきれなかったドロシーに当たり
ドロシーは吹き飛ばされた。。。

「ねえ、アリーナ!あれはラヴェンじゃない?!」
「え、どこよ。。。あ!」
「ドロシーが戦っているんだわ!私たちも助けに行かないと!」
「でもあなたに なにができるのよ?!」
「それは。。。」
するといきなり、ガタンという音とともに汽車が煙を上げ始めた。
マルシア女王とアリーナが運転席の方を見てから外をみると
汽車が動き出していた。
「この電車は人がいないんじゃなかったの?!」
「運転手はいたかもしれないわね」
「えーっ!ドロシーが!」
と、二人が言っている間にも汽車は
どんどん速度を上げて草原を走っていった。
「と、とび、飛び降りましょう。。。!」
そういいながらもマルシア女王の足はブルブルと震えている。
「無理よ。」
「そんな。。。でもドロシーが!」

マルシア女王はどうする?
お話は続く!

第19話 マルシア女王の決断 ペンネームH 10月8日掲載

第19話 マルシア女王の決断

マルシア女王が顔を上げると
森がどんんどん遠ざかっていくのが見えた。
「早くしないといけないわ!行くわよ!」
マルシア女王は3,2,1 と数えたあと、
列車の窓に足をかけたが、
あまりのスピードで汽車が進むのを見て
足をおろしてしまった。
「なにやってるのよ!」
「だって怖いわ。。。次こそ。。。!」
マルシア女王とアリーナがそう言っているうちに
汽車はトンネルに入り暗くなってしまった。
「もうダメだわ。。。」
「どうする気なのよ!」
マルシア女王は空っぽの椅子を見てから言った。
「私たちだけでブアベル洞窟まで行きましょう!」
アリーナはもう何も見えなくなった窓の外を見て言った。
「それしかないみたいね。」
「XX駅で降りれば そこから遠くないと思うわ。」
「そうね。でも、ドロシーはどうするのよ?」
「彼女は大丈夫だと思うわ。
ブアベル洞窟から帰ってきたらきっと会える。」
「そう信じるしかないわね。」
するとマルシア女王はいきなり思い出した。
「あ、でもピクシーもどこかに行ってしまったわ!」
アリーナは荷物をまとめながら言った。
「妖精だから大丈夫なんじゃないの?
ドロシーと一緒なのよね?」
「そうね!」
2人は揺られながら電車の中を歩いて行った。


一方ピクシーは やっとカバンから脱出した。
ピクシーはあたりを見回した。
森と草原の大自然が広がっている。
まわりに誰もいないことにピクシーは気付いた。
「何があったの?
ドロシーはどこ?
マルシア女王とアリーナは?」
だが、答える人は誰もいなかった。
ピクシーは草原の中を飛び回り
どんどん森から遠ざかっていってしまった。
「ここはどこなのー?!」
ピクシーの高い声が広い草原にこだました。
遠くに見える山では大きな鷲が飛んでいた。
柔らかな風が吹いたが ピクシーには強風と同じだ。
「わ〜!」
ピクシーは風で高く飛ばされた。
すると、ピクシーには 
はるか彼方に遠ざかっていく汽車が見えた。。。

第20話 デリトリウスの魔法 ペンネームH 10月15日掲載

第20話 デリトリウスの魔法

「あ。。。」
ピクシーの帽子が飛ばされていった。
「いっちゃった!どうしよう?」
ドロシーのカバンの中にいたからドロシーは近くにいるはず。
そう考えたピクシー壮大に広がる山を見渡した。
「ドロシー!どこにいるのー!」

「あ〜はっはっはっ!
さあ、いいかげん指輪のあとを追うのはやめなさい!」
ドロシーはラヴェンの前に立ち上がった。
「やめないわ!
だってあの指輪はマルシア女王の魔法の指輪なんだもの。」
「ふ〜ん。やめないのね。
じゃあしょうがないわね。」
ラヴェンは再び恐ろしい笑みを浮かべて言った。
ドロシーは杖を構えているが内心あせっていた。
ラヴェンは何をする気だろう。
ラヴェンは天に向かって叫んだ。
「デリトリウス!」
するとラヴェンの指先から霧のようなものが吹き出た。
ドロシーはその呪文が何か知らない。。。
どうしよう?!
防御の仕方がわからない!
ドロシーの頭の中を知っている魔法が走馬灯のようによぎったが
「デリトリウス」という魔法は聞いたことがなかった。
ドラキュラしか使えない魔法なのだろう。。。
ドロシーはせめて当たらないようにと木の後ろに隠れようとした。
が、もう遅い。
ラヴェンの霧はドロシーの背中にあと少しで届いてしまう。
すると、
「モビリアーブス!」
どこからか良く響く低い声が聞こえ、紫色の閃光が走った。。。

ドロシーはどうなるの?
お話は続く!

第21話 魔法使いの旅人 ペンネームH 11月5日掲載

第21話 魔法使いの旅人

「モビリアーブス!」
どこからか良く響く低い声が聞こえ、紫色の閃光が走った。。。
突然、大木が音を立ててきしみ、
根元がぱっくり割れたかと思うと
ドロシーとラヴェンの間に轟音を上げて倒れた。
「何よこれは!誰がやったのかしら?!」
とラヴェンが騒いでいる間に
声の持ち主がドロシーに近づいた。
「逃げるんだ!」
ドロシーはその声に合わせて逃げ出した。
そして走りながら振り返って言った。
「誰なの!」
「数少ない魔法使いの一人、オズワルドだ。」
オズワルドと名乗った男はドロシーを追いかけた。
ドロシーは怪しさを感じ 止まらず走り続けた。
しばらく走り、森を抜けたところでオズワルドは言った。
「何という名の者だ?」
ドロシーは立ち止まり、振り返った。
ラヴェンの声もここまでは届かず、
二人の髪が風になびいていた。
「ドロシーよ。」
「魔法使いか?」
ドロシーは自分の杖を取り出して見せた。
オズワルドはうねった髪が肩まであるうえに
口の周りにはひげが生え、かなりだらしない。
だがよく見てみると整った顔立ちをしていた。
「あなたはここで何をしているの?」
「旅をしていた。」
そっけない返事だったが、
ドロシーはオズワルドに微笑んで言った。
「助けてくれてありがとう。」
オズワルドも嬉しそうに笑ったが、
長い間笑っていなかったような笑みだった。

秋がもうすぐ終わろうとしていた。

これからどうなる?
お楽しみに!

第22話 ブアベル洞窟まであと少し? ペンネーム H 11月12日掲載

第22話 ブアベル洞窟まであと少し?

「わあ!着いたわ!」
マルシア女王が手をたたいて喜んだ。
「まだ駅に着いただけ。ここからが長いわよ。」
アリーナはいつも通り冷静だ。
「でも少しは近づいたわ!」
「ほら、いくわよ。」
アリーナとマルシア女王は電車を降りた。
「それにしても、人がいないわね。。。」
駅は森の中に埋まってしまうのではないかと思うほど小さく、
駅員ひとりいなかった。
「本当にここでいいのよね?」
アリーナが信じられないというように辺りを見回した。
「そのはずだわ。とにかく駅の外に行きましょう。」
マルシア女王は駅の改札らしき所を通り、外に出た。
すると獣道のような細い道が森の中へと続いていた。
人がいそうな気配はまったくない。
「ちょっと!駅をまちがえたんじゃないの?!」
マルシア女王は飛んでくる虫を払いのけながら言った。
「いいえ、ドロシーはここだと言っていたわ!」
「あんなところ入りたくないわよ!」
アリーナには なぜか虫が寄り付かない。
「でもアリーナ、戻る電車もないわ。」
アリーナは線路の先を見たが電車の来る気配はない。
「じゃあ、行くしかないわね。」
マルシア女王はうなずき一歩前に踏み出すと、
くもの巣が近くにあった。
「ぎゃあああ!くも触ったわーーー!」
「何やってるのよ!うるさいわね。。。」
アリーナとマルシア女王が森の中に入ると
まるで夜のようだった。
二人はしばらく歩いたが、同じような道が続くばかりで
洞窟など見当たらない。
ふと、上を見上げたマルシア女王が言った。
「アリーナ、木に登ればどこに洞窟があるか
見えるんじゃないかしら。」
アリーナも上を見上げた。
「ふーん、確かにそうね。でも誰が登るのよ?」
「あなたに決まってるじゃない?」
「いやに決まってるじゃない!」
「だってあなたの方が若いし運動神経もよさそうだわ!」
マルシア女王とアリーナはしばらく言い合ったあと、
結局アリーナが木に登ることになった。
アリーナはため息をついて、木に手をかけた。
そこから20分後。。。
「アリーナ!まだなのかしら?」
マルシア女王の大きな声がアリーナに聞こえた。
「あと少しよ!あ。。。見えた!」
「えっ!本当?!やったわ!」
下の方からマルシア女王の弾んだ声が聞こえたが、
アリーナは木の上からの景色を見て、
またため息をついた。。。

洞窟まではあとどのくらい?
お話は続く〜!

第23話 遠い村 ペンネームH 12月3日掲載

第23話 遠い村

アリーナが見た先には、地平線の先まで続く
森と山が広がっていた。
目をこらして見ても、洞窟はない。
「まだまだ。。。と、いうか駅を間違えたみたいよ。」
「えー!あとどのくらいなの?」
「わからないわね。。。洞窟なんて見えないわよ。」
「そんなはずないわ!」
そういってマルシア女王はいきなり木に手をかけると、
あっという間に木を登り始めた。
「木登りする女王なんて初めて見たわよ。」
とアリーナがあきれた。
アリーナが20分かけたのに
なんと5分ほどで登り切ったマルシア女王は
葉のあいだから覗き込み
アリーナと同じく、目を細めて森を見回した。
「洞窟なんてないわ。。。。どうしましょう?」
「それに。。。駅も見えないわね。」
マルシア女王は駅を探したが見つからず
思わず顔色を変えて叫んだ。
「キャーっ!!」
「駅がないくらいで叫ばないでよ!」
「だってだってもうさまよい歩くしかないのよ!
どうしましょうーー!!」
大騒ぎしているマルシア女王の横で、
アリーナはふと茶色い岩を遠くの山に見つけた。
「あ!」
アリーナの声につられたように
「キャーっ!」
アリーナはマルシア女王の口を手でパシッとふさぐと言った。
「あそこを見て!なにか村があるわよ!」
「。。。どこなの?」
少し落ち着いたマルシア女王が聞いた。
「一番ちいさな山の、頂上あたりよ。」
しばらく目で探していたマルシア女王の顔がパッと輝いた。
「あったわ!よし、あそこを目指しましょう!」
「ちょっと待ちなさいよ。
あまり人が住んでいるような気配はしないわね。。。」
マルシア女王は木を降りながら言った。
「もう何でもいいわ!とりあえずあそこに行きましょう!」
「うーん。そうね。」
そう言ってアリーナもマルシア女王に続いて木を降り始めた。
だが、二人は村の近くを滑るように動いている黒い影には
気がつかなかった。。。

お話は続く!

第24話 魔法使いの冒険 ペンネームH 12月17日掲載

第24話 魔法使いの冒険

夕陽が差し始めている森の中、
オズワルドはドロシーに話しかけた。
「ラヴェンはどうしてドロシーのことを追いかけていたんだ?」
ドロシーはオズワルドの顔を見ながら話そうかどうか
迷っていたが決心したように言った。
「他の人に話さないという約束をするなら教えるわ。」
「ああ、絶対に話さない。」
二人が握手をするようにお互いの手を握ると
金色のつるのようなものが二人の手に巻き付いて、
一瞬だけ輝いたあと消えた。。。
ドロシーが一部始終を話し終えると、オズワルドは言った。
「伝説の指輪か。。。聞いたことはあるなあ。
だがドラキュラたちからとり返すのは簡単ではない。
そのマルシア女王という者はブアベル洞窟が
どこにあるか知っているのか?」
「知っていると思うわ。
それにアリーナも一緒だから大丈夫なはずよ。」
オズワルドは少し考えたあと言った。
「ならドロシーはこれからどうするつもりだ?」
ドロシーはうつむいて言った。
「私にもうできることはないわ。。。」
オズワルドが歩く足を止めた。
「いや、ある。テルシカ島の人々の誤解を解いて、
マルシア女王が女王に戻れるようにすればいい。」
ドロシーが顔をあげた。
「でもそんなこと。。。できる気がしないわ。」
「俺も行ってやる。二人ならできるはずだ。」
「。。。そうね!
テルシカ島でスライリンからブアベル洞窟のことを
聞き出したあと、マルシア女王を助けに行きましょう!」
そう言ったあと、ドロシーはふと気がついてしまった。
「あ、でも。。。
テルシカ島に行くにはとても時間がかかる。。。」
「いい案がある。」
オズワルドが取り出した杖が水色に光った。

二人はこれからどうする?
お話は続く〜!

第25話 羽ばたく翼 ペンネームH 12月24日掲載

第25話 羽ばたく翼

「ランディアス・ニマエル!」
ドロシーは、はっと驚き言った。
「この森にニマエルがいるの?」
「多分いる。呪文で呼んだから来るはずだ。」
ドロシーは目を輝かせた。
しばらくすると、空から鳥が飛んでくるような音が聞こえ、
巨大なモモンガのような生き物が
ドロシーとオズワルドの目に飛び込んできた。
大きなつばさを羽ばたかせながらニマエルは森に降りてきた。
「あれがニマエル!見たのは初めてだわ!」
ドロシーが駆け寄った。
近くで見るとドロシーの10倍ほどはある大きさだ。
ニマエルはドロシーとオズワルドを見ると、
自分の背中を低くおろした。
オズワルドとドロシーはニマエルにまたがった。
「行くぞー!」
ニマエルは翼を羽ばたかせながら
オレンジ色の空へと飛び立った。
ふと後ろを振り返ったドロシーは
下に広がる 夕陽に輝く湖と紅葉に染まる森を見渡した。
「綺麗な景色。。。まるでお話の世界みたいね。」
オズワルドは笑った。
「いつか俺たちの冒険が物語になって
語り継がれる日がくるさ。」
ドロシーがオズワルドを見ると
彼の目は光を反射して輝いていた。
「そうね。その日が来るよう、
出来る限りの力を尽くしましょう!」
やがて、ドロシーとオズワルドを乗せたニマエルは
山のかなたへと消え見えなくなった。
赤い夕陽も沈み、おだやかな空には星が輝いていた。

これからどうなる?
お話は続く!

第26話 魔法がかかった本 ペンネームH 12月31日掲載

第26話 魔法がかかった本

「何かぼくにできることはないかなあ?」
ドロシーのカバンの中をかき回していたピクシーは、
入っていた本を手に取った。
古い赤茶色の表紙には、
「伝説の秘宝とその行方について」
と書かれていた。
役に立つことが書いてあるかも!
と思ったピクシーは、本を開こうとした。。。
ところが、本は開かなかった。
「ん?」
ピクシーはもう一度、本を開こうとしたが、やはり開かない。
「ひらかなーい!」
ピクシーは本を転がしてみたり、
表紙を引っ張ってみたが、本はびくともしない。
ピクシーは本の上に飛び乗り、
本の表紙をポカポカと叩いた。。。
すると、ピクシーはあることに気がついた。
「本の表紙の真ん中が 鍵の形にへこんでいる!
どこかに鍵があるはず!」」
ピクシーがドロシーのカバンの中をしばらく探していると、
キラリと輝くものが奥に見えた。
「あった!!」
ピクシーは金色に輝く鍵を持ち上げた。
ピクシーが鍵を表紙の上に置くと鍵が一瞬だけ輝き、
本は風に吹かれたかのように、ひとりでに開いた。
「わおー!」
ピクシーはさっそく本を読もうとしたが。。。
もう空は暗くなり、星が輝いていた。

本には何が書いてあるの?
お話は続くー!

第27話 忘れていた約束 ペンネームH 1月14日掲載

第27話 忘れていた約束

ピクシーは本をパラパラとめくっているうちに、
ついにドラキュラについて書かれたページを見つけた。
「あった!」
しばらくピクシーが読んでいると、
そこには古い魔法についても書かれていた。
[ある魔法だけがドラキュラを倒すことができる。
それ以外のどんな魔法や武器も、ドラキュラの力にはかなわない]
「えーっ」
と思ったピクシーはその魔法が書かれているところを
探したが、それはどこにも書いてはいない。
「今度はその魔法が書かれた本を探さないといけないのかな?」
すると。。。
暗い夜の中、突然緑色の星の光がピクシーを照らした。
ピクシーは、光が放たれている はるか遠くの星を見上げた。
すると、ピクシーの頭の中に
夢の中にいるような不思議な声が響いた。
「あなたを送り出してから、十年の月日がたちました。
クイロアの花を見つけるという約束は
どうなっているのでしょうか。
木の葉の妖精ラヨン、約束を守ることができないのであれば、
あなたは、永遠にその世界にとどまることになるでしょう。。。
あと一ヶ月の有余を与えますので、
それまでにあの花を見つけ、こちらに戻ってきなさい。
あなたをこちらで待っています。」

たたずむラヨンを残して、
緑色の光を放つ星はだんだんと暗闇に消えていった。

どういうこと?
お話は続く!

第28話 森の中の夜 ペンネームH 1月21日掲載

第28話 森の中の夜

「この辺だと思うんだけど。。。村はないわね。」
あたりを見回しながらアリーナは言った。
「もう疲れたわ!暗くなってきているし、
今日はもう休みましょう!」
「休むって、ここは森の中よ?そんなの危ないわよ。」
「夜 歩き続ける方がもっと危ないわ。」
マルシア女王は近くにあった岩に腰かけると言った。
「今日はここで寝るしかないわ。」
「うーん。そうね。」
ふと、アリーナが空を見上げると、
ひとつの星が緑色に突然かがやきだした。
なにかを照らしているように見えるその星の光は、
不思議と怖くはなかった。
アリーナは思った。
「いまごろムギイはどうしているの?
あの夜、
私があと少し早くムギイが外にいるのに気付いていたら。。。
まだ覚えてる。あの不気味なマント。。。」
アリーナの首には何かに噛まれたような小さな傷が二つあった。
それを隠すように肩まである髪を手で押さえつけたアリーナは、
マルシア女王を振り返って言った。
「ねえ、洞窟に着いたらどうするつもりなのよ?」
「そうね。。。
まず、あの村についたらドロシーを少し待ってみようと思うわ。
もしかしたら、追いかけて来てくれているかもしれないし。」
「村ねえ。。。あの村、本当に安全なの?」
「それは、行ってみないとわからないわ!」
マルシア女王は顔を上げて言った。
「この冒険もけっこういいじゃない?
明日に期待しましょうよ!」
「え。。。まあ、そうだけど。」
アリーナはどこか不安そうな表情でまた空を見上げた。
緑色に輝く星はもう暗い空の中に消えていた。

これからどうなる?
お話は続く!

第29話 誰もいない? ペンネームH 1月28日掲載

第29話 誰もいない?

朝の光が森を射したころ、
マルシア女王とアリーナは再び村を目指して歩き続けた。
森は進むにつれて、木が少なくなってきている。
「そろそろ村に着くんじゃないかしら?」
マルシア女王が言った。
「もうすぐかもしれないわね。」
すると、アリーナが指をさして言った。
「ねえ、川があるわよ!」
アリーナが指をさした先には、大きな川が流れ
古い木の橋がかかっていた。
その橋のむこうには、石の塀に囲まれた村が見えた。
「村についたわ!」
アリーナが橋を見て言った。
「この橋、古いわね。気を付けて渡った方が。。。」
アリーナが言い終わる前に
「バシャ…」
マルシア女王は、勢いよく木の板を踏み抜いてしまった。
「だから言ったじゃない?」
アリーナはマルシア女王の横をスタスタと通り過ぎた。
「あー。ドレスが台無しだわ。」
マルシア女王もアリーナのあとに続いた。
二人はなぜか壊れている門の前に立った。
人の気配はない。
「あのー。誰か、いませんかー?」
マルシア女王は呼んでみたが、返事がない。
夜のような静けさが流れているだけだ。
「あの、すみませーん!誰かいませんか?」
マルシア女王とアリーナは呼びかけ続けたが、
やはり返事はなかった。
「この門、押してみたら?」
アリーナがそう言って門を押すと、
門はギシギシと音を立てて開いた。
すると。。
乾燥した地面の上には砂埃が巻きあがり、
たくさんの崩壊した家がそこにあった。
「キャーッ!一体何があったのー!」
マルシア女王の叫びが恐ろしいほど静かな村に響いた。。。

お話は続く。

第30話 テルシカ島に到着! ペンネームH 2月4日掲載

第30話 テルシカ島に到着!

夕陽が海に輝くなか、ドロシーとオズワルドを乗せたニマエルは
高い声で鳴き、急降下を始めた。
「着いたのかしら?」
ドロシーがニマエルにつかまりながら言った。
身を少し乗り出し、下を見たオズワルドが言った。
「あそこに島が見えるぞ!」
「あ!あの島ね!」
青い海の中に浮かぶ大きな島に
遠くからでも見える大きくて立派な城がある。
美しい自然に囲まれているテルシカ島は、
とても平和そうに見えた。
ニマエルはゆっくりと島に近づき、大きな山の上に降りた。
「ありがとう、ニマエル!」
オズワルドとドロシーが降りると、ニマエルは翼を広げて、
空へと飛び立っていった。
ニマエルが見えなくなるまで手を振っていたドロシーは、
あたりを見渡して言った。
「まずは町の様子を見に行きましょう。
まだテルシカ島のことはあまりわからないし。」
「そうだな。なにかいい情報があるかもしれない。」
二人は爽やかな風が吹く森の中を進んでいった。

そのころ。。。
ブアベル洞窟の迷路のような奥深くにある部屋の中、
不気味な鏡の前にドラキュラのディスカーは立っていた。
鏡の中に動いていた霧のようなうずが消えると、
マルシア女王とアリーナが橋を渡っている様子が映し出された。
「この邪魔者が。。。」
ディスカーはそうつぶやくと部屋の隅に
5つ置いてある大きな四角い箱を叩いていった。
「起きろ!今夜、あの二人を襲ってこい!」
すると、5つの黒い箱の中から5人が出てきた。
黒いマントをはおり、牙が生えた口は血のように赤い。
「はい、ディスカー様!」
かすれた恐ろしい声で一斉に返事をすると、
5人は音もたてずに部屋を出ていった。。。

マルシア女王とアリーナはどうなる?
お話は続く!

第31話 遠い緑色の星 ペンネームH 2月11日掲載

第31話 遠い緑色の星

ラヨンは今は遠い、緑色に輝く星を見上げながら
その星にいた頃のことを思い出した。

緑色の光が射す森の中、白く輝く宮殿が立っている。
その周りを踊るように飛び回っている色とりどりの妖精たちは
とても楽しそうだ。
ただ、一人を除いて。。。
茶色の帽子を被った妖精はその光景を見ながら
退屈そうに歩いていた。
その妖精は大きな目で青い星が輝く空を見上げると言った。
「あの星に行ってみたいなあ。
あそこには何があるんだろう?」
すると、
「あの星に行きたいのですか?」
突然透き通るような声がした方には
輝く緑色のドレスを着た人が立っていた。
「わあっ!」
妖精は驚き飛びのいた。
そして、しばらく彼女を見て言った。
「行ってみたいです!」
銀色の髪をした彼女は美しく微笑みながら言った。
「いいでしょう。あなたは、木の葉の妖精ラヨンですね?」
ラヨンと呼ばれた小さな妖精は目を見開いた。
「え!いいんですか?!」
「ええ。私もあの星には何があるのか。。。
とても気になります。」
彼女は空を見上げた。
「クイロアの花は今、あの星に咲いています。
あの花ををつんできてくれるというのなら、
あの星に行ってもいいでしょう。」
「はーい!必ずつんできます!」
ラヨンは嬉しさでピョーンと飛び上がった。
「月が丸く輝くとき、あの星が輝く下では時空がゆがみます。
運よくその中に入ることができ、
あなたが心からあの星に行きたいと念じれば
あの星に行くことができるでしょう。」
彼女はラヨンの方を向くと言った。
「本当に行くというのですね?」
「行きます!」
ラヨンはすぐに応えた。
彼女は再び微笑むと言った。
「10年以内にクイロアの花を見つけ帰ってきなさい。
約束ですよ。」
「はーい!」
「それでは。。。私はもう宮殿に帰らなくてはいけません。
あの星を楽しんで来るのですよ!」
彼女はそう言い残すと髪を風になびかせながら
宮殿へと消えていった。
ラヨンはそれを見届けると、
三日月に照らされた木の上で飛び上がった。
「わあーい!」

ラヨンの記憶は完全によみがえった。
オレンジ色の秋の葉はもう散りはじめ、
寒い冬の風が吹いていた。

ラヨンはどうするの?
お話は続く!

第32話 ドラキュラだわ! ペンネームH 2月18日掲載

第32話 ドラキュラだわ!

日がだんだんと沈み始めている頃、
マルシア女王とアリーナは崩壊した村の中を
ひたすら歩いていた。
「この村は本当に不気味だわ!」
マルシア女王の足取りは早い。
すると、
「ねえ。。。
さっきから何かが追いかけている気がしない?」
アリーナがマルシア女王の肩に手を置いて言った。
「えっ!本当に!?」
マルシア女王は思わず大きな声を出してしまった。
「しっ!」
「静かにしなさいよ!」
アリーナは後ろを振り返った。
「何か。。。いるような気がするのよ。」
「そんなはず あるわけないじゃない!」
マルシア女王も後ろを振り返った。
バサッ。。。
突然、大きなコウモリのようなものが
木の上におり立つのが見えた。
マルシア女王の手をアリーナが引っ張り、
二人は降り積もっているようながれきの山に隠れた。
大きなコウモリのようなものは、
よく見ると人にも見えた。。。
「ドラキュラだわ!」
アリーナが息をのんだ。
バサッ バサッ バサッ
もう一人、またもう一人とドラキュラの数は増えていき、
ドラキュラ達はマルシア女王とアリーナが
隠れている辺りの上を飛び回った。
そして、かすれた恐ろしい声で
「このあたりから声が聞こえた。。。
隠れているに違いない。。。」
「探し出せ。。。!
がれきの中に。。。いるかもしれない。。。」
一人のドラキュラががれきの山にに近づいた。
そして、そのドラキュラががれきに触ろうとすると。。。
ガン!
突然大きな石がドラキュラの頭に当たった。
「早く!逃げるわよ!!」
がれきを押しのけたアリーナとマルシア女王は
岩山の方をめがけて走り出した。

二人はどうなるの?
お話は続く〜!

第33話 魔法の指輪なんて ペンネームH 2月25日掲載

第33話 魔法の指輪なんて

アリーナとマルシア女王は、
岩山の周りにある森の中を走っていた。
マルシア女王は必死に走っているが、
アリーナの足には追いつかない。
「アリーナ!待ってー!」
マルシア女王はアリーナに呼びかけたが、
アリーナにマルシア女王の声は聞こえなかった。
アリーナの背中は身軽に小川を飛び越え、
森の中に消えて行ってしまった。
マルシア女王が後ろを振り返ると、
ドラキュラ達が追いかけてきている。
マルシア女王は思わず木の影に隠れた。。。

アリーナが振り返るとマルシア女王が見えない。
「どこにいったのよ!マルシア女王!なんでいないのよ!」
アリーナは焦って辺りを見渡したが、
マルシア女王が来る気配はない。
すると、5人のドラキュラ達が一斉にアリーナの声を聞きつけ、
アリーナの方へ向かっていった。
アリーナはサッと顔色を変え、森の中を全力で逃げていた。。。

ドラキュラ達の気配がしなくなったので、
マルシア女王は木の影から出た。
マルシア女王は再びアリーナの姿を探したが、
やはり見当たらない。
「アリーナは先に行ってしまったんだわ!
岩山の方にいるかもしれない!どうか無事でいて!」
そう思ったマルシア女王は駆けて行った。。。
アリーナが駆けていった反対方向へと。
マルシア女王のドレスのすそに木の枝がひっかかり、
ビリっという音をたてながら破けたが、
マルシア女王は気にもとめない。
「アリーナ!アリーナ!」
マルシア女王はアリーナの名前をただひたすら呼び続けた。
もう魔法の指輪なんてどうでもいい。
みんなが無事でいてくれればそれでいい。
自分はどうしてこんなことをしているんだろう。
そんな思いがマルシア女王の心を駆け巡っていた。
「私はなんて馬鹿なの!」
マルシア女王は大きな声で叫んだが、
当然のごとく何も起こらない。
いつのまにか森を抜けて
大きな岩山の前に立っていたマルシア女王は
その場に座り込んだ。
マルシア女王の綺麗な青い目から大粒の涙があふれだした。
「アリーナ、ドロシー、ピクシー。。。みんな どこ。。。」
ゆっくりと時間が流れ、マルシア女王が顔をあげると。。。
真っ黒の大きな洞窟がそこにはあった。

お話は続く!

第34話 小さな白い花 ペンネームH 3月4日掲載

第34話 小さな白い花

火のように赤いドラキュラの目がするどく光り、
光線が放たれた。
だが、アリーナは軽やかに飛びのき、光線をよける。
ドラキュラはすぐに次の光線を放つが、
不思議とアリーナには当たらない。
アリーナを逃した光線は近くの木に当たり、
まるでたいまつのように燃え始めた。
アリーナは疲れる様子もなく、燃えている森の中を駆け抜け、
マルシア女王がいる岩山とは別の岩山に向かって走っていった。
燃え盛る炎の中、ドラキュラ達はアリーナを見失ってしまった。
「探せ。。。!」
光線を放った一人のドラキュラがそう言って振り返ると、
仲間のドラキュラ達はいなかった。
残ったドラキュラは岩山をめがけて飛んでいった。
一方、岩山の頂上まできてしまったアリーナは辺りを見渡した。
「わあ。。。」
夕陽に照らされている森は恐ろしく赤く燃えている。
ただ一人、岩山に立っているアリーナはつぶやいた。
「ムギイ。。。どこにいるの?
あなたをさがしてここまで来たのよ。ムギイ、ムギイ!」
アリーナは、もう何年も前に
ドラキュラにさらわれた自分の猫の名を呼びながら、
空に向かって叫んだ。
「ムギイ、どこにいるのー!」
すると。。。アリーナの後ろで小さな何かが輝いた。
アリーナが振り返ると
透き通るように白く輝いている花が咲いていた。
「これは何の花?」
アリーナは花に触ろうとしたが、手を引っ込めた。
なぜか、あまりに美しいその花は
触ってはいけないような気がしたのだ。
すると突然、背後からかすれた恐ろしい声がした。
「見つけたぞ。。。」
ドラキュラだった。
そしてアリーナが話す間もなく、
ドラキュラは真っ赤な口を開けると
勢いよくアリーナの首に噛みついた!
ところが。。。
ドラキュラの牙はアリーナに刺さらなかった。
「ふふっ。私には効かないわよ。」
アリーナは言った。
「だって、私はゴーストなんだもの!」

お話は続く!

第35話 鏡の中から ペンネームH 3月18日掲載

第35話 鏡の中から

暗いブアベル洞窟にある部屋の中、
大きな鏡の前に立っているディスカーは大きな声で言った。
「準備は整った!」
そして、ディスカーは箱の中からキラリと輝く何かを
取り出した。
それは。。。
マルシア女王が探している、あの伝説の指輪だった。
その指輪を鏡についている飾りにはめると、
呪文を唱えた。
「オーバロ・エドラネン!」
すると、鏡の表面はまるで溶けていくように消え、
そこに渦が現れた。
ディスカーは勝ち誇ったような笑みを浮かべると
その中に足を踏み出した。
渦の中はぼやけた灰色で、何もない。
すると、彼が歩く先には光を放つもう一つの鏡が現れた。

その鏡には、テルシカ島の城の
ある部屋が映っている。

ディスカーは右手を振り上げ、
赤い光線をその鏡に向かって放った。。。
スライリンはテルシカ島の城の地下にいた。
古い本や家具などが置かれているその場所は薄暗く、
ほこりが舞っている。
スライリンは怪しげな足取りで、
つまずくことなく鏡の中に映っていた部屋を歩いていた。
ガタガタッ
突然、静かな地下室に大きな音が響き渡った。
スライリンが振り返ると、
布がかぶせられた家具のようなものが踊るように揺れていた。
「何だ?」
スライリンが布をはぎとると、そこには大きな古い鏡があった。
慌てて布をかけなおそうとしたスライリンは、
あることに気付いて息をのんだ。
鏡の中は灰色の霧が渦巻いて、人影が中に見える。
スライリンが思わず後ずさると、人影は右手を振り上げ。。。
ガッシャーン!!
突然、鏡が粉々に砕け散った。
ほこりが舞う中、スライリンが顔をあげると、
そこには見覚えのある人が立っていた。
「ディスカー様!」
テルシカ島は、いつのまにか黒い雲に覆われていた。。。

お話は続く!

第36話 破られた約束 ペンネームH 3月25日掲載

第36話 破られた約束

ディスカーはスライリンを振り返ると言った。
「準備は整っているのだろうな?」
「は、はい!マルシア女王はもうこの島にはいません!」
スライリンは早口で答えた。
ディスカーは不気味に笑いながら言った。
「ハハッ。もうどこにもいないだろう。
5人のドラキュラ達に襲われて。」
「えっ。。。?」
スライリンの表情が固まった。
「追いかけてきていて邪魔だったのでな。」
ディスカーは冷たく言い放った。
「でも、そんなことはしないと。。。
島から追い出すだけだと言っていたではないですか!」
「まさか、あのままにするとでも思っていたのか?」
ディスカーはあきれたようにスライリンを振り返った。
「でも、彼女は何もしていない!
そんなことをする必要は。。。」
ディスカーはスライリンの横を通り過ぎると、
再び鏡の前に立った。
「それに!
あなたに従えば、ベラを人間に戻してくれるという約束は
どうなっているのです!」
スライリンは声をあらげた。
ディスカーは顔色ひとつ変えずに言った。
「あーラヴェンのことか。彼女は魔法使いを追うよう頼んだが、戻ってこなかったな。役に立たなかった。」
「はいっ?!なんですって?!」
「まだ戻ってこない。」
「そんな。。。!」
スライリンががっくりとひざをついた。
「すまないな。」
ディスカーは軽くそう言い、鏡に光を放った。
すると、再び鏡の表面は解けるように消えてなくなり、
黒い影のようなものが歩いて出てきた。
ドラキュラだった。
ドラキュラは鏡からまた一人、また一人と現れ、
ディスカーの周りに集まった。
「この島をドラキュラで埋めつくせ!
この島は我らの物になる!」
ディスカーは大きな声で言った。
たくさんのドラキュラ達が鏡の中から現れては、
ザーザーという音を立て地下室から出ていった。
地下室からはやがてすべての光がなくなり、真っ暗になった。
ドラキュラ達はまだ鏡の中から現れ続けている。
ディスカーの高笑いが地下室に響き渡った。
「この私を裏切ったのか!」
冷たい地下室にスライリンの声が響いた。
ディスカーがスライリンを振り返った。
「私に逆らうのか?」
スライリンは立ち上がり
大きな声でディスカーに向かって叫んだ。
「ベラを人間に戻すという約束だったじゃないか!
私がマルシア女王を追い出せばベラを人間に戻すと
言っていたじゃないか!」
「うるさい。」
地下室の外がなぜか静かになっているのに
気が付いたディスカーは、地下室から出ていこうとして、
振り返った。
「お前にもう用はない。」
ディスカーは赤く光る手を、スライリンに向かって振り上げた。
スライリンが息をのんだ。
そのとき。。。
「そうはさせない!!アルタリゼ!」
透き通るような声が聞こえると、
水色の光が地下室の扉から放たれ、
ディスカーを吹き飛ばした。。。

この声は?
お話は続く!

第37話 洞窟の中へ  ペンネームH 4月15日掲載

第37話 洞窟の中へ

「だって私はゴーストなんだもの!」
アリーナが叫んだ瞬間、突然ある星が緑色に輝き始め、
アリーナとドラキュラを照らした。
すると、それにつられたように白い花も
澄んだ美しい光を放ち始めた。
その光がドラキュラが放った火で
赤く燃える森を照らすと、
森の炎はいつのまにか消えていた。
「ギャーッ!」
突然、ドラキュラが恐ろしい悲鳴をあげた。
アリーナが振り返るとドラキュラは
白い光を浴び、消えかかっている。
やがてその光はドラキュラを包みこみながら消え、
あとに取り残されたように
黒いマントだけが落ちていた。。。

「マルシア女王!ムギイ!」
アリーナはしばらく呆然とそこに立っていたが我に返り、
森の中に走っていった。

マルシア女王は洞窟の前に立ち上がるとつぶやいた。
「ここがブアベル洞窟。。。?」
すると、静かになった森から懐かしく感じる声が
聞こえた。
「マルシア女王ー!どこにいるのよ!」
マルシア女王は顔を輝かせると言った。
「アリーナ!ここよー!」
やがて、森の中から小さな人影が走って来るのが見えた。
「あー!やっと見つけたわ!」
マルシア女王は嬉しさのあまり、
アリーナに駆け寄ると強く抱きしめた。
すると、マルシア女王は小さく悲鳴をあげた。
マルシア女王の手は
まるでアリーナがそこにいないかのように
アリーナを通り抜けてしまったのだ。
「アリーナ?!」
すると、アリーナは小さく笑って答えた。
「私はゴーストなのよ。」
マルシア女王は目を見開いた。
「え。。。どういうことなの?」
「10年前の冬、私は猫を守ろうとして
ドラキュラに襲われたのよ。
その猫。。。ムギイはドラキュラが連れ去ってしまった。
だから今、ムギイを助けに行くのよ。」
「そんな!なんで今まで教えてくれなかったの?!」
「ゴーストなんて言って、
こわがって悲鳴でもあげられたらと思って。」
マルシア女王はアリーナの手を握るように包んだ。
「こわくなんかないわ。アリーナはアリーナだもの。」
アリーナは微笑んだ。
「ありがとう。」
そして、アリーナは慌てて
マルシア女王の手を振り払うと言った。
「そんなことより!洞窟の中に入りましょうよ!」
「そのことだけど。。。私もうあの指輪はいらないわ。」
アリーナは歩き始めていた足を止めた。
「え、なんでよ?」
「気付いたのよ。
あの指輪なんかよりも大切なものはたくさんあるわ。
私はもう少しでそれさえも失うところだったのよ。」
それを聞いたアリーナは、言った。
「ドロシーとピクシーを巻き込んで、ここまで来て、
あなたがそれに気づいたからと言って帰るつもりなの?
それはあきらめたのと一緒よ。」
マルシア女王は一瞬驚いた表情をすると、笑って言った。
「本当ね。私ってなんて馬鹿なのかしら。」
アリーナも笑って言った。
「私の猫も取り返さなくちゃいけないでしょ!
ほら!行くわよ!」
「うん、そうね!」
アリーナとマルシア女王は二人並んで、
洞窟の中へと入って行った。
暗い夜空の中、
それを照らしている緑色の星は美しく輝いている。
そして、はるか遠くにある丘の上で、
それを見上げる妖精がいた。

お話は続く!

第38話 輝く緑色の星  ペンネームH 4月29日掲載

第38話 輝く緑色の星

星が輝く空に 太陽の光が射し始めたころ、
ピクシーは黒く焼け焦げた森に来ていた。
夜空に輝いた緑色の星と
遠くの山から放たれた白い光を見つけて、
それを目指して飛んできたのだ。
「白い光はこの辺りから見えたんだけど。。。」
ピクシーは辺りを見渡した。
緑色の葉が風に揺れていた森の木は、
すべて黒い枯れ木になってしまっている。
ピクシーは当然ドラキュラが
森を焼き尽くしたことなど知らない。
彼は首をかしげた。
「それにしても、一体ここで何があったんだろう?」
ピクシーが空を見上げると、
緑色の星は夜闇と共に消えかかっていた。
「あーあ。。。クイロアの花なんて見つからないよー!」
いつしか、ピクシーは退屈で仕方がなかった緑色の星が
恋しくなっていた。
「この星にもいいところはたくさんあるけれど。。。
僕はやっぱりあの星がいちばん好き!」

白く輝く宮殿の周りに咲く美しい花、
綺麗な緑色の森に響く妖精たちの楽しげな歌声、
透き通る水が流れる小川の周りを飛び回る妖精たち。。。

そのすべてがピクシーにはとても大切だった。
「じゃあ、僕はなんでこの星に来たんだろう?
なんでつまらないなんて思っていたんだろう?」
そして、ピクシーはこの星に来る前に話をした、
銀色の髪をした美しい妖精を思い出した。
「僕を送り出してくれた。。。
あの人はそもそも誰だったんだろう?」
ピクシーはしばらく考えていたが、大きな声で叫んだ。
「あの星に帰りたーい!」
すると、ピクシーの近くにあった岩山の頂上から
白い光が射しこんできた。
ピクシーが振り返ると、
それはなにかとても小さなものから放たれているように
見えた。
ピクシーが岩山の上におり立つと、
そこには白く輝く花が咲いていた。
それは、ピクシーが今まで見たことのない美しさだった。
「見つけたあ!」
「。。。。。」
「これがクイロアの花だ!」
ピクシーは岩山の上で大きく飛び上がった。
その時、消えかかっていた緑色の星が再び輝き始めた。
その光はピクシーとクイロアの花を照らした。
すると、ピクシーにあの銀色の髪をした妖精の声が
聞こえてきた。
「やっと見つけたのですね!クイロアの花を。」
どこか嬉しそうに聞こえるその声はとても懐かしかった。
「それに、この星の大切さがよくわかったことでしょう。
その花をつんで、帰って来なさい。この星へ。」
「はい!」
そう返事をしたあと、
ピクシーはふとマルシア女王、ドロシー、アリーナのこと
を思い出した。
「あ、でも。。。どうしよう」
「どうしたのです?」
「帰ってしまったらあの3人と、
もう会えなくなってしまうよね?」
「クイロアの花は、明日の夕方まで咲いていますよ。」
彼女の声に背中を押されるように、
ピクシーは岩山から見える景色を振り返った。
まだ朝日はのぼり始めたばかりだ。


ピクシーはどうするの?

お話は続く!

第39話 地下室で  ペンネームH 5月8日掲載

第39話 地下室で

「アルタリゼ!」
突然、何者かの呪文によって
ディスカーは部屋の奥へと吹き飛ばされた。
スライリンは驚いて振り返る。
扉の前に立っていたのは、占い師のような恰好の人影。。。
ドロシーだ!
「あなたがスライリン?」
ドロシーは自分の前に座り込んでいる、
ほこりだらけの男を見下ろした。
マルシア女王から聞いていた印象とはずいぶんと違う。
スライリンは慌てて立ち上がると服についたほこりを払った。
部屋を見回すが、ディスカーの姿はない。
呆然としているスライリンにドロシーが言った。
「先にこの部屋から逃げて!」
スライリンは言われるがままに走り出そうとしたが、
思いとどまったように振り返った。
「あなたは逃げないんですか?!」
「私は戦うから、行って!」
スライリンはとりあえず誰か呼んで来ようと、
ドロシーのいる部屋から逃げだした。
だが地下室の廊下はとても暗い上に長い。
この中にドラキュラがいるのなら
出来れば通りたくはなかったが、
スライリンは手を握りしめ駆け出した。

すると突然、
横の部屋から滑り出るようにドラキュラが出てきた。
「ギャーっ!」
スライリンは叫び声をあげると、一目散に廊下を走った。
しかしドラキュラのザーザーという息は
むしろ近づいてきている。
すると 少し先のドアからも、
もう一人ドラキュラが現れた。
もう逃げ場はない。。。
スライリンは前から向かってくるドラキュラを蹴り飛ばすと、
悲鳴をあげながら地下室の階段を駆けあがっていった。
別のドラキュラが追いかけてきているが、
スライリンは
「ガターン」
という音と共に頑丈な鉄のドアを閉め鍵をかけた。
これでもう大丈夫なはず!
ところが。。。今度は向こうにいたドラキュラと目が合う。
「ギャー!」
スライリンはそのドラキュラに
手に持っていた鍵を投げつけると、
ドロシーのことなどすっかり忘れその場から逃げていった。

一方、スライリンが鍵をかけて逃げたことなど知らずに
「あなたにテルシカ島は渡さない!」
ドロシーはディスカーに杖を向けた。
「なぜ邪魔をする?お前には関係ないだろう。」
さっき吹き飛ばしたディスカーは
何事もなかったように立ち上がる。
「関係あるわ!ここは私の友達、マルシア女王の島だもの!」
だが、ディスカーは怪しげに笑うと言った。
「あの女王なら、ドラキュラ達に襲わせた。」
「なんですって?!」
「あの女王がいなくなった今、この島は私のものだ!」
ドロシーが後ずさった。
「そんな。。。そんなことあるわけないわ!」
「ハハッ。そう信じているがいい。」
突然、ドロシーの杖の先から青い光線が飛んだ。
ディスカーはそれをかわすと言った。
「いきなり攻撃するとは!!!」
そして、ディスカーも手から赤い光線を放つ。
ドロシーには当たらなかったが、
近くにあった家具が燃え始める。
ドロシーはその火を魔法で消し 次の攻撃をしようとするが、
ディスカーの方が早かった。
ディスカーの光線が別の家具に当たる。
だが、ドロシーも負けてはいない、
はじき返した光線がディスカーの頭をかすめた。
次の瞬間、二人は同時に光線を放った。
二つの色の光線はお互いぶつかり合っている。
だが、だんだんとディスカーの光線が
ドロシーの光線よりも強くなっていき。。。
「バキッ」
という音をたて、
光線にあたったドロシーの杖は真っ二つに折れた。
上の階へ続く扉の鍵はしまったままだ。

お話は続く!

第40話 鏡と猫 ペンネームH 5月24日掲載

第40話 鏡と猫

ドロシーがディスカーと戦っているなか
マルシア女王とアリーナはブアベル洞窟の中を歩いていた。
狭い中を進んでいると突然目の前の暗い闇が開け、
天井の高い大きな部屋に出ることが出来た。
中央にある、岩でできた大きな階段の先には
模様が書かれた扉があり、
だれかがここに住んでいたことを示していた。
マルシア女王とアリーナは上を見た。
薄暗い天井から垂れ下がっているまるでつららのような岩を、
すきまから射す青白い光が照らしている。
少し不気味だが、
何も知らずにこれを見れば綺麗だと
思うことが出来ただろう。。。
しかし今はそんな余裕などはない。
すると突然、一人のドラキュラが二人の前に現れた。
マルシア女王が悲鳴をあげる間もなく、
ドラキュラはまるでそこで待ち構えていたかのように
二人に向かって光線を放った。
もう逃げ場はない。
光線に当たってしまえばどうなるのかはわからない。
「危ない!」
アリーナがマルシア女王の前に立ちはだかった。
「アリーナ!」
光線がアリーナに当たったが跳ね返り、
その光でドラキュラは叫び声をあげながら消えた。
ほんの数秒の出来事だったが、
マルシア女王にはとても長く感じられた。
静まりかえった洞窟の中、マルシア女王は我にかえると言った。
「アリーナ!どうしてそんなことしたの!
とても危ないなんてものじゃないわ!」
振り返ったアリーナは何事もなかったかのように笑った。
「私はゴーストだもの!このくらい平気よ。
それに守ってあげたのにその態度は。。。」
何なの、と続けようとしたアリーナは半透明になり、
消えかかっている自分の手を見て息をのんだ。
「え。。。?」
「大変だわー!どうしましょう!」
「ちょっと!落ちついて!」
アリーナがマルシア女王をなだめるが、
マルシア女王はまくしたてる。
「まさかこのまま消えてしまうなんてないわよね?!
消えないわよね?!」
アリーナは少し考えると言った。
「もしかしたら。。。
私はこのまま消えてしまうのかもしれないわ。。。」
しばらく沈黙が続いた。
「そんなことあるわけないわ!
そうだ、ドロシーならなんとかしてくれるかもしれないわ。
あー彼女はいまどこにいるの?!」
マルシア女王がそう言うと。。。
部屋のなかでなにかがキラリと輝くと、
なにか白い物が部屋の隅で動いた。
またドラキュラ?
二人が警戒しながら振り返ると。。。
「「あーっ!」」
マルシア女王とアリーナが同時に叫んだ。
「ムギー!」
「あれは、私の指輪だわ!」
ついに見つかったのだ。
二人は鏡に駆け寄ると、
アリーナの半透明の手はムギを抱き上げた。
「会いたかったわムギ!無事だったのね!」
アリーナの目には涙が浮かんでいる。
「よかった、よかったムギ!」
ムギと呼ばれた猫は嬉しそうにニャーと鳴いた。
そんな中マルシア女王は、指輪を手に取るのをためらっていた。
「アリーナはムギに出会えたことだし。。。
この指輪、私はこのあと どうしたらいいのかしら?」
そしてマルシア女王は不気味なことに気が付いた。
鏡に自分達が映っていない。
アリーナもそれに気が付き、喜ぶ手を止めた。
「この鏡。。。
私はともかく、マルシア女王も映ってないわ。」
「なんで?不気味ね。。。」
マルシア女王がおそるおそる鏡へと手を伸ばすと、
まるで水のように鏡の表面がゆがんだ。
すると鏡の中に光が渦巻き始めた。
「なにが起こっているの?」
マルシア女王が近づいて見ると、渦の先には誰かがいる。
「ドロシー!ディスカーも!」
マルシア女王が悲鳴に近い声をあげた。
遠くてよく見えないが、ドロシーは炎の中を逃げ回っているように思える。
「ドロシーが危ないわ!助けに行かなきゃ!」
マルシア女王が言った。
「ちょっと待ちなさいよ!どうやって行く気なの?」
鏡に近づいたマルシア女王をアリーナがひき止めた。
「もしかしたら。。。
もしかしたら、この鏡の中から行けるかもしれないわ。」
「そんなこと、あるわけないわよ。
それに映ってるのが本当とも限らないでしょ?」
「でも、手が入るってことは。きっと私達も入れるわ。」
すると、アリーナが鏡についた飾りを見て言った。
「待って!ここに何か書いてある。
でもこれは何語?私には読めないわね。」
マルシア女王はアリーナが指さしたところを見て言った。
「一度渦が現れたら、
一日のうちその中に入ることができるのは一人のみ。。。
ということは、じゃあ二人では入れないの?!」
もう一度渦をみると、それはさっきよりも小さくなりつつある。
すると、アリーナは言った。
「じゃあ当然、入るのはあなたね」
「そんな!アリーナをここに一人残してなんて行けないわ!」
「いいのよ。わたしはムギにまた会えた。
これで私は心置きなく帰れるわ。」
「帰るって。。。どこに行く気なの?」
アリーナはムギを抱きしめると笑った。
「ゴーストの私がいたところへよ。」
見ると、アリーナはさっきよりも一段と透明になっている、
マルシア女王が泣きそうになったのを見て、
アリーナはつけ加えた、
「あ、それに、今日はこの鏡に入れなくても
明日は入れるってことよね。
だったら。。。もし明日私がまだこの世界にいたら。。。
ムギをつれてそっちに行くわよ。」
だが、その可能性は低いことを
アリーナの透明になった手が示していた。
マルシア女王が泣き出す前に、アリーナは言った。
「ほら!渦が消えかかってるわよ!
あなたは早く行きなさいよ!」
「嫌よ!私はここにいるわ!まだあなたと一緒にいたいもの!」
マルシア女王がアリーナにすがりつこうとすると、
マルシア女王のドレスのすそが渦に引き寄せられた。
渦はマルシア女王も吸い込むつもりでいるのか、
よりいっそうと大きく渦巻き始めた。
アリーナは一瞬後ろを向くと、
マルシア女王に笑顔を向けて言った。
「いままでありがとう。マルシア女王、
向こうに帰ってもあなたのことは絶対に忘れないわよ!」
鏡の中に入ってしまったマルシア女王も叫び返す。
「私もよ。アリーナ!あなたと出会てよかった!」
「。。。さようなら!」
半分泣いているマルシア女王の姿は鏡の中へと消えていった。
洞窟の中に一人残されたアリーナは、
ムギを抱きしめると鏡に背を向けて、
洞窟の外へと走り出した。
まだ日は暮れていないはずだ。

お話は続く!

第41話 飛び交う光線 ペンネームH 6月7日掲載

第41話 飛び交う光線

ドラキュラを避けながら城の中を探しまわったが
城にいた人は全員逃げてしまったのか誰もいなかった。
スライリンはやっとの思いで
城の5階へと続く階段にたどり着いた。
ここに来るのに思ったよりも時間がかかってしまった。
城の上からは、とぎれとぎれにオズワルドの呪文の声と
ドラキュラの光線が何かに当たる音が交互に聞こえてくる。
ドロシーの仲間だろうか。
そう思ったとき、
スライリンはやっと地下室で会ったドロシーに、
必ず誰か人を呼んでくると言って
自分はここまで来たことを思い出した。
それと同時に、もうひとつ気が付く。
「地下室の鍵!」
思わずそう声に出し、来た道を戻ろうとしたスライリンに、
ドロシーが魔法使いならば鍵ぐらい開けられるのではないか
と思った。
。。。今はそう信じるしかないが、早く誰かを呼んで来ないと。
スライリンは5階への階段を駆けあがった。

よし、もうこの階のドラキュラはすべて倒したことだろう。
そう思ったオズワルドは城の廊下に立っていた。
ドラキュラ達の数は多いが、
オズワルドにとってそれほど強くはないドラキュラ達を
倒すのはたやすかった。
もう一つ下の階に降りるかと思ったオズワルドが
倒れているドラキュラ達にクルリと背を向けると、
突然階段の方から誰かの声がした。
「早く!早く地下室に行ってください!」
かなり焦っている様子で前から走ってきた金髪の青年は
オズワルドを懇願するように見上げた。
「何があったんだ?」
オズワルドが聞くと、スライリンは言った。
「あなたはドロシーの仲間ですか?
彼女がひとりでドラキュラのディスカーと
地下室で戦っているんです!
でも 多分彼女ひとりでは勝てないですよ!」
「ドロシーが?!」
スライリンの声を背に、
オズワルドは迷わず駆けだした。

杖がないと魔法使いは魔法が使えない、つまりは戦えない。
ドロシーは追ってくるディスカーから逃がれるため
地下室の廊下を走っていた。
早くここから出て、ドラキュラのディスカーのことを
オズワルドに知らせなくては。
そう思い、地下室の扉を押す。
だが。。。開かない!
ドロシーはガタガタと音をたてながら扉を揺さぶったが、
何をしても開かない。
鍵がかかっているらしい。
だが不思議とスライリンへの怒りはなく、
ただ自分の無力さが情けなかった。
「杖がないと私は何もできない。。。」
遠くでガラスが割れるような音がした。
顔をあげると、暗い廊下の先にはディスカーが立っていた。
ディスカーはゆっくりとドロシーの方に歩み寄ると
右手を振りかざす。
思わず座り込んだドロシーに、
まるで炎のように赤い光が向けられた。
バーン!
突然、地下室の扉が大きな音をたてて砕けた。
光が射しこんだ地下室の中にほこりが舞う中、
そこにはオズワルドが立っていた。
「ディスカー!やはりここに来ていたのか!」
オズワルドの光線がディスカーの放った光線を跳ね返した。
狭い地下室の中では
オズワルドの魔法とディスカーの放つ光線が飛び交っていた。
ドロシーの攻撃も受けたディスカーよりはオズワルドの方が有利だ。
徐々に力の差は開いていき、
やがてオズワルドの魔法がディスカーを吹き飛ばした。
倒れたディスカーにとどめを刺そうと
オズワルドはすかさず魔法を放つ。
「ダグ二アースカ!」
オズワルドの杖が放った光はディスカーに当たった。

ディスカーはどうなる?
お話は続く!

第42話  青い空 ペンネームH 6月14日掲載

第42話 青い空

オズワルドの杖から放たれる、
直視できない程まぶしい光がディスカーを包み込んだ。
やがて地下室の中に広がった光が消えると、
ディスカーの姿は消えていた。
「いなくなった。。。?」
静けさが流れる地下室に、
オズワルド、ドロシー、スライリンは立っていた。
本当に消えたのだろうか。
確かに目の前にはもういないが、
オズワルドはなぜか信じられなかった。
「とりあえず、上の階に戻りませんか?」
スライリンが言った。
「そうね。まだドラキュラが残っているかもしれないわ。」
ドロシーが地下室から出ていき、スライリンも出ていった。
オズワルドはまだディスカーが消えた所を見つめていたが、
何も起こらないのを確認すると地下室の扉へと向かった。
だが、
「ハッハッハ。。。」
どこからか、恐ろしい笑い声が聞こえた。
「そんなことで、倒せたと思ったのか!」
「ディスカー!」
振り返ると、
そこにはディスカーが何事もなかったかのように立っていた。
オズワルドはすかさず魔法を放ったが、
それはなぜかディスカーには当たらなかった。
「私はもともと生きてはいない。
だから体が消えてもこうしていられるのだ!」
ドロシーが戻ってきたが、その光景を見て立ちつくした。
魔法が当たらないのなら、勝ち目はない。
「そんな。。。」
「ハハハハハッ!」
ディスカーは得意げに笑うと言った。
「さあドラキュラ達よ!この島を乗っとるがいい!」
そうディスカーが命令しても、
部屋にある鏡からは何も起こらなかった。
「。。。何をしている!早く出てこい!」
だが、何も起こらない。。。
すると、突然鏡の中に人影が現れた。
「誰だっ!」
「私は。。。このテルシカ島の女王!
マルシア・ジェニー・ファニングよっ!」
決めゼリフのようなことを言って出てきたのは、
マルシア女王だ。
「マルシア女王!無事だったのね!」
ドロシーが顔を輝かせた。
ディスカーがすかさず赤い光線を放った。
それはマルシア女王に当たったように見えたが、
なにか白い光がその光線を跳ね返している。
「こっちには指輪があるのよ!」
マルシア女王が得意げに言った。
「いつのまに?!」
思わずディスカーがそう言うと、マルシア女王は言った。
「あなたがこの島に来ていた時に取りかえしたわ!
それに、部屋に残っていたドラキュラ達は
この指輪でみんな鏡の中に吸い込まれていったわ!」
ディスカーが初めて驚いた表情をしたが、
ドロシーとオズワルドの魔法が放たれたのと同時に、
マルシア女王の指輪が光りだした。
それはやがてディスカーを包みこみ、
「テルシカ島はあなたには渡さない!」
マルシア女王は指輪をディスカーに投げつけた。
すると、綺麗な白い光が
地下室を覆った。それが消えると。。。
ディスカーはいなくなっていた。
同時に、城の上を覆っていた黒い雲は消え
青い空には太陽が輝きだす。
テルシカ島は、指輪によって守られたのだ。

お話は続く!

第43話  森の中で ペンネームH 7月1日掲載

第43話 森の中で

「もしかして、ここがブアベル洞窟?」
そうつぶやいたピクシーは
目の前にぽっかりと穴をあけている洞窟を覗き込んだ。
「マルシア女王とアリーナはこの中に入ったのかな?」
すると突然、暗闇の中から小さな人影が
こっちに向かって走って来るのが見えた。
だんだんと近づいて来る人影に、ピクシーは叫んだ。
「アリーナ!」
アリーナも叫んだ。
「あっ、その声はピクシーね?」
「そうだよ!会えて嬉しいよー!」
ピクシーはそう言ったあと、あることに気がついた。
マルシア女王がいない。
「あれ?マルシア女王はどこ?」
アリーナは少し口ごもりながら答えた。
「えっとね。。。
話すと長いのよ。
とりあえず、洞窟の中で見つけた魔法の鏡で、
テルシカ島に向かったわ。」
「なんでアリーナは行かなかったの?」
するとアリーナは足元にいるペルシャ猫、ムギをなでた。
「私が一緒に行く必要はもうないからよ。
ほら、ムギに会えたの!」
かわいいなと思ったピクシーはふと。。。
「じゃあ、アリーナはこれからどうするの?」
気軽に聞いたのだが、アリーナは黙り込んだ。
「え、どうしたの?」
すると、
アリーナは悲しそうにピクシーに見せるように手を差し出した。
「これを見て、消えかけてるの」
「えっ、えー!」
驚くピクシーとは反対に、冷静なアリーナは続けた。
「それで、お願いがあるんだけど、」
まだ驚いて何か叫んでいるピクシーに
アリーナはいつものように言った。
「ちょっと静かにしなさいよ。」
だが、その目は優しく笑っていた。
「ムギを、マルシア女王のところへ連れて行って欲しいの。」
ピクシーは、何を言っているのかという目でアリーナを見た。
「私はゴーストだから消えてしまえても、ムギは生きてるのよ。
だから、向こうに一緒には行けないのよ。」
「でも。。。せっかくムギに出会えたのに。。。」
とまどうピクシーに、アリーナは言った。
「いいのよ。マルシア女王ならムギを可愛がってくれるわ。
それに。。。私はまたムギに会える日がくるもの。」
確かにそうだとピクシーは思った。
いくらムギには指輪の魔法がかかっているとしても、
いずれは。。。アリーナに会えることになるだろう。
「そうだね、そうだよね。でも、本当に僕でいいの?」
「ここにあなた以外誰がいるのよ。」
そう言ったあと、アリーナはつけたした。
「それに妖精のピクシー、あなたなら任せられるわ。
ちゃんと連れていくのよ?」
「もちろんだよ!」
元気よくピクシーが答えると
突然、ピクシーの後ろに広がっている焼け焦げた森に、
白い光が射した。
その途端、倒れた木はひとりでに起き上がると
茶色の枝を生やしながらぐんぐんと成長し、
緑の葉を生い茂らせた。
一本だけではない、
まるで長い時があっというまに過ぎていくかのように
森全体に緑が戻っていく。
「わあすごい!まるで魔法みたいね!」
そう言ったアリーナにピクシーはウィンクをした。
「だって魔法だもん!」
いつの間にか緑色の木々に囲まれている二人の頭上に、
あの緑色の星が輝いていた。
「ありがとーう!」
ピクシーの言葉が伝わったかのように、
緑色の星はキラリと輝き水色の空のなか見えなくなった。
「ありがとう!」
爽やかな風が吹く森のなか、アリーナは軽やかに笑った。
そしてアリーナの笑い声は鳥のさえずりと、
木の葉が立てる音に消えていった。

ピクシーはムギを連れて行けるのか?
どうぞお楽しみに!

第44話 旅の終わり ペンネームH 7月5日掲載

第44話 旅の終わり

テルシカ島の最上階で、
マルシア女王は窓のカーテンに手を掛けると
勢いよく開け放った。
久しぶりに立つバルコニーからは、
見慣れたテルシカ島の美しい景色が広がっている。
マルシア女王は両手を広げると、空を見上げた。
「やっとここに帰ってこられたわ!」
もうあの指輪は、彼女の指にはまっていない。
あとからやってきたドロシーが、
目を細めてうっとりと景色を眺めた。
「テルシカ島は本当に素敵な所ね。」
「そう。私はテルシカ島が大好きだわ!」
「これからもマルシア女王は、
また女王としてこの島を守っていくのよね。」
ドロシーが少し寂しげに微笑んだ。
すると、マルシア女王はドロシーを振り返ると言った。
「いいえ、私はもう女王にはならないわ。」
「え?」
ドロシーが目を丸くした。
「あれから少し考えてみたの。
そうしたら、私って本当にわがままだって気がついたのよ。
自分がただ女王でいたいから指輪を探し求めて、
そうしたら今度は
指輪を取り戻すことしか頭になくて。」
マルシア女王は ふふっと笑うと言った。
「だから、私はテルシカ島を離れて、
まったく違う生活を送ってみようと思うわ。」
そんなマルシア女王にドロシーも笑うと言った。
「そうなのね、マルシア女王らしいわ。
私も。。。また、ただの占い師として生きていこうと思うわ。」
マルシア女王は、ドロシーの手を取って言った。
「でも、私はあなたのこと、ずっと忘れないわ。」
ドロシーも彼女の手を握り返し
「私も、マルシア女王のことは絶対に忘れないわ。」
ふとバルコニーの下から、
スライリンが、ドラキュラの手から逃げていた人たちを
誘導している声が聞こえた。
町は元通りのようだ。
テルシカ島の景色を眺めていた二人の髪が
爽やかな風になびいた。
「私たちの冒険も、もう終わりね。」
「。。。ええ」
マルシア女王がふと見ると、
マントを羽織ったオズワルドが
こっちに向かって手を振っていた。
「あ、もう帰ってしまうのかしら?」
そう言って、
バルコニーから駆けだそうとしたドロシーが振り返った。
そんな彼女に、マルシア女王が微笑んで
「またあとでね!」
「ええ あとでね!」
ドロシーがバルコニーからいなくなったあとも、
マルシア女王は景色をひとりで楽しんでいた。
「本当に、これで全部終わりなのね。」
そう言うと、マルシア女王は明るい表情で後ろを振り返った。
「でも、今日はまだ終わらないわ!」
そう言って元気に城の奥へと駆けていくマルシア女王の姿は、
風ではためくカーテンの中へと消えていった。
城の下では、ドロシーとオズワルドが楽しそうに話している。
スライリンも、町の人々と一緒に笑いあっている。
そしてどこか遠くの草原を、
歌を歌いながら走っているのはピクシーだ。
その横で、真っ白なペルシャ猫、
ムギが幸せそうにニャアと鳴いている。
雲ひとつない青い空に、
キラキラと輝く太陽がそんなみんなを照らしていた。
そしてこれからも、
太陽はみんなの明るい未来を照らし続けるだろう。
ずっと。ずっと。。ずっと。。。

マルシア女王の冒険は、ここで終わり!

でも、それじゃあマルシア女王とムギは、今どうしているの?
ということで…

あともう ひとばなし いっちゃおうかなあ〜!
*このセリフは、安藤で〜す 。
Hさんだと思われたら可哀想なのでね。(笑)

お楽しみに!

第45話 マルシアの大冒険ばなし ペンネームH 7月15日掲載

第45話 マルシアの大冒険ばなし

わー!すごーい!」
大きなソファーの上で、
マルシアおばさんの話を聞き終わった私は
思わず歓声を上げてしまった。
だって、まさかマルシアおばさんが女王だったなんて、
信じられない!
隣に座っている私の親友、メイも目を丸くしている。
でも、マルシアおばさんの家は本当に大きいし、
着ている服だってとても豪華。
確かに考えてみれば、ありえない話ではない。
マルシアおばさんはそんな私たちを見ると、うふふと笑った。
「どう?もう随分と昔の話だけど、楽しんでもらえたかしら?」
待って、まだ聞きたいことはたくさんある。
だが、私が口を開くより前に、メイが言った。
「待って、待って! もうお話は終わりですか?
ムギは? 指輪は? そのあとどうなったの!?」
うんうん、と頷く私の横で真っ白なペルシャ猫があくびをした。
その猫の名前は。。。ムギ。
えっ? まさか!
そんな私の考えたことがわかったのか、
マルシアおばさんは言った。
「そうよ、その子がお話に出てきたムギよ。
そして指輪も、まだ保管してあるわ。
でも、もう使えないはずだけれど。。。」
すると、突然私の横に座っていたメイがムギに抱きついた。
「すごい、すごーい!
じゃあ、その女の子の願いは叶えられたのね!」
「ええ、そうね。」
「わあ、よかった!
ムギ、いままで仲良くしないで、ごめんね!」
ムギが嬉しそうにニャアと鳴く。
私もムギをなでようと席を立つと
マルシアおばさんは声をひそめて言った。
「あ、今日話したことは他の人にはないしょよ?」
『内緒かあ』と私は内心思ってしまったが
『それもそうだよね』と思い直す。
マルシアおばさんの家に
この話を聞いた人が押し寄せたりしたら大変だ。
「うん!わかったわ!」
そう言って、私がムギの頭を優しくなでると、
ムギは思っていたよりもフワフワで温かかった。
「ふふっ。ムギかわいい!」
私とメイの声に、マルシアおばさんは嬉しそうに微笑んだ。
それはやはり、
満足した大冒険で、心が満たされている女王の笑みだった。

The End!

ムギ創作物語 第1話からのリメイク版を作成しております。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

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